虹裏img歴史資料館

1 19/07/30(火)23:54:47 No.610831954

「…私、この色が良いなぁ」 鮮やかに並べられたポリッシュ液を見て、彼女がそうポツリと零した。 「………何？」 「こっちの色の方が…良いなって」 眉間に皺を寄せたプロデューサーさんに上目遣いで彼女が呟く。 「…いや、お前の色はもう決めてある」 吐き捨てるような声を聞いた彼女もまた、眉間に皺を寄せて詰め寄る。 「ちょっとくらい良いじゃないですか！私だって選んでみたいんです！」 まるでそう来ると思っていなかったように、プロデューサーさんが口をポカンと開けた。 開けて3秒。口が閉じられ、唇がへの字を結ぶ。 「…なーにをバカな事言っとんじゃい」 「バカって…幸太郎さん！」 「大馬鹿じゃろがいこんボケェ！」

2 19/07/30(火)23:55:03 No.610832043

「お前はなーーーんにもわかっとらん！」 彼女に指を突きつけて叫ぶと、腕を組む。 「大体お前にそんなセンスあるんかい！」 「センスとかどうとかじゃなくて！私はこの色が良いんです！」 「はぁ～！きゃわうぃいね～！オフでやってくだしゃ～い！！！」 「オフなんて滅多に無いじゃないですか！」 「作ってますぅ～！お前等のために泣く泣～く作ってますぅ～！」 「それに外出る時も絶対幸太郎さんがメイクするし！」 「…わざわざ外出る時に絶対メイク？」 ふと気になってしまった疑問が自分の口から出ると、二人はこちらを見てから再度顔を見合わせた。 「「………えへへへへぇ」」 こちらに笑いかけてくる二人。 …今は喧嘩しちゃってるけど、普段は仲良しさんなのかな？

3 19/07/30(火)23:55:14 No.610832106

そんなこんなで今の状況に。 まだ叫び合っている二人を見て、ふぅっと一息。 「ほれ見ろ！ネイリストさんも呆れとるじゃろがい！」 「いえ、お気になさらず…」 「ネイリストさんにこ～んな謙遜させてぇ、恥ずかしくないんかお前はぁ！」 「…そ、そやんか事言ったってぇ！」 自分の方をチラッと見て俯く彼女。 「いえ！ほんとに気にしなくて良いので…」 「どうだ1号！なんか思うところ無いんかぁ！？んん！？」 「…うぅ～」 「あの～ほんとに～…」 苦笑いで声を出すけれど、二人には届いていない様子。

4 19/07/30(火)23:55:35 No.610832191

「俺が選んだ方が絶対に綺麗に見えるんじゃい！」 「…」 「俺以上にお前等の事わかっとる人居ますか！？居らんじゃろがい！」 「…でも」 「あぁん！？なんじゃ…」 「でもぉ、私はぁ、こっちが良かよぉ…」 俯きながらスカートを握り締める彼女。 震えた声を聞いて、プロデューサーさんの顔が青くなる。 「あっそのっいやっ」 「………」 慌てて腕をぶんぶんと振るプロデューサーさん。 …なんだか、彼女を不機嫌にしちゃった彼氏さんみたい。 「…だぁーもう！わかったわい！好きにせんかーい！！」 自身の髪をぐしゃりと握って叫ぶ。 ぽかんとしていた自分に一礼をした後、プロデューサーさんは唇を尖らせて部屋を出て行った。

5 19/07/30(火)23:55:53 No.610832275

「…そのぉ、こんな感じでお願いします」 彼女がおずおずと渡してきたイメージ図を受け取って、合う色を用意する。 …左手がグレーの右手がピンク。 ピンクはわかるけれど、グレー？ でもまぁ、どうしてもこの色って感じだったし。聞かなくてもいっか。 彼女の手を取って、メイクを始める。 「…悪い人じゃ、無いんですよ」 ゆっくりと、言葉を零し始める彼女。 「普段はあんな調子なんですけど、ここぞって時にはしっかりしてくれるんです」 「いつも誰よりも、私達の事考えてくれてて。大事に思ってくれてて」 「だから皆も口に出さないけど、幸太郎さんの事信頼してます」 「………もちろん、私も」 えへへ。と笑う彼女の手に、マニキュアを塗る。 「幸太郎さんが考えてくれてたネイルも、きっと…ううん、絶対私にピッタリだと思うんです」 「だから、我儘言っちゃった私が悪いんです」

