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    19/09/08(日)21:56:18 No.621327334

    はいふりSS ココシロ

    1 19/09/08(日)21:56:35 No.621327425

    「では、今日のところはこの辺りで解散かのう」 「はい、明日はまた合同演習ですしね」 「まったく……それが分かっているなら今日は観るのをやめるという選択肢もあっただろうに……」 「ふっふっふっ、それはできんのう」 「おう、これを観んことには血の滾りが抑えられんけぇのぉ」 「はぁ……とにかく、もう今日はこれで終わりだ。ミーナさんもちゃんとシュペーに帰るんだぞ」 「うむ、二人とも、明日も頑張ろうな」 「はい! じゃあシロちゃん、私はミーちゃんを送ってきますね。お休みなさい」 「ああ……おやすみ」  晴風の副長室。例によって行われていた幸子とミーナの映画の鑑賞会がようやく終わり、二人を見送ったましろは安堵とも呆れともつかないため息をついていた。 「まったく、もうこんな時間じゃないか。これで寝坊したらみんなに示しが……ん?」  と、ベッドの上にカバーを被せられた見慣れない本が置かれていることに気づく。 「忘れ物か? そう言えば納沙さんが部屋に来た時に本を持っていたような……まったく、しょうがないな」  明日の朝にでも渡してやればいいか、と思いながらましろはその本を手に取ってみる。

    2 19/09/08(日)21:59:16 No.621328379

    「確か読書も趣味だとか前に言っていたか。学内文庫にも納沙さんが提供したという本もいくつかあったっけ」  それで、これは何の本なのだろう。なんとなく興味が湧いて、適当にぱらぱらとめくってみる。 「……こっ、これはっ!?」 「ふぅ~。これで今日の演習もおしまいだね。皆、お疲れ様」 「お疲れ様です」  翌日。早朝から行われていたシュペーとの合同演習を終え、晴風の艦橋内は和やかな空気が漂っていた。 「はあーお疲れお疲れ! 今日はいっぱい撃てて楽しかったなータマー」 「ういうい!」 「シロちゃん、お疲れ様でした!」 「あ、ああ……納沙さんもお疲れ様」  皆がお互いに労いあっている中で、ましろも幸子に声をかけられる。 「? どうしたんですかシロちゃん、顔色があんまり良くないですけど」 「そ、そうか?特に不調というわけではないんだが……」 「そうですか? ならいいんですけど……それじゃあ、私は艦の様子を見てきますね」

    3 19/09/08(日)22:00:03 No.621328684

    「そうだな……頼む」  ぎこちない様子のましろに幸子は首を傾げるが、それ以上は追求して来ることはなく、艦橋を出て行く。 「……ふぅ」  その様子に、ましろは思わず安堵の息を吐いていた。 『催眠術入門……だと?』 昨晩。幸子が忘れていったと思わしき本を見ながら、ましろは困惑の表情を浮かべていた。 『なんでこんなものを……いや、単なる雑学として興味があるだけか?』  ただ、こんなものを読むのは間違いなくミーナではなく幸子だという確信があった。 彼女の雑学趣味を考えると、そう考える方が妥当だからだ。 『いや、待てよ』  しかし、ましろはそこである一つの仮説に思い至る。 『まさか……催眠術を誰かにかけようと考えている、とか……』  もし、そうだとすれば。  その「誰か」になり得るのは──

    4 19/09/08(日)22:00:26 No.621328839

    『いや、いくらなんでもそれは……』  否定しようとして、最近検閲した彼女の航海日誌のことを思い出す。  あれは確か、例の映画に対する皆の興味をもっと高めたいというような内容だったはず。 『やっぱり……納沙さんは催眠術を使って晴風クラス皆を仁義のない感じに洗脳しようとしているのか……?』  夜更かしによる精神の高揚、そして疲労のせいだろうか。  ましろは、そんな結論に至ってしまったのだった。 「そろそろ気づく頃だろうか……」  演習を終えた晴風が学校の港に向かう中で、副長室に戻ったましろは、件の本を眺めていた。  もしも昨晩の仮説が正しいのなら、これをおいそれと返してしまうのはまずい。そう思って朝は切り出すことができず、結局こんな時間になってしまった。  しかし、危険物でもなければ規則や道徳に抵触するような有害図書でもないこれを、理由もなく没収するというわけにもいかない。  もちろん、このまま勝手に処分したり隠したりして素知らぬふりをするというのは論外だ。  ならば── 「先手を取るしかない、か」  意を決してそう呟き、ましろはその本を開くのだった。

    5 19/09/08(日)22:01:06 No.621329102

     夜。 「シロちゃん、ちょっといいですか?」  コンコンというノックの音がして、遅れて幸子の声が聞こえる。 「納沙さんか。どうしたんだ?」 「実は昨日、本をここに置き忘れてしまったみたいで……シロちゃん、見てませんか?」 「ああ、あれか。ほら、これ。やっぱり納沙さんのだったのか」 「はい、これです! ありがとうございます!」 「まったく……私の部屋に通いすぎてちょっと気が緩んでるんじゃないのか」 「えへへ、ごめんなさい」  やはりか、とましろは内心で思いながら本を手渡す。幸子はそれを受け取りながら、照れ笑いを浮かべた。 「ところで、それは何の本なんだ?」  さて、ここからだ。  ましろは努めて平静を保ちながら、素知らぬふりをして幸子に尋ねる。 「これはですね……実は、催眠術の入門書なんです」 「催眠術? なんだってまたそんな」

