ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
17/07/31(月)23:05:17 [1/3] No.443433533
朝、部屋の中に響く目覚まし時計の音。今日もいつも通り、朝がやってきたのだ。 頭がとにかく重い。頭痛もする。カーテンの隙間から差し込む日差しを見るだけで目がクラクラする。 夜中にベッドの中でいくら明日が来ないように願っても、こうして陽は昇ってしまう。 そして一人きり、部屋の中で私は目を覚ます。いや、目を覚ましたというのも正確な表現ではない。 もう何日も熟睡などしていない。毎晩眠れない夜が続く。 病気にかかったわけじゃない。けれど、何かが私の中で壊れてしまった。 寝ても覚めても頭の中に浮かんでくるのは… あの二人の顔だ。 数日前の夕方、みんなが帰った頃。私は忘れ物をしたことに気付き事務所に戻った。 そして見てしまった。誰もいない事務所の片隅で口づけをかわす二人の姿を。 プロデューサーさんと… 文香さんの姿を…。 その瞬間、私はすべてを悟った。二人の関係、お互いの想いを。 それ以来ずっと事務所には行っていない。仕事の予定も全部キャンセルした。今週は学校にも行っていない。 誰から連絡が来ても、すべて無視してしまっている。
1 17/07/31(月)23:06:32 [2/3] No.443433934
両親は仕事で忙しい。私が学校に行っていないことにも仕事に行っていないことにも気付いていない。 けれどそれがバレるのも時間の問題だろう。 きっと、私は今取り返しのつかないことをしてしまっている。 頭ではわかっていても、もうどうすることもできない。 ……あの二人に会いたくない。いくら考えないようにしようとしても、あの光景が目に焼き付いて離れない。 思い出すたび、動悸がして、息が苦しくなる。体中から嫌な汗が出てくる。体が強張って動けなくなる。 重い体をムリヤリ起こし、まともに働かない頭でリビングに向かう。両親はもう二人とも仕事に出かけている。 静かな家の中で、時計の針の音だけが静かにカチカチと音を立てている。 なんてことのない小さな音なのに、今はそれが頭の中にガンガンと響いてくる感覚がする。 テーブルの上に置かれた朝食も、まるで食べる気がわいてこない。吐き気がして、食事もロクに喉を通らないでいる。 家の中も、窓の外の景色も今までとなんら変わらないのに、まるで別の世界に迷い込んでしまったかのように感じる。 何もかもが… 色を失ったかのように白黒に見える。
2 17/07/31(月)23:09:25 [3/3] No.443434781
そして私はふとリビングのテーブルの上に置かれた青色の小さな包みに気付く。 その横には母の字で手紙が添えてある。昨日の夜、事務所の人が来て置いていったものだと、そう書かれていた。 『ありすちゃんへ ずっとお仕事をお休みしているようですが、体調が悪いのでしょうか？ゆっくりと休んでください。 今日はもう眠っていると伺ったので、誕生日のプレゼントを置いていきます。 今までのようにまた一緒にありすちゃんとお仕事をできるのを、心から待っています。』 文香さんの字で書かれたメッセージカード。文香さんらしい、丁寧で…優しい字だ。 包みの中には一冊の本が入っている。私への誕生日プレゼントなのだろう。 本を手に取ってもタイトルが頭に入ってこない。パラパラと本をめくってみても、すべてのページが白紙に見える。何が書いてあるのかまるでわからない。 すぐに浮かんでくる文香さんとプロデューサーさんの顔。 色あせた世界。壊れていく関係。私はおかしくなって、何もかもが狂い始めている。 まともじゃない思考回路でも、ただ一つハッキリとわかることは… もう今まで通りでは いられないことだけ…───
3 17/07/31(月)23:09:56 [sage] No.443434949
以上です 橘誕生日おめでとう
4 17/07/31(月)23:16:13 No.443436812
拗らせルート入ってる…
5 17/07/31(月)23:18:20 No.443437429
救いは……救いは無いのですか
6 17/07/31(月)23:25:54 No.443439545
誕生日に何てものを…
7 17/07/31(月)23:45:31 No.443444822
せめて明るい話にしてくれよ！