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19/11/11(月)23:02:08 はいふ... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1573480928504.jpg 19/11/11(月)23:02:08 No.637973656

はいふりSS 今日はアプリ組の時津風の艦長の誕生日

1 19/11/11(月)23:02:56 No.637973911

「艦長ー、お誕生日おめでとうございます」  1日の終わり。  艦長室にやってくるなり、君江はにこにこと笑いながら祝いの言葉を投げかけてくる。 「ありがとう。でもきみちゃん、今朝お祝いしてくれたじゃない。二度もお祝いしなくていいわよ」 「いえいえ、おめでたい日は何度お祝いしてもいいものですよ。というわけでこれ、プレゼントです」 「プレゼントって……今朝この本をくれたばかりじゃない」 「あ、それ読んでくれてたんですね。あんまり艦長の好みには合わなさそうだと思ってたんですが」 「わかっててプレゼントしてくれたのね……」 「あはは、面白艦長になっていただければ、っていうのは本気だったので」 「ふぅ……」  そういえばそんなことを言っていたか。折角もらった手前そのまま棚の肥やしにするのも申し訳ないと思い、暇つぶしも兼ねて目を通していたのだが、どうやらもうその義理も果たさなくて良さそうだ。  相変わらず、飄々としてどこか掴み所のない子だ。呆れたように、つむぎは溜息を吐いた。

2 19/11/11(月)23:04:27 No.637974342

「まあまあ、そういう訳でもあるので、こちらが本命です。いや、こちらも、ですけど」 「プレゼントしてもらう立場でこんなことを言うのは申し訳ないのだけれど……朝と夜での二回に分ける必要はないんじゃないかしら」  今度はどんな変なものを寄越してくるのだろう、と半ば警戒しながらつむぎは君江が手にしている小さな包みに視線を向ける。  朝渡されたジョーク集の本とは違い、いかにもなラッピングをされているせいか、中身は窺えなかった。 「いえいえ、ここからが本番です。このプレゼントをお渡しする前に、艦長には私と勝負してもらいますから」 「勝負?」 「ええ。……ふっふっふ、求めよ、されば与えられんというやつです」 「その使い方はどう考えても誤用だと思うわ……」 「それで勝負の内容ですが」 「私が勝負を受ける前提なのね……」 「当然です、折角の誕生日に余興の一つもせずに終わるなんて我慢なりませんし」 「それははっきり断ったと思うのだけれど……ふぅ」  平穏を第一とするつむぎにとって、勝負というのは最も縁遠いものであって欲しいものの一つだ。

3 19/11/11(月)23:05:08 No.637974553

 正直なところ勝負と言い出した時点でプレゼントを辞退して君江にはお引き取り願うつもりだったのだけれど、どうもそうはいかないらしい。 「で、艦長とはこれで私と戦ってもらいます」 「それって……お菓子?」  君江が取り出したのは、「Fran」と描かれたスナック菓子の箱だった。 「はいっ。今日は艦長の誕生日ですが、同時にポッキー&プリッツの日でもあるんですよ。となればもう、ポッキーゲームをやらない手はありません」 「それ、ポッキーでもプリッツでも無いように見えるのだけど」 「ふふん、そのままポッキーやプリッツでやってもつまらないじゃないですか。かといってトッポはまた別にトッポの日があるので単に時期を外しただけになってしまう。そこでこのノーマークのフランでポッキーゲームをやるという訳です。面白いと思いませんか?」 「私には理解できないわね……」 「やればわかりますよ多分。さあさあさあ、早速やってしまいましょう。勝てば豪華商品ですよ」 「もう……」  結局押し切られてしまい、つむぎは渋々ながら君江が差し出したフランの先端を咥える。

4 19/11/11(月)23:06:01 No.637974807

「では、私が手で三つ数えたら勝負開始です。準備はいいですか? いいですね? では行きますよー……」  3。2。1。  つむぎの咥えたフランの逆の端を口にした君江の指がゆっくりと一本ずつ折られていき、カウントが0になる。 「ふぅ……」  同時に、つむぎは溜息と共に目を瞑っていた。 (さて──)  合図と同時に少しだけ食べ進み、君江は思案する。  半分勢いでここまで事を進めたが、そろそろ落とし所を考えなければ。  流石に、このまま最後まで食べきってしまう訳いかない。それはつむぎも嫌がるだろう。  誕生日のお祝いが嫌がらせになるのでは本末転倒だし、何よりつまらない。  そもそも、つむぎの性格上、ほぼ間違いなく早々に降参してくるだろうと君江は踏んでいた。  どの道勝ち負けに関係なく渡すつもりではあるので、彼女が降参すれば残念賞、とでも言って渡せばそれで構わない。 (で、艦長は)

