ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/06/17(木)01:26:40 No.814037469
「スカイ」 まだ眠い私を揺さぶる、誰かの心地よい声がする。閉じた瞳を貫いて、白の風景が目蓋の裏に映りこむ。夜の終わり、ささやかな温もり、遠いようで凄く近い、彼のにおいが離れる時間。やかましいオーケストラが演奏しだす定時のアラーム前だから、多分五時よりちょっと前ぐらい。まあ、そう、呼んでもいない朝の到来だ。 ああ、いやだなぁ。もう夢から起こされるような時間が来たのか、もうちょっと惰眠を貪っても罰は当たらないじゃないか。あと、声を上げることも億劫だ。だって、まだ、私はここで寝ていたい。枕の上で頭を振って離れたくない気持ちを表現する。こんな子供みたいないやいやが、彼に通用するわけないと分かっているのに、駆け引くことも忘れて甘えてしまう。いまに、このぬくもりに、ひたっていたい。寝心地抜群の白い枕に、体温を吸ってしっとりしたシーツに、彼のにおいが染みついた、私の香りが残るこの掛け布団に。 「起きてくれ～」 あつくて固い彼の手が私の肩口に触れる。Tシャツ越しに感じる彼の体温が、私の目蓋を更に重たくさせていく。ゆさゆさ、ゆさゆさ。心地の良い揺り起しから逃れるように、頭から布団を被った。
1 21/06/17(木)01:27:24 No.814037650
たぶん、まだ、寝ぼけたふりをしていることはバレてはいないはずだ。 「起きてるの分かってるぞ？」 たぬきを決め込んでいたのに、耳元で囁かれて、口角が上がってしまって、ついでに眉尻までぴくついた。あはは、諦めよう。やっぱり私、トレーナーさんの前じゃあ、悪い子でいられないみたい。 「ふあ～……ん、観念しました」 「スカイ、おはよう」 朝の光が睫毛を焼いて、代わりに少しの涙をくれる。朝一に観る大好きな彼の顔は、私にはあまりに眩しすぎて直視するのは難しい。照れ隠しの欠伸が漏れ出るのと一緒に、筋肉をほぐそうと身体は勝手に伸びを要求した。もう一度目を閉じて、ぐっと腕をのばして、目を開く。 「うん、おはよう。トレーナーさん」 彼に挨拶を返すと同時、私の中で朝が明ける。素敵な夜が終わったあとの朝は格別だ。だから、今日も頑張れる。きっと、今日もとびきり素敵な夜が私を迎えに来て、朝には幸福に浸した甘い甘いフレンチトーストを用意してくれるだろう。頑張ったあとには必ずご褒美が待っている。近頃ずっとそうだから間違いない。
2 21/06/17(木)01:28:08 No.814037811
「どうした、スカイ。じっと俺の顔見て……なんか付いてる？」 「うん、おめめの下に大きなクマさんが」 「マジか、ちゃんと寝れてるはずなんだけとな」 「にゃはは、ではではトレーナーさんの疲れをとるために、本日は寝てよう日に決定ですね～」 「しないしない。朝から冗談言わないの」 そんなにべもない返答に、私は肩をすくめて答えてあげた。あちゃあ、妙案だと思ったのになあ。いくら私のトレーナーさんとはいえ、真っ向からサボるぞ～とは言えないもんね。まあいいや、駆け引きは後に取っておこう。とりあえず今は、朝を乗り切るとしますか。私はお腹を擦って彼に微笑みかけた。 「はいよ、今日は何がいい？」
3 21/06/17(木)01:28:50 No.814037961
「んーんとね、スクランブルエッグとサラダとあと……」 「ホットサンドとコーヒーとフルーツ入りヨーグルト……だよな、了解」 言葉がなくたって、伝わるものは伝わる。まずは朝ごはんだ、今日ものんびり頑張ろう。彼がベッドから離れてしまう前に、おはようとは別の、浅くて熱い唇と肌の挨拶をすれば、いつもと変わりない幸福感が私の心を優しく包む。 「美味しいごはん、期待してるね」 「おうよ。スカイも顔洗っといで」 「は～い」 普段通りのやり取りを終えれば、小鳥の囀りが一日の始まりを連れてくる。同じベッドで迎えた夜が終わり、私と彼は眠りと目覚めの合間から一歩だけ進み出す。 「今日も、よろしくね」 「こちらこそ、よろしく」 私たちの、朝の到来だ。
4 21/06/17(木)01:29:39 No.814038164
穏やかないちゃラブ朝ちゅんいい……
5 21/06/17(木)01:30:03 No.814038255
いいね…
6 21/06/17(木)01:30:07 No.814038267
こいつらうまぴょいしたな！？
7 21/06/17(木)01:30:11 No.814038280
こいつらうまぴょいしてるんだ！
8 21/06/17(木)01:31:08 No.814038499
なんだい今日は...やけに怪文書を見るようだが...
