19/11/20(水)00:12:24 そんな... のスレッド詳細
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19/11/20(水)00:12:24 No.640052196
そんなラファエルの顔を見て、少しだけ安堵する。 穏やかなラファエルの顔を見ると何故だか自分も嬉しい気持ちになってきて、思わず綻んだような笑みをこぼした。 「それ、買ってあげるわよ」 「え、悪いよ」 思わず出た言葉にラファエルが言葉を制すように手を差し出して、店員を呼んだ。 自分があたふたとしている内に、スマートフォンを持った店員は俺にレンズを合わせると合計金額を読み上げ、ラファエル慣れた様子で財布から黒色のカードを渡してしまう。 「良いから」 そう言ってラファエルは自分が着ていた服を店員に包んでもらい、こちらに手渡した。 「悪いね、何か」
1 19/11/20(水)00:15:46 No.640053059
自分がそう言ってばつが悪そうな顔をすると、ラファエルは苦笑いをこぼす。 「良いわよ、昨日のお詫び」 「……なあ、このまま少しウィンドウショッピングでもして帰らない?」 一瞬、ラファエルがその言葉を聞いて、また眉を潜める。 けどそれは本当に一瞬で、さっきの笑顔でまた覆い隠していく。 「……いいわね、何処に行こうかしら」 ラファエルがそう言った瞬間、自分のお腹からくぅと小さな音が鳴ってしまう。 そういえば昨日、ご飯を食べていなかった事を思い出し少しだけ頬が熱くなる。 何時ものラファエルに聞かれたら呆れたような顔でもしながら軽い罵倒でも飛ばすのかと思いきや、隣の彼女はくすりと笑い、何時もの舌鋒ではなく優しい言葉を漏らす。
2 19/11/20(水)00:17:10 No.640053415
「そうね……私も朝まだだったし、少し何か食べようかしら」 「お、おう」 また、微妙な違和感を感じた。 何かが何時もと違うような、歯車が微妙にかみ合わない感覚。 そんな自分の微妙な胸のざわめきも知らず、ラファエルは道を歩き始める。 「な、なあ」 「何?」 そう言って振り返るラファエル自身の顔を見て、喉を突きかけた言葉はもやもやとしたまま言葉にならず空中に霧散してしまう。 「……あ、いや……その、ラファエルは何が食べたい?」 「そうね、サンドイッチとか、かしら」
3 19/11/20(水)00:18:17 No.640053694
そして吐き出したかった言葉はついに喉を滑り落ちて、別の言葉が口から出てきた。 気のせいではない、何か微妙な違和感を感じ取りながら俺はウィンドウショッピングをしながら飲食街へと歩いていくのだった。 道中で色々ななんでもない様な事をつらつらと話していたような気がする。 さっき買ってもらった服や、ここら辺のお勧めのカフェの話に、見えてくるお店についての話。 けれどどれも妙に上滑りで、互いに会話がかみ合って居る筈なのに、次の瞬間にはどうでもよくなってしまうようなそんな感覚。 「ねえ、こことかどうかしら」 そう言ってラファエルは自分が知らない名前のオープンカフェを指さす。 人の数はまだ昼時前だけあってまばらで、今なら並ばずに座れそうだった。 「ああ、良いんじゃないか」
4 19/11/20(水)00:19:12 No.640053926
そう言ってラファエルと自分は店の中に入っていく。 お店の中では静かなクラシックと、コーヒーの匂いが渦巻いていて、ウェイターが時折何かを思い出したかのように商品を運んでいる。 俺たちはこちらに気が付いたウェイターに連れられ、テラス席に案内された。 席に腰掛け、プラスチック製のテーブルの上に置かれたメニューを手に取る。 一ページ目には今日のお勧めのパスタや、前菜、二ページ目以降にはパスタ、肉料理と並んでいく。 「あんたはどうするの?」 そう言ってメニューから目線を上げたラファエルがこちらを見つめる。 どれも美味しそうなメニューなのに、何処か食欲は薄れ気味の自分はメニューを机の上に広げると、ハムとトマトのサンドイッチを指さした。 「そう……じゃあ、私もそれにしようかしら」
5 19/11/20(水)00:20:02 No.640054143
