ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
18/12/09(日)16:05:50 No.553326771
消えたので再掲 ちょっとネタを思いついたんで次作を近日中には…
1 18/12/09(日)16:07:28 No.553327066
揺れる?思い 秋も深まり肌寒さを感じることも多くなった今日この頃。 世間では『食欲の秋』だの『読書の秋』だのと言ったワードがそこかしこで目にするようになってきたね。 アタシ、西崎芽依はインドア派女子として将棋の秋、とでもしゃれ込みたいと思っていたんだけど…。 「ぜぇー…ぜぇー…」 インドアどころか、ジャージに身を包み学校のグラウンドを走っていた。 いや、ちょっと正確じゃないね。走っていたのは最初の数分だけで、今は完全に息が上がってほとんど歩いてるようなもんだから。 別に体育の授業ってわけじゃないんだけどね。 横須賀市主催のマラソン大会に、横須賀女子海洋学校の学生は強制参加させられることになってるんだ。 そんなわけで、練習のために沢山の生徒がこうして走っているんだけど…。
2 18/12/09(日)16:07:48 No.553327124
「も、もうダメ…」 他の人の邪魔にならないようにトラックから出て、座り込んだ。しばらく動けそうにないなこれは…。 息を整えながら周りを見渡すと、うちのクラスの子たちや、最近知り合った時津風・天津風クラスの子たちの姿が確認できる。 他に足を止めてる子は…いないか。 「いやーみんな若いなー」 もちろん、ほとんど歳の差なんて無いことはわかってて言った独り言なんだけど。 そんな独り言に、反応してくる声があった。 「メイちゃん、みんなと歳、変わらない、よ?」 タマだった。もちろん後ろから追いついてきたわけじゃなく、アタシが周回遅れになっただけ。しかもこれで3周遅れだよ。 それなのに、タマにはほとんど疲れた様子も見えない。やっぱり元運動部だけあって体力が違うね。
3 18/12/09(日)16:09:01 No.553327356
「あはは、わかってるって」 座り込んだアタシの所に向かってきたタマに、手を振って答える。 心配してくれてるんだろう。全然余裕そうなのに、アタシにならんで座った。 「だいじょう、ぶ?ケガ、とか、してない?」 「あはは、そんな大したことじゃないよ。ちょっと疲れただけ」 「ん、よかった」 安堵の表情。心配させちゃってごめんね、タマ。
4 18/12/09(日)16:09:46 No.553327505
「タマは全然疲れてなさそうだね」 「うぃ。いつも、この倍くらい、走ってた、から」 「そっかー。アタシももうちょっと運動しないとかなー」 するとは言ってない。 「本番のマラソン大会もなー…ゴールさえできればいいとはいえなー」 「参加することに、意義が、ある」 「まあねー」 ぐだぐだ。 タマと一緒にいるとなんかリラックスできるんだよねー。ゆっくりしゃべってくれるから、かな?
5 18/12/09(日)16:10:08 No.553327570
「練習終わったら、アイスでも食べに行こっか」 「うぃ」 肯定の返事を受け取ったものの、まだ動きたくないなー。 もうちょっとおしゃべりしたいなー、と思って、タマの方を見たアタシは、違和感を覚えた。 ん?あれ?んんー…? それが顔に出てしまっていたらしく、タマが不安げに問いかけてきた。 「どうしたの、メイちゃん?」 「いや、その…」 返答に窮する。当たってたとしても外れてたとしても失礼になることだしなぁー…どうしたものか。
6 18/12/09(日)16:10:40 No.553327661
「言えない、こと?」 う、タマが泣きそうになってる。うーん、仕方ない、か。 「えーと、失礼なことを言っちゃうかもしれないけど、怒らない?」 「うぃ…」 「ん、わかった。タマ、あのね」 アタシは意を決し、告げた。 「胸、大きくなってない?」 「…」
7 18/12/09(日)16:11:03 No.553327737
沈黙。 それから10秒ほどだっただろうか。たっぷりと時間を置いて、 「う、うぃぃぃ!?」 タマが再起動した。慌てたように胸元を両手で隠してしまう。耳まで真っ赤だ。 「だから言ったのに…」 「そ、そんなこと、言われると、思わないし…」 言いながら俯いてしまった。ちくしょうかわいいな!
