虹裏img歴史資料館

1 20/02/14(金)23:45:00 No.663188353

　『Happy Valentine. 最近会えてないけど友達やめたつもりはないぞ！っていうカードだ！ チョコレートを贈る。また一緒に遊ぼう』 キャンディみたいな包み紙にくるまれて、カラフルなチョコがいくつも瓶に詰まってる。このくらいならいいかな、と思いながら、カードにメッセージを書いた。 ───チョコ、甘くておいしかった。あっという間に瓶は空になった。

2 20/02/14(金)23:45:19 No.663188448

　『Happy Valentine. この間入ったカフェで売ってた。みんな美味いって言ってたから、味は保証する。 元気にしてるか？オレはもちろん元気だ！』 クランチチョコのボックスだ。マシュマロがちょっと入ってて、サクサクの中にフワッとした感じがする。自分でも一箱買ってみたけど、確かに美味かった。 ───箱はその日のうちに空になった。美味しいけど、もう少し量が欲しい。

3 20/02/14(金)23:45:36 No.663188550

　『Happy Valentine！ なんていうかさ、この間はごめん。 口でも伝えるつもりだけど、ちゃんと言えなかった時のために一応書いておく。 紅茶と一緒に食べてくれ。』 シンプルなプレートのチョコだ。こういうのが流行ってるって聞いて買ってみたけど、薄くて軽くて、もう少し謝罪の念ってのは重い方がいいんじゃないかって気がしてきた。 ───ビターとミルクとホワイト。どれも違うけど、個人的にはビターが良かったかもしれない。

4 20/02/14(金)23:45:56 No.663188667

　『Happy Valentine！ いつもお茶を出してくれてありがとう。 毎回お礼は言ってるけど、改めて。』 一口大のチョコレートの粒が詰まった箱は、いかにもバレンタインっぽい見た目をしていた。中身のオススメはよく分からないから、最初から詰め合わせになってるやつを選んだ。 ───中身の説明を見たら色々な味のチョコレートが一つずつ詰まってて、どれから食べていいのか散々悩んだ。 ジョウトの方で有名なグリーンティーを使ったチョコが一番あっさりしてていいかもしれない。

5 20/02/14(金)23:46:16 No.663188787

　『Happy Valentine！ ソニアはオレの大切な親友だ！ これからもよろしくな！』 チョコレートケーキ1ホール。話題の店の、予約しなきゃ買えないやつだ。 一緒に食べたいと思って、思いきって予約をした。 ───紅茶と合わせると甘めのクリームも案外悪くない。また食べたいから店の名前を覚えておこうかな。

6 20/02/14(金)23:46:36 No.663188893

　『Happy Valentine！ 忘れてない。ちょっと忙しくて、遅れただけだ。 嘘だ。……ホントは忘れてた。ごめん。』 今回はミルフィーユ風のチョコレートにした。パイ生地とクリームをチョコでコーティングしてあって、サクサクなんだそうだ。 貰い物で一つ食べてみたけど、確かにこれはいいかもしれない。 ───この時期はちょっといいものが食べられる、と喜ばれる。適当に選んでいるのにそんなに喜ばれるのはちょっと複雑かもしれない。

7 20/02/14(金)23:46:57 No.663189006

　『Happy Valentine！』 ずっと会ってると書くべきことがないよなあ、と思った。 今年はどうしよう。カードには何を書こうか。悩む。 ───SNSでフォンダンショコラが話題になっていた。あのチョコレートケーキの店で扱ってるらしいから、それにしてみた。 辿り着けるかかなり不安だったけど、スマホロトムのナビって優秀だ。

8 20/02/14(金)23:47:13 No.663189092

　『Happy Valentine！』 スティック状になったチョコを渡したら、それでホットチョコレートが作れるからとすぐに出してもらった。何年も渡す立場だったけど、そういえば、チョコを貰うのって初めてだったかもしれない。ファンから届く大量のチョコよりも、この一杯のホットチョコレートが嬉しいと思った。

9 20/02/14(金)23:47:30 No.663189198

　『Happy Valentine！』 渡される事なく、いつしかメッセージさえ書かれなくなったそのカードは、一枚ずつ確実に増えていく。 チョコレートを練り込んだクッキーは出された時にはあんなに美味そうに見えて、何枚だって食べられそうだったのに……持ち帰って食べたものはもう、期待通りの味ではなかった。

