18/12/24(月)19:35:41 背中に... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1545647741388.jpg 18/12/24(月)19:35:41 No.556874839
背中にあった暖かな重みが不意に離れる。 なんとなく名残惜しさを覚えつつ愛を見ればロータリーに止められた軽自動車へ向かって駆け出していた。 車通りはないとはいえ何かにぶつかったり転んだりしないか幸太郎も気が気ではない。 「わーいさくらだー！どやんすー？」 「ああもうこんな酔っぱらって…というかなんそんサングラスダサッ！」 運転席を開けるとそのまま飛び込んだ愛。 なにやらわいわい姦しい。 見送りの役目は果たした。このまま帰ってしまってもよかったがそういえばサングラスは愛に奪われたままだ。 同行者に気付いたのか愛を抱えた運転手が降りてくる。 長い髪にルームウェアの上からカーディガンを羽織っただけの姿。 時間も時間だ。愛から急に呼び出されて最低限の身支度で出てきたのだろう。 苦笑いしながら近づけきしかし、その姿を、その目を見て幸太郎は衝撃を受けた。
1 18/12/24(月)19:36:09 No.556874932
なぜこんなところに、なぜいまここに。 彼女との邂逅はもっと慎重に、いやそもそも逢う気すらなかったのだ。 「源……さくら…？」 「え…あ、もしかして乾君？」 かつての、佐賀を救うことを志したきっかけとなったクラスメイトがそこにいた。 自分はなんでこんなところにいるのだろう。 とあるマンションの一室。 カウチソファに腰かけ目の前に供された紅茶のカップを見つめる。 対面に座るこの部屋の主、高校卒業からもう9年ぶりとなる源さくら。 だた冷めた目でこちらを見つめている。 『あんたもくるのー！さくらんちはねーいいにおいがしてーごはんおいしくてーさくらがいるのー！』 そういって幸太郎をこの状況に引き摺り込んだ渦中の酔っぱらいは今は幸せに夢の中。
2 18/12/24(月)19:36:41 No.556875072
「乾君は」 沈黙を破るようにさくらが口を開く。 「乾君は今まで何やっとったと？高校出て海外行っとった聞いとるけど」 「あー…メイクやプロデュースの勉強しとった。今はアイドルグループのプロデュースしとって愛にも…」 「愛？仲良いんやね？」 「あ、いやこれは…そう呼べ言われたというか…」 気まずい沈黙。営業時にはよく回る口も、今は蛇に睨まれた蛙のように固まっている。 ふーん、とジト目でこちらを見つつさくらは質問を重ねる。 「愛ちゃんが、たまに乾君のこと楽しそうに話とったけん。二人はその、付き合っとるの？」 「愛、水野さんは…」 そういうのではない、言おうとしたところで 「しゃくら～…きてー…」 タイミング悪く隣の部屋で眠っていた愛の声。 「あーもう愛ちゃんどやんしたとー」
3 18/12/24(月)19:37:18 No.556875219
いそいそと立ち上がり愛の元へ向かうさくら。 その姿に、かつての、アイアンフリルの話になると目を輝かせていた彼女を思い出す。 彼女が大ファンであった水野愛とどうやって知り合ったのか。 そう思うと彼女に話したいことも聞きたいことも山ほどあった。 今日再会するまでどんな生活を送っていたのか。 覚えていてくれてうれしい。 「源はあんまりかわらんな…」 紅茶を飲み干し勢いのまま立ち上がる。 今自分がとっている方法が正解なのか間違いなのかはわからない。それでも進まなければいけない。 少なくとも今ここで彼女と話すことはない。 「邪魔したな。俺は帰る」 「あれ？愛ちゃんにあいさつはえーの？」 「いらん。愛にもよろしく言っておいてくれ」
4 18/12/24(月)19:37:46 No.556875338
扉を開ける。朝の空気が幸太郎を包む。 さくらのあの目。 なにかを諦めたかのようなあの目。 高２の春、一命を取り留めたとはいえ事故に合ったあの日から何も変わっていない。 「俺が、お前を変えてみせる」 目標は再確認できた。計画は止まらない。 誰に言うでもなく呟き、幸太郎は駅へ向け一歩を踏み出した。
5 18/12/24(月)19:38:23 No.556875489