8 18/12/09(日)16:11:23 No.553327813
「な、なんで、そう、思った、の?」 「いや、なんとなく?体操服の胸元が膨らんで見えたから?」 「なんで、疑問形…」 「だから確証が持てなかったんだって」 健康優良児のタマは体操着の上にジャージを着こんでいなかったから、『それ』が見やすかったのもある。 まあ、まじまじと見たことがあったわけじゃないから、元からだったかもしれないけどね。 「最近、運動、あんまりしてなかった、から、脂肪、付いた…かも…?」 そう言いながら、腕やら脚やら揉んで確認してみるタマ。 いやいや、アタシからしたら全然シュッとしてると思うよ?自分で言うのもなんだけどさ。
9 18/12/09(日)16:11:43 No.553327877
「ほうほう、タマちゃんのおむねが育った(仮)と」 「!?誰!?」 そこにいたのは、レオちゃん・ルナちゃん・サクラちゃん・ソラちゃんの仲良し四人組。 いつからいたのか、アタシたちの後ろで盗み聞きしていたらしい。 「ごめんねー良くないとは思ったんだけど」 「これは、アレですわね。恋心とか母性本能的な何かで女性ホルモンの分泌が促進されたとかそういうやつですわね」 平謝りしながらどう見ても興味津々なサクラちゃんと、急に早口になるソラちゃん。ああ、これめんどくさいやつだ…。 「マジかー!すごいね人体!」 ルナちゃんはうん、そのままの君でいて。 というか、これタマがうっかり変なこと言ったらいじられるネタになっちゃうかもしれないし、適当なところで助け船出さないと。
10 18/12/09(日)16:12:08 No.553327963
「実際のところどうなんよー?なんかー、好きな人とかできちゃった?みたいな?」 噂話が特に大好きなレオちゃんがグイグイとタマに食いついていく。 変なスイッチが入ったココちゃんほどじゃないけど、めんどくさい絡みだ…。 「う、うぃ…えっと…」 詰め寄られてしどろもどろになるタマ。そろそろ止めに行かないと、かな。 「はいはーい、その辺に…」 「め、メイちゃん…」 タマー!?このタイミングで何言ってるのー!? って、動揺してる場合じゃない!早くフォローしないと…。
11 18/12/09(日)16:12:27 No.553328028
「あはは、だよねー」 あ、あれ? 「まあ、立石さんならそう言いますわよね」 「そうよねぇ」 「二人ともいつも一緒だしねー」 あっれー何この空気…何この当然だよねみたいな反応…? タマ自身はなんかよくわかってない、って顔してるし。 「ごめん、お邪魔しちゃったね」 「私達、もう行くから」 「また明日ねー!」
12 18/12/09(日)16:12:55 No.553328132
そう言って、四人はさっさと走って行ってしまった。なんだったんだ…。 タマは去っていく四人を手を振って見送ってから、こっちに向き直った。 「?メイちゃん、顔、赤い」 「うぇ!?」 なんかタマみたいな声出ちゃった…。 「汗で体、冷えて、風邪、引いた?」 「いやいや、そんな急に風邪引かないから!なんともないなんともない!」 慌ててバタバタと手を振って否定する。 「?そう?」
13 18/12/09(日)16:13:13 No.553328197
ちょっとの間、じっとこっちを見つめてくるタマ。 嘘は言ってないとわかってくれたらしく、そっと立ち上がってお尻に付いた砂を払うと、アタシに手を差し伸べて来た。 「そろそろ、行こ?」 「ん、そだね。ちょっと休みすぎちゃった」 アタシはタマの手を掴んで立ち上がる。 「大分日が傾いてきちゃったね。早く帰らないと、アイス食べるには寒くなっちゃうかも」 「うぃ。教室まで、一緒に、行こ」 手を繋いだままそう言って前を向いたタマの頬は、夕日のせいなのか赤らんで見えた、気がした。 終わり
14 18/12/09(日)16:13:57 No.553328345
まとめ su2756447.txt
15 18/12/09(日)16:38:19 No.553332982
>「マジかー!すごいね人体!」 ルナちゃん…
16 18/12/09(日)16:39:57 No.553333297
立石さんが育っている 真相を確かめるためリアリストはNASAへと赴いた…
17 18/12/09(日)16:42:43 No.553333777
スゴイ級まで育つタマリアル
18 18/12/09(日)16:43:50 No.553333963
おかしいですねぇ…それならシロちゃんも育ってもおかしくないはず…
19 18/12/09(日)16:57:01 No.553336380
口数少ない子の精一杯のアピールいいですよね! さて次回作ですが同週にあった別イベントをフィーチャーする予定です! のんびりお待ちください!
20 18/12/09(日)16:58:18 No.553336625
待ってるよ、メイタマすごく良かった