10 20/02/14(金)23:47:57 No.663189353

　『書籍の出版、おめでとう。名前を見てとても驚きました。いつかのクリスマスのように花を贈ろうか迷ったのですが、目立ってしまうかと思ったのでカードだけ送らせてもらう事にします。あなたの活躍を願っています。 　From your secret admirer.』

11 20/02/14(金)23:48:18 No.663189470

ぐしゃり。 貼り合わせた紙で丈夫に出来ているそれを、力任せに握って捨てた。 キミを慕うというよりは、キミの信奉者だった。 信奉し、縛り付けて、祀る。 そうすればキミは俺を救ってくれる。……救ってくれなければ困るんだ。 違う。最初はただ、会いたいと思っただけだった。 そこに理由が増えて、意味が乗って、言い訳が積もって……どんどん歪になった。気付かないまま、それが正常だと誤認していった。 いや、本当は認めたくなかっただけなのだ。歪みに気付けば、それを糺さずにはいられないから。 彼女と、離れることになるから。 最初の自分に立ち返る術があるのなら教えて欲しい。 何の意味もなかったこの10年を取り返す術が、あるのなら。

12 <a href="mailto:s">20/02/14(金)23:49:41</a> [s] No.663189950

チョコもカードも贈れなかった話

13 20/02/14(金)23:52:23 No.663190917

オオオ イイイ

14 <a href="mailto:s">20/02/14(金)23:52:38</a> [s] No.663191011

あと前回更新分 もうちょい読みやすく直したい su3650748.txt

15 20/02/14(金)23:55:42 No.663192138

>最初の自分に立ち返る術があるのなら教えて欲しい。 あっ…これって…

16 20/02/15(土)00:04:44 No.663194992

>何の意味もなかったこの10年を取り返す術が、あるのなら。 ガラル中が絶望する本音だこれ 手持ちのリザードン達もきついわこんなん…

17 <a href="mailto:s">20/02/15(土)00:05:46</a> [s] No.663195304

一応再会してからはチョコは渡してるけどカードは渡せてないので余計不憫かもしれない >あっ…これって… この件だけ見れば過去に戻れるなら戻りたい けど君臨してきた10年は否定したくないっていう超めんどくさいやつ

18 <a href="mailto:おまけ　クリスマスと大晦日の更にそのあと">20/02/15(土)00:09:35</a> [おまけ　クリスマスと大晦日の更にそのあと] No.663196461

名前を明かさないカードと一輪の真っ赤な薔薇がデスクに置かれている。古式ゆかしいその手段を使う彼を想像したらおかしくて、カードに書かれた文字をなぞる。濃紫のインクで綴られた、手書きの……もうすっかり見慣れた文字。 本棚の前でページを手繰る助手を見ると、分かってると言わんばかりに肩を竦めた。 来客のない今日の研究所で犯行可能なのは一人だけだからだ。 「……オレはやめた方がいいって言ったんだ」 「形式を守りつつ少々のサプライズも演出したいってなったら、使える人間は限られるからねぇ」 「弟を使うくらいなら自分でやればいいだろって言ったのにさ。頼むって言って聞かないんだよ」 「それは……お疲れ様」 薔薇を適当なグラスに挿すと、隠していたプレゼントの箱と未だなにも書いていないカードを取り出す。 さて、私はどうやって渡そうかな。

19 <a href="mailto:おまけ">20/02/15(土)00:09:58</a> [おまけ] No.663196586

「……ところで、あんたはどうすんの、今日」 「……なんでソニアにそんな話しなきゃいけないんだよ」 「助手の恋路が上手くいくかなー！っていう……なに、お節介？」 「それただの興味だろ！ソニアは他人より自分を心配してればいいんだ。オレ達はちゃんとやってるから構わないでくれ」 「はいはい」 「……あと、今日早めに帰る」 「知ってまーす。……明日は休みにしちゃうから、よろしくやるんだよー？」 「セクハラかよ！？……そういう事言うなら、その言葉そのまま返すからな！ロンド･ロゼでディナーする約束取り付けたんだーって、ここ数日アニキがめちゃくちゃ浮かれてうるさかったんだ！」 「し、信じられない！なんで弟に自慢してんのあの男！？」 「知らないよ！オレだって二人の予定なんて知りたくもなかったんだぞ！」

