虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    20/08/26(水)21:02:54 No.721756602

    朝、レッドが目を覚ますと目の前にブルーがいた。 それ自体は問題ない。たまに朝起こしに来て遊びに誘われたり朝食を用意してくれたりすることもあるからだ。 問題は今ブルーがいるのがレッドと同じベッドの中だということだ。 安らかな寝息を立ててリラックスしきった表情を見せるブルー。 それにレッドの目が釘付けになる。 長い付き合いなので寝顔を見るのは初めてではないが自分の家で見るのはこれが初めてで、 普段の自宅で見ることのない光景にレッドは特別な何かを感じてしまう。 「……んぅ」 と思っているとブルーがレッドに近づき、抱きついてきた。

    1 20/08/26(水)21:03:33 No.721756929

    (……!?) 視界がブルーの顔に占有される。 あどけない寝顔。触れる鼻先。かかる吐息。 そして胸板に押しつけられるとても柔らかい感触にレッドの思考が乱されていく。 (落ち着け俺!いつものブルーの悪戯だ!平静を保て!こういう時は……そうだポケモンのことを考えるんだ!!) 脳内にポケモンの種類を挙げていくと、なんとか動揺が収まっていく。 何しろ数が多い。正確に数えるなら集中するしかないのだ。 やっぱりポケモンは最高の友達だ。いつも俺に力を貸してくれる。ありがとうニョロ達。 そしてカウントが150を超えてカントー以外の地域のも数えようとした時、 「……レッドぉ、かわいい……」 最初から数え直しになった。

    2 20/08/26(水)21:04:09 No.721757216

    んふふと呑気に笑うブルーにまたレッドの心が乱される。 ちくしょう可愛い。憎たらしいほどに。 「ほんと可愛いなブルー…」 思わずそう言った瞬間、ブルーが身を震わせた。 (…………ん?) おかしい、と思っていると目の前のブルーの顔が赤く染まっていった。 もしや、と思いレッドは言ってみた。 「これは寝言だけどブルーって美人だよな」 予想通りブルーの顔がより赤くなった

    3 20/08/26(水)21:04:48 No.721757528

    寝たフリか!と脳内で叫ぶが口に出すのは堪える。 今更ブルーのそういう悪戯で怒るような関係ではない。 むしろ可愛いと思えてしまう。 だがせっかくの機会だ。ちょっとくらいやり返してもいいかとレッドは寝言を再度言った。 「顔も綺麗だし髪もさらさらだし胸も大きいし俺好みだ。 これも寝言だけど悪戯仕掛けるお茶目なところとかも可愛いな。 また寝言だけど面倒見よかったり世話してくれるのもいいな」 「…あの、待って…」 顔を真っ赤にしてブルーが小声で呼びかけてきたけど、 「寝言だから待てない。昔から頼りになるし いっぱい助けてくれて嬉しかった。 辛いことがあっても立ち直れる強さもいいし 逆に俺が辛い時に傍にいてくれたのも嬉しかったな」 「もうやめて……」 ブルーがレッドの口を塞ぎたいのかベッドから逃げたいのか身体を動かそうとする。

    4 20/08/26(水)21:05:32 No.721757854

    だがレッドが彼女の身体を抱きしめ、離さない。 もはや寝たフリすら維持できず目を開いたブルーだがもう首以外は身動きできない。 「俺が声かけたら危険な戦いにもついて来てくれるし俺が頭に血が上った時は宥めて冷静にさせてくれる。 俺そういうブルーが…」 「ああもう限界!」 「え?」 ブルーが唯一自由な首を動かし顔をさらに近づけた。 唇が重なる。 キスで口を塞がれ、レッドは喋れなくなった。

    5 20/08/26(水)21:06:50 No.721758426

    ブルーと目が合う。 その目から怒り、呆れが、それ以上にこちらの悪戯を許すような優しさが見えた。 一応自分はやられたからやり返しただけなのだが、という考えはその眼差しと柔らかな唇の感触の前に溶けてなくなっていく。 どれほどそうしていたか。 ブルーは唇を離し、 「これでお互い手打ちでおあいこ。いいわね!」 「……はい」 レッドはそう答えるのがやっとだった。 お互い呼吸を整える。 ある程度落ち着いたら、先程の自分達の行動が思い返される。 2人ともほぼ同時に相手に背を向けた。

    6 20/08/26(水)21:08:54 No.721759354

    (俺はなんてことを!なんてことを!) 先程までの悪戯心は何処へやら。 レッドの心は後悔でいっぱいだった。 一応本心ではあるけど恥ずかしいことを言ってしまった。 普段言えないことも言ってしまった。 自然と口が開いて色々言ってしまった。 割と洒落にならないことまで言ってしまった。 でも、 (俺は、ブルーに何を言おうとした?) そういうブルーがなんだったのか。 レッドにとってブルーとは何者か。 レッドはブルーとどうしたいのか。 (俺はどうすればいいかな。ニョロ、フッシー、みんな) 頭の中で相棒達に問いかけても返事はあるはずなかった。