虹裏img歴史資料館

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21/05/18(火)22:44:08 ここは... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1621345448296.jpg 21/05/18(火)22:44:08 No.804152342

ここは午後を迎えたトレーナー室。ナリタブライアンのトレーナー、つまり自分は今日もトレーナー業務に明け暮れていた。 「おい、いるかトレーナー」 どうやらそれは後回しになりそうだ。 「ブライアンさん?どうしたのいきなり」 立ち上がって迎える。既に出会って2年近く経つ、ノックが無いのは平常運行なので触れることもない。 「ふむ...アンタ、身長はいくつだ?」 「え?えーとな、確かひゃく...」「一応言っておくがサバを読んでも無駄だぞ。姉貴よりも低いのは見れば分かるからな」 「...166です。てか別に読まないよ」 「そうか。なら、ちょうどいい高さだな」 そう言うと彼女は、俺の元までずいっと近よってきた。もう少しで吐息が触れそうな距離だ。 「えっ?何?何?」 「いいからじっとしてろ」 それから彼女はしげしげとこちらの顔を眺めたり、その場で少し身をかがめたりしていたが、しばらくすると何やら満足したのか離れていった。

1 21/05/18(火)22:44:41 No.804152543

「何だったんだ今の...ブライアンさん?」 流石の『怪物』ナリタブライアンも、説明してくれと言いたげな視線を気にしたのか、 「アンタ、聞いたことないか?...カップルの理想の身長差」 「何て?」 などとのたまった。 「10㎝未満なら目線を合わせやすい、12㎝前後ならキスをしやすい、20㎝も離れているなら頭を撫でやすい...らしい」 「お、おう...良く知ってるね?」 「...別に好き好んで調べたわけじゃない。昼休みにそんな世間話が聞こえてきただけだ」 喋りすぎたな、と彼女は目を逸らす。しかし、流石トレセン...というか女子校だ。その手の恋バナも学生たちにとっては絶好のお茶請けになるのだろうか。 「でも、何で急にこんなことを?」 「前にも話しただろう。姉貴とそのトレーナーのことだ」 「ああ...あの2人かぁ。トレーナーの間でもたまに話題に上がるよ」 2人のことに関しては、今までにも何度か聞かされていた。やれ姉貴は押しが弱いというかそもそも押す気があるのか、やれトレーナーは鈍感でしょうがないなど。外野があれこれ言うことでもないだろうに...まぁ、彼女なりに姉を想っている証拠だろう。微笑ましいことだ。

2 21/05/18(火)22:45:46 No.804152993

「いい加減見ていてじれったくてな。さっきの理想の身長差とやらを聞いて、あの2人の関係を縮めるのに生かせないかと思ったわけだ。確か、あのトレーナーの身長は178㎝だと姉貴が言っていたのを聞いたことがある。ちなみに姉貴は171だ」 「7㎝差か。まああの人でかいもんなぁ」 「姉貴の顔がでかいだと?」 「そっちじゃないよ!トレーナーさんの話だよ!」 「冗談だ。とにかく、何かことを起こすにしても、まず私がそれらしい身長差を体験しておくべきだと思ったんだ。アンタと私とは6㎝差だ、あの2人とそう変わらない」 「なるほど...なるほど?そういうことかぁ。それでどうだった?」 「何がだ」 「いや、俺との身長差ってやつ」 「......別に、悪くはなかった」 「そっか...」 「.........」 「.........」

3 21/05/18(火)22:46:21 No.804153235

やらかした、と頭を抱えたくなる。思春期の女の子なんて地雷のように丁寧に扱うべきだろうに。いやそうでなくてもセクハラじゃないか?どうも自分は、思ったことをホイホイ口に出してしまう癖があるようだ。中学生の頃にも似たようなやらかしをしたというのにまるで成長していない。ブライアンさんじゃなきゃ完全にアウトだった。これじゃ理知的なビワハヤヒデさんのトレーナーとは大違い...ん? 「!そうだ!俺も協力するよ!身長差だな!任せろ!」 「おい!いきなりどこに───」 これは逃げではない、ある確信を秘め俺はトレーナー室を去った。 彼が部屋から出て数分後。生徒たちが各々のんびりと時間を過ごす庭で、目当ての人物を発見した。 「あっいたいた!すみません!」 「おや...君は確か、ナリタブライアンのトレーナーだったか」 「はい。うちの担当がお世話になっております」 「こちらこそ、ビワハヤヒデと仲良くしてくれてありがとう。何か相談事でも?」「そんな感じですちょっと動かないでください」

4 21/05/18(火)22:46:50 No.804153444

そういうと彼はビワハヤヒデのトレーナーに近づき、 「失礼します」 上目遣いで見上げ、 「な、何を...?」 両手で頬を包みこんだ。 「...???」 「なるほどなー...なるほど...」 「「「「「!!!!!?????」」」」」

5 21/05/18(火)22:47:15 No.804153603

まじまじと真剣な視線を注がれるビワハヤヒデのトレーナー。それを見て周りから声にもならない黄色い歓声が飛ぶ。流石トレセン...というか女子校だ。その手の腐った話も学生たちにとっては非常食、いや常食なのだろうか。ニンジン2本もあればもう主食だろ。 「...よし!掴んだぞ!ありがとうございましたまた機会があれば!」 「え?いやもう...え?」 困惑するビワハヤヒデのトレーナーと新たな因子を継承してしまった犠牲者たちを置き去りにして、静寂と性癖の破壊者は去っていった。 「ただいまブライアンさん!今帰ったよ!」 「...トレーナーか、何だというんだ。急に出ていったと思ったら...」 「12㎝差はあれだな!確かにやりやすそうだったな!」 「は?いったい何の話を...」 「お姉さんのトレーナーさんだよ!俺とちょうど12㎝差だったからさっき試してきた!」 「???ちょっと待て」 どうやら掛かり気味のようだ。一息入れよう。

6 21/05/18(火)22:47:41 No.804153784

「...つまり?私の話を聞いてあいつに会ってきたというわけか」 「うん。何かの参考になるかと思って。12㎝はいい感じの差って言ってたでしょ?」 「どう参考にするというんだ。あいつは今更身長は伸びないだろ。もう大人だぞ」 「...それはそう...ごめん、完全に冷静さを失ってた。色んな意味でごめん。さっきのも」 「別にいい。...収穫がないこともなかったからな」 「え?」 「何でもない。ほら立て、行くぞ。そろそろトレーニングの時間だろう」 「そ、そうだった。...ブライアンさん」 「何だ」 「俺も好きだよ、この身長差」 「...そうか」 お互いに立っていると、嫌でも視線が交わる。しかしそれは、出会った当初は起こり得なかったこと。今の彼らの間には、硬い絆が結ばれつつあった。 なお、翌日には『ビワハヤヒデのトレーナーとナリタブライアンのトレーナーはデキている。血の繋らない兄弟BL最高』との噂がトレセン全体に流れ、培ってきた絆が盛大に揺さぶられる事態に陥ったとのことである。それは比較的短時間で済んだのは、その噂を聞いて何故か胸を痛めたビワハヤヒデが己のトレーナーとの距離を縮め始めたから...という説もあるとかないとか。

7 <a href="mailto:sage">21/05/18(火)22:48:33</a> [sage] No.804154149

初めて育成したウマ娘で初めての怪文書を書いてみました まだナリタブライアンしか育成してないからふわふわ知識なのと物語っぽい文は小学生以来に書いたから雑なのは許して...

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