18/08/19(日)20:17:57 はいど... のスレッド詳細
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18/08/19(日)20:17:57 No.527258361
はいどうもこば滅!サリアの副官です!今夜もやって参りました、イニストガールズトークショウ! このコーナーは私サリアの副官がイニストラードのホットな女性と60分間ノンストップでトークをする企画となっております。さて、本日のゲストはこちらの方です! 「こんばんは。オドリックの十字軍こと、グレーテです!」 ……ついにこの日が来ましたね。グレーテ、貴方はオドリックさんの副官だと聞いています。 「はい。そして聖トラフト騎士団の副官でもあります。即ち、サリア様の──」 その先は慎重に発言することです。 アヴァシンの印を象った刃は闇の中で蒼く輝き、緊張感を生んだ。 サリア様の副官は私です。あなたは聖トラフト騎士団のそれかもしれません。ですが、それを以てあなたがサリア様の何であると?……さあ、続きをどうぞ
1 18/08/19(日)20:18:25 No.527258477
負けるわけにはいかない。いや、それは不正確だ。私は既に負けている。そう思ってしまっている。だからこそ、今勝たなければいけないのだ。彼女は或いは、私が自分の立場を必至で守ろうとしているように見えるかもしれない。しかし私が刃を構えるのは守る為ではなく、取り戻す為だ。 「……サリア様の刃である。──オドリックのそれであるのと同じように。何かご不満が?」 彼女は言い放った。そこには覚悟と共に一種の憐憫が込められていた。可哀想な人。そうやって私に勝った気にならないと不安で仕方がないのね。そう言わんばかりの。 貴様ッ! 紫電の残像が走った。
2 18/08/19(日)20:19:09 No.527258700
エルゴート訓練場には研修制度がある。新人数名かで様々な聖戦士の仕事を体験し、自身の適正を知り将来の道を選ぶ。そのような経緯でサリアは教区刃としてこの町に来た。 当時の彼女は余りに幼く、率直に言って長く勤まるようには見えなかった。 聖戦士ルテナン・レフテナントはこの町に配属されて三年目の教区刃だ。 今までに何人の先輩に庇われただろうか。同期は何人残り、後輩を何人失い、どれだけの人々を守れなかっただろうか。掌から零れたものが幾つあり、この世界に満ち溢れる悲しみの幾つを防げたのだろう。そんなことを考えるのが嫌になってきていた。 「レフテナント先輩!」 新人の一人、サリアが肩ほどの髪を揺らして言った。
3 18/08/19(日)20:19:26 No.527258796
白い肌とさらりと流れる髪。まるでお伽噺の主人公のような素朴な美しさを放つ少女はとても聖戦士の卵には見えない。 「どうしました、サリア」 「すいません、剣の稽古に付き合ってもらえませんか?先輩は隊の中でも一番の名手だと聞いたので!」 それを聞いて挑むのですか。ルテナンはその時、サリアに微笑ましい感情を覚えた。思えば、あの瞬間からルテナンはサリアに惹かれていたのかもしれない。 「いいですよ、熱心ですね」 「はいっ!私たちはアヴァシンの刃ですから」 サリアはまっすぐルテナンの瞳を見ていた。彼女もそれを見つめ返した。新人にありがちの希望に輝いた瞳。私はそれが好きだった。この世界を、人々を守れると本気で信じるその瞳が。 その瞳に私のそれはどう映るのだろう? では、とサリアは練習用の木剣を構えた。まるで彼女の敵も構えているかのように。
4 18/08/19(日)20:19:51 No.527258947
「サリア、人と怪物は違います。目の前の相手は何ですか?」 「先輩です!」 そうだけどそうじゃない。けれど真剣な眼差しで語る彼女がおかしかったのでそのままにしておいた。 「ふふっ、では先輩を吸血鬼だと思って構えなさい」 ルテナンは冗談めかして言ったつもりだが、一瞬でサリアの纏う空気が変わった。 「はい」 その構えはエルゴートで教えられる基本的な型だったが、それは完成された美しさすらある。基本はしっかりと身についている。血の滲むような訓練をしてきたのだろう。 「では!」
5 18/08/19(日)20:19:53 No.527258959
こば滅!
