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    18/05/05(土)00:30:55 No.502389416

    SS「相互恋関」【R-18】

    1 18/05/05(土)00:31:28 No.502389565

     くちゅり……くちゅり……と、粘ついた水音が薄闇の中響き渡る。 その音は、薄闇の中心、大量に散乱するカップ麺やコンビニ弁当の空き箱に囲まれた布団の上から聞こえてきた。 音が絶えず聞こえてくる布団の上には、二つの重なっている裸体があった。 大きな裸体の上に、小さな裸体が乗っている。 「ん……んはっ……」 「んんっ……んんん……」  裸体は頭をそれぞれの股ぐらに覆い被せていた。 互いに、互いのヴァギナを舐めあっているのだ。  上のほうに被さっている裸体は体が小さいため、下のほうの裸体は少し体勢が苦しそうだった。 だが、そんなことは関係ないと言わんばかりに、下になっている裸体は必死に上になっている裸体のヴァギナを舐めていた。 「んっ……んん……エリカぁ……」  小さな裸体が、舌を這わせながら自分の下にいる裸体の名――逸見エリカの名を呼んだ。 「あっ……愛里寿ぅ……」  そしてエリカは、その小さな裸体の――島田愛里寿の呼びかけに応えた。 エリカと愛里寿は、それぞれ名前を呼びながらお互いのヴァギナを舐め続ける。

    2 18/05/05(土)00:32:32 No.502389816

    「はぁ……はむ……エリカぁ……」  愛里寿はエリカのヴァギナに舌を入れ込む。 入れ込んだ舌でエリカの割れ目を沿うように愛里寿は舐める。そのたびに、エリカの体に電流が走る。 「んんっ……! いい……いいわよ愛里寿……! んっ……!」  エリカは快感を感じながらも、お返しとばかりにエリカもまた愛里寿のヴァギナに舌を入れ込む。 エリカはその舌で、ぐるぐると愛里寿の膣内を舐め回す。 「あひぃ……! き、きもひいい……! きもひいいほ、えりは……!」  愛里寿は舌をヴァギナに入れながら喋る。 エリカの舌も愛里寿も舌も、互いの愛液をぐちゅぐちゅと泡立たせながら、その味を堪能する。 「あっ……エリカのオマンコ汁美味しいよ……! んひぃ!」 「あむっ……! あ、愛里寿の愛液だって……んんっ! 美味しいわよっ……! んんん!」  エリカも愛里寿も、それぞれが感じ合いながら必死にヴァギナを貪り、愛液を啜った。 「じゅるるるるるるっ! じゅるるるるるるるっ!」 「ずずずずずずっ! ずずずずずずずずっ!」

    3 18/05/05(土)00:32:53 No.502389930

     愛液を啜り合う下品な音が薄闇の部屋全体に響き渡る。  その姿はまさに獣。人間性をかなぐり捨てた獣であった。 お互いにお互いの性器を貪り合うことしか考えていない。 まさに性欲の奴隷だ。 「じゅるっ! じゅるううううっ! ずずずずっ!」 「じゅじゅじゅじゅじゅっ! じゅじゅじゅじゅじゅっ!」  舌と口の動きはより激しさを増していく。 二人の体からは、たっぷりと汗が滲み出ていた。 そして、二人の汗は混ざりあって、布団の上に染みを作る。  だが、布団の上にはすでに、二人が零した愛液での大きな染みがいくつもできていた。  二人の情事が何度も繰り返されてきた証だ  エリカと愛里寿の唾液と愛液はすっかり混ざりあい、もうどちらがどちらか分からない。 それほどに、エリカと愛里寿はお互いを求めあっていた。 「んはっ……! んはっ……! エ、エリカああっ……!」 「……ああ……! あ、愛里寿ぅ……!」

    4 18/05/05(土)00:33:23 No.502390059

     二人の顔が紅潮し、声が上ずりだす。 それは、そろそろこの獣の貪りあいに、終止符が打たれるという合図なのだ。 「んんんんっ! い、いくよっ! エリカっ!」 「えええっ! 私も、私もいくわよ愛里寿っ!」  エリカと愛里寿はそれぞれそう言い合うと、一気に舌の動きを加速させた。 お互い同時に果てようとする、二人の間での合図だったのだ。 「んんんっ……!? んんんんんん……!」 「んひっ!? ……んんんんっ……!」  びちゃびちゃとした下品な水音は音量を増す。 それに合わせて、ボロボロな部屋も軋み始める。 そしてそれが、最後の合図だった。

