ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
20/08/04(火)00:47:29 No.714598060
消えていく。 七不思議が消えていく。 聖杯戦争と銘打った、七不思議の解決競争は激化の一途を辿り、無限かと思われた七不思議は見る見る数を減らしていった。 この特異点に存在するサーヴァント達が、見かける端から七不思議に挑んではそれを消し、時にはサーヴァントの側が消されたりもした。 今や特異点全体が修羅場の様相であった。 故にそれが発生するのも自然の流れではあった。
1 20/08/04(火)00:47:44 No.714598130
「Grrrrrrr!!」 「何のぉ!」 聖杯戦争、聖杯獲得ランキング”不動の一位”(多大なフライングの成果を含む)セイバー・リリィ。 最も多くの七不思議を解決した者として君臨し、また聖杯戦争ブームを牽引する少女は、今まさに命の危機に瀕していた。 悪竜現象、ファヴニール。 多くのサーヴァントが聖杯を求め争う、その欲望が七不思議という枠に結集、凝縮されて誕生した怪異。 かつて第一特異点で少女を大いに苦しめた邪竜が、この特異点に姿を現したのだった。 こんな所で躓いてはいられない。いられないが……竜殺し抜き、一対一で勝てるかと言えば。 「これはつらい!!」
2 20/08/04(火)00:48:01 No.714598206
過去の事態は矮小化して捉えがちであるが、竜の魔女が使役したファヴニールは極めて強力であり、今日のカルデアであっても勝利は困難である。 そして今、誰もが目の前の七不思議を追っている。助太刀は期待するものではない。横取り狙いならばあり得るが。 迷っている時間は無く、思考する余裕は無く、息つく暇もない。 (やるしか、ありませんか──!) 決死の覚悟を決めるしか無いかと、セイバー・リリィが火炎から逃れつつ振り向いた時。 そこには既に雄々しい背中があった。
3 20/08/04(火)00:48:19 No.714598297
「出過ぎだぞ、白の騎士王」 「貴方は……ジークフリートさん!? しかもその姿、ご本人!?」 特異点に無数に溢れるサーヴァント達の姿ときたら、制服の者に私服の者が殆どで、霊体化すら出来ない者の方が多い始末。 ここにいるのは誰かの記憶から作られた誰かの記憶からまた作られた誰かの集まり。一応サーヴァントには違いないのだが。 そんな中で、自己の正しい姿を取れる者。鎧姿も勇ましい竜殺しの英雄。 カルデアのジークフリート、またはそれに近い記憶から形作られたジークフリートであろう存在であった。 セイバー・リリィに真贋の見分けは付かないが、今は真贋いずれでも良かった。
4 20/08/04(火)00:48:36 No.714598394
「助太刀感謝します! あと騎士王はくすぐったいです!」 「そうか……すまない。ならば白のセイバーとでも」 一人→二人。小さな差に見える大差。しかし誕生したての現象にはそれが分からない。 それまでと同じ、一人を追い詰める要領で放たれる火炎。今度はその尽くが迎え撃たれる。 「迎撃だけでいいなら、容易い事ですとも! せやっ!」 「いい目眩ましだ。俺も行くとしよう」 光線とぶつかり合い、虚空にて弾ける炎。光、熱、衝撃、両者の視界が塞がれる。 脅威度を判別出来ない幼さが、たちまちその生命を詰みへ至らせた。 宝具すら無く、ただ踏み込み、大きく斬り裂く。 たったそれだけで七不思議にして悪竜現象は息絶えたのだった。
5 20/08/04(火)00:48:55 No.714598492
「はぁー……一太刀ですか、すごいです」 「相性の問題に過ぎない。楽をさせてもらってすまない」 邪竜討伐。これによりまた一つ七不思議が消えた。 日を追う毎に強力かつ敵対的なものが増え、それでも尚消えていく怪異達。 放っておけない筈である。黙っていられない筈である。 一息つき、二息つき、セイバー・リリィは周囲を見渡す。 そこに──いた。さっきまではいなかったのに、まるで最初からそこにいたかのような自然さで。 夜の闇と同じ黒、垂らした墨汁が立ち上がったような不自然さで。 「ンンンンンンン!! 小癪な! 猪口才な! 取るに足らない弱小サーヴァントがァ!! よくも拙僧の仕込みをここまで滅茶苦茶にしてくれた!!!」
6 20/08/04(火)00:52:05 No.714599460
流行を作るにはカリスマが必要なんだよ それがハリボテであっても
7 20/08/04(火)00:53:24 No.714599878
ジークフリート…ああジーク君の所で見たなリリィの力になるとかどうとか
8 20/08/04(火)00:55:51 No.714600723
>ンンンンンンン!! こいつホント便利
9 20/08/04(火)00:59:14 No.714601790
このリリィマスターと全然顔合わせないまま終わりまで行きそうだな…