9 21/06/17(木)01:31:22 [s] No.814038567
仕事で暇をもて余してる時に見た実装後初の幻覚です シーン切り取って短く幻覚見るのもなかなか楽しいね
10 21/06/17(木)01:32:12 No.814038756
仕事中に幻覚見てる「」おおいな…
11 21/06/17(木)01:46:13 No.814042569
ウンスと一緒のベッドで二度寝したいだけの人生だった
12 21/06/17(木)02:07:12 No.814047478
ｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ !!!!!
13 21/06/17(木)02:08:36 No.814047727
いい朝チュンだ…
14 21/06/17(木)02:09:32 [s] No.814047910
むっ…! ありがたい…
15 21/06/17(木)02:16:50 No.814049246
いい…
16 21/06/17(木)02:17:49 No.814049414
俺の恋人うつくしいな…
17 21/06/17(木)02:18:30 No.814049552
>俺の恋人うつくしいな… 誰だ貴様は
18 21/06/17(木)02:23:54 [s] No.814050517
「ふー、今日もトレーニング頑張った頑張った、いやあ真面目な担当ウマ娘を持ててトレーナーさんは幸せ者ですねえ」 「ま、そうだな。」 「んふふ……ね、ね」 「ん？ どしたのスカイ」 「がんばったごほーび、ちょーだい？」 「……ここで？」 「ここでじゃなきゃ、やだ」 「恥ずかしいけど……しょうがないなあ」 彼の指が、汗に濡れた私の顎をくいと持ち上げて、私は静かに目を瞑った。トレーニング場の片隅で、人目を忍びながら。私は彼からご褒美を貰う。浅くて熱くて長いキス。時間にしてみれば多分数秒のことなのに、私には何分にも感じられて、彼の唇が私から離れていくときに、ひどく名残惜しくなった。
19 21/06/17(木)02:24:23 No.814050583
ウワーッ！
20 21/06/17(木)02:25:47 No.814050775
聖ウンス会は最近おまけ付きが多くていいな…
21 21/06/17(木)02:26:55 No.814050955
ジェミニ杯で擦れた心にすーっと沁みるいい怪文書だ
22 21/06/17(木)02:28:21 No.814051179
こっそりキングに見られてるんだよね…
23 21/06/17(木)02:29:19 [s] No.814051307
「ねえ、もっと」 「だーめ。供給過多にすると君がへばっちゃう」 「む～……いじわる」 どんなに甘えてみせたって、彼はうんともすんとも言わず、はいおしまいと離れていく。 「……けち」 「ん？ なんか言ったか？」 「なんでもありませんよ～だ」 気付かない振りだけは私より上手いこの人に、何となくむかっときて離れ間際に脇腹を強めにチョップした。この私たらしめ、懲らしめてやる。えい。 「いってえ！ 俺が何したっての？！」 「さあ～？ 自分の胸に聞いてみて欲しいですねえ～？」 叩かれたことに彼は納得出来ていないようで、目をぱちくりさせながら脇腹を擦っている。相変わらず女の子の機微が分かってないなあ。でも、何でだろう。かわいく呻く彼の姿に、少しだけ溜飲が下がったような気がした。
24 21/06/17(木)02:32:08 No.814051714
ウンス会はお絵かき機能を活用する会員もいらっしゃるのでとてもありがたい…
25 21/06/17(木)02:32:09 [s] No.814051722
絵が来てテンション上がってしまったから手癖でトレーニングの幻覚を整えた… みなさんいつも読んでくれて大変感謝…
26 21/06/17(木)02:33:27 No.814051873
おまけが最近の聖ウンス会のブーム
27 21/06/17(木)02:34:08 No.814051968
手描きウンスの人過労でぶっ倒れない？
28 21/06/17(木)03:05:05 No.814055574
ほおーいいじゃないかこういうのでいいんだよこういうので