ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
19/05/01(水)22:27:10 No.587983547
見慣れた景色だ。俺の住まいとなっている洋館、その私室。そこには染みだらけの天井が広がる。なるほど、その染みを数えていたら朝になってしまうだろう。 「静かにしなんし……静かにしなんし……」 仰向けに倒れた俺は、冷たい床と柔らかい死体に挟まれていた。時計の奏でる音と外から聴こえる虫の鳴き声、そして目の前の薄い唇の荒い吐息だけが耳を満たす。 (俺は、なんで) 「幸太郎はんが悪いでありんすよ」 ぬるりと、染込むように入り込む湿った女の声。おぼろげに揺れる俺の頭には理解不能で、しかし自然と受け入れていた。 「俺が、悪い?」 「あい」 目の前の赤い瞳を見つめる。きりりとした鼻梁と蛾眉は超然とした美しさがあった。しかし今その眼には淫靡な光がらんらんと輝く。今まで見た表情で一番艶やかでみだらだった。 「ゆうぎり」 「あい。幸太郎はん」 この俺、巽幸太郎が愛してやまないゾンビィの一人。アイドルグループフランシュシュの伍号と呼ばれる彼女が無邪気にほほ笑む。彼女は俺に跨っていた。俺はゆうぎりに、押し倒されていた。
1 19/05/01(水)22:27:24 No.587983630
「美しいで、ありんすね」 「うっ」 体温のない手が俺の胸を撫でる。既にシャツは乱れて素肌がさらけ出されて。自分にはない心音を写すように、彼女は俺の身体に纏わりついている。 (なんで、こんなことに) また思考する。酒臭い胡乱な頭で考える。俺は選択を間違えたのか。汗をなめとるようにちろりと舌を出した彼女から目をそらして、今日の出来事を思い出していた。肥前夢街道再生プロジェクト、ではないが佐賀の忍者村は寂れて久しかった。客足は遠く、掘っ立て小屋はようやく形を残して、意味不明な動物まで飼っている始末。せめて人を呼べればと我々フランシュシュが立ち上がったのはついこの間の話。 「忍者言うんはこの時代におるんでありんすか?」 「いないとは思うけど、ゆぎりんの時代にはいたの?」 「それに近いものは」 「おったんか!?」 「影ながら人を護る、そのような御仁はいつでもいるでありんす」 「それもいわゆる忍者ですよね」 フランシュシュの印象的な会話だった。彼女たちは言われた通りアイドルとしての仕事を全うし、佐賀を着実に救っている。忍者村の日は落ちて、舞台は幕を閉じた。
2 19/05/01(水)22:27:36 No.587983696
「本日はありがとうございました、巽さん」 「いえいえ、こちらこそ今回はお招きいただき誠にありがとうございます」 「フランシュシュさんのパフォーマンスのおかげで最近ないような客入りです。ぜひまた来てほしいですね」 「ありがとうございます! またお声がけください。どうぞよろしくお願いします」 そんな営業トークで締めくくり、イベントを終えて。後はゾンビィどもと撤収しようかと思った時だ。 「たつみー」 「なんじゃいリリィ、準備は終わったんかい」 「うん、でね、ゆぎりんが」 「あぁん?」 日が傾く中、フランシュシュの一員であるところの星川リリィがゆうぎりの不在を報告に来た。それは一大事と探しに行こうとするせからしいゾンビィどもは車で待たせ、俺だけで探すことになった。二次遭難を恐れたためだ。しかし (意外じゃのう)
3 19/05/01(水)22:27:48 No.587983761
