虹裏img歴史資料館

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19/02/20(水)23:46:10 乾幸太... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1550673970270.jpg 19/02/20(水)23:46:10 No.570982755

乾幸太郎は、伝説と言われるものが好きだった。 祖父から聞いた伝説の花魁が始まりだったか、父が好きだった伝説の昭和のアイドルの歌謡曲が始まりだったか。 幼少期に女装して伝説の特攻隊長に弟子入りしようとした時には既に伝説の虜。ポケモンをすれば伝説パで友達に対戦を拒否される、そんな子供だった。 中学生の頃、彼は近所の伝説の山田たえと、犬の真似で伝説になるべくあちこちで吠え立てた。 その時に出会ったのが伝説の不幸少女、源さくらであった。伝説が大好きな乾は犬の真似を即座に辞め、彼女の後方理解者面になった。 それから高校に入りアイアンフリルが伝説になると、センターである水野愛にも当然のようにハマった。 さくらと愛の二人が事故死して、彼は悲しみのあまり伝説の山田たえと再び犬の真似で伝説になろうとしたが、当然挫折。 そんな折にテレビで見たのが伝説の天才子役、星川リリィだった。勿論ハマった。そして死んだ。神はいないと思った。 伝説の山田たえは乾家の愛犬ロメロとの死闘の末、大人のキスを乾に残し世を去っていった。 そして、それからは長らく伝説不在の冬の時代が続いた。乾にとっては地獄であった。

1 19/02/20(水)23:47:15 No.570983076

純子も複数人での活動に慣れ、伝説の本領が発揮され出した。 フランシュシュの人気は爆発的に伸び、佐賀ではフランシュシュを知らない者は田舎ゾンビィ扱いである。さすがは伝説。 その一方で、伝説の巨人豪剛雄が危うくリリィの正体に勘付きそうになったり、伝説の特攻隊長の相方であった初代総長に思わずサインを貰いに行きそうになったりとトラブルもあった。 しかし一度壁を乗り越えた伝説たちはそんなものでは止まらない。 凡人・乾幸太郎がわざわざ何かしなくても、伝説たちは自分たちで問題を解決し、さらに飛翔していくのだ―― などと思っていた矢先、伝説の不幸少女源さくらが記憶を失った。いや、戻ったと言うべきか。 彼女は超絶ネガティブな状態となり、その伝説的暗黒のオーラは今やフランシュシュを覆いつくそうとしていた……。 「……で、屋敷を出ていったわけか。わかった、探しに出てくるからお前たちは待っとれ」 「乾くん」 「なんじゃい。帰って来ても大人のキスの続きはせんぞ。…あの時、犬の唾液の味がしたんじゃい……」 「そう……すまなかったわね、乾くん」

2 19/02/20(水)23:47:37 No.570983207

「えっ」「!?」「喋った!?」「たえちゃん!?」「き、ききききキス。。。。。」 突然流暢に喋り出したたえに驚愕する一同を尻目に、幸太郎はロメロを連れてさくらを探しに駆けずり回った。 そして、警官に撃たれそうになっているところをすかさずCUT-IN。無事さくらを救出することができた。 さくらはきょとんとして乾の顔を見つめ……。 「誰?」 「乾です。アイアンフリルのCD貸した」 「………えっ。えええええええええええええええ!!!?」 こうしてさくらは混乱したまま虹の松原へ連れていかれることとなった。 さくらは記憶を取り戻したことよりも激しく動揺した。 どうして伝説マニアの乾くんが。確かにフランシュシュの他のメンバーはいかにも乾くんが選びそうだけど……。 そう思うと動揺していたのが落ち着いてきた。納得だった。

3 19/02/20(水)23:48:00 No.570983335

「……それで、乾くんは何で私を蘇らせたと?」 「佐賀を救うためにな。伝説の力が必要だったんだ」 「わけわからん…それなら、私なんていないほうがよかよ。伝説は伝説でも不幸な伝説やけん」 「……なあ源さん。その言い草だとフランシュシュでアイカツしたくないのか?」 「乾くんは私がしたいって思っとっと?」 「ああ。だってなりたかったんだろ、アイドルに」 ごくあっさりと、当然のように乾はそう言った。あまりに気負いも何もなかったので、思わずさくらも頷きそうになったほどだった。 いけないいけない。これ以上皆に迷惑をかけてはいけないのだと、さくらは自分を戒めた。 「…そんなことなかよ」 「嘘をつくなよ。水野愛と一緒に踊ってたーって聞いて嬉しかったんだろ?」