    6 19/09/08(日)22:01:42 No.621329342

    「ちょっと雑学的に興味があって。ちょうど前に読んでた本が読み終わったので、読んでみようかと」 「そうなのか」 「あれ、もしかしてシロちゃんもこういうの、興味あったりするんですか?」 「興味というか……実は、昔ちょっとだけ齧ったことがあるんだ」 「ええっ!?そうなんですか?」  ましろがそう言うと、思った通りに幸子が食いついてくる。 「ああ。開運のおまじないなんかを試したりしてた時に、少しだけだけど」 「じゃ、じゃあ他の人に催眠術をかけたりとかできるんですか!?」 「かかるかどうかはわからないけど、一応、簡単なやり方くらいは。……試してみるか?」 「はい!是非!」 「えっ」  二つ返事で誘いに乗る幸子に、思わず虚を突かれてしまう。まさかここまであっさり乗ってくるとは思っていなかった。 「はい?」 「い、いや、何でもない。じゃあちょっとだけ……」  とにかく、これで計画通りだ。ましろは慌てて平静を取り繕い、幸子を部屋に招き入れるのだった。

    7 19/09/08(日)22:02:06 No.621329502

    「じゃあ始めるけど……納沙さん、利き腕はどっちだ?」 「右です」 「なら、右手をぐっと握ってくれ。それから、親指の爪をジッと見るんだ」 「こ、こうですか?」 「そう。そうやって見ているとドンドン意識が集中して、納沙さんの右手はドンドン硬くなる。そうだ、石のように固くなっていく……私が3つ数えると、もうその手は開かなくなってしまう。1……2……3……はい、固くてもう開けない。……どうだろうか」 「……わ、ホントだ!?開きません!」 「嘘だろ……」 「ほ、ほんとですよ!」  成功だった。幸子は握ったままの手をぶんぶんと振りながら驚愕している。  まさか本当にかかると思っていなかったものだから、ましろも驚いてしまった。 (でも、これなら……)  そこで、ましろの中である考えが鎌首をもたげる。 幸子に先んじて例の本を読破して中身を覚え、実演し、タネを知っていることを見せて幸子を牽制する、或いはそもそも、催眠術など効くわけがないと理解させる──というのが、当初の計画だった。

    8 19/09/08(日)22:02:27 No.621329613

     しかし、ここまであっさりと幸子に催眠術をかけられるのなら、さらにもう一段踏み込んだ対処ができるのではないか? 「あ、あのー、シロちゃん。これ、そろそろ戻せませんか?」 「……あ、ああ。すまない」  我に返って、ましろはぶんぶんと首を振る。まさか、催眠術など本当に使えるわけがない。どうせ納沙さんがかかったふりをしているだけだろう。 「じゃあ三つ数えるから、それで戻るよ。1……2……3……ほら、もう開くはずだ」 「おお、ホントだ……シロちゃんにこんな特技があるなんて、びっくりしちゃいました」 「そ、そこまで大したものじゃないが……そうだな、じゃあもう一つ試してみるか」 「え、まだあるんですか?」 「ああ」  予想外の出来事に目を輝かせる幸子に、どこか後ろめたさを覚えながら、どうせ合わせているだけだろうと思い直して言葉を続ける。 「じゃあ、深呼吸をして、息を吐く度に力が抜けるようところを想像してくれ。これから数字を数えるから、どんどん深い催眠に入っていくんだ。10……9……」

    9 19/09/08(日)22:02:56 No.621329791

     本に書いていた通りの言葉を口にしながら、ましろは数字を数えていく。  すると、だんだんと幸子の目がとろんとしてきて、ぼんやりとした表情に変わり始めた。 「1……0。……納沙さん? どうだ?」 「……」  返事はなかった。幸子はぼんやりとした顔のままゆらゆらと小さく揺れている。その姿は、とてもましろに合わせて芝居を打っているようには見えない。 「演技……じゃないのか……?」  恐ろしいほどに順調だった。まさかここまでかかりやすいとは思わなかったけれど、想像、或いは妄想豊かな性質の影響なのだろうか。 「よし、じゃあ──」  ──思えばその時、魔が差したのか。それとも、まだどこかで幸子が演技をしているとタカをくくっていたのだろうか。  催眠術であの映画に関する興味そのものを絶ってしまえば平穏が手に入るのではないか?  と、そう思ってしまったのだ。 「それじゃあ、納沙さん。想像してくれ。これから納沙さんはあの映画への興味を無くしてしまう。そしてもちろん、皆にも広めたいと思わなくなるんだ。ほら、1……2……3……」  気づけばましろは、そんな言葉を口にして。  パン、と手を叩く。

