ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/06/03(木)23:12:08 No.809503186
ウマ娘。別世界の栄光ある名を背負い、走るために生まれてきた者たち。彼女たちはレースのために死力を尽くし、人々はそこに夢を見る。 だが。ここから語られるのは出鱈目な話。例えばデジタルくんの小説並みに荒唐無稽な話。しっちゃかめっちゃかな大災害が、ウマ娘達に襲い来る。さあ、愛と勇気の物語の始まりだ! 負けた。負けた。まけた。私だって、負けないくらい走れると思ったのに。オープンレースと言えど、負けたら悔しい。悔しい。悔しい!ウイニングライブのセンターが取りたかった!…悔しがっても仕方ない、次に活かそう。歓声を横で聞きながら、あたしはそう思って踵を返した。はずだった。 『クレイジーインラブよ…悔しいだろう…妬ましいだろう…。』 そんな声が聞こえて。そこにあったのは…チケット?のようなもので。あたしを呼ぶ声は、悔しい、悔しいと言い続けて。あたしの心は、そちらへ勝手に揺れ動く。 『さあ手にトレ…。センターはお前のものだ…!』
1 21/06/03(木)23:12:52 No.809503444
虚に動く少女の影。紙切れを手に取ったその影は、黒く闇を膨れ上がらせる。…いや、これは比喩でなく膨れ上がっている。およそ5メートルはあろうかと言う高さ、見たこともない四足の化け物。 『バヒィィイイン!!!!』 その影は咆哮し。会場中の悲鳴を誘った。突如現れた化け物に、恐慌が起こる。 「ぇえ~!あれはなんだいモルモットくん!」 「いや…俺に聞かれても…って危ないタキオン!」 『ヒヒィィィイイイン!』 黒い影は天高く嘶き、今回のレースの勝者たるアグネスタキオンを襲う!絶体絶命!誰か!希望は潰えたのか───。 「誰か、助けてくれー!」 そうモ…トレーナーくんが叫ぶ。しかし、今のターフであの化け物に敵う者はいない。もはや、これまでか。そう、誰もが諦めた時だった。土煙が舞う。化け物の蹄からアグネスタキオンを守ったのは、一つの赤い影。メンコを身につけ、赤い閃光を灯す光。そう、彼女こそが。 「ナイ…じゃなかった。マ法少女トゥインクル・レッド、ただいま参上ー。」 気の抜けた正義の味方だった。
2 21/06/03(木)23:13:36 No.809503662
赤いヒラヒラ衣装とメンコをつけた、謎の赤い戦士。彼女の正体とは! 次回!『マ法少女推参!その名はトゥインクル・レッド!』 …リーダーってガラじゃないんだけどね…。ま、いっちょ行きますか!…え?初回は2話連続?ちょ…聞いてないんですけど…。 「なんだ…何が起こった!?」「ウマ娘の皆は無事なのか!?」 騒然となる会場。彼らは逃げることも忘れて、否、ファンとしてウマ娘たちを見捨てずにはいられないで。土煙はまだ晴れない。だけど、赤く光る希望は見えた。 「えーと、タキオン…さん?大丈夫?」 「大丈夫だ…ありがとう。それより君は…?」 赤い衣装に身を包み、顔を隠した正義の味方。流石のアグネスタキオンも、こんな存在は見たことがなかった。その問いに、照れながら少女は返す。 「まー、正義の味方ってやつですわ。あの化け物を救ってあげるための。名前は…そう。トゥインクル・レッド。」 「トゥインクル・レッド…。」 「そ。あんな風にレースが終わるたびに誰かが暴れるんじゃ大変だし、みんな走りたくなくなっちゃうでしょ?…だから。」 メンコに隠れた瞳から、強い意志が滲む。
3 21/06/03(木)23:14:13 No.809503871
「アタシたちが、そんな悲しい化け物から核となっているウマ娘を救い出すの。それがマ法少女の仕事ってワケ。」 「…ふーん、面白そうだ。」 「…この話を聞いて面白そうって、タキオンさん結構変わってるね、なんて…。」 軽口を叩いている間に、黒い影は鼻を鳴らし臨戦態勢に入る。これほど大きさに差があるというのに、トゥインクル・レッドはどうしようというのか。そんなアグネスタキオンの心配を他所に、彼女は高らかに宣言する。 「化け物さん!アタシは貴女に挑戦状を叩きつける!このコース、2000mの芝。そこをアタシと走りましょう!…ぅー、やっぱりはずい…。」 最後の方にごにょごにょと。でも、その言葉は化け物に伝わったようで。ぐにょり。奇妙な音がするとなんと化け物は、自分専用の特大ゲートを作り出し、そこに収まった。やる気だ。もちろんアタシも、負けるわけにはいかない。 …いつものアタシなら、負けても仕方ないと思っていたかもしれない。でも、今のアタシは。…正義のマ法少女、トゥインクル・レッドなのだから!
