虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    20/02/14(金)23:31:30 No.663183771

    何度目かになる殿堂入りの儀式を済ませた僕は、汗をぬぐってポケモンリーグの扉を出た。 外では未だに雪が降っており、薄着の下で鳥肌が立つ。 少し震えながら僕は施設の外周に沿って歩き出した。 今や僕はちょっとしたスターだったので、それゆえの配慮だ。 こんな日にはファンの人達もなかなかやってきづらいが、それでも万が一待ちぼうけをさせてしまっては申し訳ない……というのがククイ博士の教えだった。 端っこから反対の端まで往復して、声をかけてくる人がいない事を確認した僕はやっと下山する道を歩みだす。 雪の無音の中で、くしゅんという小さな音が聞こえたのはその時だ。 僕は驚いて振り返る―――変な話、例えくしゃみであっても僕は聞き分けられる自信があった。 道を少し外れた、高台の方。

    1 20/02/14(金)23:32:23 No.663184089

    書き込みをした人によって削除されました

    2 20/02/14(金)23:32:55 No.663184262

    長い金髪に、白く透ける肌。整った横顔に、美しい緑の瞳。 そこにいたのは、紛れもなく彼女だった。 降りしきる雪も手を置いた柵の冷たさも気にせず、眼下のウラウラに眼を奪われている。 「リー、リエ……?」 いつぶりだろうか。 声をかけると、彼女は驚いたように振り返る。 大きな翠眼が僕を認め、見開かれた。 「あ……ヨウさん!」 驚いた表情は一瞬で、彼女の顔に喜びが灯る。 僕がその変化に目を奪われているうちに、彼女は弾かれたように駆け出していた。

    3 20/02/14(金)23:33:09 No.663184332

    「お久しぶ、……りっ……!」 半分も来ないうちに、彼女は凍った地面に足を取られた。 なにしろラナキラの天気は依然雪であり、雪の下の地面は凍り付いているのである。 「で……わっ、わっ……っ!」 言葉を続けながら、リーリエはわたわたと手を振り回しなんとか転ぶまいと地面の摩擦に抗う。 僕は慌てて手を伸ばした。

    4 20/02/14(金)23:33:26 No.663184426

    「リーリ……わっ!」 「きゃあっ!」 伸ばした手に彼女の冷えた手が触れて、そこで僕も踏み出した雪の下に氷が張っていた事を知る。 僕たちは二人して雪の中に倒れ込む。 「いてて……」 「す、すみません、ヨウさん……」

    5 20/02/14(金)23:33:36 No.663184486

    「ううん平気だから……」 一拍だけ呆けて、それから僕は急いで立ち上がり彼女に手を貸した。 「えへへ、すみません……」 信じられなかったが、この瞳は、触れた手は、そしてこの声は紛れもなくリーリエだった。 夢かとも思ったが、身体の痛みと大気の冷たさがそれを否定している。

    6 20/02/14(金)23:33:59 No.663184640

    「いつ、帰って来たの」 雪を払いながら僕は思ったことを尋ねた。率直な疑問だったし、事前に知っておきたかったといううらめしさも少しあった。 なにしろ僕には歓迎する用意の一つもないのだ。 ”戻れそうだ”とは聞いていたけど、その仔細については不明で、見通しが立ったら連絡してくれるという約束だったではないか。 「昨日、アローラにつきました」 リーリエは嬉しそうに答えて、すぐに申し訳なさそうな表情を浮かべた。 翠眼が僕を見つめる。 「ごめんなさい、兄さまにお願いして内緒にしておいてもらったんです。  驚かせたくて……」

    7 20/02/14(金)23:34:14 No.663184727

    「なぁんだ……」 気の抜けた声が盛れる。わずかにあった棘はもうなくなっていた。 僕は唐突に、僕はこのまなざしにとても弱くて、この目で見られると大体なんでも許してしまうのだという事を思い出す。 背が伸びたからか、僕たちの目線の高さは同じだった。 「ヨウさんがポケモンリーグの防衛戦に出るって聞いていたんです。  私、カントーにいる間もヨウさんの活躍は全部読んでいたんですが、  それで、ですから、どうしてもやってみたいことがあって……」 彼女がリュックから取り出したのは、見覚えのある小さな包みだった。 「ヨウさん、リーグ防衛、おめでとうございます!」

    8 20/02/14(金)23:34:32 No.663184854

    それは、この場所ではすっかり受け取り慣れたハート型のスイーツだった。 こんなに寒いのに、頬が熱くなるのがわかる。 ファンからのプレゼントにはすっかり慣れていたが、しかし今緊張した面持ちで僕にそれを差し出しているのは他ならぬリーリエなのだ。 喉から声がうまく出てこない。 僕はぎこちなく手を伸ばして、それを受け取った。 「あ、」 ”ありがとう”というたったが五文字がつかえる。 だめだ、言わなくてはだめだ。 僕は思い切って息を吸い込んだ。 冷たい空気が喉に痛い。