6 18/08/19(日)20:20:09 No.527259074
二人の聖戦士は一斉に動いた。木剣がぶつかり、二人は反射の中で動いた。 サリアは確かに見た目こそ幼いが、その腕は確かだった。そしてきっとすぐに自分を追い抜くだろう。ルテナンは確信した。 だが、今はまだ及ばない。腰をつき、サリアは剣を離した。 「さすがです、レフテナント先輩」 彼女の瞳は敬意の色に染まっていた。そしてルテナンは、やはりその瞳が好きだった。或いは、彼女自身をそうなのかもしれない。 木剣を手に再び立ち上がった彼女は再び刃を構えた。悪鬼を前にした聖戦士としてではなく、師に教えを乞う弟子として。 「私の構え、おかしくはありませんでしたか?もっと、どうすれば良いのでしょうか?」
7 18/08/19(日)20:20:27 No.527259182
それからサリアに手取り足取り戦い方を教えた。と言っても基礎はしっかりできているし、度胸も反射神経もある。 実戦経験の不足から来る視野の狭さや咄嗟の判断力と言ったものが身に着けばすぐに彼女はガヴォニーでも一二を争う聖戦士となるだろう。 サリアに抱いた第一印象はすぐに失われた。彼女が物語から出てきたように可愛らしい少女であるということを除いて。 「先輩、どうしたんですか?」 汗を拭いサリアは言った。見上げる瞳の愛らしさはやはり不変で、引力を持つようにルテナンを貫いていた。 「いえ、何でもありませんよ。サリア、よく頑張りましたね」 「まだまだできることはありますから!」 元気よく彼女は言った。その仕草のいちいちが可愛らしくて、稲妻が走り抜けたように心臓が暴れた。 そっとサリアの頭に掌を乗せ、それを撫でた。 サリア、きっとあなたは素晴らしい聖戦士になるでしょう。そうなるよう、私はあなたの先輩でありましょう。聖戦士は人々を守り、そして若き芽を守るもの。私に期待してくれた先輩がそうしたように、あなたに期待する私は守りましょう。
8 18/08/19(日)20:21:20 No.527259524
二ヶ月が経ち、サリアはルテナンに比肩する剣の名手となっていた。 二人の関係は対等なものだとは常々言っていたが、彼女にとってルテナンは変わらず先輩なのだそうで、やはり敬意を込めた瞳で見る。 二人の関係が変わるのは、その任務が変わる時であった。 近隣のとある町を拠点とするニアヒースの教区刃である彼女たちは、近隣の森で不浄なる者が現れたと聞いて討伐に向かっていた。 行きはルテナンとサリアを含めた7人、帰りは4人。それでも、巨大なスカーブの危機を未曾有に防げたのだから大金星だろう。 だが、聖戦士たちの不在こそが真に恐れるべきものだった。 守護していた町に不浄の軍団が押し寄せ、町の各地より火の手が上がっていた。疲労に潰されそうな体を引きずり残った聖戦士はすぐに戦いに加わったが、もはや何もかもが遅すぎた。あれは囮に過ぎなかった。死んでいった3人の仲間を想い、ルテナンはアヴァシンに祈りをささげた。
9 18/08/19(日)20:21:41 No.527259682
多勢に無勢、住民を一人でも多く逃がすことだけを考えて聖戦士たちは剣を振るった。目の前で逃げ遅れた住民が殺されるのを見ながら、それでも。 「先輩!」 「サリア、背中は預けます!」 一人でも多く生かすのだ。きっと町に残っていた防衛隊が増援を呼んでいる。それが来るまで時間を稼ぎ、こいつらを引き付ける。私たちもまた、囮になるのだ。 近寄るスカーブを切り、牽制し、一定の距離を保つ。今やスカーブは二人を囲んでいたが、それは好都合であった。こいつらの注意が二人に集まれば、他の誰かが逃げられるかもしれない。 動きの要となる下半身の体力をつけろとは散々言われてきたが、サリアはその日その意味を身を以て理解した。 サリアは倒れた。精神より先に肉体の限界が来たのだ。脚が震え、痙攣していた。朝から戦い続けた彼女には無理もないことである。 弱音を吐こうとしたその瞬間、スカーブのそれとは異なる暖かい手が彼女を掴んだ。
10 18/08/19(日)20:22:25 No.527259928