4 21/06/03(木)23:14:30 No.809503973
ゲートイン完了。勿論レースに持ち込むのは作戦で聞いていた通り。でも、こんな大きさの相手とレースして、勝負になるのだろうか。4本足の蹄が、どすどすと音をたてる。相手は5メートルはあろうかという巨大な生き物。おまけにアタシは二足歩行なのに、あっちは四足歩行で。どんなレギュレーションなんだか。 「…って、そんなこと言っても仕方ない!ゲート点灯!トゥインクル・カウントダウン。スタート!」 大仰にアタシは叫んで、巨大なレース開始のランプが"マ法"の力で浮き上がる。…本当にできた。でも恥ずかしいな、これ…。 3。アタシたちは、マ法少女。 2。ウマ娘が変身した、"マ法"を使う正義の味方。 1。同じくウマ娘が変身した、化け物。確か『バーケン』とか言ったっけ。それを救う。レースで。 0!あとはこうやって、いつものように走るだけ!
5 21/06/03(木)23:14:48 No.809504082
「おいおい、あのウマ娘すげー速くねえか?」「あの化け物と並んで走ってるぜ。一歩の大きさが全然違うのに!」 そう。アタシたちマ法少女は、バーケンと走る時だけマ法の力で速く、速く走れる。だからレースは本当に一瞬。いつもと違うスピードの景色は正直、心地いい。 500m。でも、ここからが本番。 400m。"マ法少女"の本領発揮だ。 300m。さあ、光り輝け。 200m。「トゥインクル・チェンジ・コース!この速度で、夢の舞台のその先へ────!」 そう叫ぶ、教わった通りに。これでちゃんとならなかったらどうしようか。すごく恥ずかしいのでは。なんて心配を他所に、"マ法"はしっかり発動した。なんか仕組みとしては高速で走ることで次元を超えるなんたら~らしいけど、いまいち信用してなかった。できた。びっくり。 カラフルでポップ、キュートでリリカルな星の瞬く銀の庭。これが、アタシのトゥインクル・モード。マ法少女とバーケンと化したウマ娘が心を通わせ、その痛みを癒す空間…らしい。
6 21/06/03(木)23:15:07 No.809504173
作り上げられたステージの真ん中。1人の女の子が、泣いていた。 「あたしは、どうしちゃったんだろう。負けるのなんて、慣れっこなはずなのに。そんなに悔しいことじゃないはずなのに。…こんな、酷い…。」 なるほど。確かにアタシが適任ですわ、こりゃ。そっと近づく。アタシの話を、する。 「アタシもさ、ここ一番で勝てなくてさ。いっつも悔しい思いをしてた。いっつも悔しいのに、いっつもだからって慣れたふりしてた。でもさ。やっぱりさ。 悔しいんだよ。それが正しい。それで荒れちゃうことだって、たまにはあると思わない?…ね?だから。泣かないでよ。涙を拭いてさ、まだアタシたちは走れるんだから。」 肩を抱き寄せる。顔を寄せる。よしよしと、背中を撫ぜる。…柄じゃないと思ってたけど、こういう子と話すのが仕事なら、悪くないかな。そうアタシが思うと、周囲の星がアタシたちを包む。
7 21/06/03(木)23:15:20 No.809504250
視界は、真っ白になって。その幕が開いたら。元のコースに戻っていた。違うのは、彼女の姿。バーケンと化したウマ娘は、心を癒されることで元に戻る、らしい。だからこれで、一件落着だ。…おっと。レースの途中だった。横にいる子の涙も止まったようだ。なら。 とん、とん、とん。残りの数歩を、2人で一緒に踏んでみた。こういうのもアリだと、思う。ゴールすると、歓声が上がった。アタシの活躍を褒めてくれてる…のかな。ちょっと恥ずかしいけど。うん、いいんじゃないかな。 「あの…ありがとうございました!そして、ごめんなさい…。」 「アタシが説明した通りだから。ラブさんは悪くないよ。みんなもわかってくれたし。」 「…うんうん、私としても興味深いものが見られたよ…。バーケンという怪異のことだけじゃなく、君もだ…トゥインクル・レッドくん…ってうわっ!」 「タキオン、あまり人を困らせないように。」 「えぇー!?トレーナーくんはこの不思議な現象に一ミリも興味がないのかい!?」
