17/09/17(日)01:46:12 コン... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1505580372700.jpg 17/09/17(日)01:46:12 [73/91] No.453441319
コンソールに映される地図には暗いボイドの如き空虚な空間が点在している。すなわち福田屋側でも無い、都市側でも無い、コンソールの上では実際に何があるのか確認しようが無いエア・ポケットになっている空間には、犯罪が蔓延る。 物理的に侵入が困難である場合がほとんどであったが、件の「うまみ処」のように個人が何らかの方法で使用していることもあるようだ。 「うまみ処」の場合は、土地自体は彼ら夫婦のものであり、後から来た都市構造群や無限福田屋計画などの方が彼らの領土を侵しており、彼らが退去せねばならない謂われなどは無いのであるが、都市側からは、管理の届かない非合法の空間として扱われる。 都市公共衛生委員会はこれを許さない。 空間があり、何か市側から見て非合法の活動が行われているのを確認されると、空間を閉じられ、そこに居た人間諸共充填剤で固められてしまう。 そうして固められると、じきに都市構造物からセンサーや構築物が浸食をしてきて、充填剤と都市構築物をそっくり入れ替えてしまう。
1 17/09/17(日)01:46:42 [74/91] No.453441414
放置され時間が止まったままになった都市生活者達の体はやがて浸潤され街に同化し、その魂は何か観測者側には判然としない情報を新宇都宮タワーの心臓部である、量子コンピュータに送り続けている。 その孤独な魂はエネルギーとして再利用され、ささやかながら量子コンピュータを回転させるものへと変換されるのである。都市から排除され無法者のレッテルを貼られたもの達の魂はこれで救済されるのだと、都市公共衛生委員会の連中は信じているに違いない。 「うまみ処」のような安全な所ならば、そこに居た人物達を吊して終わりだが、非合法の取引等を行う本物の危険人物達がいることも珍しくない。 しかし、都市公共衛生委員会の使徒達は、その無謀とも思える鈍感さと、凶暴とさえいえる勤勉さを持ってして都市に生じた空隙を埋めていく。一種の強迫観念にとりつかれたとも思えるその狂気の活動は確実に我が家に迫っていた。 今ここで食い止めなければ。
2 17/09/17(日)01:46:59 [75/91] No.453441473
コンソールに映し出される光輝の点は、意思を持ったように一カ所に集結し、既にそこには無限福田屋計画の飛び地となる領土が形成されつつあるようであった。 バックヤード、陳列棚、巡回バス発着口などが、もうアトランダムに形成されている二笑亭のような一見して無意味ななんの計画性も持たない空間が、着々と作られている事を想像すると、不意に今まで感じたことの無い笑いが噴き上がる。 これほど笑ったのは精神に変調を来してから初めてである。この笑いが破綻した自身の精神を映し出す鏡なのか、それとも脳内に快感が迸り、本当に心の底から笑っていたのかはわからなかった。 だが痛快である。 暫くすると、敵性の建築群、つまり都市建設者群を表す赤い光輝の点が辺り一面から福田屋建設者群の、ここの所見られなかった大規模な動きにつられ集まってきた。 支店。つまり研究所であり砦を作られるとやっかいだという判断がつけられたのだろう。当初想定していた以上の勢いで集まってきた。 順調すぎるほど順調である。その一点につき逆に不安であった。しかし都市に反乱の刃を向けた以上もう引くことは叶わない。
3 17/09/17(日)01:47:17 [76/91] No.453441524
