虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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21/05/20(木)19:58:40 部屋に... のスレッド詳細

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21/05/20(木)19:58:40 No.804711535

部屋に戻ったハルウララは、汗を流すために浴室にいた。 火照った体に熱いシャワーが心地よかった。だが、ハルウララの顔は険しかった。 「…私は…これからどうなるんだ…?」 そして、自分の身に起こったこれまでのことを思い返していた…。

1 21/05/20(木)19:59:49 No.804711895

【一日前】 日本東京都府中市。そこに夢を追う全てのウマ娘たちの目標があった。 日本ウマ娘トレーニングセンター学園、通称「トレセン学園」。ここでは日々頂点を目指さんとするウマ娘とトレーナーたちが鎬を削っている。 そして、その学園のウマ娘達の頂点に立つ最強の七冠ウマ娘─シンボリルドルフは、急ぎ足で歩を進めていた。 学園一のウマ娘ともなると毎日が多忙である、生徒会長としての業務はもちろん、外部組織との連携やマスコミ対応、さらにそれに加え自身のトレーニングも欠かせない。 そんなある日、うっかりと放課後にメディア取材と会議の予定をダブルブッキングしてしまっていた。トレーナーはひどく慌てて謝ってくれたが、自分のスケジュールすら満足に管理できずして何が皇帝か、とこちらも謝りその場はそれで収めた。

2 21/05/20(木)20:00:45 No.804712224

幸い前後は生徒会の業務だけだったので、エアグルーヴにも協力してもらい何とか時間を確保し、取材の開始時刻もずらして貰ったのであった。とはいえかなりギリギリのタイムスケジュールであるのは確かで、あと1,2分で次の取材が始まる時間だった。 ここから応接室までおよそ600m、歩いては到底間に合わない。しかし校内で走るわけには…と、シンボリルドルフは逡巡していた。 ちらとスマートフォンの表示される時刻を見る。あとわずかしか時間はない。 「…仕方あるまい。この時間帯、人はそう多くはないはず…。」 普段から悪事千里、至らぬ行動はすぐに広まり価値に泥を塗ると自分を戒めていたシンボリルドルフだが、ここ一度だけその戒めに目をつぶってしまった。 もしこの時、もう少しだけ思考を巡らせていればあんなことは起こらなかったかもしれない。

3 21/05/20(木)20:03:00 No.804713010

前傾姿勢に構える。足に重心を移動し、蹴り上げる。瞬間、シンボリルドルフは廊下を駆け出した。 こんなところをエアグルーヴに見られてしまっては説教されてしまうな、などと思いながら、応接室までの距離を縮めていく。 あと少しだと次の足を踏み出した、その瞬間だった。 交差点の廊下の右側から、ピンク色の髪をなびかせてウマ娘が飛び出してきた。 「ぴょん、ぴょん♪きょうのごはんは、にんじんごはん~♪」 しまっ───!!! 衝撃が身体を穿ち、瞬時に意識は暗転した。

4 21/05/20(木)20:04:42 No.804713651

目が覚める。見知った天井。保健室だ。 「ッ…!!」 意識が戻ると同時に、身体中に激痛が走る。そうして自分のしでかしたことを思い出した。 なんということだ。校則を破っただけに留まらず、他のウマ娘に激突してしまうなんて! ウマ娘の速度で衝突した時に発生する衝撃は交通事故と同等以上であり、仮に普通の人間とぶつかってしまえば悪くて重症、最悪の場合即死まであるのだ。 幸い自分の腕は動かせるし、身体も起こせる。だが問題は衝突されたあのウマ娘のほうだ。確かあの顔は中等部のハルウララだったはず。相手もウマ娘である以上人間よりは身体は頑丈なはずだ。だから即死はまずない…はずだが、私が今考えるべきことはそんなことではない! 「あら、お目覚め?2時間くらい寝てたわよ。」 白衣がすっと横から現れる。保健の先生だ。 「もう一人の子はトレーナーがもう遅いからって、寮へ抱きかかえていったわよ。それにしてもウマ娘なのに廊下を全力で走るだなんて、何考えてるのかしらね?」 ごもっとも、反論の余地もない。それよりも彼女は無事だろうか…

5 21/05/20(木)20:05:43 No.804714020

「なんか神妙な顔してるわね?心配しないで、あの子も気絶してるだけで別に命に別状とかないからねぇ。」 からりと笑うと、保健室の先生は手を叩いた。 「さ、あなたもお目覚めならそろそろ寮へ戻ったほうがいいんじゃないかしら?門限までそう時間はないわよ?」 時計を見ると、確かにあと30分ほどで寮の門限だった。とりあえず今日は帰ったほうがよさそうだ。 明日は忙しくなるな…まずはハルウララに謝罪し体調を確認する、そのあと今日の取材についてこちらも謝罪し改めて予定を組む必要がある。そのあとはきっとエアグルーヴからのお説教だ。 悪木盗泉、戒めを破った罰だと猛省しながらベッドから降りる。ふと、違和感に気付く。 ─なんだか、世界が大きくなっていないか? 曖昧な、だが確かに感じる違和感。答えを探るように自問自答する。そしてもっと的確な表現に至る。 ─私の、目線が低くなっている? そんなばかな、と思いつつ保健室を出ようとする。その時、扉のすぐそばに置いてあった姿見を見て─ ─私は絶叫した。