8 21/06/03(木)23:15:57 No.809504454
専属のトレーナーさんに連れられ、すごすごと帰っていくタキオンさん。…なんだか今回だけの付き合いじゃない気がする。 「えっと、じゃあアタシも帰るから。…今日の報告?をしないといけないんだ。」 「あっ、まって、何かお礼を…!」 そう引き下がるラブさんには悪いけど。ここで最大のマ法を使います。 「トゥインクル・リターン・ホーム・ワープ!帰る!」 そう思いっきり叫ぶと、言葉の通りアタシの身体はワープした。…服装も、元に戻る。気がつけば、トレセン学園に。アタシ、ナイスネイチャは帰っていた。スマホを見ると、報告完了の印が。 そう。トゥインクル・レッドの正体は。アタシです。ナイスネイチャでーす。わー。先日謎のメールが来て、言われるままにスマホを手に取り今日変身して、何やら知ったような口を叩いたわけですが。 他の色もいるんだろうかとか、この怪しいメールの方がよっぽど悪そうじゃないかとか。どうでもいい疑問はあったのに、何故かアタシは信じてしまった。
9 21/06/03(木)23:16:31 No.809504644
そして、今日不思議な力を確かに感じた。これが"マ法"というやつなのだろうか。わからない。でもここまでが正しい以上、そのメールの最後の文言も正しいのだろう。 『正体を隠せ。』『いずれ来たる大いなる脅威に立ち向かうために。』 はー、いっちょがんばりますか!なんて。まさかまさか、本当の本当に。出鱈目な事件が次々と起こるなんて、まあ思わないよね…。
10 21/06/03(木)23:16:46 No.809504722
アタシの名前はナイスネイチャ。ぼちぼちのウマ娘だったのに、ひょんなことからマ法少女に任命されちゃった!と言ってもあの日以来並一通りの日常を過ごしてたアタシの元にまた指令のメールが! えーと、『仲間を見つけろ』って…それは現場の仕事じゃないでしょ? 次回!『マ法少女はひとりぼっち』…リーダーカラーは赤だけど、アタシってそんなにリーダーかなぁ…。
11 21/06/03(木)23:18:40 No.809505400
カノープスとかテイオーが仲間になるの期待していい?
12 21/06/03(木)23:20:53 No.809506197
>カノープスとかテイオーが仲間になるの期待していい? 続きは書くよ!誰が仲間になるかはまだ色を吟味してる途中だけど!
13 21/06/03(木)23:21:13 No.809506292
あとカタログで歌舞伎役者系のスレかと
14 21/06/03(木)23:21:14 No.809506300
すみません!マ法少女ならいや~ん❤な展開も期待していいのでしょうか
15 21/06/03(木)23:24:33 No.809507371
>あとカタログで歌舞伎役者系のスレかと ごめん…スレ画も考える…
16 21/06/03(木)23:25:35 No.809507731
>すみません!マ法少女ならいや~ん❤な展開も期待していいのでしょうか 期待しててくれ!思いついたら書く!
17 21/06/03(木)23:25:42 No.809507768
連続モノのネイチャ主演怪文書ありがたい
18 21/06/03(木)23:47:44 No.809515745
トレーナーさんは知ってるのかこれ