虹裏img歴史資料館

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18/12/29(土)21:21:25 「あら... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1546086085470.jpg 18/12/29(土)21:21:25 No.558018180

「あら、幸太郎はん」 巽幸太郎が扉を開けた時、リビングのカーペットに鎮座していたのはゆうぎりだった。 普段は全員寝付いている時間のため、リビングから明かりが漏れていることを不審に思った幸太郎だったのだが、扉を開けたことを少しだけ後悔した。 「寝付けなくて一服していたでありんす。よければ幸太郎はんもご一緒しんせんか?」 ゆうぎりは細い指先で、差し出すように煙管を幸太郎に向ける。 「・・・俺は煙草はやらん。ま、ほどほどにな」 「お待ちなんし」 そう言って立ち去ろうとする幸太郎だったが背後からその言葉に止められる。振り返った幸太郎の視界には悪戯っぽく微笑むゆうぎりの顔があった。 「少しばかり、わっちに付き合うておくんなんし」 「俺は忙し―――」 「他の子たちの話には付き合うて、わっちは仲間はずれでありんすか・・・?」 およよ、とわざとらしい仕草で泣き真似をするゆうぎりに、幸太郎が苦い顔を返す。それを見た彼女はにっこりと微笑んでぽんぽん、と自分の後ろにあるソファを叩くのだった。

1 18/12/29(土)21:22:03 No.558018378

「・・・で、何の用だ?」 「幸太郎はん。どうしてわっちにだけ遠慮しているんでありんすか?」 伝説の花魁は抜き身の刀で幸太郎に切りつけてくる。サングラスが無ければ危なかった。 平静を装い、声が裏返らないように呼吸を落ち着けてから幸太郎は答える。 「俺は誰に対しても平等じゃい。プロデューサーとはそういうもんじゃい」 「では、ここでわっちをからかってくんなんし。今朝さくらはんにしたように」 どうやらゆうぎりは匕首を隠し持っていたようだ。サングラスが無ければ即死であった。 実際のところ幸太郎もそうすべきと思っている。彼女も他のゾンビィ達と同じく扱うべきだと。ゆうぎりの人生経験と精神的な安定感はグループに必要なものだろう。幸太郎はそう考えて彼女の存在を受け入れた。しかし言うなれば彼女は推薦枠でありシード枠。ある意味『特別』なのだ。彼女の顔を見るたびに脳裏を過ぎる『老人』の存在。それが幸太郎にいつもの振る舞いを止めさせていた。 この状況にどう対応したものか。彼の迷いが深い溜息となって現れていた。

2 18/12/29(土)21:22:27 No.558018506

そんな幸太郎は、自身の右肩に何かが触れるのを感じた。顎先にひんやりとしたものが触れ、存外強い力で幸太郎の顔を右に向けさせる。 向かせられた視線の先、息がかかるほどの近さでゆうぎりは幸太郎を見上げていた。 カーペットに座していたはずの彼女が、いつの間にか自分の隣に座り、そして恐ろしいほどの近距離で見つめている。 リリィであれば心臓が飛び出していただろう。 「幸太郎はん。男を見せてくんなんし」 ゾンビィの吐息まじりの声は冷たく、だからこそ幸太郎の冷静さを容赦なく奪っていく。 一言も発せぬままの幸太郎に、彼女の手がゆっくりと伸びていく。指先が黒く、厚いサングラスに触れ―――

3 18/12/29(土)21:22:53 No.558018662

そこで幸太郎はゆうぎりの肩を掴み、ゆっくりとその体を引き離した。 「・・・ぜ、善処・・・する、んじゃい」 きょとんとした表情のゆうぎりに、幸太郎は搾り出すように言葉を発する。 沈黙。 時間にすれば数秒だったが、当人にすれば数時間ほど。 その静寂に、堪えきれずに笑い出したのはゆうぎりの方だった。 「ふふふ、からかいが過ぎんしたな。幸太郎はん、堪忍でありんす」 その言葉に、今度は幸太郎が呆ける番であった。

