19/05/20(月)23:14:00 ぶち……... のスレッド詳細
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19/05/20(月)23:14:00 No.592860388
ぶち……してや……ころ……ぶちこ…… 朝起きてすぐの脳内巽幸太郎会議（内一名乾）で、あらかじめ乾を縄でふんじばっておいて正解だったな。 簀巻きにされた状態でとんでもない事をブツブツと呟き続ける男から目を逸らし、ここまでを思い出す。 万難辛苦を乗り越え、ついに訪れた世界レベルの大企業とのタイアップチャンス。 これが通ればフランシュシュも全国区にまで羽ばたいていけるだろう。 …ただ、こういうモノには裏があるのが世の常だ。 大企業。有名所なだけあって、根回し活動中に何度も聞いていた事だった。 『あそこの社長さんは、手癖がね…』 良くある話だ。権力を振りかざし、魅入った者を食いものにする。 俺のやーらしかゾンビィ達に手は出させん。だが、リスクを背負ってでも大きすぎる程のリターンが、チャンスがそこにあった。 『…さん、私共はフランシュシュというアイドルグループでして…』 チェキ会の時の写真を見せてやれば、驚く程アッサリと食いついた。
1 19/05/20(月)23:14:26 No.592860565
メンバー全員で来るように。そんな要求に応え、全員をメイクし、車に乗せて目的地に向かう。 「本当にあんな大企業とタイアップなんてね…」 「いよいよアタシらも世界に名を響かせる時が来たってこっちゃろ！」 「あの会社さん、こんなに大きくなってたんですね」 「リリィは何回かあそこがスポンサーの番組に出たよ！」 「あいぃ…大きい建物でありんすねぇ…」 「うぅ～どやんしよ～緊張してきちゃった～…」 「ｳﾞｧｰｳ」 「このゲソくれると？…たえちゃん…ありがとね！」 「ｳﾞｧｱｳ!」 「あーもう静かにできんのかいお前らはぁ！！相手に粗相の無いようにするんだぞわかったかぁい！！！！」 「「「「「「はーい」」」」」」 「ｳﾞｧｰｲ」
2 19/05/20(月)23:14:55 No.592860758
ビルに入り、指定された部屋でフランシュシュを並ばせて待つ。 待つ事四半刻、社長である高齢の男性が現れた。 「「「「「「よろしくお願いします！！」」」」」」 「おぉ、君たちが！事前に聞いていた通り、可愛い子達ばっかりだねぇ」 賞賛され、照れるゾンビィ達。だが、そのすぐ後に固まる笑顔。 舐めるような、品定めをする厭らしい視線。対象でもなく、気にする事もそう無い男の自分でも露骨だと感じるのだ。彼女達は、とっくに気付いているだろう。 「どうでしょうか、私達フランシュシュは」 並んでいる彼女達より数歩前に出て、話しかける。 「いやぁ予想以上だよ！これなら、ウチのイメージアイドルを任せても良いかもしれないね」 「そうですか！なら」 「だけど、やっぱり大きな役割だ。彼女達を、もっと良く知りたいなぁ」 …こいつは…
3 19/05/20(月)23:15:10 No.592860884
再度、品定めするように順に目をやる男。 自分を見られた際に、身体を強張らせる彼女達。 さくらが見られた際に、暴れる乾。 「…君、名前は？」 男が話しかけたのは、さくらだった。 あっ乾お前転がって移動しようとしたな！身動きとれんように縄を補強してやるわい！ 「はっはい！一号です！」 「一号ちゃんかぁ…」 ニヤニヤと小汚い笑みを浮かべ、自分に視線をやる男。 「…一号、こっちに」 さくらが呼ばれ、身体がビクッとしたのを見て俺に彼女達の咎めるような視線が突き刺さる。 「無理か？」 さくらの前に行き、小声で問いかける。 「…頑張ってみます」 ああ、さくらならそう返すだろう。卑怯な手だ。
4 19/05/20(月)23:15:34 No.592861054
男の前に歩いていくさくら。 縄をチリチリと削っていた乾の手からカミソリを没収する。 「グラサン！お前、本気か！」 「アンタ…最っ低よ…」 「ひどいよ！たつみ！」 「巽さん！これは、アイドルの仕事では！」 「ｳﾞｩｩ!」 「わっちは慣れていんす！さくらはんではなく、わっちを…」 背後から小声で彼女達の糾弾が聞こえる。 わかっている。だがこの機を逃したくはない。恨んでくれていい。 彼女達の声に一切反応を返さず、改めてさくらの横に立つ。 …隣に立ってさくらを見ると、少し、震えていた。 あっ乾お前足擦って火起こして自分ごと縄焼こうとしたな！足先までしっかり縛ってやる！