    5 18/05/05(土)00:33:42 No.502390149

    「んっ……! んっ……!」 「おっ……! おおっ……!」  二人の目が見開かれる。 そして次の瞬間、 『んっ、ああああああああああああああああああっ!』  二人は同時に、絶頂した。 「……ふぅ」  エリカは、裸のまま二リットルのペットボトルのジュースをそのまま口をつけて飲んだ。 「……ぬるいわねぇ」 「そりゃそうだよ、もう三日間はおきっぱなしでしょ」  布団の上に座っている愛里寿はエリカにそう返しながらも、布団の近くに置いてあった袋を開いたスナック菓子を口に流し込もうとした。 しかし、袋には殆どスナック菓子は入っておらず、残った粉だけが愛里寿の口の中に流れ込む。

    6 18/05/05(土)00:34:02 No.502390246

    「……もうこれも空か。他に食べ物もなくなっちゃったし、そろそろ外にでないとなぁ……はぁ、だる」  愛里寿は吐き捨てるように言う。 そしてそう言ったあと、気だるそうに布団の上から立ち上がった。 「あら、出かけるの?」 「なわけないじゃん、馬鹿じゃないの? 裸のままだよ? ちょっと水道水でも飲んでくるだけだよ」  愛里寿はエリカに背を向けながら、そのまま台所の流し台へと向かった。 「んっ……」  そして、そのまま頭を傾かせ、蛇口から直接水道水を口に含んだ。 「んっんっんっ……はぁ」  そして、水を飲み終えると、そのまま横においてある冷蔵庫を開いた。 「……やっぱなんもない。エリカ、買ってきて」 「は? あんたが買いに行きなさいよ」 「やだよ面倒くさい」

    7 18/05/05(土)00:34:18 No.502390314

    「そんなの私だってそうよ」  そこまで言い合うと、二人は顔を見合わせて「……はぁ」と同時にため息をついた。 「うーん埒が明かないわね……そうだ、先にイったほうが買い物に行ってくるっての、どう?」 「お、それいいね。楽しそうだし気持ちいいし」  そう言ってエリカと愛里寿は布団の上に寝転がると、再び体を絡み合わせ始めた。 エリカと愛里寿は、ずっとこうした生活を送っていた。 淀んだ空気と汚れた環境の中で、ずっと互いの体を求め続ける。 その姿は、かつてのエリカと愛里寿を知っているものが見れば、よく似た別人と思ってしまってもおかしくないだろう。 二人がこうなってしまったのには訳があった。 そのきっかけは、数年前に時を遡る。

    8 18/05/05(土)00:34:36 No.502390394

      ◇◆◇◆◇ 「……うーん」  愛里寿は目の前にあるスタンドミラーで、何回もその場で回転しながら自分の身だしなみを確かめていた。 愛里寿は今、自分にできる精一杯のおしゃれをしていた。 普段着ている少女趣味の服装の中でも、一際フリルが沢山付いている服だ。 白と黒のコントラストも印象的で、人形のように可愛らしい愛里寿にはぴったりの服だった。 「……よし!」  愛里寿は自分の姿に満足すると、ソファーの上に置いてあった鞄を取り、扉を開けて部屋を出た。 太陽の光が愛里寿の目に差し込んでくる。 愛里寿は一瞬手で目を覆う。そして目が光に慣れるまで待って、歩き出した。 車を行き交う道路の側の歩道を愛里寿は鼻歌交じりに歩く。

