18/11/28(水)00:12:49 「…何じ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1543331569081.jpg 18/11/28(水)00:12:49 No.550709048
「…何じゃいこれは」 薄暗い洋館の一室、嘗てはここに住んでいた家族が談笑しながら夕餉を囲んでいたと思われる部屋で、その男は呟いた。 「まぁまぁ幸太郎さん、まぁまぁまぁまぁ」 そう言いながら幸太郎と呼びかけた男に着席を促しながら、濃桜色の髪の少女はまるで涎掛けのように男の襟元にナプキンを押し付けた。 「今日はなんと！日頃の感謝を込めてメンバー皆から幸太郎さんに愛情たっぷりの手作り料理を振舞っちゃいま～す！」 「ちょっとさくら！私は別にそんな気持ち込めてないから！………まあ感謝は少しだけしてるけど」 朗らかにこの場に集った目的を告げるさくらと言われた少女とは対照的に、紺色の髪の少女は誤解と言わんばかりの剣幕で否定した。 「まぁまぁ愛はん、そこはムキになる方が逆に首肯するようなもんでありんす…軽く流しはったらよろしおすなぁ」 「ああ、ゆうぎり姐さんの言う通りだぜ…それともマジでラブ注入しとっと？」 「サキちゃんネタがふるーい」 そんな愛と呼ばれた少女の反応をからかうように、妖艶な美女と金髪の少女、それとあどけない表情の女児が横槍を入れる。
1 18/11/28(水)00:14:24 No.550709384
「だっ誰がラブラブよ！！ﾁｯ…もういいからさっさと始めるわよ！」 「ゆうぎりさんもサキさんもリリィちゃんも、あんまり愛さんをからかったら駄目ですよ…」 更にムキになる愛をフォローするように、透き通るような銀髪の少女は口添えた。 「ケッこんな時も純子は良い子ちゃんかよ…たえも何か言ってやれ」 「ｹﾞｯ」 サキは隣に立つ妙齢の女性「たえ」に対し、いやに馴れ馴れしく同意を求めた。 最もその反応が彼女の求めたものかどうかは、たえ本人にも分かっているかは怪しいものだが。 「………お前ら」 それまで口を閉ざしていた幸太郎が感極まったかのように眉間を押さえる。 「ふええ～幸太郎さんそんなに嬉しかと？やっちった？さくらたちやっちったと？」 「…俺に無断で外出するわ買い物するわそもそも代金どうしたとか、言いたい事は山ほどあるわい」 「えっ…」 「だけえこれでもし俺を唸らす一品作れんかってみい！しっかり罰を与えるけえ覚悟できとるじゃろうなあああ！！！」 「えええええ！？罰ってどどどどやんすどやんす～！？」
2 18/11/28(水)00:15:33 No.550709680
「はいそれではお前らゾンビィがどれだけまともに料理できるか試食会を始めまーす」 「いやだからあくまでこれはお礼のつもりと…」 「せからしか！！ワシは暇やないけんさっさと持ってこんかーい！！！一番はどいつじゃーい！」 「はっはい…！わ、私が最初です…」 そう答えたのは意外にもメンバーで一番大人しそうな純子だった。 「ほぅ純子か…お前にも積極性とか出てきたようじゃのう、よかったいよかったい」 「あ、ありがとう…ございます…」 俯きながら答える純子の頬は周りから気付くかどうかの程度に紅潮していた。 確かにこれまで何事にも一歩引いていた彼女が自ら一番手を名乗り上げるのは、幸太郎だけでなく他のメンバーも不思議に思った。 だが純子にはそうする理由があった。 彼女は先日インターネットで『恋のレースは先行逃げ切り』というブログに酷く感銘を受けていたのだった。 その公開日記に曰く、「恋愛勝負は先手必勝、他の娘が近づく前に既成事実を作る者が最終的に勝者となる」と。 そう、他のメンバーに先を越される前に、彼の胃袋を私が掴むのだ。
3 18/11/28(水)00:16:47 No.550709935
