虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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20/04/26(日)01:25:50 ・・・... のスレッド詳細

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20/04/26(日)01:25:50 No.682967376

・・・・・ わたくしたちが息をのむ中、ホップは神妙な面持ちで腕を組みます。 そして、困ったように、悩んでいるように頭を掻いて――――スッと微笑みました。 「……まぁ、そう思うよな」 それはビートの問いかけに対する否定でも肯定でもなく、ただの同意。 曖昧な答えにビートはさらに眉根を寄せます。 それはホップも予想していたのでしょうか、ビートが何かを言う前に、二の句を接ぎます。 「……オマエに負けて、そう言われて、オレも色々考えた」

1 20/04/26(日)01:26:03 No.682967428

ホップの視線が、一瞬わたくしたちを捉えます。 彼の金色の瞳が、後悔や謝罪に似た色を滲ませます。 「オマエの言う通り、オレがこいつらの邪魔をしているなら、もう、オレがいない方がって考えた」 ……ええ、ええ。そうなのでしょう。 わたくしたちから逃げ、一人になったあなたはきっとそんな事を考えていたのでしょう。 その行動がどれだけわたくしたちの心を苛んだのか、考える余地も無かったのでしょう。 わたくしの隣でぎゅっと唇を噛みしめる小娘が、どんな思いで、この街をで歩いていたのか、知る由も無かったのでしょう。

2 20/04/26(日)01:26:14 No.682967470

「旅をやめるつもりは無かったし、一人旅になるのならそれも仕方ないかって思った」 選ばなかった選択肢をホップは少しだけ、ほんの少しだけ、懐かしむように語ります。 それを見咎めるようにビートは目を細めます。 「でも、あなたは今もそうやって彼女たちといるじゃないですか。なんでですか、どうしてそこまで彼女たちの足を引っ張るんですか」 当然と言えば当然の質問。 彼が抱いていた杞憂は、それでも彼にとってはどうしようもない憂いで、悩みで、壁で。 それを抱えてでもわたくしたちと共に進むには、それを上回る理由があるはずなのです。 わたくしたちの邪魔をすると思っても、兄の名に泥を塗ると思っても。 ホップは悩むように目を瞑り、決意したようにゆっくりと目を開きます。 そして、

3 20/04/26(日)01:26:32 No.682967539

「……………………こいつらとの旅が楽しいからだ」 「はぁ?」 ビートが漏らした素っ頓狂な声を合図にホップは胸の内を曝け出すように、絞り出すように声を上げます。 「考えた。めっっっっっちゃ考えた!オマエに負けて悔しくて、一人でずっっっっっっと!!考えてた!!!それでッ!!!!」 凪のような一瞬。 ホップの表情は穏やかに、だけど確かな決意を湛え、 「……それで、こいつらの所に戻る事にしたんだ」 選んだ選択肢を掲げました。

4 20/04/26(日)01:27:06 No.682967681

「こいつらとの旅は楽しいんだ。悔しい事も辛い事も『ユウリ』と一緒なら、楽しいんだ」 彼の瞳がわたくしたちの瞳と合わさります。 「正直今でもオレがどうするべきなのかわからないぞ。これが正しいのか、間違ってるのか、オレが、強くなれる道なのかわからないんだ」 選んでも悩みが消えるわけではなく、進んでも答えが出てくるわけではない。 それがどれだけ苦しいのか、わたくしも、小娘も、想像する事なんて出来ません。 そんな軽々しく、想像できるだなんて言えるわけがありません。 「アニキの名前に泥を塗るのは嫌だ。こいつらの邪魔をするのは嫌だ。……弱いままは、嫌だ」 弱音。 そう切って捨てるにはあまりにも重くて、痛ましい感情がその言葉には込められています。

5 20/04/26(日)01:27:17 No.682967730

「それでも」 それでも。 「オレは、『オレたち』の旅がしたいんだ」 彼の言葉に揺らぎはありません。 正解なんてわからなくても、自分が望むままに。 「……話になりませんね。全部あなたのワガママじゃないですか」 「……そうだな。これは、オレのワガママだ」 吐き捨てるようなビートの言葉を、ホップは正面から受け止めます。 「オマエの言う通りだと思う。オレが弱いと、こいつらの足を引っ張る。オレが弱いとアニキの名に泥を塗る。……だから、強くなりたいんだ」

6 20/04/26(日)01:27:40 No.682967825

ぎゅっと拳を握り締め、一歩も退かず、 「こいつらと一緒にいても足を引っ張らないように。何よりも――――オレの選択に誰の文句も言わせないために」 『ワガママ』を押し通すと、ビートに、わたくしたちに宣言します。 「そうしたいと思ったのは、オマエに負けた事がきっかけだ。だから、オマエにははっきりと伝えておく。オレは、『ユウリ』たちとの旅を続ける」 ビートは何も言い返しません。 それをどう受け止めたのか、ホップは瞳を尖らせ、 「それが不満なら、許せないなら―――――かかってこい」 宣戦布告をしました。

