虹裏img歴史資料館

1 18/12/20(木)00:08:30 No.555738887

「…やっぱ私持っとらんなぁ」 あんな酔っ払いがいなくて寂しいなんて。この家にいても介護する羽目になって結局面倒くさいだけなのに。いないならいないで辛くなる。なんでこんな事になったんだろうなと思いつつ徐にテレビのチャンネルを変えた。 クイズ番組、ドキュメンタリー、ニュース、次々とチャンネルが切り替えられていく中、不意にリモコンを操作する指が止まった。 画面にはドラマ番組が写っていた。そしてその登場人物の一人は 「愛ちゃん…」 その上、愛が主演と思われる男優に抱きしめられる光景が写っていた。どうやら物語のクライマックスシーンらしい。何だかんだと言いつつ愛の出演する番組やドラマは全てチェックしていたさくらだが、最近は仕事が忙しいために全てに目を通すことは出来ずにいた。そしてどうやらこのドラマはその見落とした作品の１つらしかった。 画面の中の愛は、さくらにとって全く興味のない男にこう囁きかけている。 「…好きよ」

2 18/12/20(木)00:09:16 No.555739032

よりにもよって恋愛ドラマ。しかしさくらは強張った表情のまま画面を凝視している。役になりきった愛の表情は艶っぽい瞳で男を見つめている。首に腕を回し、なるべく男の顔に近づこうと背伸びまでしていた。 「…こんな酔っ払い好きになったって苦労しかないけん。振るなりなんなりせんと後悔するとよ……」 いつの間にかさくらは画面の男に向かってそんな言葉を投げかけていた。嫌いだと言って、拒絶して、お願いだからくっ付かんで。 様々な言葉が浮かんでは消える。相手はフィクション作品のキャラクターであったが、さくらは己の気持ちを押さえることが出来なかった。 やがて男の口が開く。さくらにとっては長い沈黙のように感じたが、実際には数秒の間も無かった。

3 18/12/20(木)00:10:11 No.555739256

「俺もだよ…」 男の返答はさくらの願望に反してYESだった。そして、お互いに唇を重ねた。 「盗らんで！！」 思わず叫びながらポテチの袋を画面に投げ付けた。ガサリと音を立ててぶつかった後、床に落ちる。テレビは倒れる事なく以前映像を流し続けた。 エンドロールの最中のテレビを感情のままに消し、ゴチャゴチャとした感情の波に揉まれながら、床に散乱したポテチを見つめる。部屋の中には雨音に混じってさくらの荒い息遣いだけが響いていた。 「……アホくさ…」 まさかテレビの中の俳優相手にこんなに激しく嫉妬するなんて。所詮お芝居だと知っているのに。 持ってない上にこんなに嫉妬深い女だったのかと自己嫌悪に苛まれる。しかし、あの画面で見た光景はいつか実現するかも知らない光景でもあるのだ。きっと愛もいつかは男性に恋して、結婚したら幸福な家庭でも築くのだろう。ただの友達でしかないさくらの事など忘れて。

4 18/12/20(木)00:10:39 No.555739354

猛烈に愛の声が聴きたくなってスマホに手を伸ばすが、直前でやめた。今の醜い自分が愛と会話するのがとてつもなく悪いことのように感じたからだ。しかし、愛と接したい気持ちも抑えることが出来ない。会いたいのに会いたく無かった。胸中に寂しさが溢れ出てくる。 やっぱり私はもっとらん、愛ちゃんは会いたい時に限っていないんだ。 床に座り込み、声も出さずに涙を流し始めた。いつも自分の望んだものはスルリと手を抜けてどこかへ行ってしまう。いつもそうなのだ。そしてこれからも。