源さくらや二階堂サキのような問題児ならともかく、日頃優等生なゆうぎりが迷子とは。そう思ったが、フランシュシュの中でも生きた時代の違う花魁であるところのゆうぎりだ、仕方がないのかもしれない。とすると危険な目に合う可能性も高い。そんな思いが芽生えて、心の中で焦りが浮かんできた。足がせわしくなる。 (まだ施設内にいることはわかっているが) なんとなくゾンビィの居場所なら把握できる、それがネクロマンサーとしての能力の一つ。ゆうぎりの場所へ最短距離で夕暮れの中ひた走る。適当に掴んだスコップは鋭い白刃が煌めいていた。 (拉致されそうになっていたゆうぎりを見つけて、下手人を片っ端からシャベルで処したんだ) 現場を確認して場当たり的な犯行と考えて俺たちはそそくさと立ち去った。警察に絡まれると俺たちもまずいからだ。その晩に俺の部屋へと訪れたゆうぎりが持ってきた酒を飲んで、酌を注がれて調子に乗って深酒して。 (こうなっている、のか)
4 19/05/01(水)22:28:00 No.587983836
ゆうぎりに手を出すな――、誰それの言葉が頭に響いて、濡れた淫音に溶けて消えた。確かにそのたおやかで鮮烈な彼女の姿に惚れない男はいないだろう。多くを魅了してきた彼女、ご多分に漏れず俺もその一人に落ちかけていた。 (分相応を心得る、あまり得意じゃない話だが) 身分違いどころか人間とゾンビィ、始まりすら終わっている。だから俺はあくまでもプロデューサーとしての責務をこなすことで全てを捨てることが出来ていた、はずだった。 (それがこうして、一方的に抱かれている) ゆうぎりはその豊満な肉体といっそ鮮やかな手練手管で俺の身体を慈しんでいる。情けないことに触れられるがまま反応してしまっている俺はやはり男として負けていた。 「っ!」 「んふふ、我慢は必要ないでありんすよ」 「くぅっ」 導かれるがまま、促されるままに満たされて、溜まった穢れを零していた。もうすでに耐えることすら馬鹿らしい。しかし俺は瀬戸際で踏みとどまっていた。それは俺がこの行為を呑み込めていないからだ。
5 19/05/01(水)22:28:14 No.587983902
「俺が何を、したんだ」 俺が悪いと彼女は言った。俺の行った業を数えればきりがない。思い当たる節が多すぎる。それでも、不可解だ。ゆうぎりという女を見てきたからこそあまりに突然だった。 「本当にわからないでありんすか?」 「ああ、そうだ」 「だったら今日出来事を思い出しなんし」 呆れた声でヒントまで出して、しかし俺の掘削をやめない。電撃がビリリと時折走って顔をしかめる。歯を食いしばりながら今日のことを考えた。 「悪漢からわっちを助けたでありんしょう」 「ん、それはそうだな。しかしそれはプロデューサーとして、当然のことだ」 「そうだったかもしれんせん。でもそのお姿は、刀を振るう鬼神のごとき姿は、わっちのここを押しつぶしたでありんす」 愛撫する手と別の手で下腹部に触れる。濡れそぼったその花は熟れて咲き乱れていた。シャベルで悪漢を叩き落としただけだが熱が入りすぎたらしい。どちらにしろ花魁のツボを知らない男には詮無き反省だった。
6 19/05/01(水)22:28:27 No.587983982
「や、やめろゆうぎり。こんなことをしても意味なんてない」 「意味?」 彼女による攻勢の濁流にのみこまれそうになった時、苦し紛れの一言。彼女は手を止めて、俺の目を覗き込むように這い上がった。その目は爛々と真紅に輝いている。 「意味、意味ならばわっちがここにいる意味はなんでありんすか?」 「それは、佐賀を救うために」 「理由は知っているでありんす。意味を聞いているんでありんしょう? 花魁が、アイドルをする意味、でありんす」 ぐいと、唇が触れんばかりに近づいたゆうぎりは。涙すら流しそうに歪んでいる。 「わっちである意味、花魁がここにいる意味。花魁はアイドルをやるもんではありんせん」 「そう、か」 「当然でありんす。奉仕するのが花魁の生きる道、アイドルとは似て非なるもの」 「だから、こうして俺に奉仕しているのか」 「それが目的、でありんすよね? わっちは、わっちはおんしが生き返らせたんでありんしょう!」
7 19/05/01(水)22:28:41 No.587984040
