キタ━━━━━... のスレッド詳細
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21/04/22(木)21:55:32 No.795343085
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
1 21/04/22(木)21:58:56 No.795344343
西山オーナーいいよね
2 21/04/22(木)22:52:15 No.795364772
天司にとって、眼球はさほど重要ではない。知覚の大半はエーテルを読むことで得られ、星の民の肉体を模した瞳は補助的な役割しかなかった。 だから復活したルシフェルが星晶獣の攻撃によって一時的に目を塞がれても大事ない。しかし繰り返し説明され、宥められ、慰められようとも、サンダルフォンは震える羽から憂いに染めたエーテルを留めることなどできるはずもなかった。 「本当に心配する必要はないんだ、サンダルフォン」
3 21/04/22(木)22:52:46 No.795364982
復活を果たした後に身を寄せたグランサイファーの一室で、寝台に身を起こしたルシフェルは何度目かわからない言葉を繰り返した。その蒼空の瞳は本人の意図に反して白い瞼で隠されている。星晶獣によって縫い合わされたように閉ざされたそれは、明日には効力を失うだろうというのがルシフェル自身の診立てであり、錬金術師も同意した。 「でも、ルシフェル様……」 常であれば、サンダルフォンの悲しみを感じたらルシフェルはすぐにその愛しい頬に手のひらを当て、羽を重ねて包み、サンダルフォンから彼を悲しませるあらゆるものを取り除こうとするだろう。だがサンダルフォンの存在は感じられても、姿形が見えるわけではない。伸ばされることのない手と羽は、サンダルフォンの瞳に悲しみを募らせるばかりだった。 「明日になれば治るんだ。もう休みなさい。目覚めたとき、私は再び開いたこの目に最初に君を映すと約束しよう」
4 21/04/22(木)22:53:17 No.795365190
ルシフェルが手を持ち上げると、サンダルフォンはすぐにそれを両手で包んで胸に押し抱く。そうすることに復活した当初はたびたび躊躇いを見せたものだが、もはやそんな様子は欠片もない。すがるように指先に口づけながら懇願する。 「今夜はお傍に控えることをお許しください。お休みの邪魔はしません。あなたが安らかであることを見守れたら、それで」 「サンダルフォン」 駄々を捏ねるようにサンダルフォンは頑なだった。最も愛しいものへするような抱擁をルシフェルは手のひらに感じる。温かく心地好く抱き締められ、でもどこか壊れ物に対する怯えのようなものがその手を震わせていた。きっとルシフェルが愛してやまない闊達な赤い瞳には悲しみが湛えられ、気高い稜線の眉は愁いに歪んでいるのだろう。
5 21/04/22(木)22:53:48 No.795365415
ルシフェルの目が見えている時なら、サンダルフォンはその鋼よりも固い意思でそれらをひた隠しにする。ルシフェルは今も昔もサンダルフォンを不安がらせ悲しませ寂しがらせてばかりいるのに、サンダルフォンはそれをルシフェルに明かそうとはしない。不甲斐ない我が身を歯痒く思うのと同時に、ルシフェルを煩わせまいとするサンダルフォンへの愛しさが胸を締め付ける。 「私に安らかであれというのならばサンダルフォン、どうかもっと傍に。君を感じたい」 請うように、ルシフェルは抱かれたままの手を動かしてサンダルフォンの胸を探った。光のエーテルを凝縮して愛しい肉体を守る甲冑。そこに彫り込まれた精緻な紋様。指に感じるのはそればかりで、サンダルフォンの鼓動も体温も遠い。指を伸ばして高い襟を引き落ろすと、ようやくサンダルフォンの柔らかい肌に指先が掠めた。は、と零れる吐息がかすかにルシフェルの頬をくすぐる。 「……安静に、なさらないと」
6 21/04/22(木)22:54:19 No.795365626
「私の安寧が何であるか、君は知っているはずだ。サンダルフォン。君のしなやかな髪や、白く秀でた額や、髪と同じ色の濃い睫毛の庇、その下で強く輝く赤い瞳、雄弁で柔らかな唇。常に見つめ、愛でていたそれらが今はあまりにも遠い。サンダルフォン、どうか私の傍に」 ルシフェルの手は、王冠を台座に置くように丁重に寝台に置かれた。サンダルフォンが遠ざかるのがわかる。そして彼を守るように凝縮していたエーテルの鎧が解かれていくのを、ルシフェには感じた。 「今、この瞬間の君を見たいな、サンダルフォン」 「……だめです。見苦しいなりをしていますから」
7 21/04/22(木)22:55:00 No.795365901
「君が見苦しかったことなどないよ。一度たりとも」 寝台が揺れる。ルシフェルは閉ざされた瞼の裏にサンダルフォンのしなやかな脚がシーツに乗り上げ、ルシフェルの足を跨ぐ様を想像した。伸ばした両脚に遠慮がちにかかる重みと、二人を包み込むように広がるサンダルフォンの羽を感じ、ルシフェルも残していた衣服の元素を解くと、サンダルフォンの喉が甘く詰まる音がする。きっと鼓動は大きく跳ねたのだろう。確かめようとルシフェルが暗闇の中で手を伸ばすと、サンダルフォンのしなやかな指がそれを絡めて遮った。 「君に触れたい」 「もう、触れてらっしゃいます。……ぁ、だめ、」