19/02/20(水)23:12:48 百鬼丸... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1550671968992.jpg 19/02/20(水)23:12:48 No.570972190
百鬼丸は蟻地獄と再戦する事にした。巣穴の前に立ち、火を付けたダイナマイトを放り込んで耳を塞いだ。 陰嚢に響く轟音がして、泡を食ったような顔の蟻地獄が這い出してきた。脇に抱えるのは片や百鬼丸の右足、片やでらべっぴん。なけなしの家財道具である。 蟻地獄の目がギロリと百鬼丸を睨めつけた。いきなり人ん家を爆破したのはてめーか!死ね! ここで蟻地獄の心に逡巡があった。武器に使うべきはでらべっぴんか右足か?やや迷って右足を選んで振り下ろす。迫り来る右足に、百鬼丸は己の右腿を掲げて応じた。 血を滴らせる右足は未だ傷塞がらぬ右腿の先と見事に合わさった。百鬼丸は素早くかすがいをガンガン打ち付けて足を固定した。もう引っ張っても捻ってもどうやっても外れない。 「うえーん!」 心の足しを奪われた蟻地獄は敗走した。みおの住む土地に束の間の平和が戻った。 「兄貴ー!右足が戻ったんだな!」 全てが終わってからノコノコどろろがやってきた。再会して帰路に着くのもつかの間、どろろの丸い目がさらに大きく見開かれた。 「あれって…」 山から黒煙が上っている。優しい声で歌う、みお達の家が燃えている。
1 19/02/20(水)23:13:16 No.570972347
百鬼丸は石段を駆け上がった。本堂を焦がす炎の温度を感じ、倒れるいくつもの白い魂を見た。子供の姿はどこにもない。 百鬼丸の目は石段の隅に座る魂を見た。惨劇から目を背けるどろろのものである。 百鬼丸の耳は穴蔵から出た獣のような声を聞いた。それはみおの声である。 「おんどれら、ワシの家に火ィかけるってのはどないな了見じゃー!」 みおはめちゃくちゃに強かった。盗んだ刀で侍相手に大立ち回り、一人残らず片付けて、今は生き残りの胸ぐらを掴んで揺さぶっている。 侍は答えず怯えるばかりである。みおはその懐からサイフを抜き取って中身を改め、舌打ちをした。 「全然足らんわ。早よ帰って残りも取ってこい!フケたら殺すぞ!」 ドスの効いた声で凄んで、侍の顔にタンを吐いて蹴りをくれた。侍は小便を漏らしながら何処かへ逃げた。 「兄貴…」 どろろが百鬼丸の袖を引っ張った。二人は目の前の惨劇に背を向けて、石段を静かに降りた。 石段を降りた二人は山道を駆けた。駆けながら百鬼丸は吠えた。愛した女の声を思い出して慟哭した。 鬼よりも恐ろしいものがこの世にはある。百鬼丸よ強くなれ。
2 19/02/20(水)23:14:40 No.570972850
みおは死んだ…
3 19/02/20(水)23:28:02 No.570977154
大自然に生きる女は恐いのう・・・
4 19/02/20(水)23:47:29 No.570983167
コメントに困る
5 19/02/20(水)23:59:32 No.570986779
みおちゃんしんで悲しい