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18/12/06(木)22:17:25 なんだ... のスレッド詳細

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18/12/06(木)22:17:25 No.552692263

なんだか最近純子ちゃんの様子がおかしい。 源さくらは悩んでいた。 というのもバルーンフェスタでの撮影から帰ってきて以降、純子がなんとなくよそよそしい…ような気がするのだ。 純子視線があったかと思えば慌てて目をそらされたり。 声をかけられる時は「あっ……っ…源さんっ」とか口を開いてから呼んでくれるまで数瞬間が空いたり。 「はぁ~…私純子ちゃんに嫌わるっようなことしたとやろうか…」 「いやそやんことアタシに言われてん知るわけなかとやろが…ぶっ殺すぞ」 「辛辣…」 そんな訳でバルコニーで出くわしたフランシュシュのリーダーであるサキに相談にしたのだが…予想通りというか、バッサリ切られてしまった。 「…ぐすん」 「…………」

1 18/12/06(木)22:18:11 No.552692497

体育座りでいじけるさくらを流石に見かねたのか、サキはため息を一つ吐くと口を開いた。 「さくらぁ…お前、なんか心当たりとかなかとか?」 「…んーん、強いて言うならバルーンフェスタの時かな…その時はむしろ仲良うなれたて思うとったんやけ、ど…」 言葉を続けていくうちにしおしおと萎れていくさくら。 「こーりゃ重症ばい…」 どうやら距離を縮められたと思っていたらまったくの逆だったのが結構堪えているらしい。 「さくらぁー、そやんジメッジメしとっとカビかキノコでも生えてくっぞ」 「…………」 返事はないただの屍のようだ。 「…………っだぁぁぁぁもうめんどくせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「ひぇっ!?」 バン!とさくらの顔のすぐ横に掌を叩きつけ、ガンをつける。

2 18/12/06(木)22:20:13 No.552693081

「そやんとこでウジウジウジウジ悩んどる暇あったら直接聞きにいけばよかとやろうが!あ゛!?」 「ば、ばってんほんとに嫌われとったらて思うと…」 「せからしい!つべこべ言わんと早う行けや!マジでぶっ殺すぞ!」 「は、はいぃぃ!」 駆けていくさくらの背を見送り、ベンチにどかりと腰掛けるサキ。 「ったく世話焼かせよって…」 …そういえば、『フランシュシュ』ではなくさくら自身の悩みを打ち明け、相談されたのはこれが初めてだったろうか。 さくらは見かけによらず、気合の入ったやつだ。他人に心を砕くことはあっても、例えば記憶が無いことで弱音を吐いたりした姿は見たことが無い。 「……へっ」 佐賀城でのラップバトルのことを思い出す。 黄泉返り、しかしかつての仲間と逢えぬことで文字通り腐っていた自分の気合を入れ直してくれたさくら。 …少しは借りが返せただろうか?

3 18/12/06(木)22:22:20 No.552693715

紺野純子は悩んでいた。 自身の仲間への呼称についてである。 つまり他のみんなは名前で呼び合ってるのに未だに自分だけ名字で呼んでいることに…だ。 最初の頃に名字呼びで定着したせいでズルズルとそのままで来てしまったが、やはり良くない。 具体的に言うとなんとなく疎外感を感じて寂しい。 そんな思いもあってバルーンフェスタからでの一件の後、一番仲がよい(と少なくとも純子は思っている)さくらのことを名前で呼んでみようとしていたのだが… 呼べない。全っ然呼べなかった。 いざ彼女の名前を口に出そうとするとどうにも気恥ずかしく、ついついいつもの呼び方に逃げてしまう。 しかしそれでも折を見ては挑戦し続け…その結果が現状の挙動不審であった。 「うぅ…」 果たして友だちの下の名前を呼ぶという行為はこんなにも難しいものだったろうか? 「……つ、次こそ…」 根性で呼んでみせる。昭和のアイドルは脳筋であった。