6 21/05/20(木)20:07:10 No.804714614

「なっ…なんだこれは!?!?」 そこに映されていたのは皇帝シンボリルドルフではなく、自分が激突したはずのハルウララだった。 「びっくりしたぁ!?なに大声出してるの!さっさと寮へ戻りなさい、『ハルウララさん』!」 先生に部屋からつまみ出され、ぴしゃりと扉を閉められた。

7 21/05/20(木)20:07:22 No.804714688

それから、どうやって寮に戻ってきたかは覚えていない。 とにかくこの姿でシンボリルドルフの部屋に行くわけにもいかないので、栗東寮へ行きフジキセキから自分の部屋を聞いて、何とかたどり着いたことだけが確かだった。強いて言えば自分の部屋を聞いたときのフジキセキの「何を聞いているんだこいつは?」とでも言いたげな顔だけは薄らと思い出せた。 もちろんこんな精神状態では寝ることもままならず、その日は一晩中泣きながら過ごしてしまった。自身の想像を超える出来事に対し、私は全く免疫がなかったみたいだった。 この先どうなるんだろう?元には戻れるのだろうか?私の身体はどうなっている?もしかしてこれら全ては私の夢で、本当の私はもう死んでしまっているのではないか? 終わりの見えない問いかけにいよいよ心身ともにボロボロになったとき、ふと外を見た。黎明の日の光がわずかにグラウンドを照らしている。 「……………走るか。」 そうして私は午前4時からずっとグラウンドを走っていた。身体にはまだ痛みは残るものの、暗闇の中で無間地獄の問いを重ねるよりはるかにましだった。

8 21/05/20(木)20:08:09 No.804714999

しばらくすると、ハルウララと同室の生徒であるキングヘイローがやってきた。彼女は自主練習らしい。 少し怪しまれたものの、彼女は並走を提案してきた。私は気が紛れるならなんでもよく、一も二もなく快諾した。 ハルウララの身体で走る、しかも、元の自分でも走ったことがない1000mの距離を私は走った。 最初はキングヘイローがぐんぐんと走り、差をつけていった。 ハルウララの身体で走る1000mは実にやりやすかった。ただ、身体の所々に歪みとでもいうべき筋肉のコリを感じた。これは、ハルウララが正しくないフォームで走っていたことを意味していた。

9 21/05/20(木)20:08:47 No.804715311

こんな状態でも負けたくないという気持ちは起こるもので、少しだけ本気で走った。その瞬間、キングヘイローを追い抜かし、そのままゴールした。 「…身体が変わっても…勝てばうれしいのだな…」 何もかも変わってしまったと絶望していた私にとって、それは救いだった。私は、死んでなどいない。私は、ここにいる!! そうして、キングヘイローへ礼を言った。彼女がいなければ、私は未だ絶望へ囚われていただろう。 …しかし…キングヘイローは、明らかに、私を「異形」として見ていた。 当然だ、見た目は気の知れたルームメイトでも中身は全くの別人なのだ。私は自分の浅慮な思考に恥ずかしくなり、その場を後にした。 シャワーを浴び、ハルウララ、もといシンボリルドルフが制服に着替える。 この先どうすればよいのかはまだわからない。しかし、絶望だけではないはずだ。解決方法は必ず存在する。まずは、私自身に会わなければ。 そうして鞄を持ち、私は歩み始めた─ 「いってきます!!」

10 21/05/20(木)20:13:58 No.804717291

前回までです su4865792.txt DMM版でルナと化したカイチョーのバグを見て、もしカイチョーとハルウララが人格入れわかったらというテーマの怪文書です

11 21/05/20(木)20:14:11 No.804717373

ウララサイドが気になる…常時ルナちゃん状態だと思っとけばいいか

12 21/05/20(木)20:21:25 No.804720028

会長のフォームや走りを身に付けたウララは強くなりそうだな…

13 21/05/20(木)20:25:41 No.804721806

普通のウララだったら生徒会業務がヤバい ループを繰り返したウララさんならなんとかなるかもしれない

14 21/05/20(木)20:27:16 No.804722423

混乱してたのは分かるけどカイチョーinウララにまず会うべきなのでは?と思わなくもない

15 21/05/20(木)20:28:08 No.804722705

ウララカイチョーの絵面のヤバさの方が気になってしまう…

16 21/05/20(木)20:32:44 No.804724430

ルナウララ状態だろうから門限後の時間帯に急に来客となっても周囲が面会止めそうだし…

17 21/05/20(木)20:34:06 No.804724922

それであのぴょんぴょんルナちゃんのスクショに繋がるのか…

18 21/05/20(木)20:38:22 No.804726443

つまるところウララちゃんの身体でも中身次第で速さを引き出せるってことだよな

19 21/05/20(木)20:45:28 No.804729386

芝の走りとダートの走りはフォームからけっこう違うから会長の芝の走りをそのままコピーしても最適解とは言えないんだよな まあウララの女の子走りよりは速いだろうけど

20 21/05/20(木)20:50:31 No.804731248

有馬ウララの体で走るカイチョー

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