ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
19/01/17(木)23:44:20 No.562774152
深夜、どうにも異音が無視できず、ゆうぎりは目を覚ました。 どうにもぼんやりとした意識で、どうにもはっきりとした目を擦ってみれば、JR九州長崎本線終電が佐賀駅を去るより遅く、始発が来るより速い時刻。 眠ろうにも、耳障りなピタピタと滲む音がどうにも度し難い。 翌朝に何があると言うわけでもなく、さりとて、深い深い眠りに落ちている同室の住民を起こすのも忍びない。
1 19/01/17(木)23:44:39 No.562774229
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2 19/01/17(木)23:45:03 No.562774346
どうにも寝付けず洋館を徘徊する。眺めてみれば流石のハードワーカーも人間であったらしい、ぐーすかじゃいじゃい床の上。 窓の外を眺めてみてもこの季節だ、夜の帳が降りている。 一頻り屋敷を回っても、不思議なことにピタピタと擦る音の出所がわからない。 たえは寝息を立てて夢の中。 珍しく雨が降っていたのでロメロも屋根の下でぐうすかぴ。 その他も、まるで目覚める気配なし。
3 19/01/17(木)23:45:23 No.562774452
さて、いったい何事かとゆうぎりは首を傾げた。 生前も死後も、あのような音は聞いたことがない。 魚が潟を跳ねるが如く、蜥蜴が湿地を這うが如く、赤子が母に喚くが如く。如何様にもとれる音であった。 あの働き者ならば、こうした自然の囁きからも詩を作り出すのであろうが、己にそのような才は無い。必要でなかった故に。
4 19/01/17(木)23:46:03 No.562774637
晴れない霧の懸かった頭で、にわかにそんなことを考えていると、己が玄関扉の前に立っていることに気がついた。 不可思議にも、ゆうぎりには外から響いているように思えた。そんなことはない、屋敷のどこにいても音の大きさは変わらず、高低も変わらなかった。 規則正しく並んだ音を聴く度に、なんだか意識がボゥっとする。 陽に曳かれる蛾の如く、ペタリペタリと旧い歩法で扉へ進む。 そうして扉の鍵外し、ドアノブへ腕が延びていく。
5 19/01/17(木)23:46:35 No.562774793
意識に懸かった靄がどうにも払えない、蜘蛛の巣に掛かった蛾が如く、何処かへ何処かへ連れられる。腕を引こうとしたが、自分は非力であった。 引き込まれるまま外へ出て、暗い暗い夜が広がった景色を見た。 夜目が利く方だと思っていたが、そうではなかったらしい。扉一枚跨いだだけで、屋敷の灯りとてまったく見えぬ。 この暗がりに暖かく、懐かしい香りを感じる。これは何処で嗅いだ物であったか。そうだ、たしか、あのとき、薬湯の。 よちよちと、覚束無い足取りで進む。
6 19/01/17(木)23:47:02 No.562774959
バタリと音を立て扉が閉じる。 そうして、闇のなかで一人になる。 前は見えないけれど、進むべくは分かっている。 よちよち、よちよち、はいはい進む。 よちよちよちよち進む 不意に足下に光の線を見た コレを越えれば抜け出せる。
7 19/01/17(木)23:47:26 No.562775088
何から？ 腐った記憶が俄に光り、思い出すのは旧い夢。 吁、そうだ、私は越えられなかったのだ。 ゆうぎりは戻ろうとしたが、後ろを向けなかった。 どうしてこなかったのか？ 蛆の湧いた頭に、そう聞こえた。
8 19/01/17(木)23:47:45 No.562775190
恐ろしくはない、むしろ懐かしい。忘れよう筈もない声。それが何より恐ろしかった。それが聞こえると言うことが何より恐ろしかった。 どうしてすてたの？ ゆうぎりは暖かい闇のなかでなにもできず、声を聴くだけであった。頭のなかに響くのではない、腹のなかに響くのだ。もはや無くした胎に響くのだ。
9 19/01/17(木)23:48:24 No.562775366
どうして、■■■■■ 濡れたなにかが自分を抱き締めている。後ろに確かにソレがいる。違う、貴方が抱くべきはそこではないのに。貴方が居るべきはそこではないのに。
10 19/01/17(木)23:48:53 No.562775499
■■■さ■ 視界が不意に下を向き、ゆうぎりは赤く煌めく腹を見た。吁、いつも音はここから聞こえていたのに。どうして、今まで気づかなかったのだろう。ずっとずぅっとそうだった。 お■■ｰｰｰｰ
11 19/01/17(木)23:49:27 No.562775634