「サリア、声は出せますか!」 「せ、先輩……」 「出せるなら、とにかく叫びなさい!スカーブを引き付け、人々を逃がす為に!」 初めての戦いの時、悪鬼から私を庇った先輩のことを思い出した。彼はその時の傷が原因で死んだ。あの時ルテナンは守られる側だった。 吠え群れに襲われ骨すら砕かれた同期の友の断末魔、たった一人で歩哨を任され幽霊に操られた後輩、目の前で救えなかった無辜の人々の恐怖に歪む顔。鮮やかに蘇ったそれらの記憶にかぶりを振り、スカーブの包囲を切り崩し、ルテナンとサリアは追ってくる鈍重な群れを誘った。 走り、見つけ、逃がし、助け、守れ。勝てぬとも、負けるな。 私が強ければ、どれだけの命が今もあったのだろう。 全ての人を救うことなどできない。それでも私の刃は誰かを救えるはずだ。だが、実際はどうだ?この襲撃の中、何人が逃げ切れた? 街の聖戦士はサリアと私以外にまだ生きているのだろうか。増援はいつ来るのだろうか。……私はいつまで戦えるのだろうか。 ルテナンは意志の力だけ戦っていた。それは絶望の中でこそ爛々と輝く信仰の力だった。 「先輩、私はもう戦えません。私を置いて……」
11 18/08/19(日)20:22:54 No.527260088
「サリア!弱音を吐く余裕がありますか!貴方の役目は奴らを引き付け、町の人を逃がすことです。それに専念しなさい。あなたを死なせはしません。私が必ず守り抜きます!」 気付けば町の外れに来ていた。町民の死体を幾つも見たが、ついぞ二人以外に生きている人々を見ることは出来なかった。 どうか、既に逃げ切っていて下さい。逃げる彼らを守って下さい。ルテナンは今一度アヴァシンに祈りを捧げたが、効果があるのかは分からなかった。 その瞬間、ふっと力の抜けるような感覚と共に膝ががくりと折れた。限界はとうに訪れており、集中が祈りに途切れたのだ、当然のことである。 「くそ!くそ!!」 片手をついて、体を無理やりに起こして剣を構えた。最早怪物の餌食となるのは避けられない。例えそうだとしても、ただで死ぬつもりはなかった。一体でも多く奴らを傷つけ、時間を稼いでやる。 決意とは裏腹に、彼女は最早剣を満足に振ることもできなかった。そしてゆっくりとスカーブの手が伸び……
12 18/08/19(日)20:23:13 No.527260203
「遅くなってすまなかった!」 アヴァシンの印を象った槍がそのスカーブを貫き、馬の蹄が頭を砕いた。騎士が十名程度、天使が一人。スレイベンの騎士たちだ。 「状況は!?」 「スカーブの大群に襲われた。町を見回して、生き残りは見なかった。建物の中までは見ていない」 悔しかった。こんな情けない報告をしないといけないことも、聖戦士である自分たちが守られるということも。 私は何を守れた?隣で何とか立ち上がろうとするサリアを見た。私は彼女を守った。だが、或いはそれは、何も守れなかった自分を救いたいがためにそうしたのかもしれない。 「サリア、頼れない先輩でごめんなさい」 涙が溢れていた。そんなものを流す余裕などないのに。動けるなら戦わなければならない。 生存者を探さなければ。まだできることがある。自分たちの守るべき場所は、守るべき人はある。
13 18/08/19(日)20:23:58 No.527260439
その後のことは余り覚えていない。 町民は二十人程度、近隣の町に逃げ延びたと聞いた。生き残った聖戦士はルテナンとサリアの二人。 サリアはエルゴート訓練場に一度戻り、将来は審問官になると言っていた。 「あのようなことを未然に防ぐ為、私は努めたいのです」 彼女の瞳に嘗ての輝きは失われていた。代わりに、強い決意があった。 「サリア、貴方は素晴らしい聖戦士になる。きっと、沢山の人を救う者になる」 「……」 「顔を上げなさい、サリア。私たちの武器は信仰にあります。私たちは戦えます。守れます。捧げられます」 それは全て自分に言いたい言葉であった。 彼女はそっと、ルテナンを抱き締めた。 「……ありがとうございました」 くぐもった声が胸に響いた。 「命懸けであなたが助けてくれたから、今の私があります。本当に、ありがとうございました」
14 18/08/19(日)20:24:18 No.527260566
その言葉は、気持ちは、長らく忘れていたものだった。 ルテナンは孤児だった。彼女を命懸けで救ってくれた聖戦士がいなければ、今頃ここにいることはなかっただろう。 先人が、友が、そして無辜の多くの人々が命を繋いできた。彼女は尽くされてきた。同じように、彼女も尽くしていた。ルテナンはただ、彼女にとって当たり前のことをしてきたまでだった。 だが、それは、守られた者にとって特別なことなのだ。そんな大切なことをどうして忘れられたのだろう?ルテナンもまた、彼女を抱き返した。
