21/06/19(土)13:35:07 「イエ... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
画像ファイル名:1624077307671.jpg 21/06/19(土)13:35:07 No.814796660
「イエーイ! トレーナー君! おはよう! 待ちに待った短期合宿ね!」 「おはよう。マルゼン。合宿所まで……よろしく」 トレセン学園前でマルゼンスキーと待ち合わせ、小さな手荷物とともに彼女がタッくんと呼ぶ赤い悪魔…ではない。車に乗り込む。 「なによー。トレーナー君。元気ないわねー。。それじゃおススメのフォークソングでも聞いて、海岸線をドライブしましょうか? それともナベサダがいい?、佐藤博もイケてるわよ!」 彼女の愛車……タッちゃんはこの国の公道にはおおそ不釣り合いなバリキをたたき出すエンジン音のほうが大きく、 セットされたカセットテープからおススメの曲が聞こえにくいことも多いのだが、 それでも信号待ちの際に聞こえるフレーズが、時たまに心地よく感じるのも確かだった。 タッくんはその華麗な車体と裏腹に視野も狭く、左ハンドルな上に、ステアリングとシフトノブも重く、自分では全く運転する気にならないが、彼女はいともかんたんに操りかっ飛ばしていく。そしてその運転は加減速が急で荒っぽい。
1 21/06/19(土)13:35:18 No.814796704
まるでじゃじゃウマをならすようだ。 「高速に入ったわね。レースとドライブは最高ね! 今度スペちゃんも誘おうかしら!」 彼女はノリノリでハンドルを握っている。 「あの、運転なんだけどお手柔らかにお願……」 「やーん。そんなことは当たり前田のクラッカーよ!」 よくわからない言葉を言う。彼女と強烈なGに揺られ、激しく自分は妙な気分になってきた。 事前に酔い止めを飲んだはずなのだが、あまり効果は見られない。 「あ、ロータス! ……残念だね。風吹くん! この公道レース。今回はぶち抜いてあげるわ! 今の私はカウンタックの狼よ!」 「お、おい!? うわああっ!?」 白のボディに赤のラインが入った車を見るや、突然興奮しだすマルゼンスキー。 回転数を上げて唸るタッくんと加速によりシート背中が張り付けられる自分の絶叫が周囲に響き渡った。
2 21/06/19(土)13:35:34 No.814796772
トレセン学園指定の合宿所は山中の湖畔沿いにある。 青い顔をして車を降りた眼下には湖畔とトレーニングコースが広がる。 管理棟で自分たちあての荷物と合宿所となるペンションの鍵を受け取り、カンタンに自分たちの部屋に荷物を詰め込むと、 さっそくトレーニングを開始することにした。 「やっぱり空気がきれいねー」 ウーンと背伸びしながら、ジャージに着替えたマルゼンスキーが言う。 「そうだな。10日程度だけど、きっちりやろう」 次の目標は天皇賞春。彼女が今までに走ったことのない距離を走るために、心肺機能とスタミナを鍛えたい。 そう思い、やや高所の合宿所を予約した。 秋古バ戦線は天皇賞からジャパンカップと有マ記念へと移り始めている。 合宿所もまばらで、トレーニングしているのは自分のほかに数組がいるだけだった。 「よし、じゃあマルゼン。今日は軽くアップする程度で、明日から長距離の走り込みや坂道ダッシュなどで負荷をかけていこう」 「ラジャー。テンションアゲアゲで行くわよー!」 マルゼンスキーはそう告げると、コースを確かめるように走り始めた。
3 21/06/19(土)13:36:04 No.814796879
―― 「……うん。行けそうだ!」 最終日―― トレーニングコースで平地の芝3200mを駆け抜けたマルゼンスキーの上りタイムを見て、満足した。 毎年の1位の上りタイムにはまだ少し遠いが、十二分に時間はある。 トレセン学園に戻っても、少しずつ追っていけばいけるだろう。 「おつかれ。オーラスだよ。これなら十分行ける」 息を整える彼女にタオルを差し出し、労をねぎらった。 「よかったわー。うれピー」 さすがに長距離は未知の領域なのでペース配分や走りもぎこちないものがあるが、 それでもどうにかこなしてしまうところに彼女の非凡さがうかがえる。 そろそろ学園に帰らなくては行けない。 明日に戻ることを決め、午後はオフにし、 彼女と湖畔であひるボートに乗ったり、観光客向けのイタ飯屋でランチを楽しんだりした。
4 21/06/19(土)13:36:22 No.814796953