2週間後、『Bar New Jofuku』。 久しぶりに佐賀へと戻ってきた愛は幸太郎と酒を酌み交わしていた。 順調に興業をこなしていたフランシュシュであったが今一つ押しが足りない。 そんなところへ、愛の伝手で芸能界の大御所紺野純子と会食の機会を得、その打ち合わせも兼ての席でもあった。 日取りから店のチョイス、会談の方針まで、打ち合わせは順調に終わったと言っていい。最終的に愛が酔いに酔った点を除けばであるが。 何度か飲んでみて分かったが愛はあまり酒に強くない。 少なくともこういった店でパカパカと何杯もカクテルグラスを干せるような強靭さは持っていない。 「愛、いい加減飲み過ぎだ」 「べつにいいでしょー…だいたいこのまえだってそのまんま帰っちゃうしーさくらしょーかいしてあげたのにー」 「……そんなん別にええ」 「さくらもなんもいわないしさーなんかあれからきげんわるいしー」 「知らん」 鍋島を一口。日本酒特有の果実臭が口内に広がる。腐敗の香り。
6 18/12/24(月)19:39:12 No.556875693
「というかあれでしょ、二人同級生だったんでしょ」 口に含んだ日本酒が霧となって舞う。 せき込みながら思考をまとめる。 さくらに聞いたのか、いやさくらが話したのか 「となりにいたからね、なんとなく聞こえたのよ」 さくらはあんまり自分のこと話したがらないしね、と付け加える。 「何じゃいお前酔ってた時のこと覚えとるタイプかい」 すかさず茶化しに入る幸太郎だったが 「ねえ、あんたがこの前言ってたさ、もってること伝えたい娘ってさくら？」 幸太郎の顔をまっすぐに見つめつつ愛が言う。 「………」 「沈黙は肯定ってね、まああのどやんすボディだし」 「別にそういうんじゃなか…」 「好きなんでしょ？」 「べべべべっべっつに！好いとうとかそういうんじゃないんじゃい！ただその、源に笑っていてほしいというか、あ！違う！とにかくそんあんじゃないんじゃい！！！」
7 18/12/24(月)19:40:25 No.556876010
「あーはいはい…ごちそうさまごちそうさま」 若干あきれたかのように愛はグラスに向き直ると一息で飲み干す。 さくらのどやんすボディがを好きにできる他人、耐え難い。が、隣にいる男ならどうだろう。 さくらに対する幸太郎の気持ちは好きとかそういう単純なものとは違う、どこか執念めいたもの感じる。 それこそここ10年近く、自分の人生を一人の女のためにつぎ込むなど正気の沙汰ではない。 そんな正気でない男はあろうことかこの水野愛の友人で、その目的の片棒を自分も担いでいるいわば共犯者。 そんな自分に何も話してくれないなんて水臭いではないか。 モヤモヤする。何かモヤモヤするが一度は決めた事だ
8 18/12/24(月)19:40:40 No.556876079
「私があんたの恋を応援してあげる！」 「は？」 「恋は偉大よ。キレイになれるしセカイも変わるらしいし」 Ah-Ha、鼻唄交じり冗談めかして愛は言う。 それお前の持ち歌じゃろがいという幸太郎のツッコミは無視。 思えば学生時代をアイドル活動に費やしてきたのだ。 自分から持ちかけたとはいえ恋愛相談、恋バナの類は初めてのことだ。 楽しくなってきた、そう思い愛は笑った。
9 18/12/24(月)19:41:03 No.556876178
「そういえばさ、あんたなんでサングラス外さないの？」 「いやそこ気にするところじゃないじゃろがい」 「一回気になったらなんか無性に気になっていてもたってもいられなくなったというか外しなさいよそれ」 「…いやじゃい」 「恥ずかしいの？」 「………」 「あ、もしかして女性と目を合わせたくないからサングラスを…」 「だったらなんじゃい！？あーそうです恥ずかしか！それでもこれがあれば無敵なんじゃい！完全無欠の幸太郎さんなんじゃい！」 「じゃ没収ね」 「あ、ちょっと待ってあ」 奪われたサングラスはすでに愛の手のひらで弄ばれている。 「はい今後私に話しかけるときはその状態でいること。ちゃんと目を見ながらね。それじゃスタート」 そうして佐賀の夜は更けていった。
10 18/12/24(月)19:41:32 No.556876319
おとといの su2784904.txt 昨日の su2784905.txt
11 18/12/24(月)19:43:12 No.556876771
これは…ややこしいことになる予感
12 18/12/24(月)19:43:42 No.556876901
拗れずにいて欲しいと願わずにいられん…
13 18/12/24(月)19:44:26 No.556877083
こういう微妙なバランスの関係もよかよね…
14 18/12/24(月)19:44:42 No.556877151
愛ちゃん楽しそうなのがつらい
15 18/12/24(月)19:45:20 No.556877305
知らぬはさくらだけな地雷感…多分これは幸太郎が芋引くな…
16 18/12/24(月)19:45:49 No.556877432
ナメクジ生きてた！
17 18/12/24(月)19:49:21 No.556878312
愛ちゃん大分やらかしそう