    9 18/05/05(土)00:35:05 No.502390507

    これから行く場所のことを考えると、愛里寿はどうしても上機嫌になった。 そして二十分ほど歩くと、愛里寿は目的地についた。 そこは、小さな喫茶店だった。 特筆すべきようなことは何もない、本当に質素な場所だった。 だが愛里寿は迷わずその店に入った。 カランカラン、という鈴の音がする。 その音と共に、 「愛里寿ちゃん!」  と、愛里寿の名を呼ぶ明るい声がした。 愛里寿はその声を聞くと、ぱあっと笑顔になり、声のほうを向いて言った。 「みほさん!」  喫茶店の奥の席に、愛里寿をにこやかな顔で待つ、西住みほの姿があった。 「こんにちは! みほさん!」 「こんにちは、愛里寿ちゃん……って、この前も学校で会ったばかりだよね」

    10 18/05/05(土)00:36:28 No.502390877

    「そうだね。でも、こうして休みの日にみほさんと一緒にお出かけするのは凄く楽しみだったよ!」  愛里寿は満面の笑みでみほに言う。  みほは、その言葉に顔を赤らめる。 「ふふ、嬉しいなぁ。それにしても、愛里寿ちゃんが大洗に入学してきてからもう三ヶ月かあ。早いものだね」  みほは懐かしむように言う。  愛里寿はかつて高校で戦車道をするために大学から転校する高校を探していた。  最初はみほと一緒に大洗で戦車道をしようという考えだったが、みほと戦いたいという理由で別の高校に転校しようと転校先を探していた。  しかし、愛里寿は結局大洗に転校した。 「愛里寿ちゃんが最初こっちを選んだときはびっくりしたよ。別の高校にするって最初断ったのに」 「うん、やっぱりみほさんと一緒に戦車道したいなってのが強くなって」  それは確かに真実の一つではあった。  だが、本当の動機を、愛里寿はみほに話してはいない。 「それじゃあ注文頼もうか」 「うん、そうだね。でもちょっと待って。そろそろ来る頃だと思うから」 「え? 来るって誰が……」

    11 18/05/05(土)00:36:44 No.502390949

     そのとき、再びカランカランと入り口のベルが鳴った。  扉は愛里寿の背中側にあったため、愛里寿は誰が入ってきたか分からなかった。  そのため、上半身を後ろに振り向ける。 「あっ、エリカさーん!」  そして、店に入ってきた女性が愛里寿の目に入るのと、みほがその名を呼ぶのはほぼ同時だった。 「ああみほ。久しぶり」  そこには、笑顔で手を振るうエリカの姿があった。  愛里寿は驚いた。  エリカの事は知っていた。大学選抜戦で相手でいい動きをしていた一人だし、大洗に転校してから何度も練習試合で手合わせした相手だからだ。  だからこそ、黒森峰の生徒である彼女がここにいることが愛里寿にとっては信じられないことだった。  エリカは、店の中に入るとまっすぐにみほと愛里寿の席にやってきて、店員から椅子を一つもらい向かい合うみほと愛里寿の横、二人の間に座った。

    12 18/05/05(土)00:37:02 No.502391026

    「今日は誘ってくれて嬉しいわみほ」 「ううん、エリカさんがせっかくこっちに来てくれたんだから、誘わないわけないでしょー」  みほとエリカは笑い合う。  その脇で、愛里寿はひとり不機嫌そうに眉をひそめた。  愛里寿はてっきりみほと二人っきりだと思っていた。  なのに、そこにエリカという人間がやってきたことが、面白くなかった。 「それじゃあ注文しよ! 店員さーん!」  みほが元気な声で店員を呼んだ。  その瞬間、愛里寿とエリカは目を合わせた。  すると、エリカは愛里寿に向かって不敵な笑みを見せた。  その表情が、愛里寿にはとにかく不愉快だった。

    13 18/05/05(土)00:37:30 No.502391150

     その後、愛里寿とエリカとみほは、喫茶店でコーヒーと会話をある程度楽しんだ後、喫茶店を出て学園艦の上を歩き回った。  学園艦の上はみほにとっては周り慣れた土地ではあるが、愛里寿やエリカにとってはまだ慣れぬ土地であり、目にするものや訪れる店が目新しかった。  みほと歩く時間を愛里寿は楽しんだ。  そして、これでエリカがいなければとも思った。  そうして歩き回った三人は、最後に学園艦の上でも一際真新しい建物を訪れた。  そこは、学園艦に建てられた施設の中でも、珍しいものであった。 「ここ! 前から来たかったんだよねー! 学園艦美術館!」  そこは、学園艦の生徒が芸術にもっと触れられるようにと建設された美術館であった。  様々な美術品が展示してあるため、学園艦を訪れる人間の観光スポットとして今注目を集めている場所であった。 「さ! 入ろう入ろう!」  みほは愛里寿とエリカの手を握って美術館に入る。