そう言って手を上げようとしたラファエルより先に、自分が店員に向けて声を投げかけた。 意外そうな顔をしたラファエルを尻目に、同じサンドイッチを二つ店員に注文する。 「なあ、ラファエル」 「何かしら?」 そう言って薄く笑い顔を作るラファエルの顔を見ながら、俺は意を決したように口を開く。 「後でカラオケに行かないか」 また一瞬、ラファエルが眉を潜めた。 「……そういう柄じゃないって、知ってるでしょ」 そう言って顔を背けたラファエルに、少しむっとした自分は机の上にのせていた手を掴んで言葉を繋げる。
6 19/11/20(水)00:21:02 No.640054381
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7 19/11/20(水)00:22:45 No.640054792
「少し、話がしたいんだ、二人きりで」 「……っ、そ、そういう気分じゃ……」 「大事な話……だと思うんだ」 俺がそういうと、ラファエルは少しだけむっとした何時もの顔でこちらを見る。 「……少しだけよ」 「ありがとう」 そう言って少し安堵した自分はほっとしたような息を漏らした。 それから少し名残惜し気に手を離すと、気まずい沈黙が暫く流れた。 何を言うべきか、どうするべきかの素材は集まっているはずなのに、今一言葉にしきれない。 それから暫くして、サンドイッチが二人の間に置かれて二人でもそもそと口に運ぶ。 「ねえ」
8 19/11/20(水)00:23:26 No.640054944
暫くサンドイッチを口に運んでいると、一切れ食べて手が止まっていたラファエルが口を開く。 自分も手を止めてラファエルの言葉に耳を傾ける。 「アンタは……私が怖くないの?」 それを聞いて、口に含んだサンドイッチを飲み込み、口を開く。 「……わからない」 「そう」 「でも、わからないままになんてしたくない、と思う」 そう言って皿の上に残っていたサンドイッチを齧った。 「……やっぱり、アンタは変よ」
9 19/11/20(水)00:23:50 No.640055038
そういったラファエルは何処か疲れたような馬鹿にしたような顔を見せた。 それからまた無言が流れる。 自分はさっさとサンドイッチを食べ終え、ゆっくりと少しずつサンドイッチを食べるラファエルの事を見つめていた。 サンドイッチを食べ終えたラファエルから領収書を奪い取ると、さっさとウェイターを呼んでサンドイッチの料金を払ってしまう。 呆気にとられたままの彼女の手を引いて、今度は自分が道を歩き続ける。 「乱暴ね」 「……ごめん」 それでも足を止めないまま、雑貨店を出て地下通路を歩き続けた。 自分から掴んだ手が抜けださないように、少しきつめに握りしめる。 もう片方の手に握った服の入った袋が、時折耳障りな音を立てていた。
10 19/11/20(水)00:24:55 No.640055295
「そんな握り方、女の子に嫌われるわよ」 「……ラファエルに嫌われなければそれでいいよ」 幾つもの商店の脇を今度はわき目も振らず歩き続ける。 そうして街の外れのほうにあるカラオケ店舗へとたどり着く。 店に入ると気怠そうな店員に一室を1時間ほどで借りる。 手渡されたレシート付きの板に書かれた部屋番を確認し、ラファエルの手を掴んだままエレベーターに乗り込んで上へと登っていく。 「……ねえ、店員変な目で見てたわよ」 「……」 今度は何も返さなかった。 そうして無言が続いた後、エレベーターの安っぽい様な到着を告げる電子音が響くのと同時にまた手を引いて歩き出す。 部屋のドアを開けると、板と自分の服が入った袋を机の上に放り出し、ラファエルを先に部屋に入れて狭い席に二人で並んで座り込む。
11 19/11/20(水)00:26:32 No.640055678
「……ねえ、何か言いなさいよ」 そう言ったラファエルは怒ったような気色を漂わせている。 「……なあ、ラファエル」 そう言ってラファエルの方を向く。 突然振り向かれたラファエルは小さな部屋で身を捩って逃げようとするのを手を掴んで引き留めた。 「ずっと考えてたんだ」 「な、何を」 「……もしかして、俺を避けてる?」 そういうと、ラファエルはまた眉を顰めた。
12 19/11/20(水)00:27:28 No.640055879