5 18/12/20(木)00:11:31 No.555739565

「さくら…？」 不意に愛の声が聞こえた。テレビを消し忘れたかと思ったが画面は真っ暗だった。それに声はさくらの真後ろから聞こえた。 思わず振り返ると、そこには愛が立っていた。 「ずっと雨降ってて野外ロケ中止になったから来たんだけど…何？なんでそんなに泣いてるの？」 暫しの沈黙の後、ぽつりとさくらはつぶやいた。 「やっぱ持っとらんわ、私…」 さくらは次の瞬間には立ち上がって愛を抱きしめていた。愛の困惑する声は御構い無しに力を込める。 見られたくない姿を見られた。きっと愛はなにがあったのか聞いてくるだろう。なんでもないですとシラを切る事も出来そうにない。全部話す羽目になるだろう。人の家に来るのに連絡も寄こさず、しかも合鍵を使って勝手に人の家に入ってくるこの女無しではもう生きていけない事をさくらは強く自覚したのだった。外はいつのまにか雨脚が弱まり、部屋にはさくらのすすり泣く声だけが残った。

6 18/12/20(木)00:17:27 No.555740880

重い

7 18/12/20(木)00:23:07 No.555742070

湿度が高い

8 18/12/20(木)00:23:31 No.555742146

雨降ってたからな…

9 18/12/20(木)00:26:14 No.555742706

よかったいよかったい… 愛ちゃんにどっぷり依存して一度捨てられた犬みたいな怯えた瞳をするさくらよかったい…

10 18/12/20(木)00:26:41 No.555742803

もう自分はダメになっちゃったんだと自覚するの辛いよね…

11 18/12/20(木)00:26:54 No.555742847

こんなに好きなら告白すればいいのにね

12 18/12/20(木)00:27:45 No.555743009

>「…こんな酔っ払い好きになったって苦労しかないけん。振るなりなんなりせんと後悔するとよ……」 ここでニヤけてしまう！

13 18/12/20(木)00:27:50 No.555743026

幸福恐怖症が邪魔をする

14 18/12/20(木)00:28:56 No.555743272

なんかこういう空気すごい好き…

15 18/12/20(木)00:29:20 No.555743343

持ってない自分が持ったらまた奪われちゃうからね… 自分は持ってない、自分は不幸だとひたすら自らに言い聞かせるのいいよね…

16 18/12/20(木)00:30:50 No.555743620

>こんなに好きなら告白すればいいのにね 告ったら取り上げられちゃうし…

17 18/12/20(木)00:32:39 No.555744003

凄い湿度だ…

18 18/12/20(木)00:33:19 No.555744125

合鍵持ってる時点でただの友達じゃなか！

19 18/12/20(木)00:33:20 No.555744129

重いぜ…

20 18/12/20(木)00:35:45 No.555744617

この重さがよか…

21 18/12/20(木)00:36:54 No.555744892

共依存して欲しい…

22 18/12/20(木)00:37:24 No.555745006

それは年の瀬迫った大掃除でのお話 「も〜う！愛ちゃんてば大掃除前に私物持ち込まんどって…欲しかっとに…よいしょっ…とっ、とっとっうわぁあ・・・やってもうた…」 まだ未開封の『たからもの』とマジック書きされた段ボール箱は角を大きく潰してしまった　「どやん…待てよ…目撃者はおらん…なら…よし！」 作戦はこうだ！水野愛が帰宅するであろう残り3時間のうちに新しい段ボールをホームセンターで購入中身を入れ替え筆跡を似せて記入、潰した段ボールは処分 (ホームセンター往復に30分あとはその他諸々で30分)「…余裕やん！」 源さくらはただちに行動開始した！

23 18/12/20(木)00:37:33 No.555745037

「私はあなたを好きになってしまいました。なのでお願いですからフってください。私の物にならないでください。私を幸せにしないでください」って懇願するさくらちゃん…

24 18/12/20(木)00:37:40 No.555745059

昔は愛ちゃんの出演番組をくまなくチェック出来てたのに 今は限界がきてるのが愛ちゃんの成功と闇さくらはんの手から離れていく感じがあっていいね…

25 18/12/20(木)00:38:14 No.555745156

「余裕〜余裕〜日用品もついで買い〜♪」(残り2時間！) 「こっ、これ…愛ちゃんのアイドル時代の…一式やん！」段ボールを開けて手が止まる 「……はっ！魔の片付けてる最中にマンガ読みたくなることあるあんな感じになるとこやった危なか危なか」 賢明な「」は気付いているだろうと思うが当初の完了時刻はとっくに過ぎているのだ！(残り1時間30分) 「よかった…中身は無事んごたんね…おや？この柄…この衣装…おおお！こ！れ！は！まさしくアイアンフリルのステージ衣装！」 　(…時間は…あれぇ？残り1時間切っとる？なして…？よ、よか　まだ30分以上はある…ちょっと衣装に袖通して畳み直して…余裕！)