    14 18/05/05(土)00:37:48 No.502391206

     愛里寿はみほに手を握ってもらえたことが嬉しかった。  そして、独占できないことにまたも残念な気持ちになった。  三人は美術館を見て回った。  愛里寿は芸術のことはよくわからなかったが、そこに展示されているものが美しいことは素人の彼女にも分かった。  それゆえ、退屈せずに美術館を回ることができた。  三人でどれほど美術館を回っただろうか。様々な絵画が飾られているスペースを見て回っているタイミングで、ふとみほが口を開いた。 「……ごめん二人とも! ちょっとここで待っててくれる? その……お手洗いに行きたくて」  みほは少し顔を赤らめながら言った。 「あなた喫茶店でコーヒーおかわりしてたものね。いいわ、行ってきなさい」  愛里寿より先にエリカがみほに言う。愛里寿は言うタイミングを逃し、とりあえず頷くことにした。 「ほんとごめん! それじゃ!」  みほは両手を二人に両手を合わせて足早に、しかし周囲の迷惑にならない程度の駆け足で去っていった。

    15 18/05/05(土)00:38:09 No.502391326

    「…………」 「…………」  愛里寿とエリカは無言で絵画の前で立ち尽くす。  気まずい空気が流れていると、愛里寿は思った。  しかしエリカと何を話せばいいのか分からない。  なので、仕方なくその絵画――どうやらあまり有名ではない画家が描いたらしい絵画――の前で立ち尽くしていた。 「……ねえあなた」  と、その沈黙をふいにエリカが破った。  そしてエリカは、愛里寿にとって驚くべきことを口にした。 「あなた、みほのこと好きでしょ。女性として」 「っ!?」  愛里寿は急なエリカの発言に、動揺を隠せなかった。  そう、愛里寿はみほに恋をしていた。  大洗学園艦に転校してきたのも、それが理由だ。  愛里寿は大学選抜戦で戦い、その後みほと交流を深めていくなかで、その気持ちが芽生えていった。今では、完全に自覚するほどに大きくなっている。愛里寿の秘めたる想いは、誰にも打ち明けたことがなかった。それをエリカに看破されたことは、愛里寿にとって衝撃だった。

    16 18/05/05(土)00:38:31 No.502391458

     一方のエリカは、相変わらず余裕そうな笑みをたたえている。 「……な、なんのこと?」  愛里寿がやっとひねり出した言葉がそれだった。  だがエリカは、そんな愛里寿の言葉を聞いてふふっと笑う。 「バレバレよ。みほの前ではあからさまに態度が違うんですもの」 「……だったら、なんだって言うの」  愛里寿は半ばヤケクソ気味にエリカに答えた。  自分の気持ちを掘り起こして何が楽しいのか。そんな気持ちも込めていた。  するとエリカは、またも愛里寿の予想外の言葉を口にした。 「別に責めてるわけじゃないのよ。私もあなたと同じってことを伝えたくてね」 「え……? 同じ……?」 「私も、みほが好きってこと」 「え……えええええ!?」  愛里寿は美術館だということを忘れ、思わず大声を上げてしまった。  エリカが「しーっ」と口に人差し指を立てたことによって、愛里寿はハッとして口を押さえる。

    17 18/05/05(土)00:38:48 No.502391591

     幸い、周りに殆ど人はおらず、周囲の目はあまり引かずに済んだ。 「好きって……同じって……」 「まあ、いきなりこんなことを言ったら混乱するわよね」 「当然だよ! そ、そんな……わ、私以外にも、同性でみほさんのことが好きな人がいただなんて……」  愛里寿は声を抑えながらも、狼狽え目を泳がせていた。  そんな愛里寿に対し、やはりエリカは余裕そうな笑みを見せる。 「私も驚いたわ。でも、同時にあなたを尊敬もしているのよ。みほと一緒になりたいからって、みほと同じ学校に転入するなんて、簡単にできることじゃないわ」  それはエリカの心からの賛美らしかった。  愛里寿は喜んでいいのかどうなのか、不思議な気持ちになる。 「……どうして、それを私に打ち明けたの」 「ん?」 「だって、秘密にしていたほうが何かと色々やりやすいだろうし……」  それはだんだんと冷静になってきた愛里寿が抱いた疑問だった。  言う必要のないことをなぜ言うのか。

