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19/01/31(木)23:33:44 「ゆぎ... のスレッド詳細

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19/01/31(木)23:33:44 No.566127875

「ゆぎりん、昨日はどうしてあんなウソついてたの?」 星川リリィはリビングでロメロを撫でていたゆうぎりにそう問いかけた。 前作 su2862968.txt ソファに腰掛けている彼女は、何のことかと記憶を探って答えに行きつく。 「ああ、幸太郎はんとのことでありんすか」 それは昨日、彼女が巽幸太郎を『兄様(あにさま)』と呼んだ一連の出来事であった。 「リリィはんが幸太郎はんをにぃに、と呼んでいるのを見て・・・つい」 「からかっちゃったの?」 「ええ。わっちには兄様などおりんせんから」 「でもゆぎりんがにぃにに憧れてたのはホントだよね」 リリィに言葉に、ゆうぎりは驚いて目を見開いた。

1 19/01/31(木)23:34:17 No.566128017

「わっちは教えていないはずでありんす・・・」 「忘れちゃった? リリィ天才子役だもん。演技してても本心がどうかなんてみればわかるよー」 えへん、と小さな胸を反らすリリィ。彼が年齢以上に大人びているのはゆうぎり自身も分かっていたことだが、もしかしたら自分よりもそうなのかもしれない。 言うはずの無かった本心を言い当てられ、ゆうぎりは少しだけ素直な感情を吐露し始める。 「あの時リリィはんが羨ましい、と思いんした。あんな風に殿方に素直に甘えることは、わっちには終ぞ無かったでありんす。甘えさせるのは幾度となくやりんしたが・・・」 独白と共にゆうぎりはロメロの頭を優しく撫でてる。この瞬間も、彼女はそうであった。 そんな彼女の口の端を、リリィは両手の指でむにっと伸ばした。静かな笑みを湛えていた彼女の顔が、満面の笑みを浮かべる形になる。 「むずかしく考えすぎだよー、ゆぎりんは」 目だけが困惑しているゆうぎりから手を離し、リリィは晴れやかな笑顔でこう言うのだった。 「大人だって、素直になっちゃいけない理由なんてないよ」

2 19/01/31(木)23:34:43 No.566128120

「・・・ほんに、リリィはんはたまに大人っぽくなりんすなぁ」 ゆうぎりは笑みを向けるリリィに、自身もはにかみながら笑顔を返した。そうして彼女は、膝の上のロメロをリリィに預け、ソファから立ち上がる。 「にぃには部屋にいるよー」 ロメロを胸元に抱いて左右に揺らしながらも、アシストを忘れないリリィ。そんな彼の頭をゆうぎりは感謝の意を込めてそっと撫でた。 「では、手土産を持って行くでありんす」 そう言い残して、ゆうぎりはリビングから出て行く。 「大人ってむずかしいよねー、ロメロ?」 リリィの呟きに、ロメロは肯定の鳴き声で答えるのだった。

3 19/01/31(木)23:35:19 No.566128264

「花魁、参上」 「・・・なんじゃい?」 小さなノック、そして口上と共に扉を開けて入ってきたゆうぎりに幸太郎は顔を上げながらそっけなく答える。彼女は普段の着物の上に白いエプロンをつけており、手にはカップの乗ったトレイを持っていた。その見た目はまるで給仕服のようである。  「・・・本当に何用じゃい?」 彼女はその質問に答えることなく静かに幸太郎の下へと近づくと、机の上に自らが持ってきたコーヒーをそっと置いた。そしてゆうぎりは空のトレイを胸元に抱え、すっと頭を下げた。 「幸太郎はん、昨日は騙すような真似を働き申し訳ありんせん」 「ああ、何かと思えば昨日のことか。別に気にしとらんわい」 返答しながらこのコーヒーはお詫びか、と察した。幸太郎はそんなゆうぎりの淹れてきたコーヒーを口に運ぶ。 その香りは昨日教えた淹れ方だった。彼女はすっかり覚えたらしい。 器用なものだなと思いつつ視線を上げると、サングラス越しにゆうぎりと目が合う。彼女の口は何かを言いかけて止まり、すっと視線を逸らした。