頭の中の地獄は、ついに現実となりここに顕現せしめた。 ここで福田屋建設者群と都市建設者群の食い合いを延々と続けるだけで、我が家への高速飛翔体の軌道敷設はだいぶ遅れることになるだろう。 しかし、このまま無意味な建築の上書き合戦が永遠に続くわけでは無い。むしろ今までの経緯からすれば福田屋建設者群は必ず負けてしまうだろう。 ただの破滅の引き延ばしでしか無い。 ある程度撒き餌が大きくなってきたところで、今までアトトランダムに設定していた建築計画を、都市郊外から新宇都宮タワーへの直通の循環バスを全力で建設するように指示する。これで都市建設者群による上書きが行われたとき、通常であれば代わりに高速飛翔体の軌道に置き換わるはずである。 癌化した福田屋の塊は、当初の我が家に敷設される高速飛翔体の計画の残滓と併せて、巨大な高速飛翔体のターミナルになるはずである。 一部自動で福田屋無限店舗を作成し続ける設定にした後、福田屋城塞跡をでて都市への接続端末にアクセスする。 使わないだろうと思っていた首長クラスのフラグメントがここに来て活躍する。
4 17/09/17(日)01:47:33 [77/91] No.453441581
都市の建設計画に上位階層からアクセスし、福田屋建設者群の行動パターンに併せて高速飛翔体の軌道敷設を促し、新宇都宮タワーへの道筋をつける。 今や都市の構造を支配しているのは自分であった。宇都宮市内の高速飛翔体を招聘する。これだけの建設者群が集まると異常な速度で都市が構築されていくのがわかる。 わかるというかこの力の奔流はもう止められない。 目の前で福田屋百貨店が作られると同時に、その素材を取り込み都市側に引きずり込む。福田屋百貨店の循環バス発着ターミナルは、都市の高速飛翔体のターミナルに書き換えられ、宇都宮市内に存在する、使用中以外の高速飛翔体が続々と集まってくる。 目の前で都市が成長する姿からは一種荘厳な雰囲気すら感じられ、何らかの信仰心にもにた高揚感が沸き上がる。 既に頭と体を限界まで磨り減らせて、いったい自分を突き動かしているものが何なのかはもう解らない。 解らないがやらねばならないという、冷徹とした何者かへの復讐心だけが冷たい青い炎となって立ち上がり続けている。
5 17/09/17(日)01:47:49 [78/91] No.453441632
復讐の相手は自分の安寧を奪う都市計画であり、精神の健康を崩してきた暴力とパワーハラスメントに溢れたあの会社か、精神障害を抱えていることで待遇に不公平を反映する現在の勤め先か。 あるいはその全てなのだろう。今まで生きていた中での全ての不公平。おそらく自分一人の鬱屈した思い込みもあるだろう。その全てに対していいようのない憎悪が燃え上がってきたのを感じた。何者に向けていいのか解らなかった復讐心が輪郭を持ってやってきた。 地獄だ、ここは地獄だ。この世は茫漠としてどこまでも広がる吹きさらしの曠野だ。 思えば昭和の頃はよかった。まだ何も世間を知らずに生きてこられた。平成の御代は不景気に洗われ、平成大不況の中で世知辛い経験をしたものだ。 昭和の全てがよかったとは思わない。しかし、物心ついてから、社会を意識するようになって世界が広がったのは平成だ。もちろん幼稚園小学校と昭和の時代の社会も経験はしている。それはそれで子供ながらにも厭なこともあっただろう。そこまで考えて、いくら考えても栓の無いことだと、悲しい気分に陥った。
6 17/09/17(日)01:48:07 [79/91] No.453441691
しかし、今や見よ!目の前では破壊と再生が生命の奔流となり、激しくスクラップ・アンド・ビルドを繰り返し、新宇都宮タワーに向けて虹のように伸びていく。 細胞に自殺を促す、アポトーシス遺伝子の中には、日本人が命名したという「ハラキリ遺伝子」というのがあるらしい。なんとも巫山戯た命名だが、ボコボコと隆起していく無尽蔵の福田屋を削り落として高速飛翔体の軌道へと削り落としていく様はハラキリといっても納得の光景であった。 あれほど憎らしかった都市建設者群が今はこれほどまでに頼もしく見える。 もちろん無自覚に都市を裏切った代償は切腹だ。 緊急事態を察知し今や都市という都市に散らばっていた都市建設者群が集まってくる。しかし敵性の建設者群である福田屋百貨店の愚直なまでの循環バス網敷設の阻止とこちらで流した偽の建築計画で、上からの命令を一切受け付けず、ただひたすらに高速飛翔体の軌道を敷設していく。 これだ、これこそだ。判断力が鈍るのと引き替えに、皮膚感覚だけが異常に鋭敏に研ぎ澄まされたこの状況こそが、おそらく胎児の頃より夢見ていたものなのだろう。
