虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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  • マサル... のスレッド詳細

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    20/02/14(金)01:32:44 No.662969275

    マサルがなかなかやってこない シュートシティでのバレンタイントーナメントを終えて スパイクタウンに帰ってきたけど、少しだけタイミング を外してモノレールに乗ったはずのマサルがまだ来ない。 遅延でもしてるのかな、と思ってSNSを見てみたら、スタ ジアムでのインタビューの動画が目に入った …好きな人はいますか? って質問に「秘密です」って返すのはまずかったかな。 マサルも同じ回答になったからなんか示し合わせたみたいに──いけん、やめやめ 何でもかんでもそれっぽいことに絡めてしまうのも違う。パリッとせんといけん。 待ち合わせ場所はここ、スパイクタウンの裏口だけど、ナックルシティの駅まで 様子見に行こうかな。そうして立ち上がってスカートの土埃を払ってたら、 「マリィ、いるの?」 柵の向こうの草むらから、マサルの声がした

    1 20/02/14(金)01:33:10 No.662969355

    マサルは草むらのポケモンを刺激しないように、静かにこっち側に回り込んできた 「遅くなってごめん。列車でファンの人たちに囲まれて、降りた後もずっとサインしてたんだ。 直接贈り物されたりして困ってたら、一緒だったキバナさんが助けてくれた。今度お礼言わなきゃ」 ファンの人たちに贈り物されるのは嬉しいけど、リーグの取り決めでスタッフを通してからじゃ ないと受け取れんけんね…あたしが贈ろうとしてるのは、チャンプのマサルじゃなくていつもの マサルやけん、セーフ。たぶん。 ひとまずあたしたちはトーナメントの感想を言い合った。けれど途中から、お互いそわそわして、 集中できなくなって…ようやくのきっかけは、モルペコがあたしの鞄をガサガサ漁り始めたこと。 食べられないように慌てて取り出したのは、マサルへのバレンタインデーのプレゼント。 「マリィ、それ…」 「うん、あたしの作ったチョコケーキ。手作り、一応。はい」 もっと自然に渡せると思ってたけど、ぎこちない言葉しか出てこなかった。

    2 20/02/14(金)01:33:32 No.662969424

    作ったのはチョコレートのカップケーキ。ホワイトチョコでカジッチュの目を作って、明るい色 のソースで上側を彩ってみた。形的にはタルップルのほうが似合うとー気がしたけど、渡すなら カジッチュにしたかった。 マサルがぱくりとカップケーキを口にする。あたしはそれをじっと見る。味見は何回もしたけん、 自信はあるけど… 「美味しい! マリィ、これすっごく美味しいよ!」 …よかった。よかったい。 「生地もしっとりしてるし、舌の上で溶けるみたい! 中に入ってるのはリンゴジャムかな? 甘酸っぱくて飽きがこなくて、何個でも食べられるかも! ホワイトチョコもマイルドな味わい!」 そ、そこまで言われると恥ずかしか…。 「そうだ、オレも作ってきたんだ、チョコクッキー! 男が渡すのもアリなんだよね!」 マサルが鞄から取り出したのは、あたしがいつも着けてる首飾りの形をしたクッキーと…あたしと 同じ、カジッチュの形をしたクッキー。

    3 20/02/14(金)01:33:53 No.662969493

    カジッチュの形も首飾りの形も、少し不格好なクッキーを口にする。さくり、と口に入って、噛む 度に溶けていく…美味しい。すごく美味しい。マサルみたいに一杯感想を言いたいけど、頭の中は 暖かい気持ちで溢れそうで、いつものあたしみたいな言葉が出てこない。 「美味しい。幸せな味する」 「そ、そっか! よかった!」 マサルは照れくさそうに笑った。あたしたちは肩を寄せ合って、もう一つだけお互いのプレゼント を食べる。作る時に大変だったこととか、味見しすぎたこととか、他愛なくて、大切な話をする。 「マサルは…カジッチュの噂、知っとるよね?」 「うん、ポケモンのカジッチュを好きな人に贈ると、両思いになれるっていう…」 「作り物だけどカジッチュを贈りあったし、あたしたち、もっと仲良うなるね」 「うん! でもいつかは、最高のカジッチュをマリィに贈りたいんだ」 「ふふ、ありがと。…あ、マサル、ほっぺに食べかすついとーばい。襟元にも…」 あたしは利き手でマサルの顔の襟元から、カップケーキの欠片を払って── 「マリィ?」 あ。マサルの顔、近い。

    4 20/02/14(金)01:34:27 No.662969622

    少しずつお互いの中を深めていけたらいいねって話したのは、ほんの数日前のここで。 今のあたしは、すぐ目の前にあるマサルの顔から、目が離せなくて。 「マサル、あたし、少しずつじゃ我慢できないかも」 …目を閉じたのは、どっちが先だったんだろう。衝突みたいだったような、触れ合うみたい だったような。…その瞬間を、確かに覚えていたかったから。 「もう一回」 「うん」 今度は、ちゃんと確かめ合うようにした。 …家に帰ったあとも、唇をなぞるとあの感触がはっきり思い出せる。頼りないけどいつまでも はっきりさせていたい、柔らかい思い出。 舌先で唇を舐めたら、うがいも歯磨きもしたのにリンゴジャムの味をかすかに感じて── 真っ赤になった顔をアニキに心配された。恥ずかしか…

    5 20/02/14(金)01:42:03 No.662971200

    あまーい!

    6 20/02/14(金)01:46:33 No.662972067

    同じ形で作っちゃうのいいよね

    7 20/02/14(金)01:49:04 No.662972506

    ロン……………ッゲ………

    8 20/02/14(金)01:51:26 No.662972932

    腹ァ…いっぱいペコ…

    9 20/02/14(金)01:52:30 No.662973083

    ロンゲ死にすぎてゾンビになってるな…