18/02/04(日)23:25:19 ガルパ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1517754319887.jpg 18/02/04(日)23:25:19 No.483076817
ガルパン最終章セガコラボカフェSS 「何故エリカは頭の上にリボンを乗っけたのか」
1 18/02/04(日)23:25:50 No.483076935
「これはどうやって着ければいいのかしら…」 大きく真っ赤な、恐らく自分には似合わないであろう可愛らしいリボンを見つめるエリカ。 その身は黒を基調とした和服、所謂茶屋の娘が着ているような服に包まれていた。 エリカはリボンをじっと見つめたまま動かない。 その姿はまるで履帯を切られた戦車の様でもあった。 そう、エリカは今まさに追い詰められているのだった。
2 18/02/04(日)23:27:01 No.483077222
そもそも何故エリカがこんな格好をしている上にリボンと悪戦苦闘しているのか、その理由は大学選抜戦の頃まで遡ることになる。 彼女たち大洗連合は強大な敵である大学選抜に真っ向から立ち向かい、そして激戦の末に見事勝利を収めた。 元々世間では彗星のごとく現れ全国大会を制した大洗は話題になっていたのだが、弐度目の廃校問題、そして厳しい条件を乗り越え再びの廃校撤回。 その事実が一介の女子高校生に過ぎない彼女たちを世界的に有名な人物へと変えた。 それに伴い元々高かった戦車道熱が世間でさらに高まったのだ。 これに目をつけたのが今回彼女が追い詰められることとなった元凶だった。 その元凶とは何のことはない、最近陸で有名なチェーン系のカフェであった。
3 18/02/04(日)23:27:38 No.483077383
なんでも今回の一連の騒動でカフェの代表取締役がすっかり戦車道にハマってしまい、戦車道連盟にコラボのお願いしてきたというのだ。 カフェ側はコラボする代わりに戦車道を支援するということで、金銭面での問題を危惧していた戦車道連盟にとっても悪くない条件ではあった。 そして正式にコラボすることが決定し、連盟側の代表として大洗女子学園が全面的に協力することとなったのだ。 この話を聞いた時エリカは納得していたし、何より今後戦車道がより大きなものへと変わると確信したことで抑えきれぬ興奮に襲われてすらいた。 ただ、その後伝えられた言葉がエリカには理解できなかった。 「私達も協力するってどういうことですか!」 「なんでも大学選抜に勝ったのは大洗連合だから私達も協力しなければいけないとのことらしい」 こうなったのはあの役人が一枚噛んでいるからだという噂もあると西住まほは付け加えるが、エリカにはもう聞こえていなかった。 こしてエリカ達短期転校組は大洗のメンバーと一緒に史上初のコラボに協力することになったのだった。
4 18/02/04(日)23:29:10 No.483077717
コラボとは言うが実際にやることは用意された衣装に着替えてキービジュアルとなる写真を撮るくらいだった。 撮影は陸のカフェで行われることとなり、彼女たちは大学選抜戦から久しぶりに一堂に会したのだ。 「眠い…」 「これはこれはダージリン殿!お久しぶりです!」 「え、ええそうね」 「ちょっと!あんた達いい加減うちのKV-1を…!」 「お久しぶりですわー!」 「あんざ…」 「ハーイ!元気にしてたかしらチョビ!」 「ポロロン」 久しぶりに会ったからか各々が積もる話に花を咲かせている。 カフェの中では誰も彼もが話したい人と話そうとしてかなりてんやわんやとしていた。
5 18/02/04(日)23:29:49 No.483077864
しかし、エリカは他校の生徒とそういった話をするのがあまり得意ではなかったし、そもそも話す気もなかった。 彼女をそういった気分にさせるなによりも大きな要因となったのが彼女だった。 「愛里寿ちゃんも撮影に参加するんだ!」 「うん、大学選抜側の代表として来た」 「わぁ!ボコも一緒だぁ!」 彼女の存在がエリカにとってこのカフェでの居心地を良くないものへと変えていた。 確かに全国大会を通し、そして大学選抜戦で一緒に戦ったことから彼女に対しての敵意というものは消えた。 だが一度生まれてしまった溝を埋めることができたわけではない。 まだどこか彼女に対して後ろめたい感情を抱えているエリカは自分から歩み寄るといったことができないでいた。 そしてエリカ自身は気づかなかったが、そんなエリカを見つめる視線があった。
6 18/02/04(日)23:30:25 No.483078045