4 18/12/06(木)22:24:07 No.552694247

「…子…ゅん……」 そうと決まれば善は急げ、早速―― 「ちょっと純子!」 「ひゃいっ!」 大声で叫ばれてようやく傍に誰かが居たのに気がついた。 「み、水野さん…」 水野愛。純子にとってよきライバルと言ってもいい相手である。 「大丈夫なの?なんだか最近変じゃない?」 「いえその…べ、別になんでも――」 「特にさくらなんか不安がってるし」 「うっ」 「はぁ…やっぱりさくら絡みなのね」 半ば確信めいた愛のカマかけに、致命的一撃を心に受けた純子に取り繕う余裕はなかった。 「事情、聞かせてくれるわよね?」

5 18/12/06(木)22:26:48 No.552695141

「――なるほど、そういうことね…」 「はい…」 洗い浚いをぶちまけた純子は愛の前に正座していた。 「…なんか思ったよりくだらない理由で拍子抜けしたわ…」 「ひどいです…」 こっちは真剣に悩んでいるのだが…とはいえ他人事だったら純子も同じように思うかもしれない。 「…あれ? でも佐賀ロックのときは私のこと下で呼んでなかった?」 「…そうでしたっけ?」 「そうよ」 …そういえばそうだったかもしれない。あの時は高揚していたとはいえすんなりと出てきた。 「…愛さん?」 「呼べたじゃないの…」 「…サキさん、ゆうぎりさん、リリィさん、たえさん」

6 18/12/06(木)22:27:36 No.552695404

(もしや純子はんが最初から名前呼びなのはわっちだけなのでありんしょうか?)

7 18/12/06(木)22:28:20 No.552695590

思ったよりすんなりと口から出てくる。 この調子ならさくらのことも……! 「っさ…!さく、ら…さん…」 駄目でした。 「どうしてさくらの時だけ詰まるのよ…」 「…どうして…どうしてですかね…?」 その後もさくらの名前をつぶやきながら練習する純子(ちょっと怖い)を愛はぼんやりと見ている。 もっと深刻な――喧嘩とかなら出張る必要があるかと思ったが、どうにも自分たちが出る幕ではないように見える。 もう置いていってしまおうか。面倒くさくなってそんな考えがよぎったとき、ガチャリと部屋のドアが開いた。 「…ん、と愛ちゃんと…あっ、純子ちゃ――」 「さくらさんっ!」 「は、はいっ!?」 純子を探して入ってきたさくら。にどうやら納得いく発声ができた純子の声が重なった。

8 18/12/06(木)22:30:51 No.552696330

「…っ!?み、源さん!?あ、今のはその…」 「えっと、純子ちゃん、今お話してもよかかな?」 混乱する純子と覚悟を決めたようなさくら。 …この場に居続けるのは野暮というやつだろう。 「それじゃ、あとはお若い二人でどーぞ」 「愛ちゃん!?」「み、水野さん!」 さくら入れ違うように出ていく愛。去り際のからかいはいらぬ心配をかけさせた二人への仕返しだ。 ――さて、二人きりになったさくらと純子だったが、先に口を開いたのはさくらだった。 「…あんね、純子ちゃん。私、なんで純子ちゃんが怒っとるのかわからんとよ。ばってん私に悪かところあるなら直すけん、嫌いにならんで――」 「っちょ、ちょっと待って、待ってください!」 さくらは言っていくうちに瞳が潤んでいく――が、純子は途中でそれを遮った。 「あの…私、源さんのこと嫌ったり怒ったりなんて、してませんよ?」 「…ほんと?」 「本当です」

9 18/12/06(木)22:32:55 No.552696985

「で、でも最近目合わせてくれんし、名前だって呼ぶ前に間、空いとったよ…?」 「それはその…あの、笑いませんか?」 「…うん」 「実は…源さんのことを…下の、名前で呼ぼうとして…それがなんだか気恥ずかしくて、うまく呼べなくて…それで」 ぽかーんと目を丸くするさくら。 「…っぷ、ふふっ…あはははっ…!」 「わ、笑わないって言ったじゃないですか!」 「ご、ごめんね純子ちゃん…ふふ」 堪えきれず思わず吹き出してしまった。 だってまさかてっきり嫌われてしまったと思っていたのに実際はこーんな可愛らしい理由だったなんて。 「うぅ…」 純子の蒼白の肌に朱色が差し、俯く。でもさくらを不安がらせたのは間違いなく自分が悪いのだ。 「み、源さん、あのすみませ――」

10 18/12/06(木)22:35:16 No.552697750

>(もしや純子はんが最初から名前呼びなのはわっちだけなのでありんしょうか?) あなたはそうとしか呼べないし…

11 18/12/06(木)22:35:29 No.552697812

バルーンフェスタの続きだ!がばい嬉しか!

