21/04/23(金)02:10:08 私が生... のスレッド詳細
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21/04/23(金)02:10:08 No.795421528
私が生まれた時からお姉ちゃんと男の子は何をするにもずっと一緒で、男の子は私が悪口を言おうが悪戯しようが気にせず問答無用でチョップを食らわしてからかってくるぐらい、負の感情とかに無縁な人でお姉ちゃんが言うなら爽やかな人でした。小さいころの私はただの意地悪なヤツとしか思いませんでしたが。 でも一回だけ男の子のいつもと違う姿を見たことがあります。それはお姉ちゃんと大喧嘩したときでした。…といっても一方的に私が大声を出して泣いて家を飛び出しただけなのですが、その時隠れるように近くの木に登って泣いていると、それを見つけた男の子が私の罵倒を無視しながら登ってきて隣に座ったのでした。 「ごめんな」 「えっ?」 男の子はそういいました。私はてっきりチョップでも食らわされてお姉ちゃんが心配してるからさっさと帰れと言われると思った私は思わずぽけーっと口を開けてしまいました。
1 21/04/23(金)02:10:35 No.795421583
「お前のお姉ちゃん、ずっと取っちまって。俺のせいなんだよな」 「そう…だけど…なんで? いつもみたいにからかったりしないの?」 私がそういうと男の子は少し悲しそうに、下を向いてお姉ちゃんと交換した指輪を握っていました。 「ごめんな。俺がお前のお姉ちゃんが傍にいなきゃ何もできない弱虫だから、いっつも喧嘩させちまってる。あの子が隣にいないとダメなのは俺の方なんだよ」 いつもは無駄が付くまで明るいというか飄々としている男の子がこんな顔をするなんて思ってもみなかった私は、幼いながらにじゃあお姉ちゃんじゃなくて男の子の方が遊びに誘っているのか。としか思えませんでした。 本当の意味に気づいたのは、お姉ちゃんが死んじゃった後に、男の子のお母さんが教えてくれた時でした
2 21/04/23(金)02:10:55 No.795421622
男の子は産まれてから泣き声を出さずみんな焦ったが、隣の部屋でお姉ちゃんの泣き声を聞いたら泣いてくれて命の恩人だったこと、最初は男の子の方がお姉ちゃんから離れずに男の子が泣くのを良く慰めていたこと。男の子がお姉ちゃんが悲しまないように元気になると言っていたこと。そのすべてを知った時、すでに男の子は東京の方に進学していて、年に数回の便り以外は何をしているかも知りませんでした。 それがこんなところで出会うんですから、やはり神様の運命だと私は思っています。お姉ちゃんにそっくりのタンホイザさんがトレーナーさんに出会ってくれたことも、きっと神様の思し召しなのです。もう一度お姉ちゃんの隣でトレーナーさんが歩くための。 「ターボね、タイム伸びたんだよー! どう! 凄いでしょ! このままテイオーにも勝っちゃうもんねー!」 「頑張れ」 「あははー…ターボ、ずっと話しかけちゃトレーナーさんご飯食べられないよ…?」
3 21/04/23(金)02:11:23 No.795421684
というのに、どうしたことでしょうー! お昼の食堂、今日のラッキーアイテムであるラーメンチャーハンBセットを食べる私達の席にはタンホイザさんと、そしてターボさん! ターボさんのお陰でタンホイザさんもなんと! 前みたいにトレーナーさんと接してくれるようになりましたが、なんとー! ターボさんがトレーニングからトレーナーさんに懐いて、タンホイザさんとラーメンとチャーハンのようにセットでついてくるでありませんか! そしてトレーナーさんにべったり! ふんぎゃろーー! これではタンホイザさんと二人っきりにはできないではありませんか! 考えろー考えろーカンガエフクキタル…そうだ! 今度一緒に遊びに連れて行って、そして私がターボさんを担当するんです!そうすればトレーナーさんとタンホイザさんは二人っきり! サエテルフクキタルー! 「もぅ、ターボ! ダメだよ、そんなべったり引っ付いたら、もぅ~…」 「えー、何で―? あれ、トレーナー服の中のやつ何それ? ネックレス? 分かった大人のおしゃれってやつでしょ! 見せて見せて!」
4 21/04/23(金)02:11:51 No.795421744
