ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
18/12/31(月)01:47:43 No.558349187
絶対に見捨ててはいけない罰ゲーム 10時06分。幸いにして天気は快晴。 門前に車を停めて外で待っていると、洋館の方から駆け寄ってくる足音があった。 「幸太郎さーん、遅れてごめんなさいっ」 「遅い。アイドルのはしくれなら時間厳守くらいここに刻んどけい」 しゅんとするさくらの頭を軽く小突いて、幸太郎はそそくさと運転席に乗り込もうとする。 デデーン 巽 アウトー 後部座席から降りてきた優麗な少女は幸太郎の頬に掌を打ちつけると、洋館へと帰っていった。 よろよろと立ち上がって、幸太郎はさくらをまじまじと観察する。 見慣れた制服姿とは違うやや大人びた…というより、背伸びしたような印象のコーディネート。 丁寧な仕上がりのメイクに、前髪も少しいじって雰囲気を変えようという努力の痕跡。遅刻の理由が窺えた。 「…まぁ、綺麗なんじゃないか」 「そ、そですか? えへへ…」 はにかむ少女を助手席にエスコートして、その隣に着く。エンジンが一日の始まりを告げた。
1 18/12/31(月)01:48:49 No.558349370
12時10分。温泉街に到着。 旅館に車と荷物を預けて周辺を気ままに散策。足湯を見つけて一息つくことにする。 湯の中で足を伸ばしながら、幸太郎は深々と感嘆した。 「あー…よか。前は忙しくて立ち寄れんかったからのぅ」 「…観光してたんやなかったと?」 隣で同じようにくつろぐさくらから顔を覗き込まれ、逃げるように湯から上がる。 持参したタオルで足を拭くと、もう一枚を彼女にめがけて放ろうと振りかぶった。 デデーン 巽 アウトー 足蒸し湯から立ち上がった金髪の少女がソバットを繰り出したのち、肩で風を切りながら去っていく。 幸太郎は背中を擦りつつ身体を起こすと、湯から足を出して腰掛けるさくらの前に屈み込んだ。 スカートを太腿まで捲りあげてあらわになった素足を、タオルで包み込んで優しくぬぐう。 「あ、ありがとうございます…んっ」 さくらが時々くすぐったそうに声を漏らすのを、俯いたまま無心で聞いていた。
2 18/12/31(月)01:49:40 No.558349532
12時27分。腹の虫が鳴き出したので喫茶店に立ち寄る。 それぞれランチを堪能したのち、食後のデザートが運ばれてきた。 豪勢に積み重ねられたいちごのパフェ。ただし一品。さくらは紅茶だけで良いらしい。 「なんじゃい。お前さんはもう腹いっぱいか。少食じゃのう」 「えぇ、まぁ。男の人はたくさん食べられて羨ましかね…」 カップに口をつけつつ彼女がそわそわとチラ見してくるのには、気付かないほうが難しかったが。 気付かないふりをして幸太郎はスプーンでパフェを掬う。 デデーン 巽 アウトー 後ろの席に座っていた黒髪の少女はフランスパンを勢いよく振り下ろすと、会計を済ませて店を出ていった。 頭のパンくずを払いつつ、幸太郎はいちごの載ったスプーンをさくらの口元へと差し出す。 「一口くらいいけるじゃろ。腕疲れるから、はよ」 「…いただきます」 おずおずとスプーンを咥えると、途端にさくらは幸せそうに顔をほころばせて。結局、パフェは二人で折半になった。
3 18/12/31(月)01:50:41 No.558349738
16時33分。散策を終えて旅館に戻り、客室へと案内された。 興味津々に和室のあちこちを開けては覗きながら、さくらが浮かれた声をあげる。 「幸太郎さん、すごか! 展望風呂! これ温泉のお湯引いとるんやって!」 「せからしいのう。なんでそんな元気なんじゃい。ゾンビィかお前は」 ボヤきながら、幸太郎は広縁に座って窓の景色にうつつを抜かしていた。 いつの間にかもう陽が暮れ始めている。あれだけ歩き回ったおかげで、身体も瞼もやや重い。 彼女が何やら呼んでいるが、声が遠くて届かない。少しくらい、応えられなくても仕方ないじゃないか… デデーン 巽 アウトー 何かが視界の端できらめいて、幸太郎ははっと目を開いた。ほんの一瞬、寝落ちていたらしい。 足元に突き刺さっている鋭利な星型の装飾品を見下ろしていると、ようやくさくらの声が耳に入った。 「…さん。やっぱり私、せっかくやし大きいお風呂がいいなって。幸太郎さんもどやんです?」 訊いてくるわりには、すでにしっかり二人分の浴衣とタオル用意して待っている彼女に。 苦笑して、幸太郎は重い腰を上げた。
4 18/12/31(月)01:51:37 No.558349906
16時49分。廊下を進んだ先に浴場への入口があった。 「『ただいまの時間は混浴となっております』……」 立て看板に張り出された告知を読みあげて、呆然と立ち尽くす。 「ど、どやんす? どやんす…?」 「…どやんすもこやんすもあるかい」 慌てふためくさくらにぽつりと告げて、幸太郎は看板を軽く足蹴にした。 おおかた何者かによる手の込んだ悪戯だろう。従業員を呼んで撤去させようと、ロビーの方へ振り返る。 デデーン 巽 アウトー やってきた白髪の少女は幸太郎の前でしばらくおろおろしてから、腹の辺りをぽこりと殴って逃げていった。 それを見送ってから幸太郎はさくらに向き直ると、その手を握って引き寄せる。 「…いくぞ」 頬を朱に染めながら、さくらは黙って頷いた。
5 18/12/31(月)01:52:46 No.558350087