4 19/02/20(水)23:48:39 No.570983521

どきり、とした。 なんでそんなことまでわかってしまうんだろう、と。少し照れながら、さくらは言葉を続けた。 「……なんでそんなことがわかると?」 「俺が今、憧れの伝説たちと仕事をしていてめっちゃ興奮してるからだ」 「…………はい?」 「源さんも水野愛に憧れてただろ?なら、口では何言ってたってぜーったい喜んでる。そういう意味で俺と源さんは同士と言えるかもしれないな…」 「……はぁ~…」 乾もさくらも、憧れの人たちに囲まれている。 テンション上がるのは当然だよね?とゾンビィとか不幸とか、まるで気にした様子もないお気楽な口ぶりで乾はそう言った。 その様子に唐変木やら伝説マニアやら、色々言いたいことが浮かんでくるが、死んだとかそういうのが途端にバカバカしくもなってきた。

5 19/02/20(水)23:48:58 No.570983621

「…私、乾くんたちとアイドルやった記憶なかよ」 「聞いたかもしれないが、源さんはゾンビィになった当初記憶が全くなかった。だが、それでもライブは成功した」 「本当と?中断終了とかになっとらん?」 「……まあ、なってはいたが」 ほらやっぱり、とさくらは頬を膨らませた。 急いでフォローするように乾は付け加えた。 「だが、今更そんなことでフランシュシュの奴らは源さんを見捨てたりしない。何といっても伝説だからな」 「…乾くんはどうなん?……って、聞くまでもなかよね」 何せ不幸な生い立ちを知っても、後方理解者面を崩さなかった男だ。 うぬぼれる様だが、今更一度の失敗が加わったところで自分を見捨てるようには思えなかった。

6 19/02/20(水)23:49:50 No.570983874

「……わかった。もう一回だけ、やってみる」 「そうか、よかった」 フランシュシュのメンバーはどうかわからない。記憶のない自分を本当に仲間と思っているかどうかさえ。 けれども、目の前の伝説厨は知っている時から変わっていなかった。 自分も信じることはできないけれど、そんな彼だったら信用してもいい、そんな気がした。 「あ、言い忘れていたが、皆には俺の事を内緒にしておいてくれ」 「別にそのままでよかっちゃない?」 「いや。とある人の助言で、いつも明るいがどこか陰を持った有能なプロデューサーを演じていてな」 「………その演技、やめたら?」 少なくともさくらにとってはそんな変なグラサンよりも、目の前の元クラスメートの方がよっぽど信用出来る。 ……けれど、言うのはちょっと悔しいので、それは言ってやらないことにした。

7 19/02/20(水)23:50:26 [sage] No.570984077

おわり 何故か続いてしまいましたがこれで完結です

8 19/02/20(水)23:55:16 No.570985519

乾!気が付け! それは愛だ!(愛ちゃんの事ではない)

9 19/02/20(水)23:56:14 No.570985817

動機が趣味みたいなもので笑ったけどそこから愛に移行しなんし!

10 19/02/20(水)23:57:46 No.570986304

伝説マニアめ…!

11 19/02/20(水)23:58:34 No.570986519

たえちゃんロメロに殺されてる…

12 19/02/20(水)23:59:09 No.570986678

ロメロつええ…

13 19/02/21(木)00:00:17 No.570987008

>たえちゃんロメロに殺されてる… ロメロもたえちゃんに亡き者とされてるから…

14 19/02/21(木)00:01:12 No.570987334

でもなんでたえちゃんの口からロメロの味が

15 19/02/21(木)00:01:16 No.570987357

伝説を殺したロメロもまた伝説だったのです

16 19/02/21(木)00:03:05 No.570987916

伝説厨は自分の恋心には気が付けないんだ…

17 19/02/21(木)00:03:21 No.570987991

犬を噛み殺して犬に噛み殺された伝説の女

18 19/02/21(木)00:03:22 No.570987995

なんなの!?

19 19/02/21(木)00:07:08 No.570989094

カラッとした乾くんいいな…

20 19/02/21(木)00:10:23 No.570990035

>「なんじゃい。帰って来ても大人のキスの続きはせんぞ。…あの時、犬の唾液の味がしたんじゃい……」 嫌すぎる…

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