17/10/23(月)20:41:29 暗い壁... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
17/10/23(月)20:41:29 No.461244428
暗い壁をじっと見つめていた。そこには豆粒の様に小さな穴があった。 過去の囚人が空けた物か、ささやかな自由への希望であった。 しかしそれは悲しい希望であった。国家を掌握し強権を振るう染五郎は、箴言した私を監獄へ放り込んだ。 脱出すれば彼と再び語り合わねばならない。 いずれ避けられぬ事でもあるが、和解出来るか、ただ不安で堪らなかった。 夕食は蕎麦であった。自分のを食べ終わった同房の囚人が物欲しそうに眺めてきた。食欲がなかったので彼にやってしまった。 彼は食べ終わるとその場に眠り込んだ。その姿を眺めていると囚人服の裾に一本、ほつれを見つけた。 つい強くそれを引き抜いた。すると服はするすると崩れ、のみならず彼の体その物がほどけて一本の糸に変わってしまった。 糸は全て蕎麦であった。 私はそれで絨毯を織る事にした。幾日かかったか、新入りの殴られ犯される声も耳に入らず一心に織り続けた。 やがてそれは完成した。絨毯はすぅっと宙に浮き上る。魔法の絨毯に違いない。 私は壁の穴に希望を込めて見得を切る。見得は壁を静かに切り崩した。 外は夜明けの星空。遠く山の端を金色の朝日が緩やかに昇り、急ぎ私は飛び立った。
1 17/10/23(月)20:43:24 No.461244922
>国家を掌握し強権を振るう染五郎は、箴言した私を監獄へ放り込んだ。 だめだった
2 17/10/23(月)20:46:23 No.461245657
文学かなにかやつておられる?
3 17/10/23(月)20:49:36 No.461246447
凄く格調高い文章だ…
4 17/10/23(月)20:49:58 No.461246529
>新入りの殴られ犯される声 ねえこれ…
5 17/10/23(月)20:52:16 No.461247080
>>新入りの殴られ犯される声 >ねえこれ… 必要かなあ
6 17/10/23(月)20:52:26 No.461247125
染五郎独裁者なのか…
7 17/10/23(月)20:55:12 No.461247784
これが魔術的リアリズムってやつか
8 17/10/23(月)20:57:07 No.461248247
アラジンの男