ｰｰｰｰﾊﾞｩｯ！ 眼を閉じようとして、彼女は聞きなれた咆哮と共に、体が後ろに引き摺られるのを感じた。粗雑で、野卑な動きであったが、それが何より安心できて、それで何より自分を恨んだ。 ロメロに無理やり屋敷に引き戻されて暫く、ゆうぎりは何も言えずに茫然自失の様であった。彼女は懺悔の言葉を吐き続け、暫くしてフラフラと床に戻った。
12 19/01/17(木)23:49:48 [お仕舞い] No.562775719
その夜、ゆうぎりは赤子のように丸まって寝た。 誰よりも長くそうしていた。
13 19/01/17(木)23:51:23 No.562776169
水子…？ 怖いでありんす…
14 19/01/17(木)23:52:12 No.562776366
夢に出るじゃろがぁーーーい！！！！
15 19/01/17(木)23:52:31 No.562776449
ガチホラーは怖いでありんす！！！
16 19/01/17(木)23:52:45 No.562776514
ゆうぎり！！！お前は怖い！！！！！！！
17 19/01/17(木)23:53:58 No.562776796
姉さんは唐突に不穏になる…
18 19/01/17(木)23:54:43 No.562777021
モノノ怪の座敷わらし思い出した
19 19/01/17(木)23:56:37 No.562777563
姐さんこういうのピッタリだな
20 19/01/17(木)23:57:43 No.562777863
花魁のそういう…そういう奴な！
21 19/01/17(木)23:59:44 No.562778366
つまり孕んだ子供を降ろさせられたって話ね！
22 19/01/18(金)00:00:25 No.562778537
愛ちゃん！(ﾊﾞｼｨ
23 19/01/18(金)00:02:58 No.562779196
なんなの昨日の姉さんといい深夜怪談怪文書流行ってるの…
24 19/01/18(金)00:03:42 No.562779361
ありそうだなあ
25 19/01/18(金)00:04:39 No.562779602
>ぐーすかじゃいじゃい床の上。 これでギャグ系かと思って油断してたら背筋凍ったよ！
26 19/01/18(金)00:07:06 No.562780213
画像と〆的に昨日かごめかごめ書いてた「」でありんすな！！！！夢に出るでありんす！！！！！！
27 19/01/18(金)00:08:33 No.562780608
抱きなんし！が重くなっちまう…
28 19/01/18(金)00:10:06 No.562781004
怖いじゃろがーーい！！！
29 19/01/18(金)00:11:26 No.562781336
助けてマコト兄ちゃん！！！
30 19/01/18(金)00:13:46 No.562781866
異音の正体でたえちゃんとロメロ疑うのひどい…
31 19/01/18(金)00:14:03 No.562781928
テンポよくポンポン読める文体で恐怖のズンドコに誘導されたでありんす！
32 19/01/18(金)00:19:41 No.562783313
詩の才能は必要なかったから持ってないとかその…そういうところだぞ！
33 19/01/18(金)00:21:12 No.562783719
怪文書というか怪談じゃろがい！
34 19/01/18(金)00:24:48 No.562784652
姉さんが抱きなんし！って頬を張るのは堕胎させられた姉さんと違って幸太郎はんとなら子を成せる環境だからなんでありんすな…
35 19/01/18(金)00:27:19 No.562785236
>姉さんが抱きなんし！って頬を張るのは堕胎させられた姉さんと違って幸太郎はんとなら子を成せる環境だからなんでありんすな… 重いじゃろがぁーーーーーい！！！！！
36 19/01/18(金)00:30:32 No.562785981
切ないで…ありんすな…
37 19/01/18(金)00:34:32 No.562786985
ロメロのお陰でこの場は助かったけどこの姉さんはこの先ずっと抱えて生きてくんだろうな…
38 19/01/18(金)00:36:03 No.562787351
巽！はよ救っちゃらんね！姐さん待っとらすばい‼
39 19/01/18(金)00:36:39 No.562787521
なんなの姉さん曇らせ流行ってるの
40 19/01/18(金)00:38:52 No.562788061
ゾンビィやけん！ゾンビィやけん罪も何も清算できんのでありんす…
41 19/01/18(金)00:39:12 No.562788134
ゆうぎりを手放すんじゃねえぞ