私がナイス天啓に耳をピコーンとしていると、ふとターボさんがトレーナーさんのネックレスに触るとそれをしゅっと抜き出しました。私がやったら一発でアイアンクローの刑でしょうに、無邪気な子供には誰も勝てませんねートレーナーさんもたじたじ…ん? トレーナーさんが下げているネックレスって… 「何コレー? おもちゃの指輪…」 「触るなッ!!」 トレーナーさんの声が響いて、思わず私たちも周りの人も固まってしまいました。ターボさんは一瞬びくっと体を震わせると、そのままウルウルと目に涙をためていきます。トレーナーさんはそれを見て自分が何をしたかやっと気づいたようです。 「ぴ…あ、あのターボ…ごめ、ごめんなさ…」 「あ…ターボ、すまない…怒鳴りつもりは、なかったんだ」 「そ、そうですよー! ターボさん! ほら、今日トレーナーさんお腹痛かったから! 思わずほらね! お腹がこう! そうですよねトレーナーさん!」
5 21/04/23(金)02:12:24 No.795421817
不味い、タンホイザさんが目を丸くしたまま言葉も出ないというような顔をしています。このままではいけないとトレーナーさんに必死にアイコンタクトという名の超高速瞬きをしていきます。それを分かったのかトレーナーさんもそれに乗っかってくれました。 「そうだ、お腹が痛かった。つい痛くて声が大きくなってしまったんだ。ほらデザート、代わりに食べてくれるか」 「ホント…?」 「本当だ」 トレーナーさんがターボさんの頭を優しく撫でました。それが、なぜか小さなころの私と男の子の姿が映し出されているようで私は何故か心に何かが刺さった気分になりました。何故でしょう。 そのままトレーナーさんはトイレに行ってくると言って席を立ちました。ターボさんはお腹痛かったんだ、とえぐえぐ言いながらトレーナーさんの杏仁豆腐をもぐもぐと食べていました。 「フクちゃん…トレーナーさんってどうしてあんなに怒っちゃったのかな…」
6 21/04/23(金)02:12:53 No.795421877
「えっ!? えっと、それは…どうしてでしょうね! 昔からあぁ何ですよ! ターボさん気にしないでくださいね、よくお腹ピーになるんです!」 「うん、ターボいぐすりプレゼントする…」 私は笑顔で嘘をついてしまいました。でもどうしてでしょう、タンホイザさんはお姉ちゃんと同じなんだから伝えてもきっと大丈夫なはずなのに、なぜ嘘をついちゃったんでしょうか。 「…すいません」 ふと私たちの席にウマ娘さんが近づいて話しかけてきました。なんでしょうおっとりというか、ジト目というんでしょうか無口そうな人です。 「……先ほどの人はどっちに」
7 21/04/23(金)02:14:36 No.795422133
「……先ほどの人はどっちに」 「えっ、トレーナーさんなら先ほどトイレにあちらに…」 「……ありがとう」 そのまま何も表情を出すことなく、そのウマ娘さんはトレーナーさんを追うように行ってしまいました。なんでしょう、何かの伝達だったのでしょうか。 ふとタンホイザさんを見ると驚いた顔をしてました。 「さっきの、ハッピーミークさんだよね」
8 21/04/23(金)02:15:12 No.795422239
「えっと…あ、すいません私あまり詳しくなくて…」 「ほら、少し前にURAができたばっかりの時に優勝したウマ娘! いやぁ~やっぱりスターって違うんだなぁ~…」 「おぉー!ターボもURA優勝するー!」 ふーん、ということは私が入学する前なんでしょうか。しかしそんなスターがウチのじみーなトレーナーさんなんかに用なんて全く思いつかないのですが…
9 <a href="mailto:s">21/04/23(金)02:16:39</a> [s] No.795422423
またこんなに長くなりましたがスリーゴッデスがそうやれというからです お話の都合上ハッピーミークは結構な先輩になっていますお許しください
10 21/04/23(金)02:17:16 No.795422520
終わりの見えないドロドロが連鎖してく少女漫画読んでる気分だ...
11 21/04/23(金)02:17:19 No.795422529
毎日邪悪補給しないと安眠できなくなってきた
12 21/04/23(金)02:17:44 No.795422577
カタログが核の炎に包まれて暗くなったと思ったら邪悪な三女神だった