15 18/08/19(日)20:24:57 No.527260777
エルゴート卒業後、サリアは審問官として素晴らしい活躍をしたと聞いた。 名高い吸血鬼の古老たちを一騎打ちで倒し、爪の群れの狼男たちを相手にたった一人で戦い、そしてスレイベンの守護者ロサーの死後、彼女が新たなスレイベンの守護者になったと。 彼女を担いで走った日の事を思いだし、ルテナンは溜息を吐いた。あの時、彼女を助けたのは何も守れない自分を守るためだったのだろうか。それとも、彼女がこうなることを分かっていたのか。 どちらかは自分でも自身を持って言えないが、どちらにせよ、自分にできたことがあったのだと思うと救われた気分だった。 彼女は今もしがない教区刃の一人だ。彼女が直々に訪れるその日までは。 「レフテナント先輩!」 今やスレイベンの守護者となったサリアがひょこりと彼女の自宅に顔を覗かせた。肩ほどまでだった髪は長く伸びたが、その美しさは年月を増し一層成熟されたものになっていた。 どれ程の時が流れただろうか、ルテナンにとってその期間は悠久に等しく思えた。
16 18/08/19(日)20:26:20 No.527261278
「サリア様!活躍は耳にしております!」 咄嗟に出た言葉が、ルテナンすら想像していない程に二人の変化を語っていた。 「そんな、堅苦しくしないで下さい!」 「今や我々はスレイベンの守護者とつまらぬ一聖戦士です。堅苦しくはございません」 「……分かりました、聖戦士レフテナント。では、貴方にスレイベンの守護者として命令します。スレイベンの防衛部隊に入りなさい」 サリアは断固とした口調で言った。何時の間にか、そんな言葉を言えるようになったのか。ルテナンは感慨深いものを覚え、頭を下げた。
17 18/08/19(日)20:26:36 No.527261372
「かしこまりました」 「貴方をこう呼ぶのも最後ですが。……先輩、あの日、貴方が助けてくれたことを今でも覚えています。ですから、私もまた貴方のように尽くした。私にとって貴方は憧れなのです。どうか、私をこれからも支えてはくれませんか?」 サリアもまた、頭を下げた。そして再び顔を上げた時、その瞳にはいつか見たような煌めきがあった。確信したのはその時である。 ルテナン・レフテナントはサリアに恋をした。この生涯を捧げる最後の信仰の拠り所である。 「光栄でございます」 いつかのようにルテナンはサリアを抱擁した。サリアは驚いたような表情を見せ、しかし、彼女に返した。 「サリア様、貴方が生きていて下さって本当に良かった。貴方こそ、私の希望ですから」 サリアは頬を赤らめて、しかししっかりとルテナンを見つめた。それに吸い込まれるように自然にルテナンはサリアの唇を奪い、二人だけの世界が訪れた。
18 18/08/19(日)20:27:31 No.527261671
……という過去が私にもあって欲しいんですよ! 「えぇ……今の全部妄想なんですか……あんだけ長々と喋っておいて……」 うるさい!とにかく私とサリア様には強い絆があるんです!絆魂してるんです! 「今の話を聞いても、『頭おかしいんじゃないですか?』としか言えません」 グレーテは呆れたような顔で言った。しかし彼女は私の作戦に気づいていない。今や彼女の目的は私の行動にケチをつけるのみ。 おっとそろそろお時間ですね!いやあすいませんねえグレーテ、私ばかり長々と話してしまいまして。
19 18/08/19(日)20:27:47 No.527261783
「まさか……!」 まさか?どうされましたか?さーあそういう訳で今夜のイニストガールズトークはここまで!また次回お会いしましょう! 勝てずとも、負けるな。嘗て街をスカーブの群れに襲われた時(捏造)私はとにかく倒れないように戦った。その時の経験(捏造)が生きたのだ。 グレーテは私を睨んでいたが、それも無意味な行為だとすぐに悟りやめた。 「……こんなことで満足ですか?」 満足?何がですか。まるで私が貴方に何かを仕掛けたような言い方ですが。さて、そんなことよりもう夜も遅いですし早く帰ればどうです? 言うだけ言って私もそそくさと局を後にしました。はぁサリア様……今夜は後輩のサリアちゃんが先輩と慕ってくるシチュでオナろ……。
20 18/08/19(日)20:28:25 No.527262006