    9 20/02/14(金)23:35:05 No.663185046

    「じゃあ、お母さんの身体はいいの?」 温かい紅茶を啜りながら尋ねる。 雪の山頂から降りてきたら麓もまた雨で、僕達はすっかり冷えてしまっていたので、財団の真新しい施設に泊まれるというのはありがたかった。 「はい、おかげさまでとっても良くなりました。  マサキさんという方に手伝っていただいて……  途中行き詰まったのですが、ヨウさんを見習ってくじけずに頑張ってみたら、どうにか治療法を見つけられたんです。  それにヨウさんの言っていたジムリーダーさんもすごく助けになってくれたんですよ」 にこにこと笑うリーリエを見ていると、僕の顔にも自然と笑顔が広がっていく。 直接手助けができないことをちょっと心配していたけど、リーリエはきちんとやり遂げたのだ。 そう思うと誇らしかった。 「頑張ったんだね」

    10 20/02/14(金)23:35:18 No.663185101

    「はい!」 頑張りました、と言ってリーリエはまた笑顔を見せる。 「カントーもとってもいい所でした。  ヨウさんは以前住んでいらしたんですよね?  少し寒かったですけど、綺麗で、街も大きくて、住んでいる人も優しくて……」   嬉しそうに話す姿は知っているリーリエそのままで、 それを見ているとなんだか心が温かくなっていくような気がした。 またこれから、リーリエと会って話ができるようになると思うと幸せだった。 「ヨウさん?」 大きな瞳が不思議そうに僕を見る。

    11 20/02/14(金)23:35:50 No.663185278

    「あ、ううん。変わらないなって思って」 ぼんやりとしていたのを繕うように笑って見せる。 やはり僕は、この眼に弱い。   「えへへ、そうでしょうか。  でもヨウさんはちょっと変わった気がします」 「そ、そうかな」 「はい、なんというか……  ……  落ち着きが増して、大人っぽくなりました」

    12 20/02/14(金)23:36:03 No.663185378

    じっと見つめられながらそう言われると照れ臭くなって、僕はまたカップを傾ける。 紅茶はとっくに空だった。 慌てて次の一杯を注ぐ……ちらりと見ると向かいのカップはまだ十分な量が残っていた。 「ああそうだ、あれ、食べていいかな。  さっきくれた……」 「あ、はい、どうぞ!ぜひ!」 僕は先程受け取った袋を取り出した。 ファンシーな包装を剥がして紐を解くと、皿の上にいくつかが転がり出る。 スイーツたちはどれもかわいらしいハート型をしていた。 「本当は自分で作るっていうのもあって、  挑戦してみたかったのですが時間が取れなくて……」

    13 20/02/14(金)23:36:17 No.663185467

    「ああ、あれね。僕も母さんとやってみたことあるけど、難しいよね」 僕はちょっと考えた後もう一枚皿を出して、とりわけたいくつかをリーリエの前に置いた。 「お礼。一緒に食べようよ」 何しろ僕には何の備えもなかったのだ。仕方がないじゃないか。 リーリエはちょっと顔を赤くして、それから「はい」と言って笑ってくれた。

    14 20/02/14(金)23:37:47 No.663185968

    「たまにファンだって人が持ってきてくれるけど……でもやっぱりリーリエがくれたって思うと、おいしいや」 リーリエは黙ったまま、微笑んでいた。 幸せそうな、でもちょっと何か考えてるような表情。   「あのさ、スイーツ、また持ってきてくれる?」 ふと気になったことが口をついて出る。 港での別れ以来リーリエは変わっていない、と思ったがそれは少し違うような気がした。 「その事なのですが、しばらくは、しないつもりです」 少し意外な答えで僕は目を丸くする。 いや、この感想は少し傲慢だっただろうか? 心苦しいのですが、と付け加えてからリーリエは続けた。

    15 20/02/14(金)23:37:58 No.663186033

    「ごめんなさいヨウさん。  次は私、ポケモンリーグにはチャレンジャーとして行くつもりなんです。  ですから、スイーツを届けには行きません」   いつになくはっきりした、決意に満ちた口ぶり。   「ヨウさんがやっていたみたいに、私も島巡りをするって決めたんです」 彼女の目は……そう、未来を、希望を見ているようで、勇ましかった。 思いがけず、僕の中で彼女への尊敬の念が沸き立つ。 あるいは彼女の言う僕の「かっこよさ」とはこれなのかもしれない。

    16 20/02/14(金)23:39:00 No.663186365

    「いつか私も大試練に……ポケモンリーグに行きます」 僕の視線にちょっと照れたように、リーリエは笑った。 「さっきあそこからアローラを見て、思い出してたんです。   ヨウさんと旅した時のことを。  ……ヨウさんは、私にとって、世界で一番のポケモントレーナーなんです」   「ですからヨウさん。  ずっと、チャンピオンでいてくださいね。  私が行く時まで、待っていてください」

