虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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19/09/19(木)00:30:13 「これ... のスレッド詳細

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19/09/19(木)00:30:13 No.623874158

「これでよし……と」 PCを操作しながら、そこから伸びるケーブルを目で辿る。 行き着く先にはサングラス。俺がミズノと呼んでいる正式名称Multi Inteligence Zombiee of United Nan-nano Operatingsystemではなく、また別の。 これぞミズノに改良を加えた最新型デバイスなのだ。完成も間近なのである。 今はPCに避難させていた人工知能――AIをインストールするところだ。 『幸太郎様』 AIの、アイの声。PCのスピーカーから聞こえる。 「どうした、退屈か? もう少しの辛抱だからな」 『いいえ、私は退屈を感じません。お聞きしたいことがあるのです』 「聞きたいこと? なんじゃい、言ってみんかい」 『幸太郎様のお仕事についてです』 俺の仕事。 謎のアイドルプロデューサーのことだ。 「俺の仕事がどうしたんじゃい」 『なぜ幸太郎様は、それほどまでに頑張れるのですか?』

1 19/09/19(木)00:32:42 No.623874716

『ここ数日の幸太郎様の睡眠をモニターしてきましたが、結果は控えめに申し上げてゴミのようでした。ただでさえ激務のプロデューサー業に加え私の調整まで行っていては当然です』 合成音声の限界だろう、アイの声音は元々どうしても無機質に聞こえる。 しかし今の彼女の声は、それだけでは片付けられないほどに冷たく響いていた。 『私は、私の仕事が幸太郎様のサポートをすることだと理解しています。しかし私のために割く時間が幸太郎様を追い詰めているのなら、私という存在は不要であると考えます』 淡々と、俺の抱える不合理性を説くアイ。 流石ハイテクAI、その指摘は的確だ。 だが――やれやれ、機械的なのも考えものだ。 まさか己の存在意義に疑問を感じるとはな。 「アイ。まずお前に言っておくことがある」 『伺います』 「お前は俺の優秀なアシスタントだ。だがただの使い走りなんかじゃない。俺と一心同体になってゾンビィに、アイドルに尽くすことだ」 『アイドルに、尽くす』 「そのためにはなんでもやるんだ。無理でも、無謀でもな」 『でも、それでは幸太郎様が死んでしまいます』 「本望だ。あいつらが一人でも多くを笑顔にできるのなら」

2 19/09/19(木)00:35:58 No.623875450

『……理解不能です』 「それはお前が優しいからだ」 その時、PCが電子音を発した。 インストールが完了したらしい。 ケーブルを引き抜き、新しいデバイスを装着する。 レンズの内側を膨大な情報が縦横無尽に飛び交い、最後にその名が浮かび上がる。 Invincible Nan-nano for U and I――名付けてイヌイ。 システムが起動すると、お馴染みの骨伝導でさっきよりも近くにアイの声が聞こえる。 『私には分かりません。幸太郎様の考えも、私自身の考えも』 「ゆっくり学んでいけばいいさ。でも、ありがとうな、アイ」 『ッ――き、緊急事態発生。デバイス内の温度が上昇しています。な、なナナ、ナ……』 いかん、まだ負荷が大きすぎたか? 頭に響く警報。アップデートの失敗を覚悟する。が、 『ナ、な、な……なんなの……』 その消え入るような声は、新たなアイの産声だった。

3 19/09/19(木)00:37:45 No.623875860

籍入っとる!!

4 19/09/19(木)00:38:08 No.623875938

イヌイAI…

5 19/09/19(木)00:39:46 No.623876285

なんか笑った

6 19/09/19(木)00:39:56 No.623876321

>『なぜ幸太郎様は、それほどまでに頑張れるのですか?』 AIちゃんがこの台詞を言うとは…

7 19/09/19(木)00:39:59 No.623876332

産声までなんなの

8 19/09/19(木)00:41:54 No.623876730

はいお前可愛い

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