6 19/07/30(火)23:56:09 No.610832359

「確かに幸太郎さんの選んでくれるのは綺麗だし…その、可愛く見えるんだと思います」 「実際いつもメイクし終わると、褒めてくれて」 「やーらしか！とか、はい可愛い！とか」 「嬉しい、です。褒められて嬉しくならないわけ無いです」 「だけど」 「…ほんとに私の我儘なんですけど」 「幸太郎さんに選んで貰うんじゃなくて、私が選んだモノで褒めて欲しいんです」 「私のチョイスで、可愛い！って言って欲しくて…えへへ…」 「…でも、幸太郎さん怒らせちゃったなぁ…」 「でもでも！幸太郎さんも悪いところあると思うけん！」 「いくらなんでもあんなに否定する事無かよ！」 「確かに私の事誰よりもわかっとるだろうし、今日だって時間あったら絶対に幸太郎さんがしてくれっと！」 「もしかして幸太郎さん、自分の色で染め上げたいだけなんじゃなかと！？」 「もー！思い返したらムカムカしてきとよぉ！」

7 19/07/30(火)23:56:33 No.610832470

ぷくーっと頬を膨らませる彼女。 そんな彼女の爪を塗りながら、自分の口の中が一つの味で染まっていくのがわかった。 …あっまあああああああああああああああああああ！！！！ えぇ！？付き合ってないの！？これで！？嘘でしょ！？はぁー！！ ああああ！コーヒー欲しい！ブラックで！ 感情が表に出ないように、唇を真一文字に結んで作業を続ける。 もうじき終わり…絶対外の自販機でコーヒー…。 「…あっ」 突然何かに気付いたような声を出した彼女を見る。 「えっと、あの…」 妙にテレテレとしている。なんだろう。 「何処でも、いいんですけどね」 「…その、サングラスをですね、入れて欲しいんです」

8 19/07/30(火)23:56:47 No.610832539

顔を赤くしている彼女。 自分の中で一本引いていた線が、崩れた。 素早く手を伸ばして、彼女の左手を取る。 黒の液を着けた道具を薬指に。 「…え」 うん。出来た！我ながら良い出来栄え！ 「あ、あの！こ、ここ、この指は！」 顔を更に真っ赤にした彼女が、自分に何かを言わんとしている。 そんな彼女の両肩に手をポンと置いて、首を振る。 「…皆まで言わなくていいの」 「えぇ！？」 わかってるから。大丈夫。

9 19/07/30(火)23:57:08 No.610832627

「さく…1号、そろそろ私の番なんだけど」 「愛ちゃ…3号ちゃん！ちょっと待ってぇ！」 慌てる彼女の背中を押す。 「ちょ、ちょっとぉ！？」 押しに押して押し込んで、困惑している彼女を部屋から出す。 「あのぉ！？ど、どういう！？」 「想い、きっと伝わるから」 茹蛸のように赤くなる彼女。 「次の人どうぞ～」 「あ、はい。お願いします」 待っていた黒髪の子を部屋に入れて、椅子に座っててもらう。 立ち尽くしている彼女にサムズアップをして、扉を閉じた。 …あ～、二人の行く末が楽しみ～！このお仕事請けて良かったー！ 彼女の綺麗な笑顔のように、自分にも笑顔が浮かんだのがわかった。

10 19/07/30(火)23:57:47 [sage] No.610832802

まぁ、気ぶるでありんすよね 書きんした

11 19/07/31(水)00:00:59 No.610833573

はー抱きなんし！！

12 19/07/31(水)00:04:22 No.610834416

気ぶりネイリストきたな…

13 19/07/31(水)00:04:36 No.610834479

幸太郎はん！！！1111抱きなんし！！！！5

14 19/07/31(水)00:05:22 No.610834675

気ぶりネイリストはん！ GJ！！

15 19/07/31(水)00:06:08 No.610834885

公式でこんな爆弾投下されるとは思わなんだ… そして死んだ

16 19/07/31(水)00:06:37 No.610835008

ネイリストの人はさぁ････

17 19/07/31(水)00:07:48 No.610835283

イチャつき過ぎでありんす！！ もっとやれ！！！

18 19/07/31(水)00:08:27 No.610835418

ネイリストの人は本編見てたのかな...

