虹裏img歴史資料館

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20/04/19(日)23:22:24 椅子に... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1587306144933.jpg 20/04/19(日)23:22:24 No.681208960

椅子にもたれて眠っているドクターをプリュムは見下ろしていた 評価が済んだ報告書を受け取りに来ただけで、ノックもなくドアを開けることは既に日常であったが、常の市民なら寝ている時間であり、この時はノックをするべきだったと軽く反省した。このような無防備な彼を見つけるのは初めてのことだった。 彼に肩が触れるほど隣り合って座ったりということは作戦の合間や、食事の時とか、割合よくあるものの、一方的に観察する機会は、思えばこの時が始めてで、気がつけばプリュムはしげしげと彼を眺めていた。 背が高く感じていた彼はこうして見るとそこまで長身という訳でもなく、肌が唯一といっていい露出した部分の、いつも彼女らを導く指先は、どういう傷なのか、擦り傷の跡だらけだった。 仮面の下はどうなのだろう。 その疑問はロドスの多くの者が共有しているだろうが、プリュムは今、その答えを求める気はなかった。それは良くないことだ。公平ではないし、彼を傷付けるかもしれないことはしたくなかった。

1 20/04/19(日)23:23:17 No.681209297

ただ、しゃがんみこんで、その、力が抜けて、肘掛けの上で横たわっている手の甲に鼻先を近付けた。 傷の盛り上がりやへこみや小さな黒子やら、雑多な色の手の甲は案外皺がなく、結構若い人なのかもしれない、と思った。その手がふらりと動いて、プリュムの帽子を払い落とした。 正確には、何かを探すようにふらふらと動いて、その結果近くにあったプリュムのベレー様の帽子が頭から突き落とされ、手のひらが彼女の頭を数度撫でた。 「あっ」 驚きの声が漏れて、プリュムは身を固くした。目線を上げると、彼がゆっくりと頭を上げてこちらを見ようとしているところだった。 たぶん目が覚めて、ちょっと寝ぼけて手を動かしたら、プリュムの頭がそこにあったのだろう。 と、その手が更に数度、彼女の頭を撫でた。とても優しい手つきで。 心地よくて思わず目を伏せて、そんな反応をする自分にプリュムは驚いて、慌てて問いかけた。

2 20/04/19(日)23:24:17 No.681209698

「あの、ドクター?」 彼は手を頭から離して、体を起こして立ち上がった。 いつもすまないな、と彼は言った。 「いえ…」 謝るべきだろうか、と考えていた彼女の思考は、答えのないまま立ち消えになった。 食事に行かないか、と彼が言った。 プリュムは机の上の報告書を確認し、チェックの印があるのを見て、束を抱えた。 「お供いたします」 頷いて部屋を出ていこうとする彼を見ながら、プリュムはドキドキと鳴る胸を書類で押さえつけた。 今のは、どういう意味なのか、と、私は、食事をしながら尋ねることができるだろうか。 私はどうして、こんなに鼓動が早くなっているんですか。 そう聞こうとして、顔が熱くなるのを感じた。私は護衛隊、彼を守る戦士なのに。そう思いながら、彼のあとをついていく。 きっとずっと、ついていく。

3 20/04/19(日)23:26:03 No.681210384

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4 20/04/19(日)23:49:09 No.681219462

あいつ 無自覚なのいいですよね…

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