------------------------------ そのうち撮影に取り掛かるために衣装合わせが始り、衣装に着替え終わった人は次々と更衣室から出ていった。 だがエリカは着替えが上手くいかず、リボンを取り付ける頃には皆更衣室からいなくなっていたのだ。 そんなこんなでエリカはアドバイスをもらうことができず、リボンと悪戦苦闘する羽目になったのだ。 勿論、更衣室から出て誰かにリボンの着け方を聞けば解決する話なのだが、そんなことはエリカのプライドが許さなかった。 かと言って変な着け方をして恥ずかしい思いをするのもエリカは避けたかった。 1人で延々と悩んでいると、更衣室のドアが開いた。 「あー居た居た!逸見さんまだ着替え終わってなかったの?」 「貴方は…武部さんだったかしら?」
7 18/02/04(日)23:31:10 No.483078212
更衣室に入ってきたのは大洗女子学園の武部沙織だった。 エリカの記憶ではあんこうチームで通信手をしていた子という認識だった。 戦車喫茶で少し言い合いになったことを思い出し、エリカは少しバツが悪かった。 「そういえばちゃんと自己紹介してなかったよね」 「別に今更いいわよ」 「こんにちは!武部沙織だよ!」 「こ、こんにちは…」 「………」 「…な、なによ」 「もー!ほら自己紹介!貴方の名前もきちんと教えてほしいな!」
8 18/02/04(日)23:32:10 No.483078483
エリカはこの少しの間で武部沙織に対して苦手意識というものを抱いた。 彼女の距離の詰め方が黒森峰では体験したことのないものだったからだ。 「い、逸見エリカよ…よろしく」 「うん!よろしくね逸見さん!」 「それで、そんな武部沙織さんが私に何の用かしら?」 「えっとね、そろそろ撮影が始まりそうなんだけど逸見さんが見当たらないから探しに来たんだ」 「そう、それはそれはご苦労様なことね」 「どういたしまして!それで、逸見さんはどうして更衣室に残ってたの?」 「別に…何でもいいじゃない」 エリカはどうしてもキツイ口調になってしまう自分が嫌になる。 そもそも戦車喫茶でもこれが原因で目の前の彼女と言い争いになったというのに。
9 18/02/04(日)23:32:57 No.483078653
「あっ!もしかしてそのリボンの着け方で悩んでたの?」 「ちっ違うわよ、そんなわけないじゃない」 「もーそうならそうと逸見さんも言ってくれればいいのに!」 「だから違うって言ってるでしょ!!」 思わずエリカは大声をあげていた、それも沙織が黙るほど。 エリカは後悔しながらも言葉を続ける。 そもそもエリカと沙織の間には何の関係もないんだと言わんばかりに。 「大声をあげてごめんなさい。でもね…そこまでしなくてもいいのよ武部さん」 「でも…」 「それにね、きっとこのリボンは私には似合わないわ…」 「逸見さん…」
10 18/02/04(日)23:34:08 No.483078944
エリカが卑屈気味に笑うと沙織が何かを決心したかのようにエリカに言う。 「えりりんちょっとそのリボン貸してみ!」 「ちょっと誰がえりりんよ!」 「いいからいいから!」 沙織は強引にエリカからリボンを奪い、そしてエリカの頭に着ける。 「ほら鏡を見てみなよえりりん!」 「ちょっと押さないで…よ…」 エリカは体を大きな姿見の方に向けさせられると、そこには頭の真上にリボンを乗っけているエリカが映っていた。 「どう?私とお揃いの着け方だけど可愛いでしょ!」 「え…ええ…」 自分でも驚くほどに、お揃いのリボンの着け方はエリカに似合っていた。
11 18/02/04(日)23:34:45 No.483079096
「リボンも着けたし早く行こっ!えりりん!」 「…どうしてわざわざ私のことを構うの?」 「え?」 「戦車喫茶でのこと覚えてないの?私は貴方達に失礼なことを言ったのよ?」 戦車喫茶でのことを思いだせば思いだすほどエリカは自分に嫌気が差してくる。 「貴方だって私の事が嫌いでしょう?」 「ううん、私はえりりんの事が嫌いじゃないよ」 「嘘つき」 「嘘なんかじゃない。えりりんを見てるとね…転校してきたばっかりの頃のみぽりんを思い出すの」 転校した頃のみほといえばとにかくこの世の終わりとでも言わんばかりに暗かった頃だとエリカは思い返す。 つまり今のエリカは沙織にとってそれくらい暗く見えるという事なのだろう。 「だからね、えりりんの事が放っておけなかったの。それだけじゃダメかな?」
12 18/02/04(日)23:35:59 No.483079415