7 17/09/17(日)01:48:22 [80/91] No.453441752
大野一雄の舞踏のように優雅に死を感じさせ、白粉を暗い空間にふわふわと散らせながら舞い踊る。そんな光景が脳裏をよぎる。 新宇都宮タワーが出来たのは平成も中期に入ってからであった。世界がグリッドに分けられ高き遠い壁が築かれたのは何時だったろうか?不思議なことにその記憶だけはすっぽりと抜け落ち、いつの間にかあるのが当たり前になっていた。 ここに強烈な違和感を覚えるが、今は目の前の都市というものを概念ごと破壊するのが先決のように思われ、意識の外へとやってしまった。 普段はカオス理論と、都市の建築課から送られる大雑把な情報を元に、常人にはアトランダムに組まれているとしか思われない都市計画が、今は強固な意思を持って一点に集中していた。 新宇都宮タワーに向け早回しの映像を見るように構築物ができあがっていくのが見える。福田屋建設者群と都市建設者群は、真反対の意思を持ちながら結果として同じ方向を向いて、同じ結果へと都市の構築物を導いていた。
8 17/09/17(日)01:48:39 [81/91] No.453441800
既にどの建設者群が、何をしているのかなど解らない高さまで組み上がっていた。まるで昇り龍か、朽ちたテーマパークのジェットコースターのようなシルエットが霞の向こうに広がっている。 地上は既に辺り一面弾倉に納められた弾丸の如く、高速飛翔体が無限福田屋百貨店の名残の残るターミナルに林立していた。撃鉄を起こし引き金を引くのは他の誰でも無い、今ここに居る精神病を煩ったちっぽけな存在である。 都市計画に接続してみると既に緊急事態宣言が出されている。都市公共衛生委員会や、警察消防など僅かばかり残った形骸化した都市に所属する公共の団体も来るであろう。 しかし周囲は無限福田屋計画の癌化した機能により、人の侵入は容易ではないように思われる。 しばし瞑目する。こうしている間にも異なる二つの勢力に属する建設者群はお互いに絡み合い、新宇都宮タワーの喉元に刃を突き立てていた。 もう物理的には計画は成就したといっても過言では無いだろう。都市の上層部から計画停止の指示が出されるが、複製した首長の権限を持ってして全て弾いていく。
9 17/09/17(日)01:48:55 [82/91] No.453441860
再び計画が上手く行き過ぎなことに一抹の不安を感じるが、ここまで来て、建設者群が作った一種檻のような空間。紛れもない都市のにあいた洞であるエアポケットにいて、母の胎内に回帰するような安心感も同時に感じていた。 もう二度とここから出られないかも知れないという考えがボンヤリと浮かんだが、それはそれでいいのかも知れない。 周囲に自ずから壁を託つことで、自ら檻に入ったようなものである。卵と鶏とどちらが先かという話にも似ているが、壁に囲まれもう逃げる必要は無いのだから、都市公共衛生委員会も会社の者共も何も怖いことは無い。一人笑うと学生時代に、鶏と卵では卵の方が先だと教わったなとボンヤリと思い出した。 今や壮麗な都市構築物と化した、意図的に癌化させた福田屋百貨店を基点に計算された動きで、新宇都宮タワーにたどり着いた高速飛翔体のターミナルは些か不格好ながらも、目的を一つに建築された日本人的な用の美というか、機能美を持ち合わせている。
