21/04/09(金)21:39:02 「私、... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1617971942908.png 21/04/09(金)21:39:02 No.791259306
「私、こう見えて小心者なんです。そんなことはあり得ないとわかっていても、トレーナーさんが 私から離れてしまうんじゃないかって。不安で不安で。」 よよよ、と袖で顔を隠すグラス。非は自分の方にある。 単刀直入にいえば、トレーニング中にちょっとグラスから目を離してしまっただけだ。 まだ専属トレーナーのついていないウマ娘にちょっとしたアドバイスをしてやった。 トレーナーが見つかるまで自主トレをしているそうで、トレーニングメニューも自分で組んでいた。 独学で組んだメニューに、少々危なげなところがあったので、指摘していたら つい熱が入ってしまったというわけだ。グラスは不満そうだったが、最終的にはその娘に自分から アドバイスをしていたし、彼女のやる気に触発されたようで追加練習も志願してきた。 それはそれとしてグラスの機嫌を損ねてしまったことに変わりはなく、こうしてトレーナー寮の 自分の部屋で膝を突き合わせて話をしているわけだが。
1 21/04/09(金)21:39:27 No.791259509
「不安にさせたの悪かった、断り切れなかった俺が悪い。」 「お仕事だから仕方ないことです。トレーナーさんは悪くありません。私の問題です。」 「不安にさせてしまったのなら謝る。誓うよ、君から離れるなんてことはない。 俺はグラスワンダーのトレーナーだ、信じてくれ。」 「もちろん信じています。トレーナーさんはそんなことしないって。それでも心が落ち着かないんです。」 彼女のことだ、その言葉に偽りはないだろう。勝利への執念の間にはあらゆる障害も意味を成さない。 しかし、レースに絶対はない。不安要素は一つでも多く消しておきたかった。 「大丈夫、レースに支障はありません。」 「グラスが言うなら問題ないんだろうが、本当に大丈夫か?」 「ちょっと心配しすぎじゃありませんか?私はそんなに頼りないでしょうか。」 しょんぼり、と耳を垂らしたグラスに慌てて弁明する。 「違う、決して君の実力を疑っているわけでは!」 「ふふふ、わかっていますよ。冗談です。」 からかわれたと気づいた俺を見て、グラスはクスリと笑った。 ともかく機嫌は直ったようだ。
2 21/04/09(金)21:40:15 No.791259836
「やっぱり、トレーナーさんといると退屈しませんね。」 「…まあいい、だけどこれだけは覚えていてくれ。俺は君のトレーナーだ。 君の走りに惚れてここにいる。だから、」 ―――君のためなら何でもするよ――― 「へぇ。」 瞬間部屋の空気ががらりと変わる。本能的に体が危機を知らせていた。さっきよりも寒い。 例えるならば、まさに刃物のような。
3 21/04/09(金)21:40:30 No.791259933
「さっきの言葉、ホントは嘘だったんです。」 「へ、へえ、そうなんだ。」 「ごめんなさい騙してしまって。」 「いや、その、や、気にすることはないさ、俺たちの仲じゃないか。あはは、はは。」 「まあ、優しいですね。トレーナーさんは。」 「優しいなんてそんな。いやぁ。」 あははと乾いた笑いをこぼす事しかできない。一体なにが彼女の怒りに触れたのか。 「そうだ、元はといえば、事の発端は俺なわけだし、」 「トレーナーさん。」 ―――私怒っているわけじゃないんですよ。
4 21/04/09(金)21:40:53 No.791260081
「え?」 「何度も言いますが不安なんです。トレーナーさんが私を置いてどこかに行ってしまうん ではないのかって。」 彼女の気迫の前に、否定する言葉を発することもできない。 彼女はキッチンへ向かうと、何かを洗い始めた。 「レースに影響はないと、嘘をついてしまいました。本当ははとても不安で不安で。」 「だから、証拠が欲しいんです。」 「証拠?」 彼女の顔は見えない。背中から感情を読み取ることもできない。 ただ一つわかるのは、自分はこの怪物からおそらく逃げ遅れたということだけだ。
5 21/04/09(金)21:41:11 No.791260210
