20/01/19(日)20:45:01 「おじ... のスレッド詳細
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20/01/19(日)20:45:01 No.656215024
「おじさーん!今日の給食カレーだったぜ!!!」 ボスの声が響き渡るのは午後9時を回った頃だ、まだギリギリ近所迷惑にはならない時間にボス達は帰ってくる。 学びにはいろいろな形がある、全うな中学や高等学校を出る物もいればそうでない物もいる。 ボスことめいは日中お「」さんやお母さん達を助けるメイドとして、そしてコナミではないが実業団水泳部、そして社員として名を連ねている。まだ12歳ではある。 冬至を過ぎたにしてもいまだ暗い朝はやくからタントで送り、プールへと向かう。そこはボスにとって修練の場であり、戦場。である。 それが終わるのが5時前、シャワーを軽く流し、塩素の香る体でボスが向かうのは夜間学校。 本来ボスは義務教育を受けなければならない年齢である。しかし日本水泳会期待のホープでもあるボスが憲法第12条を行使するにはこの選択肢しかなかった。
1 20/01/19(日)20:45:19 No.656215154
「おはよーございます!」 夕暮れを過ぎ暗い中でも中学校の玄関ではおはようございますだ。半分慈善活動で行っている教員達がボスにやさしく手をふる 「ボス、オハヨ」「ボス、オハヨネ!」 カタコトまじりのイライザちゃんやチャンくんがボスとハイタッチする。 彼らはボスより5歳上~一回り上。日中働きながら夜夜学通い、日本語の習得から因数分解まで学ぶのだ。 そして、その中には顔なじみのもいる 「おはようあおい、元気してたかー」 「おはようボス、まぁだいたいね」 あおいさんは教室の入り口側の角席で丸くなっている。あおいさんも昼はメイドとして働き、そして夜こうして学校に来ている。 みずきぃさんやハルク達とは別の道を歩んでしまった二人だが、まんざらでもない様子だ。
2 20/01/19(日)20:45:39 No.656215399
「あおい!ちゃんと7の段できるようになったかー?」 「できるよそれくらい…多分」 黒板の前ではふくよかな先生が笑いながらチョークをこすっている。 ひらがなカタカナの書き取りから掛け算割り算、Xをつかった数学まで。 この授業の範囲はバラバラだが、みな暖かく集まっている。モラトリアムではない。受けたいが為に通っているのだから志は高い。 そうしてあおいさんはようやく覚えた九九で2桁の掛け算を終えた時にベルがなる。 「よし!飯にしよう飯!」 先生は書類を教壇でトントンと整える。 1時間目が終わったら給食それから2時間目3時間目4時間目。終わるのは9時過ぎになる。 ――ただいま、おじさん。オレもうくたびれたよ ボスを暖かく迎え入れる。ボスは俺以上に働いている。あおいさんも同じだ。大事にしてあげないと
3 20/01/19(日)20:45:54 No.656215551
と思った矢先からもう寝床へと潜り込んでいる。二人抱き合って厚手の布団を二三枚 「ボス…プールくさいねちゃんと洗わなきゃだめだよ」 「めんどくせーんだよ…どうせ明日も入るんだし…」 「肌に悪いよ」 そんな会話がひそひそと聞こえる寝室をそっと閉じ俺は明日の支度を済ませ。寝床につく 「「おじさん、一緒に寝よ?」」 可愛らしい声に導かれるように、俺もまた床へつく。 頑張れボス、頑張れあおいさん。社会は厳しいかもしれないけどいつか二人が報われる日がくる。そう信じて二人の体を抱き、眠りにつく。女学生特有の温かみがこの狭い褥を包み込んでいった。 今日カレーなら明日はだめだな。明日の献立を考えながら意識は遠のいていく