10 17/09/17(日)01:49:11 [83/91] No.453441901
長らく宇都宮の平成の象徴であった、新宇都宮タワー、その先の平成の終焉へと着弾する準備の整った宇都宮の中と外を毛細血管のように縦断する高速飛翔体を一つに束ね、今全力を持って投擲する。 会社で手に入れた首長級の端末接続遺伝子のフラグメントをかざし、最後のカペル・マイスター然とした様子で命令を下す。 「行け」 高速飛翔体の軌道レールに大電流が走り、その密度で辺りが一瞬灼熱に墜ちる。同時かつ平行に励起した高速飛翔体は一瞬の間を置いて、音も無く新宇都宮タワー目掛け投射される。数瞬の後、新宇都宮タワーの雲の更に上の方からスプライトのような激しい専攻が地上に届き、遅れて轟音が轟く。 新宇都宮タワーを構成する物性からして、高速飛翔体をぶつけたぐらいでは大した損傷を与えられないことは解っていた。
11 17/09/17(日)01:49:28 [84/91] No.453441952
特に量子コンピュータ付近は堅牢に出来ている。静止軌道トランスファーから垂れ下がっている以上、引っ張り強度は高いが横からの圧にどれほどの耐性があるか解らなかったが、比較的壁が薄く、莫大な電力を必要とする新宇都宮タワーの、電気を束ねるコンデンサや大気の状態を調べる分析施設、気象をコントロールする、セールなどが集中する繋ぎ目の部分に同時に高速飛翔体をぶつけた。 コンデンサは、高高度の放電現象に耐えるため、高い電気的防御力を持った素材が使われていたが、熱と圧力に関していえば、高層部の新宇都宮タワーの外壁を構築する高い物理的耐性を示す素材に比べたら、観測機器なども備えたその場所はやはり薄かった。 まだ天上の様子は文字通り雲の上のため見られないが、黙示録にあるような恐ろしい音と共にパラパラと新宇都宮タワーの破片が墜ちてきた。 そうこうしているうちに、音はより重い音に変化し、何かねじ切るような爆音が響いてくる。空の上では何度かピカピカと閃光が瞬き、遅れて連続した爆発音が届き、体腔を満たす体液が、がらんどうの中身が、冷たい心臓が反響し音叉のようにビリビリと響く。
12 17/09/17(日)01:49:47 [85/91] No.453442014
三半規管を爆破されたような感覚が脳内を駆け巡ると同時に、周囲の高速飛翔体の軌道がめりめりと音を立て、捻れ、縺れ、倒れてゆく。 空からもパラパラとした欠片では無く、新宇都宮タワーを構成する巨大なブロックが墜ちてくる。イカロスも太陽に近づかなければ墜ちずにすんだのだ。人類も身の丈に合った成長をすればよかったのだ。 平成という時代の一つの区切りとして奏でられる鎮魂歌のような破壊の音が響き渡る。新宇都宮タワーが上空でいくつかのブロックに分かれて切断されたようで、宇都宮グリッドと日光グリッドを隔絶する男体山の遙か高みにまで聳え立つ隔壁が、金属特有の断裂音を響かせながらあちこちで破綻していく。 地獄だ!地獄は脳の外側にあったのだ!もう都市公共衛生委員会も事件の首謀者のことなど構っていられないだろう。 宇都宮という都市が破綻を来たし、あちこちで地獄が顕現せしめる。 もちろん、福田屋城塞跡の近くの道祖神の如き都市接続端末であり、事件の中心部のこの破断した高速飛翔体の軌道に埋もれつつある。
13 17/09/17(日)01:50:02 [86/91] No.453442055
辺りには何物とも知れないブロックが降りしきり、どんどん周囲は埋もれていく。自分で作った檻の中で、自分を更に閉じ込めるという円周運動の中心で、快楽物質が脳内を満たし酩酊したような状態に陥っていた。 恐怖心も、不安も何も無い。統合失調症が脳内の分泌物を掻き乱していたが、それも強烈な快楽が支配していく。 身を滅ぼしつつある今の状況がたまらなく心地いい。やったことが無いので理解のしようが無いが、違法薬物などより最高にハイに決まっている。 ここで意識が暗転する。呼吸が出来ないが苦しくは無い。数万と降りしきる瓦礫のスコールは、自らの意思で設置した高速飛翔体の残骸により防がれていた。 しかし何であろうか?過呼吸か、自らのやれる事をやってもう命の方が終演の鐘を鳴らしているのだろうか? まだ見届けなければならないことがある。カーテンコールにはまだ早い。 意識はそこで途切れる。