いっそまたビンタされた方が良い、そう思えるほど痛々しい言葉だった。佐賀を救うという目的は与えているつもりだが、彼女にとってそれは生き様にはならずに、いつまでも迷子になっている。 (あの翁のことは、言い訳にもならんか) 彼女が問うているのは、俺が求める意味。佐賀を救うためにアイドルをする、というのは滅茶苦茶だが理由にはなる。それでもゆうぎりである意味があるのかということ。 (そういうことならば) 「きゃっ」 両手でゆうぎりを持ち上げる。やーらしか声が聞こえてもこのリーチで抵抗は無駄だ。ひょいと彼女をひっくり返して背中から抱きすくめた。 「幸太郎はん!」 「なんだ、意味が知りたいんじゃないのか」 「っ! 幸太郎はん、当たっているでありんす」 硬く熱く滾っている俺の一物をゆうぎりの臀部に押し付ける。先ほどまでの行為からはち切れんばかりになっているが、彼女の童女のような反応に更なる隆起を見せた。
8 19/05/01(水)22:29:00 No.587984157
「花魁に求めている価値なんてものは関係がない。お前はコイツに奉仕する必要はないんだ」 「でもわっち、わっちはそれじゃあ」 「傍にいろ」 赤く染まった耳元で囁くように呟く。面倒な理屈なんて必要ないから。俺の望みだけを押し付けることにした。 「俺はお前が欲しかっただけだ。ずっとそばにいろ、ゆうぎり」 「――――あい。ほんに、おんしはずるい殿方でありんす」 借りた猫のように身じろぎしないゆうぎりを、さらに強く抱きしめる。弱弱しく握る彼女の手が、深く冷たく突き刺さっていた。
9 19/05/01(水)22:36:25 No.587986559
抱き・・・・抱いてるでありんす!
10 19/05/01(水)22:38:50 No.587987292
エロかーー!!!
11 19/05/01(水)22:40:37 No.587987834
わっちコンロ点火!
12 19/05/01(水)22:41:47 No.587988189
わっちを抱きなんし!
13 19/05/01(水)22:43:13 No.587988696
花魁汁発射!!
14 19/05/01(水)22:44:35 No.587989124
抱かない言う取るやろがい!
15 19/05/01(水)22:46:19 No.587989663
抱きなんし! 小難しいこと考えずオナホにしなんし!
16 19/05/01(水)22:47:24 No.587990001
姐さんも高身長だけどそれ以上に巽はデカいからな…
17 19/05/01(水)22:48:00 No.587990179
それでも火照った体と心は静まらず 妥協案として抱かれたまま自らを慰めることに…
18 19/05/01(水)22:48:38 No.587990407
>小難しいこと考えずオナホにしなんし! お前はゾンビィだが道具ではない
19 19/05/01(水)22:49:54 No.587990800
抱くのが駄目ならオナり合えばいいじゃない
20 19/05/01(水)22:50:12 No.587990897
花魁はいかに高貴と言えど男を悦ばせる仕事だよね
21 19/05/01(水)22:56:07 No.587992836
エロいけど切ない…
22 19/05/01(水)22:59:18 No.587993872
ずっとそうやって生きてきた姐さんからしたら何もされないと自分の存在意義に疑問を持ってしまうのも無理はないのかな… 巽!はよ抱かんね!!
23 19/05/01(水)23:00:38 No.587994335
そこらの夜鷹や湯女とは違って花魁だからなぁ… 物心ついた頃には遊郭で下働きが当たり前だ その世界しか知らなかったのだ…
24 19/05/01(水)23:01:18 No.587994569
よか…
25 19/05/01(水)23:09:10 No.587997248
愛憎に溺れぬよう愛を食べて必死に生きてきた自由を知らぬ美しい金魚よ 今こそ愛を知って自由に泳ぐのだ