虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    19/01/17(木)02:16:32 No.562586977

    今夜は一人にしてくれないかい、そんなことを言ったマスターは少し塞ぎ込んでいるようでした。ですが私は奥さんとして『一人にしないで側にいて』と言ったように聞き取れたので一人にしません一緒に寝ます。 「マスター、起きてますか?」 「うん……なんか眠れなくて」 泣き腫らした真っ赤な瞳が私を見つめています。きっと私に会えなくて寂しかったんですね。 「マスター、一人にはさせませんよ。私が同じことを言っても、貴方がそうはしないように」 当然のように布団に潜り、小さな狭い二人だけの一つの閃刀領域を展開します。エンゲージをするには流石に遅いですが、二人で語らう時間はきっとあると思います。 「レイちゃん……」 どちらともなく伸びた指が絡み合う。レイは主人を見た。真っ暗な部屋の中で、驚く程鮮明にその顔が見えた。 「目、瞑ってくれる?」 こんなに暗いのにですか、とレイが口を開く前に、それは彼の唇に塞がれた。

    1 19/01/17(木)02:17:57 No.562587098

    たまにはエンゲージなしもいいですよね

    2 19/01/17(木)02:21:51 No.562587407

    「……ダメだね、明日も仕事なのにこんなことしちゃ……」 レイちゃんは何も返事をしなかった。したくなかったのかもしれない。彼女の中で葛藤が渦巻いているのかもしれない。 「お休み、レイちゃん。愛しているよ」 闇の中で彼女の表情はまるで見えなかった。それで良かった。悲しんでいたら、怒っていたら、きっと心が締め付けられてしまうだろう。喜んでいたら、望んでいたら、きっと心は踊ってしまうだろう。そのどちらでもなく、これから眠るのだから。 「おやすみなさい、あなた。……愛してます」 ゆっくり、噛み締めるように彼女は言った。分からないままだった愛の形を確認するように。 違うな、分からないでいたのは僕の方だ。こんな気持ちになったのは初めてで、どうしていいか分からなくて、きっと間違えた選択を沢山して、沢山彼女を傷付けて、それでも受け入れてもらったのだろう。 それが全て、一つに繋がったように思えた。僕は彼女を愛するだけで幸せだ。それだけではダメで、つまり、彼女を幸せにしたい。大好きな彼女の笑顔が溢れるように。

    3 19/01/17(木)02:23:24 No.562587543

    なんか重くない?

    4 19/01/17(木)02:31:14 No.562588184

    「ごめんね、レイちゃん……こんなに至らない僕で」 彼の言葉は虚空に投げ捨てられたような悲しい響きを纏っていました。 「他の人みたいにお金がもっと沢山あれば、もっと絵が上手ければ、もっと手先が器用なら、もっとセンスが良くて、デュエルが上手ければ……君を幸せに出来るのかなぁ。こんなに大好きなのに、ただそれだけしか自分にはないから……」 全くです。マスターは考えなしのヘナチョコです。 「マスターはさらに言うなら我慢も出来ないしカッコよくもなければ頭も良くないですからね。それでもまぁ、私のマスターですから。……そしてそんな貴方のレイであることを私は望んでいるんですよ。無理しなくていいですし、できる範囲のことをできる範囲でやってくれればいいんです。その代わりずっと側に居てください」 そんなことでいいのかい、と言った彼を抱き締めました。……これ以上はお互いを求めてしまうからダメでしょうが、これでも既に求めてしまいますが、その時はその時です。 「私が一番嬉しいのはそれですから。大好きな人とずっと側にいられるなら、そんなに嬉しいことはないですよ」 二人は見つめあった。唇が、再び重なった。

    5 19/01/17(木)02:36:41 No.562588655

    「……それじゃあ、本当にお休み」 名残惜しい口内の感覚を噛み締めて言った。これ以上はレイちゃんを求めてしまう。そんなことしては彼女の負担も尋常じゃなくなってしまうだろう。 「お休みなさい」 目を瞑って、ゆっくりと落ちていく景色に彼女を沢山描いた。特別な、世界に一枚だけの彼女を手に入れる夢。彼女のジオラマを手に入れ、カードと一緒に飾る夢。楽しい夢が沢山あった。そらはどれも彼女が与えてくれた夢。夢を叶えるのは自分で、それを与えてくれるのはレイちゃんだった。 「マスター、明日も、お仕事頑張って下さいね」 震える声、握った手。伝えたい言葉が本当は何だったのか分からないが、取り敢えずは言葉通りに受け取ることにした。 「うん、愛する妻のため、この家のため、頑張るよ!」 「その域ですよ。それじゃあ、良い夢を」 「うん、良い夢を」 今日の繋いだ手は、肉体の重なり以上の充実感があった。