「それでは私…ゾンビィ４号作『採れたてきのこのカレーマルシェ』です…」 「っていきなりカレーかーい！」 これも純子の計算であった。 一番手という利点を最大限に利用するため、あえて腹に残る料理を選んだのだった。 （なぁさくら…買い出しの時にキノコなんて買うたっけ？） （う～んあんまり記憶にないような…） そんな後ろの雑音をまるで気に留めず、純子は幸太郎を促した。 「お口に合えば良いんですけど…」 恐る恐る幸太郎の顔を覗き込む純子。 幸太郎は純子の特製カレーにスプーンを差し込むと、一口、そして二口と口に運んだ。 「あ、あの…どうでしょうか…？」 「純子」 突然名前を呼ばれて、純子は動いていない心臓が止まるかと思った。 「はっはい！」
4 18/11/28(水)00:17:40 No.550710130
「スパイスは既製品プラスアルファ、米はカレーに合うよう水分を少なめにして、隠し味にヨーグルトソースでまろやかさを出したのは評価する」 「えっ…あ、ありが」 「だが決定的にこの得体の知れんキノコが気になるんじゃーい！！１！こんな色のキノコがこの辺に自生しとるかーい！！！１！」 「ええええっ…！」 「こんなもんは犬の餌じゃーい！ロメロー！！ロメロー！！ごはんの時間よー！！！」 「ﾊﾞｳﾊﾞｳｶﾞｳｯ」 純子のカレーを投げつけるようにロメロと呼ばれた犬に与える幸太郎。 そしてロメロは文句ひとつ言わずカレーを平らげたのだった。 「ひ、ひどい…本当にロメロにあげるなんて…グスン」 「おいグラサン！そりゃあいくらなんでも酷くねーか！純子泣いてるじゃねーか！」 「じゃかあしいアホゾンビィ共！これが料理に失敗した奴への罰じゃーい！！」 「何よそれ！私たちの気持ちぐらい素直に受け取りなさいよ！」 「おうおう威勢だけは人間並みじゃのう！悔しかったらワシを唸らす料理出してみんかーい！」
5 18/11/28(水)00:19:31 No.550710564
その後のメンバーの料理への反応も惨憺たるものだった。 「おいサキ！『特上地鶏と呼子イカのドカうま天丼』ってうまいもの×うまいもの＝最強にうまいものって発想がアホそのものじゃい！ロメロー！」 「愛！『マダイのカルパッチョアスパラ添え』ってこれ刺身パックにアスパラ付けてオリーブオイル垂らしただけやろがい！ロメロー！」 「ゆうぎりの『京そばと湯葉三種盛り』は…悪くないんだが逆にこれと言ったパンチが現代人には足りんのじゃーい！ロメロー！」 「さくら！『いちごとピーチが恋をしたラブラブタルト』ってお前がこれ食いたいだけじゃろうが！！！大の男に出す品じゃないわい！ロメロー！」 「リリィの『ポッキーその他で作ったスイーツユンボ』はお前これお前…出すとこ出したら賞取れるじゃろがい！勿体なくて食えるかーい！」 こうしてほぼ全員が撃沈し、哀れ各自思いを込めた力作はそのほとんどがロメロの胃袋に収まったのだった。 「まあ所詮ゾンビィの作る料理なんぞこんなもんじゃい！これに懲りたら二度とワシを満足させられるとか思い上がらんことじゃい！」 「………」 ダメ出しをされた全員が項垂れ、最早反論する気力もなかった。
6 18/11/28(水)00:21:01 No.550710908
「そしてお前ら全員今回の罰として１週間水浴び禁止とする」 「えええええ！」 「ｱｳ」 そこに手を挙げたのはたえだった。 「たえちゃん？」 たえが持っていたのは何の変哲もない、只のバナナだった。 「…もしかしてそれ、幸太郎さんに？」 「ｳｶﾞｳｶﾞ」 たえは持っていたバナナを幸太郎に差し出した。 「…」 そしてたえはおもむろにバナナに噛り付いた。 「えええ？たえちゃん！そこは幸太郎さんにあげんと！」 全員でたえを取り押さえる横で、落ちたバナナを幸太郎は拾い上げた。 「………」
7 18/11/28(水)00:21:05 No.550710922
そのブログやってる奴俺知ってるかもしれない…
8 18/11/28(水)00:21:53 No.550711107