14 17/09/17(日)01:50:18 [87/91] No.453442099
瞼を透過する光の粒子で、辺りが明るいことが解る。 ここはどこだろう、体の自由がきかない。拘束されているというわけでも無く力が入らない。体が眠っている状態で脳だけが覚醒した、いわゆる「金縛り」の状態になっているようだ。 首を動かし、辺りを見るとそこら中に人が転がっている。とはいっても例の落下物で死んでいるというわけでは無く、生きている患者が野戦病院のようなところに転がされているようだ。 「目が覚めましたか?」逆光でよく見えなかったがこの声は誰だったか?たしかかかりつけの済生会宇都宮病院の精神科の医師である。なにか返事をしようと思ったが喉が極端に渇いており「あ゛っあ゛っ」と呻くのが精一杯であった。 喉の粘膜が乾き、周りとへばり付き合い気道が詰まり、反射的に嘔吐く。しかし体内の水分量は深刻に不足しているようで、濃密などろりとした胃液がゼリーのようになって胸の辺りまであがってきた。 「無理しちゃだめだよ、経口補水液持ってきてあげて。悪いね、点滴切らせちゃってて、やっと今朝支援物資で経口補水液だけ入ってきたんだ」
15 17/09/17(日)01:50:33 [88/91] No.453442132
年配の看護師からパウチの経口補水液を受け取ると、努めてゆっくりと飲み込むが、やはり咽せる。 年配の看護師に首を起こして貰い、もう一度ちゅうちゅうと経口補水液をすすると、ビタミンか何かの錠剤を与えられ、無理矢理嚥下する。 またそこで意識が途切れた、が、今度はそれほど間を置かず意識が戻ったようだ。 まだ体の末端が麻痺しているようだったが、体の自由はある程度効くようで体を起こすことが出来た。体を見ると四肢がもげていた等ということは無いようで、骨折の有無は解らなかったが、打撲程度で済んでいるようだった。 ただ打撲といっても全身打撲のようである。 どうやら建設者群の組み上げた複雑な構造である、檻のおかげで辛くも最悪の事態は逃れたようである。 しかし、ここは周りの風景からすると済生会宇都宮病院か、その周辺の地域のようである。降り注いだバラバラのスクラップは、心苦しいことに済生会宇都宮病院にも大打撃を与えたようで、先ほど受けた野戦病院という印象は再び見た上でも変わらなかった。
16 17/09/17(日)01:50:49 [89/91] No.453442191
計画実行からどれだけ時間が経っていたのだろうか?無辜の民に苦痛を与えた以上、自分もこの都市に所属する処刑人であり拷問官と変わりは無い。 都市の機構に逆らった時点で思想犯であり、統合失調症というだけでも準犯罪者としてとらえられているのだから、もう詰んでいたのだろう。 日々の安寧を脅かす都市の計画を麻痺させ、自宅で安穏と過ごそうという元の計画はもとより実行不可能なのであった。 何もせずとも都市公共衛生委員会から吊される事は時間の問題であっただろう。人様の命を賭けに用いて自分の願望を遂げた事は血を持って購わなければいけない。 それにこの様子では元来守るべき唯一のものであった父母から伝わる家は、きっと何かしらの損傷を受けているに違いない。 守るべきものも失った。血を流しすぎた。もう思い残すことも無い。今現在新宇都宮タワーがどの程度機能を残しているのかわからなかったが、この街のどこかにあるという有機転換炉に放り込まれ、血肉はペレットにでもされ、魂は量子コンピュータを回転させるエネルギー源とされてしまうのだろう。
17 17/09/17(日)01:51:10 [90/91] No.453442259