「さあ、はじまりました日本シリーズ第一戦。一番の柴田は初球サードゴロに倒れました…。今は二番の高田が右打席……」 ラジオはどうやら公共放送の電波はかろうじて拾うらしい。野球中継が流れてくる。 おおよその掃除と荷物も送り返す目途が立ち、彼女お手製のアップルパイと淹れたダージリンの紅茶をいただきながら、ペンションの居間でくつろぐ。 「ふふっ、これ見て」 ペンションの居間でマルゼンスキーは熱心に紙に目を落としていたかと思うと、 嬉しそうにそれを自分に差し出した。 このあいだのだーびーとてんのうしょうみました。 てんのうしょうのマルゼンスキーさんがすきです。 びょうきですがげんきもらえました。 はやくともだちよがっこうであそびたいです。 ありがとうございます。 がんばってください。
5 21/06/19(土)13:36:36 No.814797009
文字の大小がそろっていないが、作者が気持ちをこめて書いたことが伝わってくる。 そして、彼女は「大丈夫、あなたもとても強いわ」と ペンで便箋に丁寧に返事を書いている。 ファンレター一通一通に目を通して、返事を書くのは彼女の日課だった。 「決して失望や絶望だけじゃない。君が懸命に走る姿が皆に希望を与えるんだ」 こう言ったのは決して間違いではなかったと実感できてうれしい。 ダービーを勝った後、自分たちが選んだのは秋の天皇賞だった。 重バ場、大外枠。そして親友でもある「皇帝」シンボリルドルフの出走。 不利な条件が重なり、足元が泥まみれになりながらも、それでも彼女は最後まで誰にも譲らず。先頭を駆け抜けた。 どこに出しても恥ずかしくない立派な名バだ。
6 21/06/19(土)13:36:54 No.814797077
「私には楽しいってことだけで、それ以上の走る意味がなかった。けど、それに色彩を加えてくれたのはあなたよ。トレーナー君。どうもありがとう」 いつの間にかソファーの横に座り、腕を絡めながら、上目遣いで顔を近づけてくる。 「……ん」 唇を重ね、相手の唇を少し舐めてみる。 ちょっぴりリンゴとブランデーの香りがした。 「私ちょっと横になりたいな。休憩しましょ?」 外はすっかり真っ暗になっている。 自分は立ち上がると無言でカーテンを閉め、マルゼンスキーの腰に手をまわした。 つづく。
7 21/06/19(土)13:37:07 No.814797133
うまぴょいパートは8割くらい書けてます
8 21/06/19(土)13:44:10 No.814799018
マルゼンさんやっぱ可愛いな >うまぴょいパートは8割くらい書けてます 待っています
9 21/06/19(土)13:45:08 No.814799285
激マブはこういうのも似合うから脳がバグる
10 21/06/19(土)13:46:06 No.814799550
タッちゃんとタッくんがごっちゃになってる!
11 21/06/19(土)13:48:51 No.814800311
一瞬うまぴょいパートが残り八割分あるのかと
12 21/06/19(土)13:53:05 No.814801482
ラジオの時空が歪んでない…?
13 21/06/19(土)13:58:24 No.814802909
あらヤダトレンディ…って読み進めてたら >ちょっぴりリンゴとブランデーの香りがした。 これやっぱ成人ですよね?
14 21/06/19(土)14:12:30 No.814806769
>つづく。 うれピー!
15 21/06/19(土)14:16:32 No.814807878
サーキットの狼 V9巨人 うっ頭が
16 21/06/19(土)14:16:48 No.814807953
春天目標なのに秋戦線と日本シリーズ出てきて頭パンクしそうなんだけど
17 21/06/19(土)14:21:01 No.814809202
あっもしかして令和ではない…!?
18 21/06/19(土)14:26:35 No.814810843
マルゼンエミュ多分最難関だと思ってるので怪文書ありがたい… もっと増えて欲しいマルゼン怪文書…
19 21/06/19(土)14:33:25 No.814812837
別に他の子と同じ時間軸とは限らんからな…
20 21/06/19(土)14:37:48 No.814814001
野球が…巨人が昭和だ…
21 <a href="mailto:s">21/06/19(土)14:38:22</a> [s] No.814814161
70年代感を出そうとして失敗しました… 日シリと天皇賞は日程被ってないときもあるみたいなんでそれで