18 18/12/24(月)19:52:49 No.556879117
つらあじにならないとよさあじな展開だ…
19 18/12/24(月)19:54:16 No.556879497
よか…
20 18/12/24(月)19:55:04 No.556879697
この世界戦の愛ちゃんさくらはんの気持ちに気付いとらん感じ？
21 18/12/24(月)19:55:18 No.556879757
「マスター同じのもう1杯おくれやす」 「ゆうぎり、おめえ楽しそうだな 他人の話に聞き耳立てるのはあんまりいい趣味とは言えんぜ?」 「フフ、さっきの彼女はん今頃心中穏やかやありまへんやろなぁ～ はぁ～今宵もお酒が美味しゅうおす」
22 18/12/24(月)19:56:24 No.556880024
お友達だったのに ノーマークだったのに 昨日とはまるで違うひと
23 18/12/24(月)20:01:57 No.556881467
さくらはんと乾くんはそんなに親しくなかった感じかな…
24 18/12/24(月)20:08:53 No.556883487
何故こんなトレンディな事に…
25 18/12/24(月)20:09:05 No.556883551
CDを拾った後でちょっと接点ができた程度だったとか
26 18/12/24(月)20:09:18 No.556883621
「」 こういう拗れそうな三角関係 だーいすき
27 18/12/24(月)20:10:10 No.556883846
ゾンサガ怪文書は今トレンディが流行りでありんす！！！！！
28 18/12/24(月)20:11:30 No.556884254
愛ちゃん最後まで応援ちゃんとできるかな…
29 18/12/24(月)20:13:20 No.556884850
>『あんたもくるのー！さくらんちはねーいいにおいがしてーごはんおいしくてーさくらがいるのー！』 よか
30 18/12/24(月)20:14:20 No.556885135
この世界線だとリリィもまさおになってイケメン俳優でもやってんのかな…
31 18/12/24(月)20:15:15 No.556885408
サラッと出番が流れた大御所
32 18/12/24(月)20:16:22 No.556885774
>この世界線だとリリィもまさおになってイケメン俳優でもやってんのかな… たけお似になったかマミー似のままか…
33 18/12/24(月)20:17:00 No.556885987
さくら×愛 純子×乾 これで平和ですね。
34 18/12/24(月)20:17:24 No.556886100
歳考えろ大御所
35 18/12/24(月)20:18:38 No.556886503
>さくら×愛 >たえ×純子 >ゆうぎり×リリィ >巽×サキ >これで平和ですね。
36 18/12/24(月)20:18:53 No.556886577
54歳で男囲う気ですか大御所
37 18/12/24(月)20:19:14 No.556886707
この大御所2018年で54歳…
38 18/12/24(月)20:19:57 No.556886906
待って ゆうぎり姐さんゾンビィですよねこれ
39 18/12/24(月)20:21:08 No.556887269
トムクルーズだってそれくらいの年で未だに若いしいけるいける
40 18/12/24(月)20:21:14 No.556887292
54…54かあ…
41 18/12/24(月)20:22:34 No.556887732
松田聖子の2個下だもんな逆らえる人居ねえよ
42 18/12/24(月)20:22:50 No.556887836
でも可愛いババァになってる純子ちゃんも見たい
43 18/12/24(月)20:23:03 No.556887918
そう考えるとさくらも愛もわりと焦る年齢では？
44 18/12/24(月)20:24:07 No.556888283
多分さくらと愛は処女で乾くんは非処女
45 18/12/24(月)20:25:14 No.556888672
さくらはんは結婚どうでもよさそうだけど実家帰るとせっつかれるから年末年始も帰らなそう
46 18/12/24(月)20:26:42 No.556889164
大御所はさあ…
47 18/12/24(月)20:27:28 No.556889410
うふふ…こういうの好き…
48 18/12/24(月)20:29:04 No.556889939
ただイチャついとるだくやん？私ただのアテやん？
49 18/12/24(月)20:29:56 No.556890271
私この同年代の3人好き…