虹裏img歴史資料館

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。新しいログはこちらにあります

21/03/21(日)23:13:31 ディー... のスレッド詳細

削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。

画像ファイル名:1616336011762.jpg 21/03/21(日)23:13:31 No.785650992

ディープインパクトは苛立っていた。 凱旋門賞での不甲斐ない走り。体調管理の杜撰さによる失格処分。その後国内の2レースを完勝し溜飲を下げたものの、自分の走りに納得など行くはずもない。 本来ならばトゥインクルシリーズを卒業しドリームトロフィーへと向かう予定だったのを取り止め、欧州への長期遠征を計画した。この手に掴めなかった栄冠を必ず。今彼女の脳裏にあるものはそれだけだった。 そんな折に組まれた対談。「最弱のウマ娘と最強のウマ娘の夢の対談」等という下世話なタイトルを見た途端に、ディープインパクトは二つ返事で拒絶しようとした。 「ふむ……確かにこの企画は褒められたものではない。君にとっては受けるメリットなど見当たらないだろう」 「その通り、私は今一分一秒すら惜しいのです。こんな無駄な企画に時間を割く余裕など」 「だがそんな君だからこそ、あえて『彼女』と話してみてほしい。無理強いはしない……が、もしかすると君に足りないものを……彼女は持っているかもしれない」 「私に、足りないもの……」 『皇帝』になんといわれようとも意思を曲げるつもりはなかった。だが……。 彼女は対談を受けることを選択した。

1 21/03/21(日)23:13:50 No.785651133

ハルウララ。100戦0勝。明らかに競争能力が足りていない中、そのアイドル性のみでトレセン学園に入学した異端児。 ディープインパクト。14戦12勝。トゥインクルシリーズでは間違いなく現役最強と呼ばれる。『皇帝』以来の無敗の三冠を達成した時代の寵児。 何から何まで正反対の二人。ディープインパクトは記者の前で喜色満面で話すハルウララに嘆息した。 (……いったいこの時間に、なんの実りがあるというのか) 彼女の走りに人を惹き付け、元気付ける何かがあるとして、それが自分に必要とは到底思えない ウイニングライブを疎かにするつもりはないが、自分のレースは誰かのためでなくただ自分のためだけに在るものだとディープインパクトは思っていた。 勝ちたいから勝つ。その結果ファンが熱狂しようとも自分には関係がない。シンプルな答えだ。 (……もう少し話したら切り上げよう) そう心に決めたディープインパクトに、ハルウララは声をかけた。 「それでね、ディープちゃんは走ってるとき、何が一番楽しい?」 「……楽しい?」

2 21/03/21(日)23:14:27 No.785651396

強いて言うならば、勝利には喜びがある。しかしそれは楽しさとは別種の感情に思える。 ……それがなんだというのだろう。 「……レースに楽しさなんて必要ないと思ってる。ただ勝つ。それだけ」 「わぁ~……かっこいいなぁ~……」 キラキラした瞳で自分を見つめるハルウララに、ディープインパクトは少しだけむず痒さを覚えた。 笑顔を浮かべたまま、彼女は続ける。 「わたしはねえ、やっぱり芝の上を走ってるときが一番好きだなぁ。ダートも楽しいけど、やっぱり芝を踏みしめてるときが、一番気持ちいいの」 そんなことか、と思う。 「走るだけで……楽しいの? 勝てなくても?」 「楽しいよ! こんなわたしでも、勝てなくても、みんな応援してくれるの。大好きなレースを、大好きな人たちに応援されながら走るんだもの。とってもとっても楽しい! でも……勝てたら……もっと楽しいんだろうねぇ!」 「…………。」 ディープインパクトは、そのハルウララの笑顔に、どこか幼き日を思い出した。

3 21/03/21(日)23:14:45 No.785651542

両親にせがんで、夜遅くまでコースを踏みしめていた子供の頃。 勝ち負けよりも何よりも、ただ走ることが楽しかった。 ただ走り続けて、勝ち続けて、トレセン学園に入学する頃には、いつしか背中には多くの人の期待がのし掛かっていた。 それを嫌だと思ったことはなかった。それでも……いつしか期待は重圧に変わり、ターフに温度を感じなくなっていった。 幼き日に寝転がった芝は、優しく暖かかったはずなのに。 いつの間にか、己の力を誇示するためのステージでしかなくなっていた。 (……ああ……そうか) 勝利だけに囚われて、いつしか見失っていたのだ。そんな、原初の想いを。 彼女が、思い出させてくれた。 (……会長には、敵わないな)

4 21/03/21(日)23:15:05 No.785651675

「ディープちゃん? 大丈夫……?」 ハルウララが心配そうに見つめてくるのを、ディープインパクトは微笑んで返した。 あのディープインパクトが笑った、等と記者がざわつくのを意にも介せず、彼女は深く頭を下げた。 「ありがとう。そして、ごめんなさい。あなたと話す時間を軽んじていた私を、どうか許してほしい」 「かろんじ……? よくわからないけど、わたしはディープちゃんと話しててとっても楽しかったよ!」 満開の笑顔のハルウララの手を取って、ディープインパクトは呟く。 「この後、走ろっか。二人で」 「え、ええー!? わたしとディープちゃんじゃ、ぜんぜん……」 「大丈夫。ゆっくり、ね」 重石が取れたように軽い身体で、グラウンドへ向かう。 芝の上を歩いて笑顔を浮かべるハルウララを横目に見て、ディープインパクトは静かに闘志の炎を燃やす。 踏みしめた芝に、温度を感じながら。 ……大丈夫。私はまだまだ、強くなれる。

5 <a href="mailto:s">21/03/21(日)23:15:53</a> [s] No.785651998

終わり プイちゃんはクールなイメージ

6 21/03/21(日)23:16:49 No.785652388

ハルプイいいよね…

7 21/03/21(日)23:17:40 No.785652756

ウラプイいい…

8 21/03/21(日)23:20:14 No.785653894

これは七冠ウマ娘シンボリルドルフ

9 21/03/21(日)23:30:48 No.785657938

実際プイちゃんが実装されてたらウララちゃんと絡んだんだろうか 三冠つながりでブライアンやカイチョーとかな

10 21/03/21(日)23:32:20 No.785658488

武豊の発言からスズカと絡んだかもしれない

11 21/03/21(日)23:55:27 No.785666658

プイ文書は不足しがちな栄養素なので最近はいくつか出てきてありがたい…

↑Top