    18 18/05/05(土)00:39:05 No.502391673

     するとエリカはこう返した。 「んー、なんていうか、勝負はフェアにやりたいのよ。そして、私が勝ってみせる。私は戦車道でも恋でも、自分の道を曲げたくないのよ」  エリカは愛里寿にまっすぐな目で言った。  そのあまりのまっすぐさに、愛里寿はなんだか眩しいものを見るような気持ちになった。 「な、なるほど……」 「それにこの勝負、私の勝ちは目に見えているしね」 「は、はい!?」 「だって、私はあなたよりもずっと前からみほと一緒にいたのよ? 一時期疎遠になってはいたけれど……今はこうしてはっきりと、私の中の恋心を自覚してみほと向き合っている。そんな私が、負ける道理なんてないのよ」  愛里寿はエリカの自信満々な態度の理由がようやく分かった。  エリカは、本当に自信家なのだ。  戦車道においても恋においても、絶対的な自信を持っている。  そのことが、エリカの言葉の端々から感じられた。

    19 18/05/05(土)00:39:32 No.502391814

     そして、先程の言葉はエリカからの事実上の宣戦布告だと、愛里寿にも分かった。 「わ、私だって、みほさんと一緒になりたいからこうして今一緒にいる。だから、私だって負けない……!」  愛里寿はエリカに負けじと言った。  ここで威圧されてしまっては、恋に勝てるわけもない。  そう思い、愛里寿は出来る限りの威勢を張った。 「そう。でも、転入したことがあなたのアドバンテージだと思っているようだけど、そんなものすぐに乗り越えられるものだってことを教えてあげる」  エリカは愛里寿を見下ろしながら言った。  その言葉通りの上から目線な物言いが、愛里寿の癪に障った。 「二人とも、ごめーん!」  そのとき、二人のもとにみほが帰ってきた。  みほは二人に手を振りながら抑えた速度で二人の元に駆けてきた。 「大丈夫? 二人っきりにしちゃったけど、よくよく考えればエリカさんと愛里寿ちゃんてそんな話したことなかったよね?」  どうやらみほは二人の間を心配してくれたらしい。  その思いやりが嬉しくなった愛里寿は、 「うん。大丈夫だよ。とってもお話できたから」

    20 18/05/05(土)00:39:49 No.502391881

     とみほに言い、 「ね、“エリカさん”」  と、わざと強調するように言った。 「ええそうね。とても有意義な時間だったわよ、“愛里寿”」  一方のエリカも、みほには分からない程度の強調を込めて、愛里寿に言った。  二人の間には、目に見えない火花が散っていた。 「二人とも仲良くなってくれたんだ! 嬉しいなー!」  みほはそんな二人の間に流れる空気にまったくかんづくことなく、のほほんと笑っていた。 「あ、そうだエリカさん」  と、そこでみほが思い出したように言う。 「今日の晩御飯何がいい? やっぱりハンバーグ?」 「そこはあなたにお任せするわ。あなたの料理美味しいもの」 「えっちょっと待って」  愛里寿は二人の会話が気になり割って入る。 「もしかしてエリカさんて、今日みほさんの家に泊まるの……?」