この瞬間エリカは理解した。 どうしてみほが大洗で戦車道をやることができたのか。 どうして折れることなく自分の戦車道を見つけることができたのか。 「貴方って相当なお人好しね…」 そして、副隊長になってからしばらく忘れていた、人の優しさというものを思いだした。 そのことを理解した瞬間、自分でも意識しないうちにエリカは声を発していた。 「…あの子の傍に居てくれてありがとう」 どうしてこんな言葉が出てきたのか、それはエリカ自身にもわからない。 しかし、みほに対して抱いていたわだかまりが溶けていくのをエリカは感じていた。 「きっと黒森峰には、私にはみほを救うことはできなかった」 「えりりん…」 「私達と居ても…きっとみほにとっては意味がなかったのよ…」 ぽつりぽつりとエリカの口から言葉が漏れる。
13 18/02/04(日)23:37:15 No.483079749
「そんなことないよ!」 静寂を破るように突然沙織が大声をあげる。 「みぽりんは黒森峰のことを意味がなかったなんて考えてないよ!」 「嘘よ…だって私たちはみほを追い出したのよ…?私達が悪者なのよ?」 「それが間違ってるの!みぽりんは黒森峰のことを悪者だなんて思ってないんだから!」 その言葉を聞いた時、エリカの心はざわついた。 今まで考えていたことが否定され、そして全く真逆のことを伝えられたのだから。 「みぽりんはよく黒森峰の時のことを話してくれるんだよ?」 「本当なの…?」 エリカは自分の心を落ち着かせながら沙織に聞く。 「うん!練習試合のことだったり、生活のことだったり、…えりりんのことだったり。」
14 18/02/04(日)23:38:13 No.483079995
「私の…こと?」 「みぽりんはね…昔みたいに仲良くできたらいいなって言ってたよ?」 昔みたい、それはエリカとみほがまだ同室だった頃。 夜遅くまで作戦を考えたり、たまにお出かけしたり、一緒に戦車道をしていた時のこと。 昔みたいに仲良く、それが意味することはつまり。 「えりりんとの思い出はみぽりんにとって確かにかけがえのないものになってるんだよ!」 「ぁ…」 沙織は優しくエリカを抱きしめる。そしてエリカに言う。 「だからえりりんが自分を責める必要はないんだよ?」 「うぅ…ぅええ…」 エリカは泣いた、沙織の胸で、それまでのことを全て洗い流すかのように。
15 18/02/04(日)23:39:32 No.483080330
------------------------------ 「嘘もうこんな時間!ほら早く行かないと皆を待たせちゃってる!」 「わかってるわよ!全く誰のせいだと思ってるのよ…」 口ではそう言いながらもエリカが沙織に抱いていた苦手意識はとっくになくなっていた。 2人で慌てて身だしなみを整えながらエリカは1人考える。 今後もみほは壁にぶつかるのかもしれない。 でも今ならその壁を乗り越えることがみほなら可能だと確信できる。 きっと大洗の皆が、沙織が居れば、みほは大丈夫なのだから。 そしてそれはきっと自分も同じなのだと。 「全く…敵わないわね」 「えりりん何か言ったー?」 「なんでもないわよ、沙織」 更衣室から出てきた二人はお揃いの着け方をしているリボンについて皆からからかわれたり、何故かみほが拗ねたりするのだが、それはまた別のお話。
16 18/02/04(日)23:40:13 No.483080532
慈母…
17 18/02/04(日)23:42:05 No.483081033
聖女サオリン
18 18/02/04(日)23:42:34 No.483081171
以上セガコラボカフェのキービジュアルを見て居てもたってもいられなくて書いたSSでした。 初めてだったのでところどころおかしなところがあるかもしれません。 今週こそはコラボカフェに行って逸見エリカしてきたいですね!
19 18/02/04(日)23:48:28 No.483082787
一応テキストの方も投げておきます su2231173.txt
20 18/02/04(日)23:56:30 No.483084818
いい…
21 18/02/04(日)23:57:20 No.483085041
さおエリいいよね…
22 18/02/04(日)23:59:03 No.483085427
>さおエリいいよね… キービジュアルのリボンに気付いた時もうさおエリキテルしか考えられなかった
23 18/02/05(月)00:12:55 No.483088555
目からウロコだったわ
24 18/02/05(月)00:17:59 No.483089529
>昔みたい、それはエリカとみほがまだ同室だった頃。 >夜遅くまで作戦を考えたり、たまにお出かけしたり、一緒に戦車道をしていた時のこと。 回想するやつ想像して…いいよね…
25 18/02/05(月)00:18:45 No.483089694
メモ住から来たよ これから読むよ
26 18/02/05(月)00:21:38 No.483090297
こういうやつでいいんだよこういうやつで