5 19/05/20(月)23:15:53 No.592861194
…てやる…ぶちこ…ころし…ころしてや… そして、今に至る。乾お前うるさいな。 「一号ちゃん、っていうんだよね。趣味とか、あるのかな」 「えぇと、お菓子作りを、良くしてます」 「へぇ！お菓子作り！見た目通り可愛らしい趣味なんだね」 「…えへへ…」 引き攣った笑みを浮かべるさくら。…何故だか、無性にいつものさくらの笑顔が見たくなった。 「あっそうだ！僕はねぇアイドルと握手してみるのが夢だったんだよ。してみても良いかな？」 「はっはい」 差し出された男の手を握るさくら。…マジで血の涙流す奴初めて見たぞ乾。 「あぁ～感動するなぁ～」 もう一方の手でさくらの手を覆うように握り締める男。笑みが更に引き攣るさくら。 貴様ァアアアアアアアアアッ！！このっこのォオオオオオオオオオアアアアアアアア！！！ 本当にうるさいぞ乾。
6 19/05/20(月)23:16:28 No.592861401
乾に猿轡をし、脳内から現実に戻る。 「本当に柔らかいね！ちょっと冷たく感じるけど、落ち着くよ！」 「………どうもぉ」 男はさくらの手を味わうように、揉み解すように握る。背後から殺気を感じる。サキだろうな、これは。 まだ、手を握っているだけだ。…まだ。 「…本当に、可愛いね」 …これまでの笑みを更に深くしたような、下卑た笑み。 さくらの手を握っていた手の内の片方を、さくらの腕に伸ばし、二の腕を握った。 「ああ～、なんて柔らかいんだ。ずっとこうしていたい…」 さくらの身体が、大きくビクつく。 …まだだ。まだ、さくらは耐えている。これさえ耐えれば、ここさえ耐え切れば、後は安泰なのだ。 だが、これ以上は苦しいだろう。仕事の話を切り出そうと、口を開け、二人をハッキリと見据える。 そして、俺は気付いた。彼女達には、背中しか見えない。男には、嬲っている腕しか見えていない。だが、俺には見えた。さくらの頬を、濡らすモノが。 ブチッ
7 19/05/20(月)23:17:02 No.592861632
ブチッ？何かが切れる音が、ハッキリと頭に響いた。どこで何が切れたんだ？ 周りを見ても、何も無い。おかしい。アレだけハッキリと聴こえたのに。 確かに聴こえたよな。お前はどう思う？乾。 脳内で静かになっていた男を見やる。そこには引き千切られた縄と、どこかへ走っていく乾の姿。 ちょっ待てっ待たんかい！！乾！！！おまっ何する気だ！！ちょっと誰か！あいつを捕まえてくれぇ！ 近場に居た力強い巽幸太郎に呼びかけると、ナイススマイルを浮かべ、俺を羽交い絞めにした。 …は？ え、なんで？？ちょちょっと！？俺じゃない！乾だ！あいつを捕まえてくれ！！そ、そこの巽幸太郎！頼む！ 遠くへ走り行く乾の近くに居た俊敏な巽幸太郎に呼びかけると、神妙な顔持ちで頷き、俺を前から羽交い絞めにした。 …は？ お、おい！！お前ら！！何考えとんじゃい！！え？お前も不満だったろ…？…いやそりゃそうだけどさぁ！！今晴らしたらここまでの苦労全部水の泡じゃろがい！！！てかなんだこの状況！？なんで俺と俺で俺がサンドされてんじゃああい！！ あぁ待って身体動き出した乾落ち着いて話せばわかるからやめて早まるなやめてぇえええええええええ！！！
8 19/05/20(月)23:17:21 No.592861756
「イダダダダダダダ！！」 "俺"はさくらの腕に伸びている男の手を、握り潰してやろうという勢いで力を籠めて掴み、引き剥がす。 「幸太郎、さん…？」 放り投げるように手を離すと、尻餅をつく男。真っ赤になった手を押さえながら、こちらを困惑と憤怒の目で下から見上げてくる。 「な、何をしたのか、わかっているのか！！」 "俺"は庇うようにさくらの前に立ち、サングラスを外す。 サングラスの下にあった冷ややかな目で男を見下ろし、口を開く。 「ぶち殺すぞ」 あ～あ～もうどぉにでもなぁれ～～
9 19/05/20(月)23:17:56 No.592861952