収録後、公園でグリフ焼きを食べているとサリア様が偶然にも私の隣に腰かけた。 「こんばんは、副官さん」 あっサリア様好きです。じゃなくてお疲れ様です、サリア様。 「副官さん、今日のラジオ聞きましたよ。それで、副官さんに会えるかなって思ってここで待ってたんです」 えっえっ何これ愛の告白なの?いやどう考えても過去勝手に捏造したことへのお説教でしょうけどほら万に一つの可能性もありますし。 「どうして今まで忘れていたんでしょうね、そう、私、副官さんに言わなくちゃって思って」 いやいや何を言っているんですか。あれはあくまで作り話でありまして。 「副官さん、スレイベンの守護者には軍部の編成権があります。ガヴォニー州に限ってですが。ではここで一つ問題を出しましょう。あなたはただの教区刃でした。ですが私はあなたをスレイベンの防衛部隊に組み込んだ。なぜだと思います?」 えっと……それはギサとゲラルフのアンデッドがスレイベンを攻め込んだ際に大勢の聖戦士が殉職したから……ですよね?
21 18/08/19(日)20:29:27 No.527262358
「その通りです。聖戦士のリストを見ていて、私はあなたが目に留まった。なぜだが分かりますか?」 サリア様は私を見つめていた。 だめですサリア様そんなに見つめたら…… 「副官さん、貴方は幸運と努力が貴方を今の地位に導いたと思っているかもしれません。ですが私の貴方への慕情が貴方を私の副官足らしめているのです。だというのに貴方だけが一方的に愛を語る、これは不公平だと思いませんか?私たちは両想い。そうであるなら、私からも貴方に告げなければ。おかしいと思いませんでしたか、散々セクハラ発言をして置きながらその地位を保てていたこと」 サリア様?余りにも衝撃的な発言に私は理解が追いついていないのですが。 「副官さん。いや、私のルテナン。私サリアは貴方を……」 彼女はそばかすの浮かんだ頬を赤らめ、そして被りを振った。 「いや、今は適切ではありません。私はスレイベンの守護者、私の言葉は私個人のものではありません。今夜は私の家に来て下さい。そこで続きは語りましょう」 月が神秘的に輝く夜、サリア様に手を引かれ私は夢のような世界を歩いていました。これは現実なのでしょうか?
22 18/08/19(日)20:29:54 No.527262511
家に入って早々に、サリアはルテナンを抱き締めた。 「ルテナンさん、どれ程私がこの日を待ち望んでいたか!」 言うが早いか彼女は何度はルテナンの帽子を脱がせ、その髪を優しく撫でた。 「ずるいですよ、貴方はどこでも私への気持ちを主張する!ですが私は出来ない!私はスレイベンの守護者、皆の模範でなければなりません。恋に現を抜かしてはいけません。……ルテナンさん、貴方に負けないくらい、私も貴方が好きでしたのに!」 「サリア様、落ち着いて下さい。私はどこにも行きませんよ、貴方の副官ですから」 「違う!」 サリアは突然髪を振り乱した。その行動の一つ一つが平時の彼女とは似ても似つかず、ルテナンは一種の奇妙を覚えた。 「今は副官ではありません、私のルテナンです。肩書きは要りません」 そう言って彼女は荒々しくルテナンの唇を奪った。人口呼吸をしたこともあるのでこれが初めてのものではないが、ルテナンにとってはそれに等しかった。 貪るような舌が踊り彼女の口を乱暴に踏み荒らし(2GGG)、息つく間もなく二度目のキス。
23 18/08/19(日)20:30:17 No.527262662
「サリア様、そんなにがっつくなんて……」 「様付けもいりません。今の私たちは対等な恋人、良いですね?そろそろ一つになりましょう。ひと、ひとつ。我等はひとつ」 サリアの変質は明らかで、すぐさまルテナンは彼女を払った。 「我らは一つ。我等エムラクー……」 「サリア様!!」 強くルテナンは彼女の手を握った。彼方の怪物が彼女を引っ張ろうと負けるつもりはない。渡さない。聖戦士は不屈だ。 「……副官さん?あれ、どうしてここに?」 サリアはかぶりを振り、それから自身の身に起きたことについて語った。 「遠くから声が聞こえました。嘗てスレイベンに訪れたあれの声が。その名を呼ぼうとして、私は……」 「貴方には私がついています。サリア様。今日は、一先ず大丈夫でしょう」 そう言ってルテナンはサリアの家を後にした。 「サリア様、お休みなさい」 「あっ副官さん!」 スレイベンの夜空に月を隠す巨大な、アヴァシンより遥かに巨大な天使の姿があった。 「気に入らなかった?」