12 18/12/06(木)22:35:42 No.552697875

「さくら」 「えっ?」 「名前で呼んでくれたら、もうよかとよ」 ふにゃりと笑いかけるさくら。純子のもう動いていないはずの心臓がとくんと高鳴った。 「さくら、さん…」 「…もう一回」 「さくらさん」 「んふふ、もーいっかい!」 「さくらさんっ」 「えへへっ純子ちゃんっ」 ぎゅうとさくらは純子を抱きしめた。 ふわふわとした抱き心地とほのかな甘い匂い――すごく、安心する。 純子もぎゅっとさくらを抱きしめ返した。

13 18/12/06(木)22:37:38 No.552698476

「…んふふー…♪」 幸せそうに頬を緩めるさくらは大型犬のような愛嬌があり、純子も幸せな気持ちになった。 「………」 そういえば。ふと純子は考える。 なぜ自分はさくらの目から視線をそらしたのだろう。 名前が気恥ずかしくて呼べない、というのとは関係ないはずなのに。 「…?純子ちゃん、どやんかしたと?」 「いえ、なんでもないです、なんでも…」 さくらだけ名前で呼びづらかったのも。 深紅の瞳を見つめると頬が熱くなるのも。 さくらに抱きしめられるとどきどきと心臓が疾く鼓動を刻むのも。 今の純子にはその理由はわからなかった。

14 18/12/06(木)22:39:27 [sage] No.552699034

放送前滑り込みセーフ! su2751951.txt 前回のです 今回趣味に走って百合成分マシマシでお届けしちゃったが許してくれるだろうか許してくれるね ありがとうグッドガールズラブ

15 18/12/06(木)22:40:20 No.552699298

>愛のカマかけ って文でオカマが見えて駄目だった

16 18/12/06(木)22:40:20 No.552699300

よか…

17 18/12/06(木)22:40:52 No.552699477

良か話じゃ…

18 18/12/06(木)22:41:02 No.552699533

百合もバッチコイでありんすよ!

19 18/12/06(木)22:41:09 [sage] No.552699571

>って文でオカマが見えて駄目だった それは俺も感じてる

20 18/12/06(木)22:41:21 No.552699636

イチャイチャよか…尊か…

21 18/12/06(木)22:41:44 No.552699770

>今回趣味に走って百合成分マシマシでお届けしちゃったが許してくれるだろうか許してくれるね >ありがとうグッドガールズラブ むしろいいぞもっとやれと言いたい

22 18/12/06(木)22:42:34 No.552700057

いい塩梅で胸がこそばゆくなった…

23 18/12/06(木)22:42:43 No.552700116

よか… よかったい…

24 18/12/06(木)22:42:48 No.552700145

仲良し純さく最高です! 観光だったり海辺だったりこの二人は接点多くて相性がいいんだなと思ってたから嬉しい 過去作も非常に尊いものでした…

25 18/12/06(木)22:43:05 No.552700228

放送前にこれは…流れで本編でもきそうだ…

26 18/12/06(木)22:45:10 No.552700825

前回のやつもよかったし今回もよか…

27 18/12/06(木)22:47:22 No.552701453

よかよか サキちゃんもよか

28 18/12/06(木)22:49:13 No.552701960

やーらしか

29 18/12/06(木)22:50:38 No.552702394

こういう可愛いのが書けるようになりたい

30 18/12/06(木)22:53:15 No.552703221

やーらしか百合じゃ…

31 18/12/06(木)22:57:02 No.552704452

よか…めっちゃよか…

32 18/12/06(木)23:03:55 No.552706537

あっ100点です

33 18/12/06(木)23:06:01 No.552707209

めっちゃよかったい…

34 18/12/06(木)23:08:59 No.552708225

こういうのでよか

35 18/12/06(木)23:15:24 No.552710453

どやんす成分供給ありがたい…

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