ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/05/18(火)23:31:42 No.804169579
恋バナって言い方、もしかして古いだろうか。後半のカタカナ表記には絶妙な古臭さがある。 だからといって目の前の女の子の口から溢れ出す噂話の他の呼び方はよく知らない。 「ハヤヒデは意外とそういう話が好きだよね」 素直なコメントに、先程まで楽しそうに話していた担当ウマ娘が口をつぐんでしまった。 「すまない。はしたなかったな」 「あ、違うよ？ ハヤヒデが楽しそうだから嬉しいってだけ」 自分が今の彼女と同じ『女子高生』と呼ばれる身分だったときは勉強ばかりでろくに友達もいなかったから、こんな噂話がこうも対象への愛情に満ちていることを知らなかった。タイシン、ブライアン、次点でよく出てくるのがチケットではなく同室のオペラオーであることは不思議だけど、たしかにあの子の惚れた腫れたは難儀そう。 なんにせよ、ハヤヒデが楽しいならいくらでも聞き役を仕りたいというのは本心だ。 同僚たちと中高生の恋愛話を聞くというのは、冷静に考えはじめたらちょっと微妙な気分だけど。
1 21/05/18(火)23:32:09 No.804169719
「貴方たちくらいの歳の子って、歳上が好きだったりするのかな」 「ああ、それはどうだろうか。トレセン学園は女子校だからな。関わる異性がトレーナーくらいしかいないというのはあるかもしれない」 「ふーん…」 曖昧な回答に曖昧な返事を返す。 それもそうか。思っていたより冷めた意見はそれはそれでハヤヒデらしい。でも、私は共学だったけど先生のこと好きな子いた気がするな。 バツが悪そうに目をそらしながら、ハヤヒデが手元の飲み物に口をつけた。 コンビニのバナナドリンク、カロリー高すぎるからトレーナーとしておすすめはできないんだけど、喜んでくれるからつい買ってきちゃう。トレーナー室の冷蔵庫の大部分を占領しているので、チケットのトレーナーなんかには苦笑いされている。あのひともチケットのためにお菓子買いまくってるくせに。 「ねぇ、たとえば私が男の人だったらハヤヒデも私のこと好きになってた？」 「どうだろうな。少なくとも、君への信頼や愛情は性別によるものでは無いよ」 わぁ素敵なお返事。この子もこの子で、たまに女ったらしみたいなことを言う。
2 21/05/18(火)23:32:35 No.804169847
「ハヤヒデ的には、ウマ娘に手を出すトレーナーってどうなの」 「立場や年齢差ということか？ 愛があるなら――というとキザだが、双方の合意があるなら問題はあるまい」 「なるほど」 「もちろん、学生の本分は学業だし、それ以上に我々にはレースがある。それが終わってからなら――終わってからも待っていてくれるような相手なら、さっき言ったようなことは本当に些細なことさ」 ふっと細めた目はどこを見てるのかな。誰と誰の未来を想像してるんだろう。…誰でもいいや。 「じゃ、私にも脈あるかな？」 「…ん？」 「卒業までは手出さないって約束するし、それまでずっと貴方のこと好きだよ。…性別とか年齢はどうしようも無いからそれが嫌って言われたら引き下がるけど」 「……んんん？？？」 「ハヤヒデ、私の恋バナも聞いてくれる？」
3 21/05/18(火)23:33:04 No.804169990
手を握ってみたら変な声出して引っ込められちゃった。あーあ傷つくなぁ。でもこれ、意味は通じてるってことだよね？ さすがハヤヒデ。 「ト、トレーナーくんっ！？」 「嫌なら嫌って言っていいんだよ？ 私は貴方のことが好きっていう事実を提示しただけ。そんな奴には触られるのも嫌？」 「い、い、…へ？？ な、え………？？？？」 「言葉になってないじゃない」 ハッキリとは拒絶されないのをいいことにまた手首を掴んだ。と、思ったんだけど 「……ウマ娘の瞬発力ハンパないね」 ものすごい勢いで逃げていったまま、開け放たれた扉を見つめて呟く。いやいや、すごいスタートダッシュ。トレーナーとして鼻が高い。 とりあえず、何事かと様子を見に来たタイシンのトレーナーに、経緯と、ビワハヤヒデはこの程度でトレーニングに来なくなることはないよって説明したら 「相手によっては蹴られてる」 ってため息つかれた。うんうん、お互い苦労するね。
4 21/05/18(火)23:34:06 No.804170284
どっかの三冠バに100連で来なかったらおねーちゃんにイタズラするからなって言ったのに来なかったので書きました 女トレーナーは趣味
5 21/05/18(火)23:39:12 No.804171895
いい……
6 21/05/19(水)00:25:22 No.804186485
やはりハヤヒデは受けが似合うな…