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20/02/14(金)23:30:43 No.663183474

・・・・・ 2月のガラルはとても寒い。 何と言ったって冬だからね。来月には春になるはずなのにまだまだ寒さは続きそうだ。 とはいえ、今の私たちにとってはそんなの大した事じゃない。 だって、これからドキドキでホットなイベントに突入するのだから。 「ホーップ君!あーそびーましょー!!」 チャイムを鳴らして家の中にいるであろう彼に呼び掛ける。 「幼児ですかあなたは……」 隣でお嬢様が呆れた表情をするが知った事じゃないね。 とりあえず玄関の扉が開くのを待っていると、家の中からドタドタと騒がしい音が響いてきた。 「何してるんだホップ君……」 私が小首を傾げていると、やがて音は玄関へと近づいてきて、勢いよく扉が開けられた。

1 20/02/14(金)23:30:55 No.663183562

「すまん待たせたなっ!」 出てきたのは額に汗をにじませ息を荒げる我らがホップ君。 その熱気に負けないよう私も大きな挨拶をしてあげよう。 挨拶は大事だからね。 「やあやあホップ君!元気してるかい!!」 「おう!元気だぞ!」 「ホップ、随分と慌ただしい様子でしたがどうかしたのですか?」 「ん!?なんでもないぞ!?」 「そ、そうですか……」 ホップ君のあからさますぎる誤魔化しにお嬢様は気圧された様子。 まぁ、とりあえずそれは置いておくとして。 「ホップ君、私たちが来た理由はもうわかってるね?」 「お、おう」

2 20/02/14(金)23:31:08 No.663183646

良かった、それが分かってるようだったらこっちとしても話が早い。 何と言っても今日は2月14日。そう、ガラルだけじゃなく世界中で行われる愛の固形化の日。 「というわけでバレンタインだよっ!」 喜べ!と言わんばかりに諸手を上げて飛び跳ねる。 お嬢様が私を冷たい目で見てるような気がするけど気にしない! 「一応毎年渡してはいましたが、今年はちょっと凝らせてもらいましたわ」 お嬢様がそう言って手に持っていた箱をホップ君に差し出す。 「私とお嬢様の手作りチョコレートケーキ!ぜひともご賞味あれ!!」

3 20/02/14(金)23:31:20 No.663183712

私とお嬢様は去年までならお互い顔合わせてないから気にせずにチョコ渡してたんだけど、今年はもうそうはいかない。 下手に抜け駆けすると後が怖いってのはお互い様で、ならいっそ一緒に作ろうかと提案したのがほぼ同時。 やっぱ変なところで気が合うんだな私たちは。と思ったね。 一度協定が結ばれれば後は早いもの。 何を作るかのディベートは直ぐに終わってお嬢様のお屋敷自慢のキッチン(というかあれはもう厨房だね)で、 お手伝いさんのサポートを受けながらなんとか作り出したのが本日持参したチョコレートケーキというわけだ。 「あ、ありがとう!めっちゃ嬉しいぞ!!」 受け取ったケーキに込められた愛を感じ取ったのかホップ君が満面の笑みを浮かべる。

4 20/02/14(金)23:31:31 No.663183775

「ふふふ、喜ぶのは食べてからにして欲しいね。私とお嬢様が愛情込めて作ったんだから!」 「おう!せっかくだから一緒に食べようぜ。ていうかデカいなこれ」 「10号サイズだからね」 「調子に乗りすぎましたわ」 男の子だし大きい方が良いかなって思ったけど大きすぎたね。ホップ君のご家族全員でも食べきれないわこれ。 なのでホップ君のお言葉に甘えて私たちはお邪魔する事にした。 「ホップの家に来るのは元旦以来でしょうか」 「色々忙しかったからねー。ジムチャレンジは終わったけどほっとんどゆっくり出来た気がしないよ」 ホップ君がケーキを持ってリビングへと入っていく。 つまり、 「――――お嬢様!!」 階段へのルートが開けたという事だ。 「ええっ!!」 私達は合図と共に猛然とダッシュする。 目指すは2階、ホップ君の部屋。

5 20/02/14(金)23:31:41 No.663183830

「なっ!?ま、待てっ!?」 「おばさんお邪魔します!」 「あら、ユウリちゃんたちいらっしゃい」 「おばさま!後程しっかりと挨拶させていただきますわ!!」 ホップ君の制止を振り切り、おばさんに軽く挨拶をして私たちは階段を駆け上がる。 階段を登ってすぐの所にホップ君の部屋はある。 ホップ君はリビングにケーキを置いてから追ってくるつもりなのだろう。 まだ階段を上る音はしない。 私はドアを開けて部屋に突入しようとする。 しかし、ドアノブは固く抵抗し、小癪にも私たちの侵入を拒む。 「くっ……鍵がかかってるっ!」 階段を駆け上がる音が聞こえてくる。 まずい、ホップ君がこっちにやってくる。 「おどきなさい!」