26 18/12/20(木)00:39:03 No.555745332

スレンダーな愛の服をどやんすボディのさくらが着ると…当然ボタンは止められず胸は衣装に持ち上げられ、それはもはやカラフルなコルセット はたから見ると痴女である (ガチャリ…)タイムアップは30分切り上げて唐突に訪れた　 目が合う両者、しかし次の瞬間 「アタシ…中年おじさん達の気持ち分かった〜〜〜〜！！！！！！！！！！！」 「ぃゃぁ…………」 狩る者と狩られる者の立場へと変わっていた

27 18/12/20(木)00:39:29 No.555745416

膝下までしか上がらない拘束服を自ら身につけたあわれな生き物は突然の狩猟者に蹂躙される他なく、無慈悲で人として目を背けたくなる行為は、夜「うるさいんじゃいぼけぇえ！」のご近所からの苦情が来るまで続いたという　 　　　　　 　　　　　　　〜 fin 〜 「…愛ちゃん晩ごはん抜きやっけん」

28 18/12/20(木)00:42:20 No.555746049

湿度差がすげぇ

29 18/12/20(木)00:43:07 No.555746200

カラッカラやけん…

30 18/12/20(木)00:43:29 No.555746271

何だい今日は… さっきからさく愛SSを見掛けるが… あ、100点です

31 18/12/20(木)00:43:54 No.555746349

つまりよぉ…湿度MAXな2人が素直になればバカップルになるってことだろ？

32 18/12/20(木)00:46:30 No.555746854

寝る前によかもんが見れたとよ…

33 18/12/20(木)00:47:41 No.555747126

さく愛のポイントは実は愛ちゃんの方が1つ年下であるという点にあると思うっちゃけど

34 18/12/20(木)00:49:18 No.555747487

>「…愛ちゃん晩ごはん抜きやっけん」 散々いいように鳴かされたさくらの僅かばかりの抵抗… しかし愛の「…へぇ～？私の『たからもの』をメチャクチャにしてくれたのはどこの誰だったかしらねぇ～？」の一言で全面降伏…

35 18/12/20(木)00:56:58 No.555749196

明日には闇が晴れるけん！晴れるから今日のうちに闇を盛りまくるんだ！

36 18/12/20(木)00:59:26 No.555749700

…そうか愛ちゃんのスカート膝下までしか入らない パンツ丸だしだこれ！

37 18/12/20(木)01:01:33 No.555750033

珍しく愛ちゃんが酔っ払っていないのに…ひどい…

38 18/12/20(木)01:01:52 No.555750095

いいよね闇のさく愛

39 18/12/20(木)01:01:57 No.555750111

よかと 思うですね

40 18/12/20(木)01:03:22 No.555750353

ちょっと重いさくらちゃんよかよね…

41 18/12/20(木)01:04:07 No.555750492

>持ってない自分が持ったらまた奪われちゃうからね… >自分は持ってない、自分は不幸だとひたすら自らに言い聞かせるのいいよね… 自己暗示かけまくるのいいよね…

42 18/12/20(木)01:05:04 No.555750646

明日には消えてしまうかもしれない儚い時空

43 18/12/20(木)01:05:59 No.555750801

“また”失うのか…もう失いたくない…そうだ、失う前に拒絶しよう…そうすれば失わずにすむ… みたいな闇がすごい好き

44 18/12/20(木)01:06:06 No.555750831

闇さくらが消えるかもしれないからな…

45 18/12/20(木)01:06:40 No.555750938

11話以来さくらちゃん見ると切なくてな…さく愛が尊すぎてな…