虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

19/02/16(土)15:50:46 No.569877251

白い少女は斜めから差し込む日の光に気付き、おやっと周りを見渡す。 オレンジ色の世界をバックにカラスたちの合唱がリンリンと頭の中へと響いてきた。 白い癖の付いた髪からのびる二房をたなびかせ、やおらに立ち上がると大振りに腕を引く。 空に一筋の白い大波の曲線ときらりと光る銀色の曲線が見え、水滴と共に白い少女の手に返ってくる。 水面に大きな波紋が広がるのを見送り、少女はぽつぽつと空言を交えつつ帰り支度を始めた。 竿を背負い、クーラーボックスを肩にかけ、最後に名残惜し気に湖上をみつめる。 散々見つめた湖上に別れを告げ、大きくため息を吐くと未練を断つように大振りに振り返った。 暫し進むと背後からちゃぽんと水の音が聞こえた。 すっかり日も落ち、道々を歩く人々の足もどこか急ぐように見える中、透明な二枚扉から出てきた白い少女は少し重くしたクーラーボックスと共に帰途に就くのであった。