    10 19/09/08(日)22:03:04 No.621329864

    スレッドを立てた人によって削除されました

    11 19/09/08(日)22:03:22 No.621329985

    「はい、おしまい」 「……はっ!? 私、今どうなって……」 「別に何も。それより、今日はもう遅いしそろそろ寝たほうがいいんじゃないか?」 「そ、そうですね……じゃあシロちゃん、おやすみなさい」 「ああ、おやすみ」  少し混乱しながらも帰っていく幸子の背中を見送って、ましろは気が抜けたように椅子に腰を下ろした。 「……まさか、な」  最後まで本気で催眠術にかかったような反応を貫くとは、納沙さんも大した演技力じゃないか。  そんな言葉を口の中で転がして、飲み込む。 「……さあ、もう寝るかな」  せいぜい、日誌に今日のことが載るくらいだろう。それなら最悪検閲してしまえばいい。そんな風に楽観視して、ましろは眠りについた。  それから、数日が過ぎて。  また新たな演習のために海に出た晴風は、単身演習場となる小さな島を目指していた。  航海は至って順調で、ともすれば退屈だという贅沢な悩みが出る程に平穏だった。

    12 19/09/08(日)22:04:45 No.621330534

    「おはようっ。メイちゃん、ココちゃん、当直お疲れ様」 「二人ともおはよう。その様子だと、特に変わったことはなかったみたいだな」 「おはよー。うん、昨日も何にも無かったよ。ふぁ……眠……」 「こちらに記録はまとめておきましたので、後で確認をお願いします」 「ああ、ありがとう。二人ともお疲れ様」 「ゆっくり休んでね」 「そうするー。ふぁーあ……」 「……」 「? ココちゃん、どうかしたの?」 「……あっ。い、いえ、何も。眠くてボーッとしちゃってました」 「あはは、ほんとにお疲れ様。しっかり休んでね」 「はいっ。では、失礼しますね」  そうして艦橋を出ていく幸子と芽依を見送り、明乃達は自分達の配置につく。 「あ、あのぅ、宗谷さん」 「知床さん? どうかしたのか?」

    13 19/09/08(日)22:05:42 No.621330871

    ずるい女だ…

    14 19/09/08(日)22:06:38 No.621331226

     ましろも同様にいつもの立ち位置に行こうとして、後ろから鈴に呼び止められた。 「ええっと、その、ココちゃんのことなんだけど」 「納沙さんがどうかしたのか?」 「うん。最近、なんだか元気がないような気がして……この前も体調が悪いって言って授業を休んでたでしょう? 宗谷さんなら何か知らないかなって」 「……すまないが、私もわからないな」 「そっか……ごめんね、変なこと聞いて」  不安そうな顔のまま配置に戻る鈴に、後ろめたさを覚えてしまう。  わからない、というのは勿論嘘だった。むしろ心当たりしかない。  あの日──ましろが催眠術をかけた日から、納沙幸子には確かに異変が起きていた。 続き su3299359.txt 思ったよりも長くなってしまった

    15 19/09/08(日)22:07:37 No.621331673

    エロ催眠かと思ったら違った シロちゃんもそこまでマヨネーズ溜まってる訳ではなかったんだな…

    16 19/09/08(日)22:12:35 No.621333732

    シロちゃんは性欲の塊だけど常識はあるから…

    17 19/09/08(日)22:13:59 No.621334282

    むっ!

    18 19/09/08(日)22:14:05 No.621334304

    >幸子艶やかな色の唇が目に飛び込んでくる。 >次いで目に入った彼女の潤んだ瞳に やっぱりスケベじゃのう真白…

    19 19/09/08(日)22:14:38 No.621334512

    あれ?シロちゃんのベッドでシロココしないの?

    20 19/09/08(日)22:16:13 No.621335133

    ここで押し倒すを選ぶと(例の画像)ルートに突入します

    21 19/09/08(日)22:17:12 No.621335553

    催眠かけて最終的に抱いたらシロちゃんがクズになっちまうー!

    22 19/09/08(日)22:20:58 No.621336957

    >ここで押し倒すを選ぶと(例の画像)ルートに突入します どの画像だ…

    23 19/09/08(日)22:22:23 No.621337474

    まあいい友達でいたいよね… それはそれとしてえっちしろ!

    24 19/09/08(日)22:28:27 No.621339769

    >どの画像だ… su3299426.jpg

    25 19/09/08(日)22:32:14 No.621341064

    >どの画像だ… su3299440.jpg

    26 19/09/08(日)22:33:11 No.621341369

    例の画像が多すぎる…

    27 19/09/08(日)22:38:14 No.621343220

    ココちゃんが泣くところで俺も泣いちゃった

    28 19/09/08(日)22:45:18 No.621345545

    何度見てもいつもの画像がヤる事ヤッてんのにその顔すんなや!すぎる…

    29 19/09/08(日)22:54:36 No.621348557

    今考えてるみなみさんとハードボイルドさんの話いつ書けるだろうか…

    30 19/09/08(日)22:55:18 No.621348762

    思った以上に力作だった