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18/01/30(火)00:40:12 No.481900328
ガルパンSS さおみほ
1 18/01/30(火)00:40:37 No.481900414
沙織の家に、お客さんが来ていた。 西住みほ。 大きめのスポーツバッグが部屋の床に置かれ、2人とも制服を部屋着に着替えてくつろいでいる。 時計は夜の10時を示す。深夜に差し掛かった時間だ。もう家に帰るには遅い時間帯、まだみほと沙織は他愛もないおしゃべりを続けていた。 「それでね、この前コンビニで買った限定版ボコのストラップなんだけど！」 「みぽりん本当ボコ好きだよねー」 とりとめない話をしている中で、ふとみほが顔を曇らせた。 「どうしたの？」 「ううん、なんでもない」 「なんでもないことないよ。顔が暗いよ？ 何か悩んでるんなら言ってみ？」 「……いいの」 「ここには"みほ"と私しかいないんだから、大丈夫だよ」
2 18/01/30(火)00:41:10 No.481900520
俯いているみほの手をそっと握り、沙織が傍らに寄りそう。 「うん……あのね、時々ふと思い出すの、あの日のこと……」 黒森峰で副隊長としてティーガーに搭乗していたあの日、みほは水没したIII号の乗員を助けようと川に飛び込み……。 「私のせいでチームは負けちゃって、私は黒森峰から逃げてきた……私、まちがってたのかなって、今でも思うんだ」 「まちがってないよ、みほは」 「……」 「溺れた人を救うのに間違いも何もない。人を助けたいと思う心に間違いなんてない。わたしだけじゃない。華も、麻子も、ゆかりんも間違いじゃないって、きっとそう思ってる」 「でも……私は黒森峰から逃げ出して……」 沙織はみほの背中に抱きつき、ぎゅっと強く抱き締める。
3 18/01/30(火)00:41:51 No.481900657
「く、くるしいよ沙織さん」 「まちがってない、まちがってないよ、みほ」 いちど手をほどくと、今度は胸に顔を埋めて、頭を静かに撫でながら何度も言い聞かせるように、ゆっくりと話しかける。 「まちがってない、助けた子だってきっとみほにお礼を言いたいと思ってるよ。賭けたっていいんだから！」 「…………うん」 練習後、皆でお風呂に入ってきた。 髪から漂うシャンプーとコンディショナーの香りが、くすぐったい。 何度も嗅いだ、みほの匂い。 「今日は、泊まっていきなよ」 「うん」
4 18/01/30(火)00:42:12 No.481900721
沙織の家のベッドは少し幅が広い。沙織とみほが並んで横になる。 互いの吐息が聞こえる、瞳が夜明かりに照らされて黒く輝く。 ぼそっと、みほが呟いた。 「あのね沙織さん、ちょっと暗い話になるけど」 「いいよ、気にしないで」 「私、本当は大洗で優勝できるかどうか分からない。自分では一生懸命頑張っているけど、戦車の数も足りないし、プラウダも黒森峰も火力は圧倒的に強い。普通に戦力を洗い出したら、とても勝てるわけ……ないんだ」 「それは承知の上だよ。無理して勝とうと思わなくたっていいよ」 「でも……」 「でもね、みぽりんが勝ちたい、と思う気持ちが強ければ、それはみんなの心に自信となり、目標になるんだよ」 「うん」 「だから、わたし以外の前では、常に自信を持って振る舞えばいいの。弱いみぽりんは、わたしがみんな食べてあげるから！」 「え、えっ？」 顔がぐっと近づく。沙織がみほの体に身を寄せて、全身を使ってすっぽりと抱きつく。
5 18/01/30(火)00:42:33 No.481900787
「く、くすぐったいよ沙織さん」 「弱さは、わたしの前でだけ、好きなだけ吐き出していいよ。みんなすっぽり覆い尽くして、食べてあげるから、みんなには秘密」 「さおり……さん……」 「誰だって不安な時はある、不安を打ち明けられなくて寂しい夜もある。でも、不安を共有できる誰かがいれば、不安も、寂しさも半分、いや、もっと少なくなるよね」 「……ううっ」 「おいで、みほ。今日の弱さは今日でおしまい、ね」 互いのぬくもり、足の冷たさ、心臓の鼓動、吐息、洗い立てのパジャマの匂い。かすかなボディソープと乳液と、ほんの少し漂う、甘い香り。 それらがないまぜになる中で、みほは沙織の胸に顔を埋めながら、小さく震えた。 「もしかして……みほさ」 「え？」 「……ううん、なんでもないよ、なんでもないの」
6 18/01/30(火)00:43:12 No.481900923
沙織は思った。黒森峰に足りなかったのは、弱みを打ち分けられる誰か、じゃなかったか、と。 そして……隊長も、副隊長も、だれも弱みを打ち分けられずに生きている。 みほにとって、それはとても辛い事だったのかも知れない、と。 「あのねみほ、もしわたしがね」 互いの血潮の流れが聞こえるくらい身を重ねていた二人がすこしだけ離れると、沙織はみほの瞳を見つめながら、ささやいた。 「わたしが、どうしても辛くて、耐えられなくて、だれかに話を聞いて貰いたくて……そんな日が来るかも知れない」 「うん」 「そんなとき、もしみほが傍にいてくれたら、朝には笑って学校に行けるかも知れない。ごめんねみほ、そんなわがまま、聞いてもらうのも悪いし、なんか見返りを求めてるみたいで――」 音もなく暗闇から指先が伸び、沙織の唇に触れる。 「みんな言わなくていいよ。助けてもらってるのはお互い様だから、もし沙織さんが苦しんでる時は、私が寄り添う番だよ」
7 18/01/30(火)00:43:56 No.481901052
「みぽ……りん……！」 ありがとう、ありがとうと沙織がみほの胸の中で繰り返す。 友人と呼ぶには濃密すぎて、さりとて恋人と呼ぶには違和感。 昼は明るく、夜は互いに弱みを打ち分けられる関係。この不安定な関係がいつまで続くかは分からない。 が、みほの中に暗雲として立ちこめていた辛い思い出は、少しずつ、少しずつ溶けて小さくなっていった。 沙織が、みほを抱き締めるたびに――。 おしまい さおみほ、みほさおってなんで少ないんでしょうね