24 18/08/19(日)20:30:46 No.527262837
「貴様は何だ」 「ねえ、気に入らなかったの?」 軽い声、軽い調子。他の天使の声を雨音に例えると、彼女のそれは風だった。どこにもないような、そんな声。 「気に入らない。お前の望みは何もいらない」 天使は歌うように軽やかな調子で話しており、それはどうしようもなく神経を逆撫でした。その巨体を軽やかに翻し、鮮やかにルテナンの前に着地した。音一つなく、不自然な程に優雅に。 「話をしに来たの」 その背は想像以上に高く、ルテナンの頭が彼女の腰程にしか届かなかった。 「話だと?」 天使は二本の巨大な剣を背負っていた。明らかに歪で、それは彼女の知っているどの天使とも異なっていた。 「いいだろう、やってやりましょう」 だが、彼女の中には恐怖など無かった。或いは失われていた。彼女の中には強い怒りがあった。 「来週23時、スレイベンのラジオ局に来い。そこで話をしましょう」 私のサリア様を侮辱した貴様を許しはしない。 ルテナンは狂気をもって、その狂気に対抗していた。
25 18/08/19(日)20:32:03 [終わり] No.527263286
サリアの副官/Thalia's Lieutenantの名前であるルテナン・レフテナントは英語で書くとLieutenant Lieutenantになると思います
26 18/08/19(日)20:32:12 No.527263347
何この超展開
27 18/08/19(日)20:33:13 No.527263692
カウンターいくつ載ってるんだ副官
28 18/08/19(日)20:34:15 No.527264096
スレ落ちるまでに読ませる気あるのか分からない長さだ
29 18/08/19(日)20:35:19 No.527264479
原稿用紙埋まりそうな長さ
30 18/08/19(日)20:39:47 No.527266111
エムラクールと関係なく頭おかしかったの副官?
31 18/08/19(日)20:45:03 No.527268095
>頭おかしいんじゃないですか?
32 18/08/19(日)20:45:24 No.527268215
二ヶ月後あたりにスクショでスレ立てしそう
33 18/08/19(日)20:45:58 No.527268399
勝てないゲームを引き分けに持ち込むのはmtg界では非紳士的行為として嫌われますよ
34 18/08/19(日)20:46:49 No.527268668
>勝てないゲームを引き分けに持ち込むのはmtg界では非紳士的行為として嫌われますよ これ全部私の駒だし!
35 18/08/19(日)20:47:01 No.527268737
いつ見てもガッツポーズしてるようにしか見えない
36 18/08/19(日)20:50:04 No.527269907
いつにも増して長い…
37 18/08/19(日)20:51:08 No.527270307
いい話だなぁって思ったら全部妄想かぁ この副官マッドネスしてるわ
38 18/08/19(日)20:57:52 No.527272454
すごいなこれ… 途中あたりは公式のサブストーリー貼ってるのかな?とか一瞬勘違いしそうになった
39 18/08/19(日)21:00:46 No.527273327
はいどうもこば滅!当たりで勘違いは消し飛ぶだろ!
40 18/08/19(日)21:00:55 No.527273379
長え
41 18/08/19(日)21:06:03 No.527275153
イニストラードは頭おかしい人間しか生き残れないの?
42 18/08/19(日)21:07:03 No.527275510
精神攻撃を自力で破ってる…
43 18/08/19(日)21:11:44 No.527277076
見るがいいこれがイニストラード人だ
44 18/08/19(日)21:13:35 No.527277683
長すぎる…
45 18/08/19(日)21:15:47 No.527278434
頭おかしい人は精神攻撃効かないってレムカロラスさんもやってたからな…
46 18/08/19(日)21:16:59 No.527278801
レムさんは頭おかしくないだろお前も狩られるぞ