20/12/04(金)23:07:11 泥の静... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1607090831245.jpg 20/12/04(金)23:07:11 No.752148028
泥の静かなるダイマ界 https://seesaawiki.jp/kagemiya/ https://zawazawa.jp/kagemiya/
1 20/12/04(金)23:26:16 No.752155470
「ユィお姉様!聞いてください!」 その晩、くににしては珍しいくらい喜色満面の表情で雨萱の部屋へと転がり込んだ。 どうかなさいましたか、とゆったりとしたマイペースで椅子に腰掛けたまま問う雨萱。 くにはそんな雨萱へ誰よりも早く伝えたくてここへと来たのだ。 「実技のテストに合格しました!ちょっと失敗もしちゃったけど、許容範囲内って!」 「まあ、それはおめでとうございます」 「ユィお姉様にも付き合ってもらったお陰です!」 「いいえ、私は大したことはしていません。くにさんが頑張ったのです」 そう言って自分のことのように嬉しそうに雨萱は微笑んでくれる。 そんなことはない。自分の勉強もあるだろうに、雨萱はうまくいかないくにの魔術を付きっきりで見てくれた。 何度失敗しても少しも怒らずに、丁寧に優しくコツを教えてくれた。雨萱がいなければまだ合格出来ていないだろう。 だがくににとって雨萱の存在の意味はそれだけではない。 この人に褒めてもらいたい。この人に認めてもらいたい。 そういう気持ちが最近のくにの魔術に対する向上心へと繋がっていた。 本当に少しずつだけれど上達していく。その度に雨萱は喜んでくれた。
2 20/12/04(金)23:26:32 No.752155572
「あの内容の難しさは生半ではなかったでしょう。素晴らしいことです、くにさん。 そうですね。せっかくですから何かお祝いを差し上げたいところですが…」 何がいいかしら、と雨萱は思案し始める。 咄嗟に遠慮しようとしたくにだったが、その胸中へある願望がふと浮かび上がった。 それはそんなことを思いついたくに自身があり得ないと即座に否定したくなるような望みだった。 滅相もない。他でもない雨萱へ対して、そんな。…でも。もしかしたら雨萱ならば。 胸の奥から出かかってはつっかえ、それを幾度と繰り返し、しかし最終的にそれは喉から放たれていった。 「あの…ユィお姉様が嫌じゃなければ、なんですが…」 頼み始めてしまった。こんなことを頼むなんて今すぐ部屋に帰って布団を被ってしまいたいくらい恥ずかしい。 でももう止められない。くには耳まで真っ赤にしながら消え入りそうな声で言った。 「お祝いが貰えるなら…ユィお姉様にぎゅっとして欲しいです…」 俯き、服の裾を両手で掴む。呆れられているのではと顔が上げられない。 やっぱりこんなこと言わなきゃ良かったと後悔する。 …ふと、下を向いた視界の中に雨萱の白い素足が映った。
3 20/12/04(金)23:26:44 No.752155641
次の瞬間くには自分よりも一回り大きな何かに包まれていた。 「本当によく頑張りましたね。くにさんは偉いです。 魔導の道は遥けきものなれど、今はたった1歩の熟達を心から喜びましょう」 俯いていたくにの頭を優しい手付きで撫でるものがあった。雨萱の手だった。 雨萱は椅子から立ち上がり、くにを柔らかく抱きしめてくれていた。 くにの額は雨萱の胸の中にあった。雨萱の透き通るような甘い匂いが胸いっぱいに広がっていく。 じわ、とくにの両目が潤んだ。 急に綺羅星の園へと連れてこられて、忙しなく日々が過ぎる間に胸の奥へ押し込めていた重苦しいものが緩む感じがした。 誰にも言えなかったけれど、辛かったこと、悲しかったこと、寂しかったことがゆっくりと甘い香りに溶かされていった。 「ぐす…ユィお姉様、ごめんなさい…こんな…ごめんなさい…ひっく」 「いいんですよ。この場にいるのは私だけです。私でよろしければ胸をお貸ししましょう」 何度も雨萱の指がくにの髪を梳くように撫でる。背中に回された手が苦悩を吐き出させるように軽く背を叩いていた。 その夜くには雨萱の部屋に泊めてもらった。園に来て以来最も安心できる微睡みだった。
4 20/12/04(金)23:37:26 No.752159121
眩しいおねロリ
5 20/12/05(土)00:05:55 No.752168090
今更気付いたけど光のおねロリはいい…