虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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21/04/05(月)20:45:07 … … … ... のスレッド詳細

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21/04/05(月)20:45:07 No.790114743

… … … 今日の食卓は彼と手間暇かけて整えました。 詰め物の入ったチキンは上手にできたのでしょう。 見事な照りを見せています。 スープはオニオン、ミルク、コンソメ、 そして缶詰のスイートコーンを使って トロトロに仕上げました。 ニンジン入りハンバーグはどうでしょうか。 なるほど問題なさそうです。 パンは均等にスライスされています。

1 21/04/05(月)20:46:01 No.790115022

そして何といっても真ん中にそびえるイチゴのケーキ。 彼の担当の子はよく食べます。 おいしそうに食べてくれます。作った甲斐がありました。 彼も彼女を見ています。ニンジンジュースを手にしながら。 ほほ笑みが洩れていますよ。 私もニンジンジュースを一口。口を湿らせ昔話の続きをします。 … … …

2 21/04/05(月)20:46:25 No.790115173

昔話を続けましょう。 夏の日差しは日に日に強くなり、 トレセン生徒達は日々その暑さに耐えます。 そんな夏の夜に一人、うんうん頭を抱えて、スマホ両手に寝転がる私がいました。 私はボーイッシュであると言われます。 昔から敏感肌ですから髪を短くしていたからでしょうか。 もちろんこの髪は好きですが。

3 21/04/05(月)20:46:55 No.790115331

そのせいでしょうか。よくキャーキャー言われる身でした。 トレセン学園はウマ娘を専門とします。 しかし、私達はお年頃の女子生徒、 素直な感情を持ち合わせています。 その発散させにくいエネルギーを トレーナーや私みたいな人達に向けていたのでしょう。 『Link』というチャット機能のあるアプリをご存じですか? 緑色のあれです。

4 21/04/05(月)20:47:27 ID:uTpjpiYw uTpjpiYw No.790115501

削除依頼によって隔離されました 消せよ

5 21/04/05(月)20:47:35 No.790115551

彼女達は私とそれをよく交換したがります。 私は断れない性格でした。 アプリを開けば話したことなどない人の名前がずらり と並んでいます。 「他の子とはできたのに。」 また溜息を一つ、静かに電源を落とします。

6 21/04/05(月)20:48:06 No.790115732

彼とは夏も変わらず会っていました。 そうそう、彼の脚、あの頃には少し速くなっていましたね。 私が少しペースを上げてもぴったり付いてきます。 いつものコースでは十分も走れないですから、 コースを少し伸ばしたのも確かその頃。 ウマ娘と人の「少し」には大きな差がありますが。 ごめんなさい、話が逸れました。

7 21/04/05(月)20:48:29 No.790115873

しかし、夏は互いに忙しい。 試合やレースがある日は移動や準備に朝から忙しいので、 会えない日もかなりあります。 ですから、『Link』を彼と交換しようかと思い立ったのです。 いざ朝に交換を頼もうとしました。…しようとしただけでした。 一つの疑問が私を阻んだからです。

8 21/04/05(月)20:48:47 No.790115991

何のために? そう何のためでしょう。 行けない日を知らせるため? 口頭で伝えておけばいいじゃないですか。 緊急事態用? そんな事態に彼を関わらせる必要はないでしょう。 そんなことばかりが頭の中をぐるぐるしは始めました。 いままで悩んだことなんて無かったのですが。 …

9 21/04/05(月)20:49:19 No.790116183

夕日が差すグラウンド。夏場のトレーニングを終え、汗を落とし、服を変えます。 その日は彼がいませんでした。 バスケの練習試合と前日言っていました。 トレーナーさんと今日の反省の時間です。 トレーナー室まで付いて行きます。 トレーナーさんはいつもの 確認事項を静かに処理していきます。 さあ終わりと席を立とうとしました。 彼女は微笑みながらお菓子を差し出しました。

10 21/04/05(月)20:49:43 No.790116312

「どうしたの?」 それだけ聞いてきます。 「特にはないですよ。」 微笑んで返します。 耳に指が向けられます。少し垂れ下がっていました。 やはり見逃さなかったようです。 お茶を入れてくれました。とても濃い紅茶でした。 前夜の悩みを洩らします。 彼女は静かに受け止めてくれました。 「レースには誘ったのに?」 少しからかわれました。

11 21/04/05(月)20:49:59 No.790116419

あれはあれでこれはこれ、と反論しました。 彼女は自分の紅茶に砂糖を混ぜます。 「それとこれって何が違うの?」 何故違うのでしょう。何が違うのでしょう。 苦い紅茶を一口含み考えます。 しばらく考えます。 少し整理ができました。 それは「走る」。

12 21/04/05(月)20:50:51 No.790116722

私達は「走る」ことで繋がっています。 「走る」は私達にとって動詞では片付けられない言葉です。 「走る」ことが私に、彼に、勇気を与えてくれます。 では『Link』はどうでしょう。 『繋がる』。 私達に「走る」を中継させずに 繋げてしまうかもしれないもの。 そこには与えられる勇気がない。ただ私の不安があるだけ。 そこに意味を持たせることで不安を紛らわそうとした、 ただの私の怖気があるだけ。

13 21/04/05(月)20:51:09 No.790116827

「意味なんていらないんじゃないかな。」 彼女は言いました。 私は紅茶の残りを飲み干しました。 …

14 21/04/05(月)20:51:49 No.790117050

まだ夏は続きます。そんなある日の昼間。 私が芝のコースを走っていると誰かの視線を感じました。 辺りを見回すとその主は簡単に見つかりました。 彼女の名はメジロマックイーン。 私にとっては妹のような子です。

15 21/04/05(月)20:52:09 No.790117157

彼女は正に『メジロ』に相応しいウマ娘です。 雪のように白い肌、 白みがかったパープル色にすらりと長い髪。 顔と体はお人形のように小さく端麗で、 言葉遣いも上品なお嬢様。 しかし、走る姿はスピードと威厳が纏いを圧倒的な存在感を示します。 私はマックイーンに近づきました。どうしたの?と。 彼女は少し慌てた素振りを見せながらも、すぐに落ち着いた態度をとります。 「何か良いことでもありましたか。ライアン。」 私の耳はピコピコしていました。 さあ何があったのでしょうね。 …

16 21/04/05(月)20:52:30 No.790117264

彼女の話が一段落着くと僕の担当のウマ娘の携帯電話が鳴った。 その子は失礼しますとことわりながら席を外した。 廊下から明るい声が聞こえてきた。 目の前で座るライアンも向こうの方へ耳を向ける 「ねえねえさま!お久しぶりです!」

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