「……避けてるわけないじゃない」 そういうと観念したかのように、身を捩るのを諦めたラファエルは息苦しそうな顔をしている。 俺は続けざまに、言葉を口から吐き出す。 「昨日のあれが何だったのか、ずっと分からなかった」 「……あれは、一時の気の迷いよ」 「けど、今日の電話の時、それと俺が少し泣きそうになった時からずっと、こっちを避けてる」 そう言ってラファエルの方へ体を寄せると、ラファエルは体をびくりと跳ねながら少しでも離れようと壁に追い込まれていく。 「そんなことないわよ、ただの、気のせいよ」 「ラファエル」 そう言って腕を引っ張って、ラファエルの体をこちらに向ける。
13 19/11/20(水)00:28:06 No.640056000
「なんで、そんな嘘ばっかりつくんだ」 喉のつっかえが取れたかのように、言葉が飛び出した。 ラファエルは顔をぐしゃりと歪めて、悲痛な顔を見せた。 「そんなわけないでしょ!」 そう言って振り払おうとした腕を握ったまま、ラファエルに声を投げかけ続ける。 「昨日、好きだって言った」 「言ってない!」 「けど、昨日した事が取り返しのつかないことで、俺を傷つけたんじゃないかと思った!」 「思ってない!!」 「だから、買い物を終えたときさっさと離れようと考えていた!!」 「考えてないわよ!!!この変態女装癖!!!自意識過剰なんじゃないの!!!」
14 19/11/20(水)00:28:38 No.640056099
そう言ってもう一度手を振り払おうとしたラファエルを押し倒し、きつく抱きしめる。 荒く息を吐きだし、息を整えていたラファエルが嗚咽を上げて胸の中で泣き出す。 「ヒック……アンタなんか……大っ……嫌いよ……」 「……嘘つき」 そう言って胸の中でぐずるラファエルを抱きしめ続ける。 そうしてようやく、胸の中のこの子があまりに歪な育ち方をしていたことに憐れみを覚えた。 きっと大人のふりをしようとして、自分の思いにずっと蓋をしてきたんだろう。 だからきっと、この子の甘えられる対象になってあげなくちゃいけないんじゃないかと思った。
15 19/11/20(水)00:29:50 No.640056367
「なぁ……ラファエル」 「……何よ」 そう言って涙でびちゃびちゃになった顔を手で拭ってやりながら、俺はこの子の思いに答えてやろうと思った。 「……キス、してもいいか」 「……馬鹿じゃないの」 そういって何処か諦めたように顔を背けるラファエルの顔を両手でつかんで、口に唇を押し付けた。
16 19/11/20(水)00:30:51 No.640056634
今日はここまで、もう寝ていいよ
17 19/11/20(水)00:32:24 No.640057006
大体書きたいところ全部書ききったつもりだけど、スタンダードなラファレンってこんな感じだよねっていうそんな気持ちをしたためました。 とんでもねぇ嘘つきだよ、ラファエルって女は
18 19/11/20(水)00:35:29 No.640057705
連日のラファレンありがたい
19 19/11/20(水)00:37:57 No.640058288
昨日...なんだこのラファレンは...!
20 19/11/20(水)00:38:56 No.640058523
昨日も来てたの!? 見逃してた!
21 19/11/20(水)00:38:58 No.640058529
これはもうスケベ一歩手前にゅく!
22 19/11/20(水)00:47:04 No.640060517
手前と言うかなんというか
23 19/11/20(水)00:49:38 No.640061124
魔女兵器の怪文書初めて見た
24 19/11/20(水)01:00:45 No.640063410
皆も怪文書を書いて良いんじゃよ、そんな気持ちでポチポチしてます 最初は気乗りしなかったり、思いつかなくっても気が付けばお前も好きな文字をポチポチするだけの怪文書マンになっていた 素敵ですね、夢かな? ラファレンが好きなので、多分それ以外書かないけどよぅしと息を呑んだらレッツOPEN【Win + R】タップ【notepad】 なんとWindowsならそれだけで怪文書マンだ
25 19/11/20(水)01:02:07 No.640063708
そうか 今後とも頼んだぞ
26 19/11/20(水)01:04:56 No.640064295
>そうか >今後とも頼んだぞ はい