4 19/01/31(木)23:35:48 No.566128393

「どうかしたのか、ゆうぎり?」 このように言いよどむような姿は、普段の彼女からすればとても珍しい。首を傾げる幸太郎に対し、ゆうぎりは何かの覚悟でも決めたように、すぅっと息を整えた。 「わっちには本当の兄様も妹もおりんせんが、ずっと憧れていたのは本心でありんす」 「・・・そうなのか」 「あい。なのでわっちは・・・。いえ、わっちが・・・幸太郎はんを・・・」 またゆうぎりは言葉に詰まった。たった一言なのだが、それが口にできない。 素直になれとリリィは言った。でもそんな簡単な事が何よりも難しくなって、遠慮や謙遜で自分を本音から遠ざけていくのが、子供ではなくなるということ。 決めたはずの覚悟は一瞬で消え、ゆうぎりはまた幸太郎から視線を逸らす。誰よりもそうやって生きてきた自分がここに居るからこそ、彼女はどうしてもその一言が言えなかった。 ぽん、と何かがゆうぎりの頭に触れる。 いつのまにか目の前に立っていた幸太郎の手のひらが、彼女の頭に触れていた。

5 19/01/31(木)23:36:13 No.566128515

「俺はお前たちに不自由を強いてる。その分、と言っては何だが叶えられる希望はできる限り叶えてやろうとも思ってる」 ゆうぎりが顔を上げる。視界には幸太郎の顔が優しい顔があった。 「・・・よろしいのでありんすか?」 「別に呼び名くらい何とも思わんわい。だいたいそんなん気にしとったらお前らゾンビィ共と付き合えんわ。そもそも怒るつもりならリリィがとっくに怒られとるじゃろがい」 ふざけた口調の幸太郎の台詞に、ゆうぎりはその通りだと笑ってしまう。 そして、胸のつかえがすっと消えるのを彼女は感じていた。 「俺の立場上、特定の誰かを贔屓にするわけにはいかん。まぁなんだ・・・誰も居ないところなら、な」 自分で言っていて恥ずかしかったのか頬をかく幸太郎。その姿が妙に可笑しく、愛おしく思えた。 ゆうぎりは自然と浮かんできた笑顔で、彼にこう返すのだった。 「あい、わかりんした・・・あにさま」 慣れないその呼ばれ方をした幸太郎が、気恥ずかしさに耐え切れず小さく笑う。それはゆうぎりも同じだった。 二人はそのまま、幼い子供同士のように笑い続ける。その姿は年の離れた兄妹のように見えた、かもしれない。

6 19/01/31(木)23:36:42 No.566128658

「大人ってめんどくさいよねー、ロメロ?」 窓からこっそり除いていたリリィが、笑顔でそう呟く。 その問いかけに抱きかかえられたロメロは、先程と同じ肯定の鳴き声で答えるのだった。

7 19/01/31(木)23:38:43 No.566129276

あーーーーっス!!!! わっち!妹はいいものでありんす!!

8 19/01/31(木)23:39:30 No.566129478

妹わっち…これはいいでありんすなぁ…

9 19/01/31(木)23:39:49 No.566129550

いい・・・・

10 19/01/31(木)23:39:55 [sage] No.566129582

続いた理由 花魁ムーブのわっちも好きだけどよわよわっちも書きたかったんでありんすよ まとめsu2862994.txt

11 19/01/31(木)23:43:32 No.566130580

普段姉貴分の姐さんが甘えるのよか…

12 19/01/31(木)23:52:07 No.566132910

あにさまとか言ってる姐さんはけっこうクるものがありんす! もっとこう控えめかつ大胆に!

13 19/01/31(木)23:52:22 No.566132984

よわよわっちいいよね…

14 19/01/31(木)23:55:05 No.566133699

ゆうぎりぃさん!ゆうぎりぃさんじゃないか!

15 19/01/31(木)23:55:22 No.566133767

きゃわきゃわっち!

16 19/01/31(木)23:56:45 No.566134155

わっち!かわいい!

17 19/01/31(木)23:58:56 No.566134806

素直に甘えられないゆうぎり可愛いな…

18 19/01/31(木)23:59:52 No.566135029

これは…いいものでありんす…

19 19/02/01(金)00:00:20 No.566135166

よか… よかでありんす!!!!

20 19/02/01(金)00:05:10 No.566136513

リリイが本当に大人だ…

21 19/02/01(金)00:09:32 No.566137571

>「あい。なのでわっちは・・・。いえ、わっちが・・・幸太郎はんを・・・」 はいわっちかわいい

22 19/02/01(金)00:12:54 No.566138452

かわかわっち!

23 19/02/01(金)00:14:36 No.566138908

わっちだってまだまだコドモでいたい時もありんす!

24 19/02/01(金)00:19:51 No.566140284

よわよわっちの可愛さ尋常ならざるよ……

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