18/03/29(木)00:18:03 タミヨ... のスレッド詳細
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18/03/29(木)00:18:03 No.494120135
タミヨウさんに恋をした。彼女には夫がいる。夫婦仲は良好だ。子供達もいる。家族仲もまた、良好だ。 タミヨウさんは優しい人だ。物知りで、色々種族の友人がいる。空民だけでなく、人間や、大きな猫とも話しているのを見た。 僕はタミヨウさんに恋をした。女性として好きだった。話好きのタミヨウさん、僕と一緒に巻物を探してくれたタミヨウさん。彼女のことを考えるだけで胸が苦しくなる。 タミヨウさんに一度、訪ねたことがある。 「ねえ、タミヨウさん。最近、ある女の人のことが頭から離れないんです。その人はとても綺麗で、優しくて、ずっと一緒に居たくて……。それから、僕はその人の笑顔が見たい。沢山、沢山見たいです。その人を笑わせてあげたい」 タミヨウさんは目を丸くした後、微笑んだ。僕を見て、僕の為に。 「ヒヨク、それは恋というものです。その感情は、愛おしいというものです 嗚呼。僕はタミヨウさんに恋をした。生まれて初めて、恋をした。 「恋をしたら、どうしたら良いのでしょう」 タミヨウさんは何も言わなかった。心のままに。彼女と過ごしてきた今日までの時間を思い出し、それらは全て素敵な時間であったことを再確認し、頷いた。
1 18/03/29(木)00:28:14 No.494122324
タミヨウさんがずっと朧宮にいてくれれば良いのに。僕がそう言った時、タミヨウさんは首を振った。 「それは出来ないのです。私は仕事がありますから」 タミヨウさんは旅をして、物語を集め、朧宮にその巻物を集める仕事をしていた。 「タミヨウさんは、この世界の全てを知っていると思っていました」 「いいえ、そんなことはありません。ヒヨク、時は常に流れているのです。昨日何もなかった場所で、今日は新たな物語が生まれています。それに……」 そこまで行って、タミヨウさんは空を見上げた。月が煌めいて、神々がそこにいるような気がした。 「何でもありません。私たちの知り得ないような物語も、あるのでしょう」 タミヨウさんは少し申し訳なさそうに、悲しそうに言った。 「そんな顔をしないでください。僕も悲しくなります」 「ありがとう、ヒヨク。それじゃあ、私は新しい巻物を保管しないといけないので」 タミヨウさんは巻物の塔に向かった。空の向こうを見つめていた彼女は、その先の物語を読んでいるようだった。 僕も大人になれば、タミヨウさんのように物語を集める仕事をしよう。タミヨウさんと、二人の物語を作るのも悪くないかもしれない。
2 18/03/29(木)00:28:30 No.494122379
あいつ
3 18/03/29(木)00:31:10 No.494122893
タミショタいいよね…
4 18/03/29(木)00:33:52 No.494123386
タミヨウさんはゲロインだからな…
5 18/03/29(木)00:38:49 No.494124422
朧宮の学舎で僕は今日も勉強をしていた。これと言って得意な科目があるわけではないが、苦手なこともあまりなかった。平凡でありふれていた僕だけれど、読書は好きだった。 自分の知らないことを知るのが好きだった。頭の中に、整理できない程沢山の情報が入ってくるのが幸せだった。 「ヒヨクは巻物を読むのが好きだな。今度、巻物の塔に行くといい。沢山勉強して、将来は先生になるといいかもしれんな」 僕の先生はそんなことを言っていたが、余り教鞭を取ることに心が惹かれなかった。それよりも、自身も何か書きたいという気持ちが強かった。 「いらっしゃい。初めて来たのかしら?お名前は?」 タミヨウさんとは、そこで初めて出会った。朧宮のあらゆる書物が集まる巻物の塔。彼女はそこの書物の全ての所在を把握しているそうだ。 「えっと、ヒヨクといいます。学舎で勉強をしていて、今年で5年目になります」 「そうなのですね、ヒヨク。私はタミヨウ。分からない事があれば、何でも聞いて下さいな」 タミヨウさんは微笑んだ。早くに亡くなった母の顔を思い出して、寂しくなった。
6 18/03/29(木)00:41:47 No.494125066
タミシコは初めて見た
7 18/03/29(木)00:45:20 No.494125796
それから、僕はタミヨウさんに物語の本を探してもらった。彼女は物語が好きだと言うと、嬉しそうだった。 「ヒヨクはどんな話が好きなのですか?」 「まだ、どれが好きと言うほど知れていません」 僕の答えに、彼女はおかしそうに笑った。 「すいません、私の子供の頃を思い出して。私には子供がいるんですが、その子たちもみんなお話が好きなのです。みんなヒヨクより大きいのですが、きっと、すぐに友達になりますよ」 子供がいる。その事実に僕は不思議な気持ちになった。この人の子供は、この人から沢山の話を聞くのだろうか。羨ましいな。僕の父は寡黙で、何を考えているのか分からない。母がいない僕を、大事にしてくれているのは伝わるけれど。 「……」 僕は、どうしていいのか分からなかった。ただ、とても寂しかった。 「ヒヨク」 彼女の声に顔を上げるのと同時に、彼女の腕に包まれるのを感じた。暖かくて、優しくて、慣れていた。 「寂しくなったら、いつでもここに来ていいのですよ。私が常にいるとは限りませんが、書は貴方の寂しさを忘れさせてくれるでしょう。私がいるなら、貴方の話し相手にもなりましょう」
8 18/03/29(木)00:51:02 No.494127057
タミヨウはプレインズウォーカーにしては真っ当過ぎる
9 18/03/29(木)00:58:15 No.494128505
タミヨウさんは母親だ。だから、僕のような子供の相手に慣れているのだろう。巻物の塔に訪れる子供の扱いなどは、きっと、特に。 「ありがとうございます、タミヨウさん」 タミヨウさんは何でも知っていて、分からないことには答えてくれた。それは学問も、人生の歩み方も、感情の正体も。 僕は、そうして、タミヨウさんに恋をした。大切な存在の曖昧な境界に線が引かれることを知った。タミヨウさんは、すぐに特別な人になった。 「タミヨウさん」 ある日、僕はタミヨウさんに再び相談をした。 「この前の話を覚えていますか。恋という心の話です」 「ええ。勿論」 言葉を選ぶのは難しかった。語彙の全てを総動員して尚、足りない気がしたからだ。 「恋をしてからも、今までと変わらずっと生きているつもりです。けれど、段々、この気持ちを伝えてしまいたくなるのです。秘密にしないと関係が変わるのに、辛いのです」 切実な想いだった。日に日にタミヨウさんの存在が自分の中で大きくなるのを感じた。今や、巻物の塔は彼女に会うための場所になっていた。
10 18/03/29(木)01:04:47 No.494129651
分からない…
11 18/03/29(木)01:15:57 No.494131648
すごいオシャレな魔法を使うゲロイン