宇都宮で命を落とした者の魂は全て量子化され、量子サーバに送り込まれ保存されているという噂を聞いたことがある。 そしてそこにたどり着けなかった、ならず者の魂は擬似的に構築された楽園からも追放され、魂を極低温で燃やされ量子コンピュータの補助エネルギー源として処分されてしまうという。そんな噂。根拠が一切無いものの、多分おそらく真実であろうその話は、今の己の身に迫ってくる現実の脅威となっていた。 足掻いても無駄なのはわかっていた。遠くにひしゃげた日光グリッドとの隔壁が見える。そうか、やはりあの大破壊は自分がもたらしたものだったのかと再確認して、謎の満足感を得つつまた意識は混濁する。 ハッテン取締官が廃墟を行く。こんな時でもハッテン行為をする者がいるからだ。都市の仮想ニューラルネットワークがダメージを受けたため、違法に量子サーバを立てて、ニューラルネットワークを構築し、サーバ内でハッテン行為をするという、公共衛生の観念と、電子ドラッグ規制法に反する悍ましい行為であった。 忍者は、都市に塗布されているセンサー群にハッテン行為を求めるデコイ、通称電子猫を放ちホモ達を釣り上げる。
18 17/09/17(日)01:51:28 [91/91] No.453442326
電子猫にハメたホモ共はチンポを電子アナルで嚙み切られ、マラをマイクロ・アレイで拘束され電子的通信手段を用いウエットダメージを与える。 忍者は逆探知したホモの隠れ家を焼き払い、集積場に電子凍結され脳が麻痺状態に陥ったホモ共を山積みにし有機転換炉に投げ込み、魂を回収する。回収された魂は量子コンピュータの燃料にされ、極低温で燃焼させられる。 電子の要塞に閉じ込められたホモの魂はお互いに絡み合い、もつれ合い、最後のハッテンに挑むのである。
19 17/09/17(日)01:52:05 [91/91] No.453442438
よかったらおひねりは「そうだね」していただけると励みになります こちらからは以上です
20 17/09/17(日)01:52:30 No.453442531
サイバーハッテン小説久しぶりに見た
21 17/09/17(日)01:53:31 No.453442720
91…?
22 17/09/17(日)02:06:47 No.453444908
熱あるときに頭が狂う感じと似た文章だ
23 17/09/17(日)02:07:51 No.453445043
>91…? 昔100レススクリプトとかあったはずだけど あれ何文字ぐらいだったのかな
24 17/09/17(日)02:10:37 No.453445419
一度に16600文字も投下するのはさすがに長すぎたかしら 投下時間も遅すぎかしらね
25 17/09/17(日)02:17:40 No.453446380
こんな時でもハッテンする者いるんだ…
26 17/09/17(日)02:19:57 No.453446703
とりあえずもうレスもつかなさそうなんで宣伝しますが 来年もブックガイド合同出したいと思いますので興味お持ちの方いらしましたら是非ご寄稿ください あとホモスク個人誌は50部ぐらいしか刷らないと思います このSF風ハッテンスクは掲載しない予定ですのでよしなに
27 17/09/17(日)02:21:06 No.453446868
宇都宮市民だけど凄い魅入られてしまったよ… 位置的に競輪場通りの福田屋だこれ…
28 17/09/17(日)02:30:18 No.453448070
>こんな時でもハッテンする者いるんだ… 生命の危機が訪れたとき 人は種の保存を云々
29 17/09/17(日)02:51:29 No.453450613
>位置的に競輪場通りの福田屋だこれ… あそこ済生会のすぐそばだしね
30 17/09/17(日)02:54:27 No.453450925
73/91ってどういうことだ