    17 20/02/14(金)23:40:34 No.663186843

    書き込みをした人によって削除されました

    18 20/02/14(金)23:40:44 No.663186904

    ほしぐも様…… ED後に再開したらお互いちょっとカッコよく大人っぽくなってたけど お互いへの憧れの気持ちは変わってなかった感じのヨウリエです お納めください……

    19 20/02/14(金)23:41:28 No.663187117

    ぴゅいい…

    20 20/02/14(金)23:42:48 No.663187609

    ラリオ…

    21 20/02/14(金)23:48:44 No.663189623

    いいぴゅい

    22 20/02/14(金)23:53:52 No.663191460

    ヨウリエはしっとりしていて欲しい

    23 20/02/14(金)23:54:14 No.663191595

    何だい今日は… 気ぶりムシャといいみんなが「」ウリで盛り上がってる中SMの怪文書を投下する連中を見かけるが…

    24 20/02/14(金)23:56:41 No.663192451

    ヨウがハートのチョコをお返ししてるのがいいぴゅい…

    25 20/02/14(金)23:59:23 No.663193270

    前に気ぶってヨウリエを書いたものの内容がバレンタインになってしまって取っておいたものです

    26 20/02/14(金)23:59:48 No.663193408

    いいぴゅい…

    27 20/02/15(土)00:00:30 No.663193664

    基本的にツーカーだったからこそ変化に目敏く気づくのいい…

    28 20/02/15(土)00:02:02 No.663194167

    マヒナペーア!!!!!792

    29 20/02/15(土)00:02:38 No.663194367

    身長追いつくのいいよね…

    30 20/02/15(土)00:03:07 No.663194526

    チャレンジャーとしてチャンピオンに会いに行くのいいぴゅい… チャンピオンの切り札としてお出迎えぴゅい?

    31 20/02/15(土)00:04:13 No.663194858

    そうかほしぐも様はボールの中でこれ聞いてたのか……

    32 20/02/15(土)00:04:39 No.663194974

    >チャレンジャーとしてチャンピオンに会いに行くのいいぴゅい… >チャンピオンの切り札としてお出迎えぴゅい? ぴゅいだね×1

    33 20/02/15(土)00:04:39 No.663194975

    ほしぐも様気ぶり死するのでは…

    34 20/02/15(土)00:04:54 No.663195051

    なぜ今さらグズミヅやヨウリエが

    35 20/02/15(土)00:05:40 No.663195272

    >なぜ今さらグズミヅやヨウリエが EDで別れた者は再び出会う定め あたりまえのことぴゅい?

    36 20/02/15(土)00:06:11 No.663195441

    クリア後のチャレンジャー見るに島めぐりやらなくてもポケモンリーグ挑めるんだろうけど あえて同じ旅路を歩んでから挑みたいんだよね…

    37 20/02/15(土)00:10:26 No.663196739

    リーリエの視線にやられる一方みたいな雰囲気だしといてヨウもしれっと眼差しでリーリエ照れさせてるのいいぴゅい… こんなのただのラブラブカップルぴゅい…

    38 20/02/15(土)00:10:43 No.663196824

    べのめのん…

    39 20/02/15(土)00:13:31 [s] No.663197684

    個人的に意識した・気に入ってる部分は お互いに相手のまっすぐな視線で照れてる所と ヨウくんが男の子らしくしよう頑張ってる所と お互いにお互いを大好きで誇りに思ってる所と リーリエが嬉しそうにヨウさんの故郷について語るところと ヨウくんがリーリエを褒める時にあまり口数が多くない所(言わなくても大体の事は通じるため)です

    40 20/02/15(土)00:13:48 No.663197776

    尊い光ズマ…

    41 20/02/15(土)00:14:56 No.663198117

    あああとこの後同じ部屋で一泊します

    42 20/02/15(土)00:15:31 No.663198304

    >あああとこの後同じ部屋で一泊します ぴゅいーっ!!!ぴゅいーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!

    43 20/02/15(土)00:17:20 No.663198851

    財団の施設だから仕方ないね 会長は寝込んでて一番偉いのグラジオだし ……会長健在でも妨害はしてこなさそうというか時期によってはむしろむりやり相部屋にしてきそうだな

    44 20/02/15(土)00:17:27 No.663198879

    そんなのもうアローラじゃないですか

    45 20/02/15(土)00:22:20 No.663200240

    「頑張ったんだね」「はい!」 の流れがいいぴゅい…

    46 20/02/15(土)00:24:45 No.663200928

    互いにこれそういう雰囲気だよね…どうしよ…ってなるけど結局その夜はそうはならず チャンピオン戦経てからになりそう

    47 20/02/15(土)00:26:45 No.663201494

    >クリア後のチャレンジャー見るに島めぐりやらなくてもポケモンリーグ挑めるんだろうけど >あえて同じ旅路を歩んでから挑みたいんだよね… 考えてみるとリーリエの島巡りって(本人は強くないけど)強くてニューゲームみたいなもんだし ヨウの時よりも知識と交友関係でめっちゃ有利かつそれはそれで見てて面白そうな気がする 街から次の街までのイベントでハウとかグラジオとかがサポートしにくると思うと

    48 20/02/15(土)00:28:50 No.663202046

    リーリエもケンタロスでラッシュするのかな……

    49 20/02/15(土)00:29:41 No.663202265

    人の書いたヨウリエ読めるの嬉しい…ありがとうございます