無言で皮を剥き、バナナを食べる幸太郎。 その様子に気付いて見守るフランシュシュのメンバー。 「…う…う…う…」 「…幸太郎さん？」 「うーーーまーーーいーーーんーーーじゃーーーい！！！！」 「えーーーっ！？」 「お前らの小賢しい料理よりよっぽどこのバナナの方が美味いわーい！バーカバーカ！お前らバナナ以下！」 「しょんな～…」 「という訳で今回はたえのバナナに免じて罰は許してやる、だが次勝手な事したら全員ボウズな」 「はわわ…ボウズだけは勘弁して欲しいとよ」 「分かったら終わり！はい解散！お前ら明日のレッスンは覚悟しとけよ！」 「…はーい」 こうしてよく分からないまま、ゾンビィたちによる晩餐会は幕を閉じたのだった。
9 18/11/28(水)00:21:59 No.550711126
>恋のレースは先行逃げ切り うーんどこかで聞いたような
10 18/11/28(水)00:22:16 No.550711182
だが彼女たちは知らなかった。 幸太郎はいつの間にかそれぞれの料理を撮影しており、しっかりコラボカフェにメンバー考案オリジナルメニューとして売り込んでいた事に。 終わり
11 18/11/28(水)00:23:03 No.550711353
ロメロー！
12 18/11/28(水)00:27:20 [sage] No.550712393
スレ画の純子ちゃんがかわいすぎてつい書いてしまいました 正直佐賀弁とか分からないので表現が大いに間違ってる気がしなくもないです さくらごめ～んちゃい☆
13 18/11/28(水)00:30:12 No.550713023
さくらはん！！！！
14 18/11/28(水)00:30:48 No.550713143
ﾊﾞｼｨ
15 18/11/28(水)00:32:52 No.550713622
サキちゃんの天丼普通に食べたいな…
16 18/11/28(水)00:34:00 No.550713873
まさおは普通に家事できるからな…
17 18/11/28(水)00:35:57 No.550714275
もうちょっとみんなの料理と反応見たかったな
18 18/11/28(水)00:42:53 No.550715648
ロメロ食い過ぎ！
19 18/11/28(水)00:43:05 No.550715681
ブログなんてやってたのか…
20 18/11/28(水)00:48:45 No.550716781
メニューの意図が読めなかったがなるほどコラボカフェか…
21 18/11/28(水)00:56:47 No.550718275
愛ちゃんは ・考え抜いた上での至高のカルパッチョ ・巽相手にあまり気合いの入ったもの作るのは気恥ずかしい ・もともと料理スキルがズボラ飯特化 さあどれだ
22 18/11/28(水)01:00:44 No.550718905
面白かったよ
23 18/11/28(水)01:01:44 No.550719042
いやーよかったいよかったい …そのブログの人、先週復帰戦とかしてませんでした？
24 18/11/28(水)01:02:53 No.550719213
今夜なんか多くね！？
25 18/11/28(水)01:07:00 No.550719874
純子ちゃんの頭に生えてた黄色いキノコは佐賀でも普通に作られてたような
26 18/11/28(水)01:07:28 No.550719945
ポッキーユンボってそんなつまようじ工作じゃあるまいし
27 18/11/28(水)01:08:03 No.550720037
>今夜なんか多くね！？ 週末やけん！週末やけんみんな貯めてたのを放出してんだ！
28 18/11/28(水)01:09:06 No.550720198
今日は怪文書リンピックやけん！
29 18/11/28(水)01:11:20 No.550720553
>>今夜なんか多くね！？ >週末やけん！週末やけんみんな貯めてたのを放出してんだ！ しっかりしなんしー！