7 20/04/26(日)01:27:50 No.682967861

「………………ぼくは、あなたの事なんかどうでも良いんです。弱い人に興味はありません」 「そうか。オレは、オマエの事をライバルだと思ってるぞ」 相変わらず嫌味ったらしく、見下したような物言いに、ホップは朗らかに言い返します。 それはビートやわたくしや、あるいは小娘と違って、皮肉なんて一切込められていない純粋な言葉。 どれだけひねくれてようとも、こんなにも真っ直ぐな言葉の意味を測り違えるなんて事はできません。 だからでしょう、ビートは顔を背けます。

8 20/04/26(日)01:28:01 No.682967909

それでもう、この場における勝敗は決しました。 元より、彼は勝ち負けなど考えていなかったのでしょうけど。 彼はただ、言いたいことを言っただけで、それを聞いた人がどう思うかなんて気にも留めてないのでしょうから。 「……やっぱり、自分勝手だよ」 小娘が呆れたようにつぶやきます。 わたくしは何も言わず、小さく肩をすくめ同意しました。 そんなわたくしたちの気持ちなんか知りもせず、ホップの気持ちはもう次の話題へと移っていました。

9 20/04/26(日)01:28:12 No.682967961

「せっかくだ、ここらで一回リベンジさせてもらっても良いか?」 「……ふん、あなたがぼくに勝てると思ってるんですか?あんなにも無様に負けたくせに」 「おう、勝てると思ってるぞ。だってオレは、あの時のオレより強いからなっ!!」 「……いいでしょう。勝負してあげますよ。今は少しでも委員長への説得材料が欲しいですから。あなた程度が相手でも数字の上では勝利に違いはありません」 ビートがボールを構え、ホップも嬉しそうにボールを握り締めます。 ……ナックルスタジアムの真正面でバトルするのは避けた方が良いのでは? そんな懸念を抱えつつも二人の勝負を見守ろうと脇へと避けた所、 「ジムミッションだよっ!!!」 怪鳥のような奇声と共に紫の何かがわたくしたちを通り過ぎ、ビートへとまとわりつきました。

10 20/04/26(日)01:28:53 No.682968143

「ピンク!」 顔。 「ピンク!」 腕。 「ピンク!」 脚。 それらを総じて、 「おめでとう!」 紫の―――ポプラさんは力強くビートの肩を掴みました。

11 20/04/26(日)01:29:18 No.682968250

「あ、あなたはポプラさん!?いきなり何をなさるんです?」 「あんた、オリーヴなんかに良い様に使われ必死に願い星を集めたのに見捨てられてこまってんだろ?」 動揺激しいビートの質問には一切答えず、ポプラさんは会話の主導権を握ります。 「あたしについてきな。なんとかしてやらんこともないよ。もちろん、あんたの頑張り次第だけどね」 「……ぼくを試すのですか?」 ポプラさんの言葉を聞いて、ビートの表情が変わりました。 望みを得ると同時に、疑いも捨てきれないといったように。 ですが、今の彼には選択の余地なんてないのでしょう。 直ぐに決意を固めます。

12 20/04/26(日)01:29:48 No.682968370

「……いいでしょう!むしろあなたに認めさせ、願い星のこと教えてもらうとしましょうか!」 その回答を分かっていたかのようにポプラさんは妖しく微笑みます。 「じゃあね、あんたたちはキルクスタウンに向かいな」 「悪いですけど、君との勝負は今度にします。次に会う時まで精々腕を磨いてなさい」 そしてわたくしたちにそう告げると、どこかへ去っていきました。 残されたわたくしたちはただただ呆気にとられたまま立ち尽くし、 「……うーん。なんというか、凄いな!うん!」 「そうだね……」 「……疲れましたわ」 ざっくりしすぎるホップの言葉に、力なく同意しました。 ……キルクスタウンに向かうのは一休みしてからですね。

13 <a href="mailto:s">20/04/26(日)01:30:24</a> [s] No.682968534

前回までの su3833503.txt キリの良い所が無かったので今回は長めです

14 20/04/26(日)01:33:00 No.682969320

やはりピンク…! ピンクは全てを解決するっ…!

15 20/04/26(日)01:36:53 No.682970594

ポプラさんにかかればいい雰囲気も一撃でピンクよ

16 20/04/26(日)01:41:32 No.682972230

>「おめでとう!」 この選択権一切ない感じ好き

17 20/04/26(日)01:41:44 No.682972301

ホップくんの純粋な心いいよね… 2人もなんか楽しいって言われて満足だろう

18 20/04/26(日)01:48:45 No.682974397

ホップは出会ったやつ全員友達だぐらいに思ってそう

19 20/04/26(日)01:57:21 No.682977250

再奮起するホップ良いよね…

20 20/04/26(日)02:00:33 No.682978006

ホップが2人に振り回されてると思ったけどホップが振り回してるやつだなこれ

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