    21 18/05/05(土)00:40:05 No.502391975

    「うーんというか……」  みほが答えようとしているところで、またもエリカがふふっと笑った。  そして、愛里寿に対し勝ち誇るように言った。 「私、今日からしばらくみほの家に厄介になるの」 「……へ?」  愛里寿は思わず素っ頓狂な声を上げた。  ――エリカさんが? みほさんの家に? 泊まる? それってつまり、ずっと二人っきりっていうことで……。 「ちょ、ちょっと待って! エリカさんて黒森峰の隊長でしょ!? 隊長がしばらく学園艦から離れてて大丈夫なの!?」 「ああそこは大丈夫よ。もう夏の大会も終わったし、しばらくは次代の育成を兼ねて次の隊長候補に指揮をとってもらうことにしてるから。私抜きでも戦えるようにね」  愛里寿が驚きながらも湧いた疑問を口にすると、エリカはあっさりと答えた。  どうやら、エリカは本当にみほの家に宿泊するらしかった。

    22 18/05/05(土)00:40:22 No.502392061

    「私もびっくりしたよー。黒森峰も変わったなぁって。でも、それがエリカさんの隊長としての判断だから、私も手伝えればなあと思って、エリカさんを泊めることにしたんだ」  みほは苦笑いしながら言った。  その隣では、エリカがまたも愛里寿の癇に障る笑みを見せていた。 「そういうことだから。しばらくよろしくね……愛里寿」 「……うん。よろしくね、エリカさん」  二人は笑いあった。  当人同士にしか分からない、敵意を含んだ笑みだった。

    23 18/05/05(土)00:40:40 No.502392138

      ◇◆◇◆◇      その夜。  エリカは、みほと共に夕食の準備をしていた。  最初はみほ一人で作っていたのだが、みほとの関係を縮めたいエリカは、みほと一緒に作ることを提案したのだ。  みほは最初大丈夫だと断ったが、エリカがどうしてもというので、結局一緒に作ることになった。 「こうして一緒に料理してると、黒森峰時代を思い出すねー」 「そうね。あの頃は相部屋で、こうして一緒に料理をしたものだったわね」 「あの頃はエリカさんにいっつも迷惑かけてたなぁ。ごめんなさい」 「そうね。毎朝私があなたを起こしたり、洗濯物を畳んだり……一人だと本当に何もできなかったんだから」 「そ、そんなことないよ! 私だってこっちで一人暮らしになってからはちゃんと色々できるようになったんだから!」 「あらそうなの? だったらちゃんと見せてもらわないとね」  エリカはみほとたわいない話が出来るのが嬉しかった。  一時期は嫌いにまでなりかけていた時期があった。

    24 18/05/05(土)00:41:00 No.502392222

     それはみほが転校してから、大洗で戦車道をやっていると知ったときだった。  やむを得ず出ていったとはいえ、別の高校で敵として戦車道をしているみほの姿を見て、憤りを抑えることができなかった。  だがみほと試合をし、大学選抜戦で再び一緒に戦ったことにより、エリカの心の中にあるしこりは取れ、再びみほに対する好意が蘇った。  そして、それと共に自分がみほに恋心を抱いていることに気づいたのだ。  そして、エリカは今までの失った時間を埋めることを決意した。  そのための、みほの家への宿泊だった。  その理由を作り上げることにかなり苦心したが、隊長としての責務をまっとうした今、自由にみほにアプローチをかけることが出来るようになったのだ。 「あっ、エリカさんそこのソース取って」 「ええ、はい」  エリカはみほに言われた通りに置かれているソースを手渡す。  その瞬間、エリカとみほの手が触れ合った。

    25 18/05/05(土)00:41:15 No.502392311

     エリカの鼓動が急に早鐘を打つ。  ただ触れ合っただけなのに、エリカは幸せでいっぱいな気分になった。  だが、その内心をエリカはおくびにも出さない。  表面上は、いつも通りに冷静な逸見エリカを演じた。 「ありがとう、エリカさん」  何気ないみほの感謝の言葉。  その一言だけでも、エリカは嬉しかった。    ピンポーン。    そのときだった。玄関のほうから、チャイム音が聞こえてきた。 「うん? こんな時間に誰か来たのかしら?」  エリカは誰かと思い玄関のほうに顔を向ける。 「あ、ちょっと待っててエリカさん。私出るから」