戸惑う俺の目の前に、彼女はまな板と、包丁を置いた。 「欲を言えば、薬指が欲しいです、左手の。」 「っ!グラス!」 「あなたのそこは誰にも渡さない。死んでも絶対に渡すものですか。 でも結婚指輪というのは牽制にもなりますから。」 この間新調されたばかりの刃がギラリと光る。 「あなたに決めて欲しいんです。十本あるうちのどれを私に捧げてくれるのか。 どれなら私に捧げられるのか。」 「誠意、見せてください。トレーナーさん。」
6 21/04/09(金)21:41:31 No.791260336
「あれ、グラスちゃんそれお守り?」 いつもの五人組で食堂のテーブルを囲んでいると、スペシャルウィークがグラスワンダーが首から 何か下げているのに気が付いた。 「ええ、トレーナーさんがくださったんです。」 「へえ、なんのお守り?」 「ふふっ、秘密です。」 ただならぬ様子のグラスワンダーに、思春期の娘たちは色めき立つ。 「へえ~、グラスちゃんも隅に置けないねえ~。」 「最近調子がいいのはそれのおかげかしら。」 「グラス部屋でもずーとニコニコしてて正直気持ち悪いデース。」 「エル。」 「アウッ!!」 「あら、仲のよろしいこと。」 「マックイーンさん!」
7 21/04/09(金)21:41:52 No.791260523
「そういえばスペシャルウィークさん、実はあなたのトレーナーさんから伝言を」 「おーす、マックイーン!」 「きゃぁっ!」 通りかかったマックイーンと突如現れたゴールドシップも加わり、テーブル席は一層活気をを増す。 「あら、グラスさんそれは?」 「ん?……ヒッ!!」 「ゴールドシップさん?」 ゴールドシップは戦慄した。グラスワンダーのお守りから、明らかに そういった処理をされた香りを感じ取ったからだ。
8 21/04/09(金)21:42:04 No.791260619
「ぐ、グラス。それ…」 「ああ、トレーナーさんがくださったんですよ。"これが自分の気持ちだ"って。」 「きゃー!グラスちゃんのトレーナーさんって意外と大胆だったり?」 「へ、へえ。じゃあ、ちょっとアタシはこれで…」 「?何か用事でもあったんですの?」 「いや用事っていうか、どちらかと言えば親父を思い出したというか…」 「ともかく、ということで、じゃ!」 「?」 うおーカリブがアタシを呼んでいるー! 「どうしたんでしょうゴールドシップさん?」 「まぁいつも通りと言えばいつも通りですわね。」 戸惑う面々の中でただ一人、グラスワンダーだけがクスリと笑った。
9 21/04/09(金)21:42:39 No.791260868
飴細工で勘弁してくれなかったのか
10 21/04/09(金)21:44:06 No.791261619
爪とかで勘弁してくれやってくれんか…?
11 21/04/09(金)21:44:22 No.791261736
こ、怖い
12 21/04/09(金)21:44:25 No.791261771
これで堪忍してつかあさい…
13 21/04/09(金)21:44:40 No.791261903
ヤクザかよて
14 21/04/09(金)21:45:34 No.791262269
兄貴の好きな円弧です…
15 21/04/09(金)21:47:52 No.791263297
そりゃ昔の遊女とかは切り指なんてえブッソウなこともしましたがね
16 21/04/09(金)21:50:11 No.791264295
女の子はちょっとぐらい重いくらいがいいよねってお話です まあ指欲しいっつってホントにくれるトレーナーも大概かなぁという感じで書いてました
17 21/04/09(金)21:50:15 No.791264328
漢 見せてください
18 21/04/09(金)21:50:20 No.791264361
なんでゴルシはその匂い知ってんだよ
19 21/04/09(金)21:52:21 No.791265299
グラス以外にあと9人指導できるな!
20 21/04/09(金)21:52:45 No.791265459
他の子の手助けしただけでエンコ望んでくるのは重いとかそういう話じゃなくない?
21 21/04/09(金)21:54:35 No.791266261
なるほどさしウマでマエストロ