ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
18/06/10(日)00:13:32 No.510651747
森羅の霊峰にも梅雨が訪れる。幾重にも積み重なった雲の下、森の傘の下で僕たちは川や崖の確認に急ぐ。 「いやあ、そろそろとは思ったけどね」 水先のリーフが滑るように川を走る。その横で僕とブレイドは弱った木々に生命力を与えていた。 「しかし、今年もこの季節か……姫は雨の日になると川に行きたがる。ナルサス、見張り頼むぞ」 「見張りは実張りに任せればいいだろ！？」 「姫が一番懐いてるのはお前なんだ」 ブレイドが疲れた顔で言った。絶対面倒臭いだけだ。 風に乗る雨の匂い、木々の囁く声。早くも一雨、そんな予感。 「ナールーサースー！どこですかー！」 「ほら、呼ばれてるぞ」 ブレイドに背中を押されふらつく僕。バランスを崩して倒れるその瞬間、姫が視界に飛び込んだ。 「ナルサス！探したんですよ、全く……きゃあっ！？」 図らずとも、押し倒したような形になってしまった。僕が謝罪に口を開くよりも早く、姫は言葉を発した。 「ナルサス、重いです……脱ぎなさい」
1 18/06/10(日)00:13:53 No.510651862
「し、しかし姫……」 「ナルサス、貴方の甲冑重過ぎて身動きが取れません……というかよくこんなの平気で着てますね」 「まあ、これでも一応鍛えているので」 「その割には私と同じ程度の攻撃力ではありませんか？」 姫はそう言って、いい加減腕を退けるようにと手を払った。姫の細腕から僕と同じだけの攻撃力になるの、理不尽じゃない？ 「とにかく、そんな重い物を着込んでいては危ないです。全部脱ぎなさい」 姫はそう言って僕を睨んだ。髪を流れる雫が美しい。 「か、かしこまりました。肌着も脱ぐ必要あります？」 言われるがままに甲冑を捨て肌着を脱ぎ、生まれたままの新芽のように裸体を晒すことになった。 赤面する僕と対照に姫の顔は退屈そうであった。 「ナルサス、あなたはまだ捲られただけ。森羅の者はそこから効果を使うのではないのですか？」 「えっと……今日は台風の天気模様！僕のにん人が姫のアイオブタイフーンに狂植物の氾濫します！」 「ナルサス、そんなに氾濫したいなら川に行って滝滑りをしなさい」
2 18/06/10(日)00:16:22 No.510652798
カタ脱ぎなさい
3 18/06/10(日)00:18:09 No.510653518
最近また見るようになってきた
4 18/06/10(日)00:22:12 No.510654951
「ナルサス！何してるんだ！危ないだろう！」 息も絶え絶えになりながら川から上がると、スナッフが複雑な表情で僕を見ていた。 「ごめんごめん……」 笑いながら頭をかいたが、全裸ではどうにも締まらない。怒ったような安心したような顔でスナッフは続けた。 「全く、台風の日くらい大人しくしたらどうなんだ？」 「はは、仰る通りで」 濡れた髪を振るったが、激しい雨には無意味だった。とにかく、ここにいたら風邪を引いてしまうだろう。見かねたのか、スナッフが手を取った。 「向こうでオークが暖を取っている。行こう、ナルサス」 「ああ、待ってて。姫を呼んでくるよ」 「私はここにいます。気付きもしないとは、随分とお話に夢中でしたこと」 振り返ると、ずぶ濡れの姫芽宮様。うわこれ怒ってるやつだよ。 「ナルサス、脱ぎな……もう脱いでましたね……」
5 18/06/10(日)00:29:42 No.510657474
「し、失礼いたしました。姫もここにいては風邪を引きますよ、早く向こうへ」 「ナルサス、暖まる方法は一つではありませんよ。スナッフリリース超栄養太陽」 「ウギャーーーー！！！！」 スナッフー！？火属性付与されたスナッフの悲鳴は一瞬痛々しく響いたが、すぐに太陽の熱にかき消えた。 「これで暖かいでしょう。貴方が服を取ってくるまで、私はここで待っています」 姫を雨の中一人で待たせるのは気が引ける。いや、スナッフがいる……のか？ 「かしこまりました。すぐ戻りますので」 雨に打たれて崖を登り服を着て、大慌てで姫の元に。それまでの間に超栄養太陽は燃え尽きてしまったようで、ずぶ濡れで立ち尽くす姫とスナッフの燃えカスがそこにはあった。 「遅くなってすいません！姫、お待たせしました！」 兜を被り直し、彼女に跪く。姫は少しの間無言で居たが、僕の顔をじっと見つめて大きく微笑んだ。 「よし、服を着ましたね。脱ぎなさい！」 何言ってるんですか？
6 18/06/10(日)00:30:43 No.510657846
大盤振る舞い侍来たな…