6 20/02/14(金)23:31:54 No.663183905

お嬢様は私を押しのけドアノブを握り、鍵のかかっているドアを引いて――――カレンダーをめくるかのように『引っぺがした』。 飛び散る木片。舞う蝶番。 かつてドアがあった場所はただの長方形の枠となる。 ジムチャレンジという試練によって元々の天賦に更に磨きがかかり、『スパイクタウンの惨劇』を引き起こした化物じみた膂力は、未だ健在のようだ。 「流石はガラルのメスゴリランダー!!」 「次そう呼んだらあなたの頭をザクロにしますわよっ!?」 「怖っ!?ていうかお嬢様このドア内開きじゃん!!」 「安心しなさい。修理の者はこちらで呼んでおきます。今度はもっと丈夫な扉にしておきますわ」 ドアノブ(手の形にひしゃげてる)を投げ捨てお嬢様が宣った。 そういう事じゃない。 「ぬおおおおっ!?ドアが無いっ!?」

7 20/02/14(金)23:32:06 No.663183980

ホップ君がたどり着いた時、既に私たちは部屋への侵入に成功していた。 自室を守護するドアのまさかの惨状に頭を抱えるホップ君を無視して、私たちは目の前にそびえたつ『それ』を上から下までじっくりと眺める。 「なるほどね、これを見られたくなかったんだ」 天井に届くかというほどに積み上げられたチョコレート。 様々な形の箱に色とりどりの包装。 贈り主の一人一人が考えて選んだのであろうそれは、聖なる日にたった一人の男の子に贈られた物。 「随分と……人気なようですね?」 皮肉と嫉妬を隠さずにお嬢様が微笑みかける。 「いや隠すとかじゃなくてだな……なんというか、オレもあんまり飲み込めてないからさ……」 「ふーん、モテモテだねーホップくーん」 「さすがですわー」 「そういうのが嫌だから言わなかったんだぞ……」

8 20/02/14(金)23:32:19 No.663184056

棒読みの往復ビンタにホップ君はげんなりとした様子だ。 少しからかい過ぎたかな。 「言っとくけど、私だっていっぱいチョコ送られてきたからね!!たぶん君より多いよ!!」 なのでここは一発かましておこうと思う。 私の凄さを思い知るがいいさ。 「あー……ユウリなんか女性ファンめっちゃ多いものな。バレンタインなんか本番だな」 だってのにホップ君は得心が言ったと言わんばかりに頷く。 「お嬢はどうなんだ?」 「わたくしはまぁ、そこそこ。とだけ」 そりゃあお嬢様のファン層と言ったら10代から40代の男性一強に近いからね。こういうイベントじゃそんなでも無いだろうさ。 ただ一部の女性ファンが『お姉さま』という事で慕ってるらしいので、もらったチョコはそういう事なんだろうね。 なので、チョコの数に関しては私の優勝という事だね。

9 20/02/14(金)23:32:56 No.663184264

私がドヤ顔を振りまいていると、ホップ君が私を鼻で笑い、チョコの山をコンコンと叩く。 「アニキはたぶんこの10倍以上貰ってるぞ」 「凄っ……」 「流石はダンデさん……」 私たちはガラルの大スターの偉大さを改めて知る事となった。 「ほら、アニキが一番凄いってわかったんだし、いい加減ケーキ食おうぜ?」 そう言ってホップ君は私たちをうながすが、そうは問屋が卸さない。 「ねぇねぇホップ君、チョコ見せてもらっても良い?」 「良いけど……チョコ見てどうするんだ?」 「別に大した事じゃありませんよ、少し仕分けをするだけです」 お嬢様もすかさず合わせてくる。あの激闘を超えて結ばれた私たちの絆はもはや以心伝心というわけだね。 「仕分けって……」 「許可貰ったし始めよお嬢様」 「ええ、そうですわね」 びみょーに納得いってない様子のホップ君を放置して私たちはチョコの山へのチャレンジを始めた。

10 20/02/14(金)23:33:39 No.663184506

ちょっと今回長いので残りはtxtで su3650671.txt 時系列的にはジムチャレンジ後の話です

11 20/02/14(金)23:42:46 No.663187589

ながいよ…

12 <a href="mailto:s">20/02/14(金)23:47:08</a> [s] No.663189063

分けて立てれば良かったかな…

13 20/02/14(金)23:56:17 No.663192298

こういうのは勢いも大事だからなあ 分ければ読みやすいけど切れたところで勢いが落ちるから難しいところだと思う

14 20/02/14(金)23:58:24 No.663192958

読んだよ良かったよでも今日は単純に追いきれない!

15 20/02/15(土)00:01:02 No.663193827

良かった…

16 20/02/15(土)00:03:41 No.663194691

お嬢にガッツが乗り移っててだめだった

17 20/02/15(土)00:06:44 No.663195588

バレンタイン怪文書が多すぎて見切れねぇ!

18 20/02/15(土)00:10:47 No.663196848

ポケモン主人公のバレンタイン怪文書が大量に出回り首が回らなくなるという事を剣盾発売前の「」に伝えてみたい

19 20/02/15(土)00:11:43 No.663197140

マリィはいろいろなことに対してもっと怒っていい

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