    26 18/05/05(土)00:41:41 No.502392448

     みほはそう言うと、手を流し台の水道で洗い、側にかけてあったタオルで手を拭いてから玄関のほうへと向かった。  エリカはまあどうせ宅配便か何かだろうと、気にもとめずにみほを待った。  しかし―― 「あ、いらっしゃい! 愛里寿ちゃん!」  その玄関のほうから聞こえてきた言葉で、エリカは再び玄関のほうへと意識を持っていかれた。 「え!?」  エリカは驚き急いで手を洗って玄関の方へと向かう。  そこには、沢山の荷物を持った愛里寿が、ちょうど玄関から上がってきていたところだった。 「あ、どうも。エリカさん」  愛里寿はニッコリとエリカに笑いかける。  エリカもそれにぎこちない笑みで返した。 「あら愛里寿じゃないの。どうしたのかしら? そんな荷物持ってこんな時間に」  だが口調はなるべく違和感のないように務めるエリカ。  だが内心は虚を突かれたために動揺していた。

    27 18/05/05(土)00:41:59 No.502392558

    「あ、そういえばエリカさんに言ってなかったっけ。ごめんねエリカさん」  そこでみほが苦笑しながら謝る。そして、みほは言った。 「実はね。愛里寿ちゃんもこれから夏休みの間、うちに泊まることになったの!」  再びエリカは心の中で驚いた。  そしてすぐさま、大洗に転入するぐらいの彼女なら、みほの家に泊まりにくるぐらいの行動力は見せるだろうなということを思った。 「あら、そうなの? でもみほ、二人も泊めて大丈夫なの?」  エリカはその内心を隠し、自然にみほに聞く。するとみほは笑って答える。 「うん! お布団はまだ余裕あるし、スペースも三人ぐらいなら十分寝られる場所があるし! それになにより、みんなで楽しくお泊りできるのが嬉しいんだ、私!」 「そう……」  エリカはみほならそう答えるだろうなと思っていたため驚きはしなかったものの、やはりがっかりしてしまっていた。

    28 18/05/05(土)00:42:14 No.502392629

     そんなエリカの落胆が一瞬だけ表れていたのか、愛里寿はエリカを見てニヤリと笑った。  そして言った。 「よろしくね、エリカさん」  とても満面の笑みだった。  まさしく、昼の意趣返しだった。 「……ええ、よろしくね。愛里寿」  エリカもまた愛里寿に笑顔で返した。  こうして、一人の女性を好きになった二人が一緒に同居するという不思議な三人の生活が始まった。   つづく

    29 18/05/05(土)00:44:45 No.502393323

    来たのか!

    30 18/05/05(土)00:45:03 [す] No.502393413

    ちなみに続きは私が学園祭に出ますので学園祭後になります あとこれは以前出した本の一部分なのでこれの本も学園祭で過去本として出すつもりです

    31 18/05/05(土)00:45:51 No.502393640

    なんか策士みぽりんの陰謀のニオイがしますね

    32 18/05/05(土)00:47:17 No.502394079

    擬音がエロい...

    33 18/05/05(土)00:56:00 No.502396385

    これはまさかお互いにみほいいよね…してる内に本気になったとか

    34 18/05/05(土)01:01:14 No.502397499

    横から秋山に掻っ攫われたのかもしれない

    35 18/05/05(土)01:03:44 No.502398083

    秋山ァ!

    36 18/05/05(土)01:04:12 No.502398188

    慰めックス!!11

    37 18/05/05(土)01:06:13 No.502398739

    二人にみほゆかイチャイチャを見せつけながらヤる高等テクニック

    38 18/05/05(土)01:18:46 No.502401633

    お互いに無関心ならその関係は交わりませんわ でも例えそれがライバル心や反感だったとしても何らかの感情を持った時点で心は動くの 心が動かされるという事は相手に惹かれたという事よね

    39 18/05/05(土)01:21:32 No.502402210

    可能性の塊やつ

    40 18/05/05(土)01:24:50 No.502402914

    学園祭頑張ってくれ …今から出発すれば歩きで辿り着けるかな俺

    41 18/05/05(土)01:26:22 No.502403285

    >学園祭頑張ってくれ >…今から出発すれば歩きで辿り着けるかな俺 どこから歩く気だよ!?

    42 18/05/05(土)01:29:21 No.502404069

    >どこから歩く気だよ!? 浜松の上の方 ちょっと先は長野県な辺り