4 18/12/29(土)21:23:22 No.558018808

ゆうぎりは優雅にソファから立ち上がると、自らの喫煙具を片付け始める。幸太郎はそれを黙ってみていた。 全ての道具を仕舞い込み、それを小脇に抱えると彼女は立ち上がる。幸太郎はそれも黙ってみていた。 沈黙したままの幸太郎を、ゆうぎりは肩越しに振り返る。幸太郎はまだ黙ってみていた。 「でも、同列に扱われたいのは本当のことでありんすよ。わっちもフランシュシュの一員でありんすから」 ゆうぎりは微笑みながらそう言い、リビングを出て行く。幸太郎はもちろん黙ってみていた。 「おやすみなんし、幸太郎はん」 そっと扉が閉められて、リビングからゆうぎりの姿が消えた。

5 18/12/29(土)21:23:51 No.558018980

誰も居なくなったリビングで、幸太郎は一人ソファに居る。 彼女が完全に去ったことを確認してから、幸太郎は大きく、深く、長い溜息を吐いた。 「・・・勘弁してください」 完全に『巽幸太郎』を忘れた、素の言葉であった。 心から疲れ果てた幸太郎は思う。 酒も煙草も、こういう時のためにあるのではないか。 ああ、この洋館に酒を置いていない事をこれほど悔やむことがあるとは。 幸太郎はもう一度大きく、深く、長い溜息を吐くのだった。

6 18/12/29(土)21:25:59 No.558019689

やっぱり姐さんはすげえよ…

7 18/12/29(土)21:29:34 No.558020788

絶対勝てないなこいつ…

8 18/12/29(土)21:30:04 No.558020936

ゆうぎりには手を出すなよ(励まし

9 18/12/29(土)21:30:11 No.558020960

老人の存在があろうとなかろうと勝てそうにない…

10 18/12/29(土)21:31:33 No.558021415

あっ100点です…

11 18/12/29(土)21:33:09 No.558021975

いや…姐さんの言う通りだ…

12 18/12/29(土)21:33:32 No.558022102

たじたじ乾くんよかよ

13 18/12/29(土)21:35:09 No.558022656

わっち!今すぐ抱きなんし!!!!!

14 18/12/29(土)21:35:46 No.558022866

まあでも平等に扱うべきなのは本当だよね 朝に絡めるようになるかな

15 18/12/29(土)21:42:34 No.558025255

姐さんは返事をしてくれたぞ そろそろ行こう

16 18/12/29(土)21:43:38 No.558025637

これは遠からず退路がなくなるな

17 18/12/29(土)21:46:49 No.558026722

ゆう幸有り難い…

18 18/12/29(土)21:48:17 No.558027216

こういうの見たかったでありんす

19 18/12/29(土)21:49:19 No.558027528

純子ちゃんと同い年だぞ!

20 18/12/29(土)21:55:48 No.558029761

幸ゆう好き…

21 18/12/29(土)21:57:04 No.558030163

じわりじわりと退路が断たれてる…

22 18/12/29(土)21:57:24 No.558030269

よか…

23 18/12/29(土)21:59:31 No.558031025

貴重な幸ゆうだ有難い・・・

24 18/12/29(土)22:01:17 No.558031574

逆にこの不満は特別扱いになって距離を見誤るやつだ……

25 18/12/29(土)22:02:15 No.558031876

姐さんの心に火をつけてしまった

26 18/12/29(土)22:04:25 No.558032624

アクシデントでもその気になって空回りでもいい 突然幸太郎に押し倒された時の姐さんの反応が見たい

27 18/12/29(土)22:13:46 No.558035893

地下牢ミーティングで姐さんにウザ絡みして  顔を近づけたところで接吻されるんだよね…

28 18/12/29(土)22:14:53 No.558036246

姐さんが本気どころか3割もその気になるだけで 幸太郎が抵抗できるわけがない

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