…その後の事は思い出したくない。 部屋を出て駐車場に向かう途中、サキには背中をバンバン叩かれるわ、愛にはまったく、遅いのよ…と花を満開にして言われるわ、純子には信じてましたよ、巽さん。と理解者面して言われるわ。 リリィとゆうぎりには満面の笑みで見つめられるわ、たえには頭を甘噛みされるわ。 そして、なによりしんどかったのはさくらだ。部屋から駐車場まで。そして車を降りてから屋敷につくまで、何も言わずにずっと俺の裾を摘まんで背後を歩いていた。 片腕が動かせないし、歩く速度も意識しなければいけなくて歩きづらいったらありゃしない。あと乾が奇声あげるから本当にやかましかった。 いやだって源さんだぞ？ 黙れ。
10 19/05/20(月)23:18:22 No.592862096
屋敷に着き各々が自由に行動する中、俺はソファーに体育座りして不貞寝する。今日は本当に厄日だった… …好感度調整…効くかなぁ…そもそもなんで上がってるんだ…誰がこんな仕事取って来たと思っとるんじゃい… フランシュシュが全国に羽ばたいていくチャンスだったのに、結果は盛大なマッチポンプをしただけ。 「はぁ…」 …今の時代、有象無象で終わらないために何かを切り捨てるのは良くある事だ。それはお前もわかっているだろう、乾。 ………。 お前は俺だ。俺と同じ頭脳だ。俺と同じ、行動原理だ。なのにお前ほんっと邪魔するよな。 すまん。 えっいきなり素で謝るなよ気持ち悪い。…まぁ確かに俺も我慢してたさ。正直、お前みたいに行動起こしたかったさ。 ………。 それにな。
11 19/05/20(月)23:18:46 No.592862235
膝の間に挟んでいた頭を起こし隣を見る。いつの間にか、さくらが同じように体育座りで俺に寄りかかりながら眠っていた。 「…えへへぇ…」 どんな夢見ているのかはわからないが、満面の笑顔で眠るさくら。 今日は間違いなく厄日だ。…だが、まぁ、悪い事ばかりじゃないかもな。 だろ？ お前は黙ってろ。
12 19/05/20(月)23:19:13 No.592862389
はい乾可愛い
13 19/05/20(月)23:19:34 [sage] No.592862504
なんだかんだ良い空気吸ってる乾はんが書きたかったでありんす 書いたでありんす
14 19/05/20(月)23:23:57 No.592863847
後でその社長の元へやーらしかゾンビィ(メイクなし)を向かわせよう
15 19/05/20(月)23:25:58 No.592864493
愛する女の涙は男を動かすでありんす…
16 19/05/20(月)23:29:17 No.592865590
ここは殴るしかないよな
17 19/05/20(月)23:31:11 No.592866240
サンキュー乾！
18 19/05/20(月)23:31:27 No.592866345
su3079541.txt わっち自身は前に書いたこれと同じ世界線のつもりで書きんしたが単体でも楽しめるように作ったでありんす 作れ…てる…？
19 19/05/20(月)23:34:56 No.592867831
（幸太郎さんと幸太郎さんと幸太郎さんと乾君の間に挟まれたかーっ！）
20 19/05/20(月)23:35:14 No.592867943
スカッとした
21 19/05/20(月)23:35:26 No.592868022
よかったい
22 19/05/20(月)23:42:42 No.592870627
この先の活動に絶対支障でるやらかしだろうが ここで殴らなきゃ男じゃないとも言える
23 19/05/20(月)23:46:21 No.592871965
愛ちゃんリリィはひくひくしながらも愛想笑い浮かべて我慢しそう 花魁は上手くいなしそう 純子はビンタする サキは殴る たえは噛む
24 19/05/20(月)23:50:13 [sage] No.592873339
あっちなみにさくらはん以外がこの目に合った場合は脳内のそれぞれ推しの各巽幸太郎が乾はんの代わりをするでありんす この仕事の時点で詰みでありんすな
25 19/05/21(火)00:06:33 No.592878749
ほかパターンもかきなんし！
26 19/05/21(火)00:06:51 No.592878852
フランシュシュ愛されてるな
27 19/05/21(火)00:07:38 [sage] No.592879067
>ほかパターンもかきなんし！ えぇ…文量えげつない事になる…