何時何分だか。満点の星空の下、身体の芯まで染みる温もりがひたすらに心地よい。 「はぁ~…なんだか天国にいるみたいやねぇ」 「ふぃ~…んなわけないじゃろがい…」 貸し切り状態の露天風呂に肩まで浸かり、気の抜けた会話を交わしつつ。 寄り添う彼女のあるがままの肢体を、幸太郎は無感情に眺めていた。 瑞々しく、柔らかく、傷一つない白い肌。 濡れようと剥がれやしない…そんなのは当たり前だ。当たり前であるべきだった。 「俺が天国なんて行くわけないだろうが」 「そうですね」 「行き先なら決まっている。罰なら受ける。だから…」 幸太郎の言葉を遮るように、さくらが立ち上がる。湯気を纏って振り向く彼女の額には、痕が。 「だから…そろそろ起きんといかんよ、幸太郎さん?」 デデーン 巽 たえキックー どこからともなく突っ込んできた黒い人影に吹き飛ばされて、幸太郎は湯の底へと沈んでいった。
6 18/12/31(月)01:54:37 [su2797751.png] No.558350373
23時55分。ついでに言えば、12月31日。 全身の鈍い痛みに呻きつつ、幸太郎は顔を上げた。 飲食類の容器やパーティーグッズ、勝手に持ち出された楽器などで無残に散らかされた広い寝室。 ありさまのわりに静かなのは、その部屋の住人がみな一箇所に集まって寝入ってしまっているせいだった。 夜更かしを提案したのは自分たちだろうに。イビキをかいたり寝言をこぼしたり、いっこうに起きる気配はなく。 おかげで、どうにも身動きが取れない。 7人のうち、幸太郎の膝を枕にしている1人の寝顔に手を伸ばす。 前髪をどけて額をなぞると、少女は眠ったままこそばゆそうに身じろぎした。 このままずっと眠らせておくことだって出来る。 それでも。 年跨ぎをこのまま寝過ごして迎えたとなれば、ゾンビィどもが死ぬほど落胆するのは目に見えているので。 幸太郎は高らかに叫んだ。 「おぉーーーはようございまぁーーーーーーす!!」
7 18/12/31(月)01:54:45 No.558350400
>やってきた白髪の少女は幸太郎の前でしばらくおろおろしてから、腹の辺りをぽこりと殴って逃げていった。 きのこ!!!!
8 18/12/31(月)01:55:41 No.558350518
・・・さく幸…?
9 18/12/31(月)01:56:10 No.558350595
巽しゃん別にアウトなことしてなくない?
10 18/12/31(月)01:56:33 No.558350646
正夢にしなんし!!
11 18/12/31(月)01:57:06 No.558350745
>su2797751.png 描いたんで!?
12 18/12/31(月)01:57:06 No.558350746
>巽しゃん別にアウトなことしてなくない? デデーン
13 18/12/31(月)01:58:17 No.558350896
こんな時間に良すぎるものを…
14 18/12/31(月)01:59:05 No.558351036
あっ100点です
15 18/12/31(月)01:59:31 No.558351094
スレ画のさくらはん美人すぎる…
16 18/12/31(月)02:00:11 No.558351189
挿絵付きだと…!?
17 18/12/31(月)02:01:00 No.558351322
みんなよくいろんな夢見てるな…
18 18/12/31(月)02:01:04 No.558351336
いやなんでキノコもそこに居んの…
19 18/12/31(月)02:01:11 No.558351358
巽はさぁ…女心が分からない人?
20 18/12/31(月)02:01:30 No.558351398
>su2797751.png これめっちゃ可愛い…すき…
21 18/12/31(月)02:02:40 No.558351551
パンくずついとる…
22 18/12/31(月)02:04:44 No.558351861
挿絵も描けるし文章も上手いのはすごい…あとシチュがいい…
23 18/12/31(月)02:11:53 No.558352986
みんなさくらを甘やかし過ぎだ!
24 18/12/31(月)02:14:55 No.558353442
>足元に突き刺さっている鋭利な星型の装飾品を見下ろしていると、ようやくさくらの声が耳に入った。 あぶねえ!
25 18/12/31(月)02:15:03 No.558353471
アウト判定が見捨てるとさっぱり関係ないですよね?
26 18/12/31(月)02:16:05 No.558353644
怪文書はついに 書く時代から描く時代!
27 18/12/31(月)02:20:19 No.558354192
あーーーー!あーーっす!!!
28 18/12/31(月)02:22:13 No.558354437
キノコはさぁ……
29 18/12/31(月)02:27:52 No.558355220
お星さまは刺さるからな…
30 18/12/31(月)02:30:41 No.558355656
よか…!
31 18/12/31(月)02:31:47 No.558355792
スレ「」!初夜でドスケベ幸さくまっとらすよ!
32 18/12/31(月)02:34:50 No.558356110
あ、源さくら120%で
33 18/12/31(月)02:36:10 No.558356254
よか…
34 18/12/31(月)02:36:45 No.558356328
サンキュー乾
35 18/12/31(月)02:36:53 No.558356336
>スレ「」!初夜でドスケベ幸さくまっとらすよ! 「」けおはん!!!!(バシィ)
36 18/12/31(月)03:11:35 No.558359571
深夜にさらっとえらいもんが投下されとる…