5 19/11/11(月)23:06:50 No.637975057

 改めて、目の前のつむぎを観察する。  半分辺りまで食べ進めたせいで少しだけ近くなったその顔は、目を瞑ったまま微動だにもしない。 (って、全然食べてないじゃないですか)  口を動かす様子もなく、ともすれば眠ってしまったのかと思いそうなほど落ち着いたその顔は、君江が一旦食べ進めるのを止めてもまるで迫ってくる様子もなかった。  趣旨を理解していないのか、それとも単にやる気がないのか。或いは、何かの作戦か──ともあれ、つむぎは完全に待ちの姿勢を取っている。  つむぎが動かない以上、ペースは完全に君江に委ねられている、のだが…… (どうしよう……)  このパターンは考慮していなかった。これでは落とし所が見つからないではないか。  適当なところで食べるのをやめて、こちらから降参してしまうか?  それでも全く問題はないが、自分で仕掛けておいて勝手に日和るというのもつまらない気がして、どうにも踏み切れない。  しかし、このままでは。

6 19/11/11(月)23:07:40 No.637975326

(しまった、もう……)  そんな堂々巡りの思考のうちに、二人の顔はもう、鼻先同士が触れ合いそうな程に迫ってきていた。  つむぎの滑らかな白い肌が、長く整った睫毛が、かつてないほどに間近に映る。 (え、え)  その光景に、君江の思考は完全に止まってしまう。  まさか本当に、このまま、最後まで── 「……ん」 「!」  と。  不意につむぎの瞼が開かれ、君江は思わずフランを噛み切ってしまった。 「あっ……」 「あら」  ぽろりと、呆けたように半開きになった君江の唇から菓子の残りが零れ落ちる。 「えっと……私の勝ち、でいいのかしら」 「えっ、あっ、は、はいっ。あはは、艦長もなかなかやりますねえ、あはは……」

7 19/11/11(月)23:08:27 No.637975537

 つむぎの声に我に返り、君江は早鐘を打つ自分の心臓の音を誤魔化すように乾いた笑い声をあげる。 「私は何もしてないけど……ふう」 「とっ、とにかく。これで無事プレゼントは艦長の物です。改めておめでとうございます」 「ありがとう。開けてもいい?」 「もちろんです」  平静を装いながら、プレゼントの包みを渡す。  ゆっくりと袋のリボンを解いたつむぎは、中から毛糸の束を一つ取り出していた。 「あ、毛糸のセットね」 「ええ、はい。面白みはないですけど、やっぱり、こういうのが艦長のプレゼントにはいいかなと思いまして」 「ありがとうきみちゃん。素直に嬉しいわ」 「それは何より。……あ、じゃあ私はこれで」  さっきの光景が目に焼き付いて離れない。  とにかく本人から離れてイメージを振り払うべきだと君江は判断し、艦長室の戸を開ける。

8 19/11/11(月)23:10:26 No.637976111

「きみちゃん」 「は、はい。なんでしょう」 「……さっきの勝負、少しだけ面白かったわ。ふふっ」 「──」  それは、どういう意味での「面白い」なのか。  微笑むつむぎの言う意図は君江には読めなかった。 「ほ、ほら! 言った通りだったでしょう? 艦長もわかってきたようで何よりです! この調子で面白艦長になれるよう頑張ってください!」 「それは目指すつもりはないけど……」 「ではでは、おやすみなさい艦長!」 「うん、おやすみ」  ともあれ、今回は自分の負けだと言うことは認め、君江は艦長室を後にする。 「今回は完敗でしたねー……お祝いだけに……」  そんな言葉を呟きながら、君江は赤らめた顔をで苦笑するのだった。 終わり

9 19/11/11(月)23:14:06 No.637977239

エロス!

10 19/11/11(月)23:18:34 No.637978623

su3424819.txt テキスト版 今日はポッキーの日

11 19/11/11(月)23:20:50 No.637979333

つーちゃんのssとはありがたい…つーちゃんいいよね…

12 19/11/11(月)23:23:34 No.637980203

>つーちゃんのssとはありがたい…つーちゃんいいよね… いい…アプリだと相変わらず平穏の守護神してるけど…劇場版にもモブ程度でもいいからアプリ組出て欲しい…

13 19/11/11(月)23:26:37 No.637981147

かなり先生がつーきみ描いてくれて助かる

14 19/11/11(月)23:30:13 No.637982234

>かなり先生がつーきみ描いてくれて助かる ポッキーの日ネタでつーちゃん単独も描いてくれてこれは…ありがたい 次巻収録分に入るであろうつーきみ回もキテルしいいコンビだよね…

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