8 18/01/30(火)00:44:58 No.481901262
みほさおいい… 太陽は常に傍にいるから気付けないって「」が言ってた…
9 18/01/30(火)00:45:11 No.481901303
>さおみほ、みほさおってなんで少ないんでしょうね みぽりんの相手はもちろん他のライバルも大勢いるしさおりんはなんたって麻子がいるからかな…
10 18/01/30(火)00:45:14 No.481901322
いい…
11 18/01/30(火)00:45:40 No.481901432
そうそうこういうのでいいんだこういうので
12 18/01/30(火)00:47:05 No.481901757
なんかこう…地の文が沙織って呼んでるかられま子の語りに見えて さおみほしてる部屋の観葉植物になってるれま子が見えた
13 18/01/30(火)00:47:23 No.481901834
みほさお増えてほしい…
14 18/01/30(火)00:48:41 No.481902214
なんだろう…依存する弱者って言葉が読んでて頭に浮かんだ…
15 18/01/30(火)00:48:51 No.481902255
しっとりさおみほいい…
16 18/01/30(火)00:51:29 No.481902900
たまにみほさおは公式でやってるからっていう人見かけるけど 言うほど公式のみほさお多いかなってなってちょっともにょる
17 18/01/30(火)00:52:56 No.481903187
>なんだろう…依存する弱者って言葉が読んでて頭に浮かんだ… 四六時中常に強いとは限らないからね…弱みを見せられる相手がいないとつらい
18 18/01/30(火)00:53:56 No.481903418
この2人は友情のままでいてほしいと感じる
19 18/01/30(火)00:54:44 No.481903656
>たまにみほさおは公式でやってるからっていう人見かけるけど >言うほど公式のみほさお多いかなってなってちょっともにょる 多くはないけどみぽりんの一番の理解者はさおりんって印象はあったよ アニメ最終話でみぽりんを送り出すシーンとか
20 18/01/30(火)00:57:51 No.481904234
みほさおをやるには頭の中ををさおりんにしないといけないから代償が…
21 18/01/30(火)00:58:27 No.481904330
さおりんはいつだってみぽりんを導いてくれるからな… 出会った時も蝶野さんの前でも
22 18/01/30(火)00:59:27 No.481904521
>みほさおをやるには頭の中ををさおりんにしないといけないから代償が… だからこうして観葉植物になるしか…
23 18/01/30(火)01:06:27 No.481905710
さおりんが聖母過ぎて自分が書くとなんか違う子になっちゃうかもみたいなのはあるかも
24 18/01/30(火)01:06:32 No.481905720
>みほさおをやるには頭の中ををさおりんにしないといけないから代償が… サオリノミコンすごかったね
25 18/01/30(火)01:07:16 No.481905842
>さおりんが聖母過ぎて自分が書くとなんか違う子になっちゃうかもみたいなのはあるかも 書いててそういう不安はあった でもお出しすることを優先した
26 18/01/30(火)01:09:16 No.481906161
>みほさおをやるには頭の中ををさおりんにしないといけないから代償が… そんな危険なことでもないよ 俺サオリノミコン読んだけど今まで三回くらいしか文になるレベルで頭さおりんになったことないよ
27 18/01/30(火)01:10:47 No.481906383
>サオリノミコンすごかったね 人によってサオリン像がちょっと違って楽しい 俺の中にも俺だけのサオリンがいる…むしろ俺がサオリンじゃん！もー！
28 18/01/30(火)01:11:06 No.481906426
>頭さおりん 脳みそホイップクリームに匹敵するパワーワードだ…
29 18/01/30(火)01:14:07 No.481906894
あんこうチーム5人組のイメージが強いからみほとさおりん二人っきりが想像しにくいのかもね
30 18/01/30(火)01:14:26 No.481906957
さおりんエミュは脳内インストールに成功するといろいろ捗るよ！
31 18/01/30(火)01:16:27 No.481907308
やだもー！ 頭さおりんとか脳みそホイップクリームとかみんなひっどーい！
32 18/01/30(火)01:17:59 No.481907542
サオリノミコンきたな…
33 18/01/30(火)01:21:56 No.481908117
こんばんわ！ 武部沙織だよ！ 今日はわたしのためにＳＳを書いてくれてどうもありがとう！ みぽりんのことはわたしも大好き！ とっても素敵な親友なんだ！ だからみぽりんとのお話が読めてすっごい嬉しいな！ 母性豊かなかに座だから、産み直してみぽりんのお母さんの代わりになってあげられると思うよ！ あっ！ 華も麻子もどうしちゃったの？ 急に抱きついて赤ちゃんみたい！ もー！ それじゃ、またわたしのＳＳ待ってるね！
34 18/01/30(火)01:22:57 No.481908275
ああ…脳みそがホイップクリームになるぅ…
35 18/01/30(火)01:23:48 No.481908394
このさおりんは危険だ……
36 18/01/30(火)01:27:06 No.481908862
>母性豊かなかに座だから、産み直してみぽりんのお母さんの代わりになってあげられると思うよ！ >産み直し うｎ？