20 <a href="mailto:おまけ">20/02/15(土)00:10:24</a> [おまけ] No.663196726

約束通り研究所は早々に閉めて、私も支度を整えてシュートシティへ向かった。待ち合わせなどという高度な事を期待せず、きっちりタワーまで迎えに行く。 支配人室に通されると、彼はちょうど仕事が終わったところなんだと机から離れるところだった。私もちょうど良かったので、小ぶりのサンダーソニアをシールで留めたカードを差し出す。 「はい、ハッピーバレンタイン！」 「こっちのカードと薔薇は届いたか？」 「どうもありがとう。でも赤い薔薇は定番すぎない？」 「どの花がいいかまではさすがに分からなくてな。毎回サンダーソニアじゃそれこそ芸がないだろ」 「確かに」 言いながらカードを開く彼の様子を窺う。 書いたメッセージは一言。差出人欄は彼がくれたものと同じにしてある。 『あなたの全てになりたい。 “あなたを密かに慕う者より”』

21 <a href="mailto:おまけ">20/02/15(土)00:11:03</a> [おまけ] No.663196924

「この名前欄は意味がなくないか？」 「形式上はこれで正しいんだから意味はあるよ。密かでも何でもなく、堂々と『信奉』していたとしてもね」 「信奉の対象をここまで粗雑に扱う信者はいないと思うぜ」 「私が信奉してるのは完璧に見せてる方じゃなくて、ダメで空気読まないキミだからね」 「ソニアは時々本当に辛辣になるな……」 「誉め言葉どうもありがとう。で、プレゼントなんだけど」 「……プレゼントならもう貰ってるんじゃないのか？」 「はぇ？」 お互いに首をかしげる。間抜けな構図が出来上がるかと思いきや、ダンデくんが眉間に皺を寄せた。

22 <a href="mailto:おまけおわり　そのうち内容盛るペコ">20/02/15(土)00:11:47</a> [おまけおわり　そのうち内容盛るペコ] No.663197154

「このメッセージだぞ、添えられた花が何を指してるかくらいさすがに分かるからな」 「うん、それが分からなかったらダメ出ししてる」 「部屋も予約はしたものの、食事後どうするかは雰囲気次第だと思っていたんだ。……それがわざわざ自分から差し出してくるとは思わなかった。ソニアもなかなか大胆だな？」 「……うるさいし。あと、私はプレゼントじゃない」 「そうなのか？」 「物をちゃんと用意してます。……まあ、それは後でね。そろそろいい時間だし、行こう？」 「そうだな、行こうか」 彼の腕を取る。 考えてなかったけど、こんな日に二人ともきちんとドレスアップしてたら……それはもう、大いに勘繰られるだろうなと思った。 まあ、その時はその時だ。

23 20/02/15(土)00:24:31 No.663200867

ダンソニはばっちりめかし込んで並んで歩いて欲しい…

24 <a href="mailto:s">20/02/15(土)00:28:05</a> [s] No.663201842

ガラルのモチーフは割とドレスコードにはやかましい方の国なのでセミフォーマル気味な感じでしっかり着飾ってる想定 この二人ならどんなの着るかなーって想像しながら画像検索してる時が一番楽しかった

25 20/02/15(土)00:31:12 No.663202711

ダンソニもホプユウももっといちゃいちゃしろ

26 20/02/15(土)00:34:45 No.663203711

チャンピオン期間を経てのゲーム冒頭だからどうやったって1mmも進めない関係良いよね…ほんの些細な感情を盛るだけでグエーってなれる

27 20/02/15(土)00:35:04 No.663203804

なのでダンデさんは面倒がってジョンブルスタイルを採用したい

28 20/02/15(土)00:37:17 No.663204391

この二人はフォーマルな装いでも似合うし目立ちそうだ

29 20/02/15(土)00:37:39 No.663204482

>なのでダンデさんは面倒がってジョンブルスタイルを採用したい 一着でどこ行くのも対応したいし出来れば会食とかそんなんもなるべく考えずに済ませたいタイプだよな多分…

30 20/02/15(土)00:42:18 No.663205753

チャンピオン時代はあのユニフォームで全部こなすのが求められてたからな…