19 19/07/31(水)00:10:31 No.610835931

さくらはん可愛すぎでありんす！！ わっちも気ぶるでありんす！！ 幸さく最高でありんす！！！

20 19/07/31(水)00:10:44 No.610835984

わっちもネイリストになってさくらはんの薬指にネイルしてえでありんす！ 幸太郎はんでも可！！

21 19/07/31(水)00:13:13 No.610836590

ここで幸太郎はんがさくらはんの薬指のさんぐらすに気づく話も見たいでありんす！

22 19/07/31(水)00:13:14 No.610836597

結婚したでありんす！！！

23 19/07/31(水)00:13:22 No.610836633

わっちの骨は2人の情事が眺められる枕元に埋めておくんなし…

24 19/07/31(水)00:15:21 No.610837094

ここで気ぶらずいつ気ぶるというのだ…！

25 19/07/31(水)00:17:58 No.610837742

>「俺が選んだ方が絶対に綺麗に見えるんじゃい！」 >「…」 >「俺以上にお前等の事わかっとる人居ますか！？居らんじゃろがい！」 >「…でも」 >「あぁん！？なんじゃ…」 >「でもぉ、私はぁ、こっちが良かよぉ…」 >俯きながらスカートを握り締める彼女。 >震えた声を聞いて、プロデューサーさんの顔が青くなる。 >「あっそのっいやっ」 >「………」 >慌てて腕をぶんぶんと振るプロデューサーさん。 >…なんだか、彼女を不機嫌にしちゃった彼氏さんみたい。 >「…だぁーもう！わかったわい！好きにせんかーい！！」 >自身の髪をぐしゃりと握って叫ぶ。 ただのカレカノでありんす！早く抱けでありんす！

26 19/07/31(水)00:18:01 No.610837757

やーらしか過ぎる…

27 19/07/31(水)00:18:39 No.610837902

気ぶるなって方が無理です

28 19/07/31(水)00:21:44 No.610838668

気ぶりネイリストは良い仕事をするな…

29 19/07/31(水)00:22:48 No.610838904

やーらしか！やーらしか！

30 19/07/31(水)00:25:42 No.610839665

お外でも気ぶり花魁が大量発生してたと聞く…

31 19/07/31(水)00:25:48 No.610839692

甘い！甘いでありんす！

32 19/07/31(水)00:28:06 No.610840295

痴話喧嘩すら可愛いとかどういうことでありんす？ はよ抱きなんし！

33 19/07/31(水)00:32:40 [sage] No.610841513

「お疲れ様です。今日はありがとうございました」 「お疲れ様です。いえいえ、今日は楽しかったです」 ライブが終わり、帰り支度をしているとプロデューサーさんが現れた。 笑顔を浮かべる自分を見て、疑問符を浮かべるプロデューサーさん。その遠く。道の曲がり角から、チラチラとリボンが見える。 「あの子に聞いてあげてください。今日どうだったか」 彼女の方を指差す。振り向くプロデューサーさんと、ビックリしたのか揺れるリボンとピンクの髪。 「おぉ！？1号お前何やっとんじゃいそこで！」 「…え、えーっとぉ…えへへ…」 観念したのか姿を現した彼女に笑顔で近寄るプロデューサーさん。…もう一押し、要るかな。 「彼女のネイル、見てあげてください。お似合いですよ」 「…はぁ…どれ、見せてみんか…なんで隠すんじゃい」 「うえぇ！？いや、それは、その」 埒が明かないと踏んだのか、背中に逃がされている彼女の手を掴んで引っ張りだすプロデューサーさん。 …指を一本ずつ眺める視線が、左手の薬指で止まる。 真っ赤な顔の二人を見て、ガッツポーズをして家路に着くのだった。

34 19/07/31(水)00:33:59 No.610841806

続きありがたいでありんす…ｽｩｰ

35 19/07/31(水)00:34:18 No.610841897

なぞの気ぶりネイリスト 三菱琴乃

36 19/07/31(水)00:34:22 No.610841910

ネイリストはん！あんさんは偉い！グッジョブ！

37 19/07/31(水)00:34:42 No.610841993

そんなどっかの声優さんみたいな名前なんでありんすか！？

38 19/07/31(水)00:35:25 No.610842176

わっち昇天しそうでありんす…（ｽｩｰ

39 19/07/31(水)00:36:23 No.610842431

左手の薬指にキスしなんし！！

40 19/07/31(水)00:37:28 No.610842709

よか…マシーンになるでありんす よか…

41 19/07/31(水)00:43:26 No.610844196

>「俺が選んだ方が絶対に綺麗に見えるんじゃい！」 >「俺以上にお前等の事わかっとる人居ますか！？居らんじゃろがい！」 この傲慢さと無自覚惚気がたまらん！

42 19/07/31(水)00:45:37 No.610844744

ナイス気ぶり！